1. 概要
ウーゴ・イバーラは、アルゼンチン・フォルモサ州のピラネ郡、エル・コロラド出身の元サッカー選手で、サッカー監督としてのキャリアも持っています。彼は現役時代に右サイドバックとして活躍し、特にボカ・ジュニアーズで最も成功を収めました。ボカ・ジュニアーズでは324試合に出場し10ゴールを記録、15ものタイトルを獲得し、クラブ史上最高の右サイドバックの一人とされています。選手引退後はボカ・ジュニアーズのユースアカデミーで指導者の道を歩み始め、最終的にはトップチームの監督も務め、リーグタイトルを獲得しました。
2. 選手キャリア
ウーゴ・イバーラの選手としてのキャリアは、アルゼンチンの地方クラブから始まり、最終的にボカ・ジュニアーズの象徴的な選手として数々の栄光を手にしました。
2.1. 幼少期とクラブデビュー
イバーラは1974年4月1日にアルゼンチン北部のフォルモサ州ピラネ郡にあるエル・コロラドで生まれました。彼はサッカーを始めるためにサンタフェ州へと移住し、そこでコロンに加入しました。1993年、当時2部リーグに所属していたコロンでプロキャリアをスタートさせました。彼の加入から2年後の1995年には、チームは1部リーグへの昇格を果たしました。コロンでの彼の活躍は、強豪ボカ・ジュニアーズの注目を集め、彼が後に「私の家」と呼ぶことになるこのクラブへの移籍が実現しました。
2.2. ボカ・ジュニアーズと欧州での活躍
ボカ・ジュニアーズに移籍してからの3シーズンは、イバーラにとって非常に成功した期間となりました。特にカルロス・ビアンチ監督の下で多くのタイトルを獲得し、コパ・リベルタドーレスの2連覇にも主力選手として大きく貢献しました。
その後、イバーラはヨーロッパへと活躍の場を移しました。しかし、ヨーロッパのパスポートを持っていなかったため、ポルトガルのFCポルトでの最初のシーズンを終えた後、かつて所属したボカ・ジュニアーズへレンタルで復帰することになりました。このレンタル移籍中、イバーラはボカ・ジュニアーズで自身3度目となるコパ・リベルタドーレス優勝を達成しました。翌シーズン、ポルトは彼をフランスのモナコへ、さらにその翌年にはスペインのエスパニョールへとレンタル移籍させました。
モナコに在籍中、チームはUEFAチャンピオンズリーグの決勝に進出するという快挙を成し遂げました。この道のりではレアル・マドリードやチェルシーFCといった強豪クラブを次々と破りましたが、決勝では自身の保有元であったFCポルトに0-3で敗れ、準優勝に終わりました。
2005年7月、アルゼンチンの経済危機による困難な交渉を経て、ウーゴ・イバーラは自身の「最後のチーム」となるボカ・ジュニアーズに復帰しました。
2.3. 代表チームキャリア
ウーゴ・イバーラはアルゼンチン代表チームで合計6試合に出場しました。彼の代表デビューは1998年のベネネズエラ戦でした。1999年にはコパ・アメリカ1999にも出場しました。2006 FIFAワールドカップ終了後、新たにアルゼンチン代表監督に就任したアルフィオ・バシーレによって再び代表に招集されるようになりました。そして2007年4月18日には、チリとの親善試合でアルゼンチン代表のキャプテンとして復帰戦を飾りました。
2.4. 選手引退
2010年9月、ウーゴ・イバーラはプロサッカー選手としての現役引退を発表しました。
3. 監督キャリア
選手引退後、ウーゴ・イバーラは古巣ボカ・ジュニアーズで指導者の道を歩み始め、最終的にはトップチームの監督を務めることになります。
3.1. 初期監督職
2011年末、イバーラはボカ・ジュニアーズのユースアカデミーの総括コーディネーターとして指導者キャリアをスタートさせました。2015年シーズンからは、ロランド・スキアビ監督の下でボカのリザーブチームのアシスタントコーチを務めました。2021年には、ボカ・ジュニアーズ内のアマチュアサッカー部門とフットボール評議会の連携役という新たな役割を担うことになりました。同年8月17日、ボカのトップチーム監督代理にセバスティアン・バタッリアが就任した際、イバーラはマウリシオ・セルナと共にリザーブチームの監督代理を務めることになりました。
3.2. ボカ・ジュニアーズトップチーム監督
2022年7月、前任のバタッリア監督の解任を受け、イバーラはボカ・ジュニアーズの暫定監督に就任しました。同年11月29日には、翌シーズンの監督として正式に留任が決定しました。この監督在任期間中、彼は2022年のプリメーラ・ディビシオンとスーペルコパ・アルヘンティーナ2022のタイトルを獲得し、チームを成功に導きました。しかし、2023年3月28日、彼はクラブから解任されました。
3.3. 監督成績
2023年3月25日時点でのウーゴ・イバーラの監督としての通算成績は以下の通りです。
チーム | 国 | 就任 | 解任 | 記録 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試合数 | 勝利 | 引き分け | 敗戦 | 得点 | 失点 | 得失点差 | 勝率 (%) | ||||
ボカ・ジュニアーズ II | 2021年8月17日 | 2022年7月7日 | 40 | 21 | 12 | 7 | 84 | 46 | +38 | 52.50 | |
ボカ・ジュニアーズ | 2022年7月8日 | 2023年3月28日 | 36 | 20 | 7 | 9 | 44 | 33 | +11 | 55.56 | |
合計 | 76 | 41 | 19 | 16 | 128 | 79 | +49 | 53.95 |
4. 獲得タイトル
ウーゴ・イバーラは選手および監督として、多くのタイトルを獲得しています。
4.1. 選手時代のタイトル
イバーラが選手として獲得した主なタイトルは以下の通りです。
- ボカ・ジュニアーズ
- プリメーラ・ディビシオン (5): 1998年アペルトゥーラ、1999年クラウスーラ、2005年アペルトゥーラ、2006年クラウスーラ、2008年アペルトゥーラ
- コパ・リベルタドーレス (4): 2000年、2001年、2003年、2007年
- コパ・インテルコンチネンタル (1): 2000年
- コパ・スダメリカーナ (1): 2005年
- レコパ・スダメリカーナ (1): 2008年
- モナコ
- UEFAチャンピオンズリーグ準優勝: 2003-04シーズン
- FCポルト
- ポルトガル・スーパーカップ (1): 2001年
- アルゼンチン代表
- コパ・アメリカ準優勝: 2007年
4.2. 監督時代のタイトル
イバーラが監督として獲得したタイトルは以下の通りです。
- ボカ・ジュニアーズ
- プリメーラ・ディビシオン (1): 2022年
- スーペルコパ・アルヘンティーナ (1): 2022年
4.3. 個人タイトル
イバーラが選手キャリアで受けた個人的な栄誉や賞は以下の通りです。
- 南米年間ベストイレブン: 2006年
5. 遺産と評価
ウーゴ・イバーラは、アルゼンチンサッカー界、特にボカ・ジュニアーズにおいて重要な影響を残しました。ボカ・ジュニアーズで通算324試合に出場し、10ゴールを挙げ、15ものタイトルを獲得した功績から、彼はクラブ史上最高の右サイドバックの一人と広く評価されています。その堅実な守備と攻撃参加のバランスの取れたプレーは、長年にわたりボカの黄金期を支え、ファンからの絶大な支持を得ました。引退後も監督としてチームに貢献し、クラブの歴史にその名を刻んでいます。