アリ・カーター

2.1. 出生と幼少期

アリスター・カーターは1979年7月25日にイングランドのエセックス州コルチェスターで生まれた。現在はチェルムスフォードに居住している。

2.2. プロデビュー

カーターは1996年にプロに転向した。1999年にはWPBSAヤングプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、同年にはベンソン&ヘッジス選手権で優勝し、マスターズへのワイルドカード出場権を獲得した。この時期には、グランプリでも準決勝に進出するなど、初期キャリアで顕著な成績を収めた。しかし、次のランキング大会準決勝進出は2007年のマルタカップまで8年間を要した。

3.1. 初期キャリアと主な功績

プロ転向後、カーターは着実にその実力を高めていった。2003-04シーズンから2005-06シーズンにかけては、世界ランキング17位、19位、19位とトップ16のすぐ下の位置を維持した。そして、2006-07シーズンにはついにトップ16入りを果たし、2008年までその地位を維持した。

2005年世界スヌーカー選手権では、予選で1993年以来となる10-0の完封勝利をジェームズ・ワッタナに対して収め、本戦のラスト16に進出した。2007年世界スヌーカー選手権では、1回戦でアンディ・ヒックスに10-4で勝利し、さらに世界ランキング1位で7度世界チャンピオンに輝いたスティーブン・ヘンドリーを13-6で破り、自身初の世界選手権準々決勝に進出し、トップ16の地位を確実なものとした。

しかし、カーターはリードした状況から逆転負けを喫する場面も経験した。2007年UK選手権ではバリー・ホーキンスに対し8-3とリードしながら、ホーキンスが続く6フレームを連取し9-8で敗れるという極端な例もあった。

3.2. 世界選手権決勝進出

カーターはスヌーカー界の最高峰である世界スヌーカー選手権で2度決勝に進出している。

• 2008年世界スヌーカー選手権**: カーターは2008年世界スヌーカー選手権で、バリー・ホーキンスに10-9で勝利した後、元チャンピオンのショーン・マーフィーを13-4、ピーター・エブドンを13-9で破り、準々決勝に進出した。準決勝ではジョー・ペリーに17-15で勝利し、ロニー・オサリバンとの決勝戦に臨んだ。しかし、決勝では8-18で敗れ、タイトル獲得はならなかった。この大会では、ロニー・オサリバンが147ブレイクを達成した翌日の4月29日に、カーター自身も初の147ブレイクを達成した。これはクルーシブル・シアターで147ブレイクを達成した6人目の選手となり、また同一大会で2つの147ブレイクが達成された初の事例となった。

• 2012年世界スヌーカー選手権**: カーターは2012年世界スヌーカー選手権で再び決勝に進出した。彼はマーク・デイビスに10-2、世界ランキング2位のジャッド・トランプに13-12(9-12からの逆転勝利)、ジェイミー・ジョーンズに13-11で勝利し、準決勝でスティーブン・マグワイアを17-12で破った。決勝では2008年と同じくロニー・オサリバンと対戦したが、11-18で敗れ、またしてもタイトル獲得を逃した。これにより、彼はランキング大会でオサリバンに一度も勝利したことがないという記録が続いた。

3.3. 主な優勝記録

アリ・カーターは、キャリアを通じて複数の主要なタイトルを獲得している。

• ランキング大会優勝 (6回)**:
  • 2009年 ウェルシュ・オープン
  • 2010年 上海マスターズ
  • 2013年 ジャーマン・マスターズ
  • 2016年 ワールド・オープン
  • 2023年 ジャーマン・マスターズ (2度目)
  • 2024年 チャンピオンシップ・リーグ (ランキング大会)
  • マイナーランキング大会優勝 (1回)**:
    • 2015年 ポール・ハンター・クラシック
    • 非ランキング大会優勝 (4回)**:
      • 1999年 ベンソン&ヘッジス選手権
      • 2008年 黄山カップ
      • 2014年 ジェネラル・カップ
      • 2024年 ヘルシンキ国際カップ

3.4. 健康問題とキャリアの転換点

カーターのキャリアは、健康問題との闘いによって大きく影響を受けてきた。2003年にクローン病と診断されて以来、彼は食事療法(乳製品と小麦/グルテンの制限)によって症状を部分的にコントロールしてきた。

2013年7月1日には精巣癌と診断され、翌日には手術を受けた。彼は1ヶ月の休養を勧められたが、7月19日には全快を報告し、9月の上海マスターズで競技に復帰した。しかし、2014年5月には精巣癌が肺に転移していることが判明し、集中的な化学療法を受けるために再び競技から離れた。2014年8月にはこの転移性腫瘍の治療(手術を含む)を成功裏に終え、同年10月にはワールドスヌーカーツアーに復帰し、ジェネラル・カップで優勝を飾った。

これらの闘病期間中、彼の世界ランキングは一時的に凍結されるなどの措置が取られたが、彼は常にトップレベルでの復帰を目指し、その都度、驚異的な回復力と精神力を見せてきた。特に、2015年のポール・ハンター・クラシックでの優勝は、癌を克服してからの初のランキングタイトルであり、2006年に癌で亡くなったポール・ハンターの名を冠する大会での勝利は、彼にとって特別な意味を持つものとなった。

3.5. 試合記録とランキングの変遷

アリ・カーターのキャリアを通じての主要な大会での成績と世界ランキングの変遷は以下の表の通りである。

4.1. ランキング大会決勝

4.2. マイナーランキング大会決勝

4.3. 非ランキング大会決勝

5.1. 健康問題

カーターは2003年にクローン病と診断された。彼は乳製品や小麦、グルテンを食事から制限することで、この慢性疾患の症状を部分的に管理している。

2013年7月1日、彼は精巣癌と診断された。翌日には手術を受け、1ヶ月の休養が勧められたが、7月19日には医師から全快の告知を受け、9月の上海マスターズで競技に復帰した。

しかし、2014年5月には、精巣癌が肺に転移していることが判明した。彼は再び競技を中断し、集中的な化学療法を受けた。2014年8月にはこの転移性腫瘍の治療(手術を含む)を成功裏に完了し、同年10月にはワールドスヌーカーツアーに復帰し、ジェネラル・カップで優勝を飾った。

これらの闘病期間中、彼の世界ランキングは一時的に凍結されるなどの措置が取られたが、彼は常にトップレベルでの復帰を目指し、その都度、驚異的な回復力と精神力を見せてきた。特に、2015年のポール・ハンター・クラシックでの優勝は、癌を克服してからの初のランキングタイトルであり、2006年に癌で亡くなったポール・ハンターの名を冠する大会での勝利は、彼にとって特別な意味を持つものとなった。

5.2. 個人的な関心事と趣味

カーターは飛行機の操縦に強い関心を持っており、パイロットの免許も取得している。彼の愛称「ザ・キャプテン」は、この趣味に由来する。また、彼はチェルムスフォードにあるリバーミード・スヌーカー・クラブで練習していたが、後にそのクラブを買い取り、オーナーとなった。

5.3. 家族関係

カーターには、元パートナーのサラとの間に2009年に生まれた息子がいる。また、別の元パートナーであるステラ・イングリッシュ(2010年のリアリティ番組『アプレンティス』シーズン6の優勝者)との間には娘がいる。