1. 神話
ハルピナにまつわる神話は、その出生、軍神アレスとの関係、そして息子オイノマオスによる都市の創建を中心に語られる。
1.1. 出生と系譜
ハルピナは、プリウスの河神アーソーポスと、オーケアノスの娘メトーペーの間に生まれた娘である。
シケリアのディオドロスは、アーソーポスとメトーペーの間に12人の娘が生まれたと述べているが、その中にハルピナの名前は加えていない。しかし、パウサニアスの記述によると、プリウス市はオリンピアのゼウス神殿にゼウスとアーソーポス、そしてアーソーポスの娘たちの彫像を奉納しており、その中にはハルピナの像も含まれていた。この彫刻群には、ネメア、ゼウスに連れ去られるアイギーナ、ハルピナ、コルキュラ、テーベー、そしてアーソーポス自身が含まれていた。この彫像はヒッポダメイアの聖域に置かれていた。
1.2. アレスとの関係と子
エーリス地方のピーサ市において、軍神アレースはハルピナと交わり、彼らの間にオイノマオスが生まれた。オイノマオスは後にピーサの王となった。
1.3. ハルピナ市との関連
オイノマオスは、母ハルピナの名にちなんでハルピナ市を創建した。この都市はアルペイオス河の支流であるハルピナテース川のほとり、オリンピアからほど近い場所に位置していた。
1.4. その他の言及
オイノマオスがアレースから授かった神秘的な2頭の馬の中には、ハルピナと同じ名前の馬がいたという言及もある。
2. 資料
ハルピナに関する主要な古代文献としては、パウサニアスの『ギリシア案内記』とシケリアのディオドロスの『歴史叢書』が挙げられる。パウサニアスは、ハルピナをアーソーポスの娘の一人として、オリンピアに奉納された彫像群の中に言及しているほか、息子オイノマオスが母の名にちなんでハルピナ市を創建したことにも触れている。シケリアのディオドロスも、ハルピナがアレースとの間にオイノマオスをもうけたことを記しているが、アーソーポスの娘たちのリストには彼女の名を含めていない。また、ジョルジュ・ドゥヴルーの著作にもハルピナに関する言及が見られる。
3. 系図
ハルピナを中心とした神話上の系図は以下の通りである。
| 親 | 子 | 備考 |
|---|---|---|
| オーケアノス | メトーペー | |
| アーソーポス | ハルピナ | メトーペーとの間に生まれた娘 |
| ハルピナ | オイノマオス | アレースとの間に生まれた息子 |
| オイノマオス | ヒッポダメイア | ステロペーとの間に生まれた娘 |