1. 概要
カイル・パトリック・ハートは、アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ出身のプロ野球選手(投手)であり、左投左打である。MLBのボストン・レッドソックスとサンディエゴ・パドレス、そしてKBOリーグのNCダイノスでプレーした経歴を持つ。
2. 初期経歴と背景
ハートの選手としてのキャリアは、オハイオ州の高校およびインディアナ大学での活動から始まった。大学時代には大きな怪我も経験している。
2.1. 出生と学歴
ハートは1992年11月23日にアメリカ合衆国オハイオ州シンシナティで生まれた。シンシナティのサイカモア高校を卒業し、インディアナ大学に進学した。大学では2012年から2016年までの5シーズンにわたり、インディアナ・フージャーズ野球チームで大学野球選手として活躍した。
2.2. 大学時代の怪我
インディアナ大学の3年生であった2014年に、トミー・ジョン手術を受け、その後の選手キャリアに大きな影響を与えた。
3. アメリカプロ野球経歴
ハートのプロ野球キャリアは、ボストン・レッドソックスからのドラフト指名によって始まった。その後、複数のマイナーリーグ球団を渡り歩き、MLBでのデビューも果たした。
3.1. ボストン・レッドソックス
ハートは2016年のMLBドラフトでボストン・レッドソックスから指名され、プロとしての道を歩み始めた。球団の傘下マイナーリーグで着実に経験を積んだ後、MLBデビューを果たしたが、怪我にも見舞われた。
3.1.1. ドラフト指名とマイナーリーグ
2016年のMLBドラフトにおいて、ハートは19巡目(全体568位)でボストン・レッドソックスから指名され、プロ入りを果たした。契約後、傘下のルーキー級ガルフ・コーストリーグ・レッドソックスでプロデビューし、4試合に登板して0勝2敗、防御率2.31、19奪三振を記録した。
2017年はA級グリーンビル・ドライブとA+級セイラム・レッドソックスでプレーし、2チーム合計で22試合(先発19試合)に登板して6勝5敗、防御率2.15、109奪三振を記録した。
2018年はダブルAのポートランド・シードッグスでシーズンを過ごし、24試合全てに先発登板して7勝9敗、防御率3.57、138 2/3イニングで100奪三振を記録した。
2019年はポートランドで開幕を迎えた後、5月下旬にトリプルAのポータケット・レッドソックスに昇格した。このシーズン全体では、合計77試合(先発71試合)に登板し、12勝13敗、防御率3.52、156イニングで140奪三振を記録する好成績を残した。この活躍が評価され、シーズン終了後にはレッドソックスの40人枠に登録された。
3.1.2. MLBデビューと成績
2020年3月8日、ハートはトリプルAのポータケットにオプションで降格した。MLBシーズンが遅れて開幕した後、レッドソックスは8月13日のタンパベイ・レイズ戦でハートを先発投手に指名した。MLBデビュー戦では、2イニングを投げ、7安打、3四球から7失点(自責点5)を喫し、敗戦投手となった。
9月2日には左股関節の股関節インピンジメントにより故障者リスト入りし、9月15日には45日間の故障者リストに移された。2020年ボストン・レッドソックスにおいて、ハートは4試合(先発3試合)に登板し、11イニングで0勝1敗、防御率15.55、13奪三振という成績に終わった。
3.1.3. その後のマイナーリーグでの活動とFA
2020年11月20日、ハートは40人枠から外され、トリプルAに配属された。2021年シーズンはトリプルAのウースター・レッドソックスでプレーし、23試合(先発20試合)で6勝9敗、防御率4.22、106 2/3イニングで90奪三振を記録した。
2022年シーズンはウースターで開幕を迎えたが、5月16日にポートランドへ配置された。この年、ウースターとポートランドで合計24試合に登板し、7勝3敗、防御率5.25、82.1イニングで74奪三振という成績を残した。シーズン終了後の11月10日にFAとなった。
3.2. フィラデルフィア・フィリーズ
2023年2月7日、ハートはフィラデルフィア・フィリーズとマイナー契約を結んだ。しかし、フィリーズ傘下での活動は短期間に終わった。
3.2.1. マイナー契約と放出
ハートは2023年2月7日にフィラデルフィア・フィリーズとマイナー契約を結んだ。傘下のトリプルA級リーハイバレー・アイアンピッグスで1試合に登板し、1イニングを無失点1奪三振に抑えたが、4月19日に球団から放出された。
3.3. シアトル・マリナーズ
フィリーズからの放出後、ハートはシアトル・マリナーズとマイナー契約を締結し、新たな所属先を見つけた。
3.3.1. マイナー契約
