1. 概要

田中順也(たなか じゅんや)は、東京都板橋区出身の元プロサッカー選手であり、現在はサッカー指導者として活動している。現役時代のポジションは主にフォワード、およびミッドフィールダー。日本代表としても4試合に出場した経歴を持つ。
順天堂大学在学中に特別指定選手として柏レイソルに登録され、2010年から正式にプロキャリアを開始。柏レイソルでは、2010年のJ2優勝、2011年のJ1優勝に大きく貢献し、特に2011年にはリーグ戦で13得点を挙げる活躍を見せた。2014年にはポルトガルの強豪スポルティングCPへ移籍し、欧州での挑戦を経験。その後、柏レイソルへの期限付き移籍を経て、ヴィッセル神戸でプレーし、2019年には天皇杯優勝に貢献した。2022年からはFC岐阜に所属し、2023シーズンをもって現役を引退した。
引退後は、2024年1月よりFC岐阜のクラブアンバサダーに就任し、アカデミーコーチとしても活動を開始。2025年からはアカデミーダイレクターを務める予定である。私生活では、ファッションモデルの宇井愛美と結婚し、一女をもうけている。
2. 個人情報とユース時代
田中順也の幼少期からプロ入り前までの経歴は、サッカーとの出会い、ユースクラブでの成長、そして大学時代にJリーグのスカウトの目に留まるまでの道のりを示す。
2.1. 出生と背景
田中順也は1987年7月15日に東京都板橋区で生まれた。身長は181 cm、体重は75 kgで、利き足は左足である。愛称は「ジュンヤ」や「TJ」として知られている。私生活では、ファッションモデルの宇井愛美と2013年12月21日に結婚した。宇井は田中より1歳年上であり、結婚後も互いを「宇井さん」「田中」と呼び合っている。二人の間には2014年7月16日に長女が誕生している。また、田中は中学時代に習っていた書道を特技としており、2013年シーズンには柏レイソルの公式マッチデープログラム内で「板橋の書聖・田中順也先生のワントップ・ツー書道」という連載コーナーを持ち、その腕前を披露した。2015年10月27日には、妻の宇井愛美が所属する芸能事務所レプロエンタテインメントとマネジメント契約を結んだことを発表した。
2.2. ユース経歴と学業
田中は小学校1年生の時から本格的にサッカーを始めた。小学生時代は高島平SCに所属しながら、三菱養和SCのスクールにも通っていた。小学校卒業後は三菱養和巣鴨SCジュニアユースへ昇格し、力強いドリブルと左足から放たれる豪快なシュートを武器に「三菱養和のアドリアーノ」という異名を取った。
大東文化大学第一高等学校に進学し、三菱養和SCユースに所属。高校3年時の2005年には、チームのエースストライカーとして背番号「10」を背負い、第29回日本クラブユースサッカー選手権に出場した。しかし、この大会では香川真司、吉田麻也、安田理大、槙野智章といった後の日本代表メンバーが揃う中で目立った成績を残せず、グループリーグで敗退した。このため、Jリーグクラブやサッカー名門大学からのオファーはなく、田中は一般推薦で順天堂大学に入学した。
大学時代も当初は無名の存在であったが、2学年先輩の村上佑介を視察するために頻繁に練習場を訪れていた柏レイソルのスカウトの目に留まった。2009年7月、大学4年の夏休みを利用する形で特別指定選手として柏レイソルに登録された。当初の登録期間は1ヶ月の予定だったが、同時期に監督に就任したネルシーニョの強い要望により、シーズン終了時まで契約が延長され、リーグ戦で9試合に出場した。
3. プロフェッショナルキャリア
田中順也のプロサッカー選手としてのキャリアは、国内のJリーグクラブと海外のポルトガルリーグでの挑戦、そして日本代表としての活動に分けられる。
3.1. クラブキャリア
田中はプロとして複数のクラブに所属し、それぞれのチームで重要な役割を担った。
3.1.1. 柏レイソル
2010年、田中は柏レイソルに正式加入した。この年は主にスーパーサブとして起用されたが、チームはJ2で優勝し、J1への昇格を果たした。2011年、J1昇格初年度のシーズンでは開幕からスターティングメンバーに定着し、リーグ戦30試合に出場して13得点を記録。Jリーグ史上初となる昇格初年度でのJ1優勝に大きく貢献した。同年開催されたFIFAクラブワールドカップ2011では全4試合に出場し、オークランド・シティFC戦では得意の左足からゴールを決め、試合を観戦していたFIFAのゼップ・ブラッター会長から賞賛を受けた。
翌2012年のリーグ戦では5得点に留まったが、2013年にはリーグ戦で11得点を挙げたほか、日刊スポーツなどが算出したアシスト数も二桁を記録し、不振を払拭した。このシーズンでは、攻撃時に4-2-3-1、守備時に4-1-4-1へ変化する変則的なフォーメーションが採用された試合において、攻撃時には前線まで飛び出し、守備時にはボランチのポジションまで下がる戦術のキープレーヤーを担った。2014年シーズンも好調を維持し、ブラジルW杯開催によるリーグ中断期間を前に、チームトップの5得点を記録した。
