1. 概要
エリー・スコットニー(Ellie Scotney英語、1998年3月16日生まれ)は、イギリスのプロボクサーである。アマチュア時代には2017年のABAチャンピオンシップで優勝し、2018年の世界選手権にも出場した。2020年にプロ転向して以来、現在はIBF、WBO、ザ・リング、そしてIBOの女子スーパーバンタム級世界統一王者である。
2. 幼少期とアマチュアキャリア
2.1. 幼少期と背景
エリー・スコットニーは1998年3月16日にイングランドのロンドン、ルイシャムで生まれた。身長は164 cmで、オーソドックスの構えを持つ。彼女がボクシングを始めた具体的なきっかけについては情報が限られているが、アマチュア時代からその才能を発揮し、プロへと進む道を切り開いた。
2.2. アマチュアボクシングキャリア
アマチュアボクサーとして、スコットニーは顕著な実績を挙げた。2017年にはイングランド国内の主要なアマチュアボクシング大会であるABAチャンピオンシップで優勝し、その実力を示した。この勝利は、彼女のキャリアにおいて重要な節目となった。
さらに、2018年にはインドのニューデリーで開催されたAIBA女子世界ボクシング選手権大会に57kg級(フェザー級)で出場した。この大会への参加は、彼女が国際的な舞台でも活躍できる能力を持っていることを示唆するものであった。アマチュアでの経験は、その後のプロキャリアの基盤を築く上で重要な役割を果たした。
3. プロフェッショナルキャリア
プロ転向後、スコットニーは迅速にその実力を証明し、地域タイトルから世界タイトルへとステップアップしていった。
3.1. プロデビューと初期の試合
2020年2月、エリー・スコットニーは著名なプロモーターであるエディー・ハーン率いるマッチルーム・スポーツと長期プロモーション契約を結んだことを発表した。プロデビュー戦は同年3月28日にロンドンのO2アリーナで開催されるジョシュ・ケリー対ダビッド・アバネシヤン戦のアンダーカードとして予定され、イギリスではSky Sports、アメリカではDAZNで生中継されることになっていた。
しかし、COVID-19パンデミックの影響によりイベントが中止・延期となり、彼女のデビューも遅れることになった。
改めて組まれたデビュー戦は、2020年10月17日にピーターバラのイースト・オブ・イングランド・アリーナで行われ、ベック・コノリーと対戦。スコットニーは3ラウンドにダウンを奪い、6ラウンド判定(PTS)で勝利を収めた。レフェリーのマイケル・アレクサンダーは60-53でスコットニーを支持した。
2戦目は2021年3月20日にThe SSEアリーナ(ロンドン)で行われたローレンス・オコーリー対クシシュトフ・グウォヴァツキ戦のアンダーカードとして組まれ、マイリス・ギャングロフに6ラウンド判定(PTS)で勝利した。レフェリーのマーカス・マクドネルは59-55でスコットニーが優位に立ったと採点した。
3戦目は2021年10月30日にO2アリーナ(ロンドン)で行われ、エバ・カントスと対戦し、8ラウンド判定(PTS)で勝利を収めた。
3.2. 地域タイトルと世界王座獲得
スコットニーは初期のプロキャリアを経て、地域タイトルから世界タイトルへと挑戦の場を広げていった。
3.2.1. IBF世界タイトル獲得と防衛
2022年2月12日、ロンドンのアレクサンドラ・パレスで、WBA女子インターコンチネンタルスーパーバンタム級王座決定戦としてホルヘリナ・グアニーニと対戦。10ラウンド判定3-0で勝利し、自身初の地域タイトルを獲得した。
その後、2022年5月21日にはO2アリーナ(ロンドン)でマリア・セシリア・ローマンを相手にWBAインターコンチネンタル王座の初防衛戦を行い、10ラウンド判定3-0で勝利した。
同年10月29日にはウェンブリー・アリーナ(ロンドン)でメアリー・ロメロと対戦し、10ラウンド判定3-0で勝利を収め、EBU女子スーパーバンタム級タイトルを獲得した。
