1. 概要
コリン・ベル(Colin Bell英語、1961年8月5日 - )は、イングランド出身の元サッカー選手であり、現在はサッカー指導者である。イングランドのレスター・シティで選手としてのキャリアを始めた後、ドイツのクラブでプレーし、28歳で引退した。指導者としては、ドイツの女子クラブチームで大きな成功を収め、特に1.FFCフランクフルトを率いて2014-15シーズンのUEFA女子チャンピオンズリーグ優勝に導いたことで国際的な評価を得た。その後、アイルランド女子代表、韓国女子代表の監督を歴任し、韓国女子代表では2022年のAFC女子アジアカップで準優勝に輝き、同国史上初の快挙を達成した。2024年10月からは中国U-20女子代表の監督を務めている。
2. 選手経歴
コリン・ベルは1961年8月5日にイングランドのレスターで生まれた。自身の地元クラブであるレスター・シティでキャリアをスタートさせたが、トップチームでの定着には至らなかった。20歳になったベルは、新天地を求めドイツへ渡った。
ドイツでは、まずVfLハムでプレーした後、1.FSVマインツ05に移籍し、2. ブンデスリーガで活躍した。マインツでは1987年から2年間プレーし、40試合に出場して6ゴールを記録した。そして、1989年に28歳の若さで現役を引退し、選手生活に終止符を打った。
3. 指導者経歴
コリン・ベルは1989年に選手を引退した後、すぐにサッカー指導者としての道を歩み始めた。そのキャリアは多岐にわたり、複数のクラブチームやナショナルチームで指揮を執ってきた。
3.1. 初期指導者活動
ベルは引退後、TuSコブレンツで指導者としての第一歩を踏み出し、7年間にわたり同クラブを率いた。その後、1996年には1.FCケルンのコーチングスタッフに加わった。1999年には、当時最も注目されるポジションの一つであったディナモ・ドレスデンの監督に就任したが、この挑戦は成功には終わらなかった。チームは再編されたレギオナルリーガへの昇格を果たせず、クラブ史上初めてオーバーリーガ(当時4部リーグ)に降格することとなり、ベルはシーズン終了を待たずに解任された。
その後、SVヴァルトホーフ・マンハイムや1.FSVマインツ05のリザーブチーム、SCプロイセン・ミュンスターの監督を歴任した。さらに、かつて指導者キャリアをスタートさせたTuSコブレンツに戻り、アシスタントマネージャーやユースコーチを務めた。
3.2. クラブ監督活動
ベルは、特に女子サッカーのクラブチームで監督としての手腕を発揮し、多くの成功を収めた。
3.2.1. SC 07 バートノイェンアール
2011年、ベルはドイツの女子女子ブンデスリーガに所属するSC 07 バートノイェンアールの監督に就任し、女子サッカー界での指導を本格的に開始した。
3.2.2. 1. FFC フランクフルト
SC 07 バートノイェンアールでの2シーズンを経て、2013年に1.FFCフランクフルトの監督に就任した。この期間はベルの指導者キャリアにおける最も輝かしい時期の一つとなった。
在任中、チームは2014年にDFBポカール・フラウエンで優勝。さらに、2014-15シーズンにはUEFA女子チャンピオンズリーグを制覇し、欧州チャンピオンの栄冠を手にした。国内リーグであるフラウエン・ブンデスリーガでも2013-14シーズンに準優勝を果たしたほか、2013年にはヘッセンカップでも優勝している。
3.2.3. アヴァルズネスIL
2015年12月、ベルは1.FFCフランクフルトを離れ、ノルウェーのトップセリエンに所属するアヴァルズネスILの監督に就任した。2016シーズンまでチームを率い、2015年と2016年の2シーズン連続でリーグ準優勝を達成。また、2015年にはノルウェーウーマンカップでも準優勝に導いた。
3.2.4. SC ザント
2016年7月、ベルは再びドイツに戻り、SCザントの監督に就任した。彼は2016-17シーズンのDFBポカール・フラウエンでチームを準優勝に導いた。
3.2.5. ハダースフィールド・タウンAFC (アシスタントコーチ)
2019年6月29日、ベルはEFLチャンピオンシップに所属するハダースフィールド・タウンのアシスタントヘッドコーチに就任し、短期間ながら男子プロサッカーの舞台で指導に当たった。
3.2.6. アバディーンFCウィメン
2024年9月時点では、スコットランドのアバディーンFCウィメンの監督を務めていた。
3.3. ナショナルチーム監督活動
コリン・ベルは、クラブチームでの実績に加え、複数のナショナルチームでも監督として重要な役割を担った。
3.3.1. アイルランド女子代表
2017年2月8日、コリン・ベルはアイルランド女子代表のシニア国際マネージャーに任命された。同年2月13日に正式に就任し、2019年6月までその職を務めた。在任中、チームは2017年のキプロス・カップで4位という成績を残した。
3.3.2. 韓国女子代表
2019年10月18日、ベルは韓国女子代表の監督に就任した。これは、選手への暴行疑惑で辞任した前任の崔仁哲監督の後任であり、韓国女子代表史上初の外国人監督としての就任であった。契約期間は2022年のAFC女子アジアカップ終了までとされた。
ベルは韓国女子代表を率いて、2019年のEAFF E-1サッカー選手権で準優勝に導いた。また、2020年東京オリンピックのサッカーアジア地域予選では強豪中国に阻まれ、史上初のオリンピック本選出場はならなかったものの、2023 FIFA女子ワールドカップのアジア地域予選を兼ねた2022年のAFC女子アジアカップでは、チームをAFC女子アジアカップ史上初の準優勝という快挙に導き、3大会連続で通算4回目のFIFA女子ワールドカップ本選出場権を獲得した。
3.3.3. 中国U-20女子代表
2024年10月8日、ベルは中国U-20女子代表の監督に任命され、現在この職を務めている。
4. 受賞歴
コリン・ベルの指導者キャリアにおける主要なタイトルと賞は以下の通りである。
4.1. クラブでの受賞
クラブ | 大会 | シーズン | 成績 |
---|---|---|---|
1.FFCフランクフルト | UEFA女子チャンピオンズリーグ | 2014-15 | 優勝 |
1.FFCフランクフルト | DFBポカール・フラウエン | 2013-14 | 優勝 |
1.FFCフランクフルト | フラウエン・ブンデスリーガ | 2013-14 | 準優勝 |
1.FFCフランクフルト | ヘッセンカップ | 2013 | 優勝 |
アヴァルズネスIL | トップセリエン | 2015, 2016 | 準優勝 |
アヴァルズネスIL | ノルウェーウーマンカップ | 2015 | 準優勝 |
SCザント | DFBポカール・フラウエン | 2016-17 | 準優勝 |
4.2. ナショナルチームでの受賞
ナショナルチーム | 大会 | シーズン | 成績 |
---|---|---|---|
アイルランド女子代表 | キプロス・カップ | 2017 | 4位 |
韓国女子代表 | EAFF E-1サッカー選手権 | 2019 | 準優勝 |
韓国女子代表 | AFC女子アジアカップ | 2022 | 準優勝 |