3.1.2. スポルティングCP
2014年6月29日、田中はポルトガルのプリメイラ・リーガ(Primeira Ligaプリメイラ・リーガポルトガル語)に所属するスポルティングCP(Sporting Clube de Portugalスポルティング・クルーベ・デ・ポルトゥガルポルトガル語)へ移籍した。契約期間は5年間で、移籍金は20.00 万 EUR(約2500.00 万 JPY)と報じられた。また、違約金が6000.00 万 EUR(約83.00 億 JPY)という破格の金額に設定されたことで欧州のメディアから注目を集め、イタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトでは「スポルティング・リスボンよ、タナカとは何者だ?」という見出しで大々的に報じられた。
同年8月23日、第2節のFCアロウカ(F.C. AroucaFCアロウカポルトガル語)戦でプリメイラ・リーガデビューを飾った。11月21日のタッサ・デ・ポルトガル4回戦SCエスピーニョ(S.C. EspinhoSCエスピーニョポルトガル語)戦で移籍後初得点を記録。翌年1月11日の第16節SCブラガ(S.C. BragaSCブラガポルトガル語)戦では、0-0で迎えた後半アディショナルタイムに直接フリーキックからリーグ戦初ゴールを挙げ、勝利に貢献した。その後も途中交代で起用されることが多かったが、限られた出場時間の中で得点を重ね、シーズン通算7ゴールを記録した。
しかし、監督がマルコ・シウバ(Marco Silvaマルコ・シウバポルトガル語)からジョルジェ・ジェズス(Jorge Jesusジョルジェ・ジェズスポルトガル語)に代わった2015-16シーズンは新監督の構想外となり、出場機会が減少した。国内外から複数の移籍オファーが届いたが、条件面で折り合わずチームに残留することとなった。
2016年2月2日、田中は翌年7月までの期限付き移籍(買い取りオプション付き)で古巣の柏レイソルに復帰することが発表された。しかし、監督がミルトン・メンデスから下平隆宏に早々に変わると、ユース出身選手を重用する下平の方針もあり、リーグ戦僅か21試合(先発8試合)の出場で4得点と、特別指定選手だった2009年を除き、自己最低の成績に終わった。
3.1.3. ヴィッセル神戸
2016年12月29日、田中は柏時代に師事したネルシーニョが監督を務めるヴィッセル神戸へ完全移籍で加入することがスポルティングCPから発表された。
2017年4月26日、ルヴァンカップ第3節のサンフレッチェ広島戦(4-1で勝利)で移籍後初得点を決めた。2018年はJ1第2節の清水エスパルス戦でシーズン初ゴールを挙げたものの、その後はなかなかゴール数を伸ばすことができなかった。シーズン途中に監督が吉田孝行からフアン・マヌエル・リージョに交代した後は、わずか4分の出場に留まった。
2019年シーズンは、フォワードに古橋亨梧やルーカス・ポドルスキ(Lukas Podolskiルーカス・ポドルスキドイツ語)、さらに新たに加入したダビド・ビジャ(David Villaダビド・ビジャスペイン語)の存在もあり、開幕からなかなか試合に出場できなかった。しかし、第5節のガンバ大阪戦では途中出場で2得点の活躍を見せ、出場時間16分ながらチームの逆転勝利に貢献した。シーズン中盤頃からは、ポドルスキやビジャの怪我の影響で出場機会が増え、神戸移籍後最多となるリーグ戦6得点を挙げた。天皇杯では全試合に出場し、クラブ初タイトル獲得に貢献した。
2021年12月27日、ヴィッセル神戸との契約満了による退団が発表された。
3.1.4. FC岐阜
2021年12月31日、田中はFC岐阜へ完全移籍で加入することが発表された。FC岐阜では2シーズンプレーし、2023年11月8日に2023シーズンをもって現役を引退することが発表された。
3.2. 代表チームキャリア
田中順也は、日本代表として国際舞台でも活躍した。
2011年9月、2014 FIFAワールドカップ・アジア3次予選の日本代表メンバーに初選出されたが、この時は試合に出場する機会はなかった。
2012年2月24日、キリンチャレンジカップ2012のアイスランド戦で国際Aマッチ初出場を果たした。その後はしばらく代表から遠ざかっていたが、ハビエル・アギーレ(Javier Aguirreハビエル・アギーレスペイン語)監督の初陣となったキリンチャレンジカップ2014で約2年半ぶりに招集を受けた。4-3-3システムの中盤、左インサイドハーフのポジションでウルグアイ戦、ベネズエラ戦に出場。さらに同年10月の国際親善試合ブラジル戦にも出場した。
| 日本代表 | ||
|---|---|---|
| 年 | 出場 | 得点 |
| 2012 | 1 | 0 |
| 2013 | 0 | 0 |