2023年6月3日、ハートはシアトル・マリナーズとマイナー契約を結び、傘下のトリプルA級タコマ・レイニアーズに配属された。タコマでは18試合に先発登板し、4勝6敗、防御率4.58、88 1/3イニングで85奪三振を記録した。シーズン終了後の11月6日にFAとなった。
4. 韓国プロ野球経歴
2023年オフ、ハートはKBOリーグのNCダイノスと契約し、韓国で新たなキャリアの章を開いた。
4.1. NCダイノス
NCダイノスでは、リーグのエースとして活躍し、主要な個人タイトルも獲得した。
4.1.1. 契約とシーズン成績
ハートは2023年12月19日にKBOリーグのNCダイノスと1年契約(総額50.00 万 USD、契約金20.00 万 USD、インセンティブ20.00 万 USDを含む)を結んだ。
2024年シーズン、ハートはNCダイノスのエースとして活躍し、特に3月23日の斗山ベアーズとのシーズン開幕戦では先発投手として登板し、7イニングを5安打2失点で勝利には結びつかなかったものの、好投を見せた。
7月には5試合に登板し、33イニングで16安打、39奪三振、2失点(自責点2)を記録し、3勝を挙げたことで、球団の7月投手MVPに選出された。
9月25日のSSGランダーズ戦では、6イニングを6失点10奪三振という内容で、惜しくも韓国プロ野球史上初の投手4冠達成はならなかった。
2024年シーズン全体では、26試合全てに先発登板し、157イニングを投げ、13勝3敗、防御率2.69、182奪三振、38四球、11被本塁打、51失点(自責点47)を記録した。この年、彼はKBOリーグの奪三振王に輝き、シーズン終了後には、KBOリーグのサイ・ヤング賞に相当する崔東原賞を受賞した。ハートはシーズン終了後、MLB復帰を目指すため、FAとなった。
4.1.2. 主要受賞歴と記録
- KBOリーグ奪三振賞(2024年、182奪三振)
- 崔東原賞(2024年)
- KBOリーグにおけるシーズン最多奪三振記録(182奪三振、2024年)
5. 現所属チーム
ハートはKBOリーグでの成功を経て、再びMLBの舞台に戻ることを目指し、サンディエゴ・パドレスとの契約に至った。
5.1. サンディエゴ・パドレス
5.1.1. 契約締結
ハートは2025年2月13日、サンディエゴ・パドレスと1年間のメジャー契約を締結した。この契約には2026年シーズンの球団オプションも含まれている。
6. 通算記録
6.1. 年度別投手成績
| 年 | 球団 | 試合 | 先発 | 完投 | 完封 | セーブ | ホールド | 勝 | 敗 | 勝率 | 打者 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 与四球 | 与死球 | 奪三振 | 失点 | 自責点 | 防御率 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 | BOS | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .000 | 67 | 11.0 | 24 | 4 | 10 | 0 | 13 | 21 | 19 | 15.55 | 3.09 |
| 2024 | NC | 26 | 26 | 0 | 0 | 0 | 0 | 13 | 3 | .813 | 631 | 157.0 | 124 | 11 | 38 | 11 | 182 | 51 | 47 | 2.69 | 1.03 |
| MLB:1年 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .000 | 67 | 11.0 | 24 | 4 | 10 | 0 | 13 | 21 | 19 | 15.55 | 3.09 | |
| KBO:1年 | 26 | 26 | 0 | 0 | 0 | 0 | 13 | 3 | .813 | 631 | 157.0 | 124 | 11 | 38 | 11 | 182 | 51 | 47 | 2.69 | 1.03 | |
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
7. 個人的な逸話
ハートは、登板日にベンチで手帳にメモを取る習慣があることで知られている。彼はこの習慣について、「最近できた習慣だ。勉強してこそ生き残れるという考えから、休憩時間に時間を見つけて手帳にメモをしている」「自分の投球を振り返り、相手打者の反応も書き留めている。まだKBOリーグの打者の情報が多くないので、できる限り綿密に書き残そうと努力している」と説明している。
7.1. 背番号
- 81(2020年)
- 30(2024年)