| 2014 | 3 | 0 |
| 合計 | 4 | 0 |
4. プレースタイル
田中順也は、強靭なフィジカルと繊細なボールコントロール技術を併せ持った万能型のストライカーとして知られている。コースが空いた瞬間に左足を振り抜き、パワフルなシュートを狙っていく豪快なプレースタイルは、しばしば「久保竜彦を彷彿とさせる」と評された。
また、豊富な運動量と戦術を忠実に実行できる高いインテリジェンスも持ち合わせており、フォワードだけでなく中盤のポジションで起用されることも多かった。特に、攻撃時には前線に飛び出し、守備時にはボランチの位置まで下がる戦術的な役割をこなすなど、戦術理解度の高さが評価されていた。左足のパワーと精度を活かしたプレースキックも得意としており、直接フリーキックから得点を挙げる場面も見られた。
5. 受賞歴と功績
田中順也はプロキャリアを通じて、複数のクラブタイトルを獲得し、チームの成功に貢献した。
- 柏レイソル**
- Jリーグ ディヴィジョン2: 2010年
- Jリーグ ディヴィジョン1: 2011年
- FUJI XEROX SUPER CUP: 2012年
- 天皇杯全日本サッカー選手権大会: 2012年
- ヤマザキナビスコカップ: 2013年
- スポルティングCP**
- タッサ・デ・ポルトガル: 2014-15
- スーペルタッサ・カンディド・デ・オリベイラ: 2015
- ヴィッセル神戸**
- 天皇杯全日本サッカー選手権大会: 2019年
- FUJI XEROX SUPER CUP: 2020年
6. 引退後の活動
現役引退後、田中順也はサッカー界での新たなキャリアをスタートさせている。
2024年1月21日、古巣であるFC岐阜のクラブアンバサダーに就任した。同時に、FC岐阜のアカデミーコーチとしても活動を開始し、若手選手の育成に携わっている。さらに、2025年2月1日付でFC岐阜のアカデミーダイレクターに就任することが発表されており、クラブの育成部門における中心的な役割を担う予定である。
7. プライベート
田中順也は、ファッションモデルの宇井愛美と結婚している。二人は2013年12月21日、宇井の27歳の誕生日に結婚を発表した。宇井が田中より1歳年上であることから、結婚後も互いを「宇井さん」「田中」と呼び合っている。2014年7月16日には長女が誕生し、一児の父となった。
サッカー以外の特技として、中学時代に習っていた書道がある。その腕前は高く評価されており、2013年シーズンには柏レイソルの公式マッチデープログラム内で「板橋の書聖・田中順也先生のワントップ・ツー書道」という連載コーナーを持ち、書作品を披露した。
2015年10月27日、妻の宇井愛美が所属する芸能事務所であるレプロエンタテインメントとマネジメント契約を結んだことを発表し、サッカー以外の活動においてもサポート体制を強化した。
8. 個人成績
田中順也のプロフェッショナルキャリアにおけるクラブおよび代表チームでの詳細な出場記録と得点記録を以下に示す。
| クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ1 | リーグカップ2 | 大陸大会3 | その他4 | 合計 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
| 柏レイソル | |||||||||||||
| 2009 | 9 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 9 | 0 | ||
| 2010 | 24 | 6 | 3 | 1 | - | - | 0 | 0 | 27 | 7 | |||
| 2011 | 30 | 13 | 3 | 2 | 2 | 0 | - | 4 | 1 | 39 | 16 | ||
| 2012 | 31 | 5 | 6 | 2 | 3 | 0 | 6 | 4 | 1 | 0 | 47 | 11 | |
| 2013 | 32 | 11 | 0 | 0 | 4 | 3 | 9 | 2 | 1 | 0 | 46 | 16 | |
| 2014 | 12 | 5 | - | 6 | 3 | - | - | 18 | 8 | ||||
| 2016 | 21 | 4 | 1 | 0 | 4 | 1 | - | - | 23 | 4 | |||
| 合計 | 159 | 44 | 13 | 5 | 19 | 7 | 15 | 6 | 6 | 1 | 209 | 62 | |
| スポルティングCP | |||||||||||||
| 2014-15 | 17 | 5 | 4 | 1 | 5 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 28 | 7 | |
| 2015-16 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | |
| 合計 | 20 | 5 | 4 | 1 | 7 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 34 | 7 | |
| ヴィッセル神戸 | |||||||||||||
| 2017 | 24 | 1 | 1 | 0 | 7 | 4 | - | - | 32 | 5 | |||
| 2018 | 20 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | - | - | 24 | 2 | |||
| 2019 | 23 | 6 | 6 | 4 | 6 | 1 | - | - | 35 | 11 | |||
| 2020 | 19 | 2 | - | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 24 | 2 | ||
| 2021 | 7 | 2 | 1 | 1 | 2 | 2 | - | - | 10 | 5 | |||
| 合計 | 93 | 13 | 10 | 5 | 17 | 7 | 4 | 0 | 1 | 0 | 125 | 25 | |
| FC岐阜 | |||||||||||||
| 2022 | 24 | 3 | - | 1 | 0 | - | - | 25 | 3 | ||||
| 2023 | 24 | 3 | - | 1 | 0 | - | - | 25 | 3 | ||||
| 合計 | 48 | 6 | - | 2 | 0 | - | - | 50 | 6 | ||||
| キャリア合計 | 320 | 68 | 27 | 11 | 45 | 15 | 22 | 6 | 7 | 1 | 421 | 101 | |
1天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会、タッサ・デ・ポルトガルを含む。
2Jリーグカップ、タッサ・デ・リーガを含む。
3AFCチャンピオンズリーグ、UEFAチャンピオンズリーグを含む。
4FIFAクラブワールドカップ、FUJI XEROX SUPER CUP、スーペルタッサ・カンディド・デ・オリベイラを含む。
- 2020年のAFCチャンピオンズリーグでは、実際には計4試合に出場したが、第1節のジョホール・ダルル・タクジムFC戦が無効試合となった。
; その他の公式戦
- 2012年: FUJI XEROX SUPER CUP 1試合0得点
- 2013年: FUJI XEROX SUPER CUP 1試合0得点
- 2020年: FUJI XEROX SUPER CUP 1試合0得点
8.1. 出場歴
- 公式戦・Jリーグ初出場: 2009年8月15日 J1第21節 ジェフユナイテッド市原・千葉戦(フクダ電子アリーナ)
- 公式戦・Jリーグ初得点: 2010年5月2日 J2第10節 愛媛FC戦(日立柏サッカー場)
- A代表初出場: 2012年2月24日 キリンチャレンジカップ アイスランド戦(長居陸上競技場)
- プリメイラ・リーガ初出場: 2014年8月23日 プリメイラ・リーガ第2節 FCアロウカ戦(エスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデ)
- プリメイラ・リーガ初得点: 2015年1月11日 プリメイラ・リーガ第16節 SCブラガ戦(エスタディオ・ムニシパル・デ・ブラガ)
9. 外部リンク
- [http://www.jfootball-db.com/en/players/tanaka_junya.html Japan National Football Team Database]
- [https://web.archive.org/web/20160215120444/http://www.reysol.co.jp/team/players/2011/18.php 柏レイソル公式サイト 田中順也選手プロフィール]
- [https://www.vissel-kobe.co.jp/profile/?mode=detail&id=154 ヴィッセル神戸公式サイト 田中順也選手プロフィール]
- [http://soccer.yahoo.co.jp/jleague/players/detail/900516 Yahoo! Japan サッカー 田中順也選手記録]
- [http://kr.soccerway.com/players/junya-tanaka/89522 Soccerway.com プロフィール]
- [http://www.national-football-teams.com/player/46681/Junya_Tanaka.html National Football Teams プロフィール]