そして、2023年6月10日、ウェンブリー・アリーナ(ロンドン)にて、チェルネカ・ジョンソンが保持するIBF女子世界スーパーバンタム級王座に挑戦。このタイトルマッチを10ラウンド判定3-0で制し、見事世界王座奪取に成功した。
IBF王座の初防衛戦は、2023年9月30日に再びウェンブリー・アリーナ(ロンドン)でローラ・ソレダード・グリファを相手に行われ、10ラウンド判定3-0で勝利し、王座防衛に成功した。
3.2.2. タイトル統一とその後の防衛
2024年4月13日、マンチェスターのAOアリーナにて、自身のIBF世界スーパーバンタム級王座と、セゴレーヌ・ルフェーブルが持つWBO女子世界スーパーバンタム級王座、そして空位となっていたザ・リング誌認定女子世界スーパーバンタム級王座をかけた統一戦に臨んだ。この重要な試合を10ラウンド判定3-0(99-91、97-93、96-94)で制し、IBF王座の2度目の防衛に成功するとともに、WBO世界王座とザ・リング誌のタイトルを獲得し、世界統一王者となった。
次なる防衛戦として、2024年10月26日にマンチェスターのCo-opライブでメア・モツとの対戦が予定されていたが、スコットニーの負傷により中止となった。
この試合はその後、2025年1月26日にノッティンガムのモーターポイント・アリーナで再調整された。スコットニーはメア・モツを相手に10ラウンド判定3-0で勝利し、IBF王座3度目の防衛、WBO王座初防衛に成功した上、IBO女子世界スーパーバンタム級王座も獲得し、さらなるタイトル統一を達成した。
4. プロボクシング記録
エリー・スコットニーのプロボクシングの全試合記録を以下に示す。
試合数 | 結果 | 通算成績 | 対戦相手 | 決着方法 | ラウンド、時間 | 日付 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 勝利 | 10-0 | メア・モツ | 判定3-0 | 10 | 2025年1月26日 | ノッティンガム、モーターポイント・アリーナ | IBF女子世界スーパーバンタム級王座防衛3、WBO女子世界スーパーバンタム級王座防衛1、IBO女子世界スーパーバンタム級王座獲得(王座統一) |
9 | 勝利 | 9-0 | セゴレーヌ・ルフェーブル | 判定3-0 | 10 | 2024年4月13日 | マンチェスター、マンチェスター・アリーナ | IBF女子世界スーパーバンタム級王座防衛2、WBO女子世界スーパーバンタム級王座獲得、空位のザ・リング女子世界スーパーバンタム級王座獲得(王座統一) |
8 | 勝利 | 8-0 | ローラ・ソレダード・グリファ | 判定3-0 | 10 | 2023年9月30日 | ロンドン、ウェンブリー・アリーナ | IBF女子世界スーパーバンタム級王座防衛1 |
7 | 勝利 | 7-0 | チェルネカ・ジョンソン | 判定3-0 | 10 | 2023年6月10日 | ロンドン、ウェンブリー・アリーナ | IBF女子世界スーパーバンタム級王座獲得 |
6 | 勝利 | 6-0 | メアリー・ロメロ | 判定3-0 | 10 | 2022年10月29日 | ロンドン、ウェンブリー・アリーナ | EBU女子スーパーバンタム級王座獲得 |
5 | 勝利 | 5-0 | マリア・セシリア・ローマン | 判定3-0 | 10 | 2022年5月21日 | ロンドン、O2アリーナ | WBA女子インターコンチネンタルスーパーバンタム級王座防衛1 |
4 | 勝利 | 4-0 | ホルヘリナ・グアニーニ | 判定3-0 | 10 | 2022年2月12日 | ムーズウェル・ヒル、アレクサンドラ・パレス | WBA女子インターコンチネンタルスーパーバンタム級王座獲得 |
3 | 勝利 | 3-0 | エバ・カントス | 判定 | 8 | 2021年10月30日 | ロンドン、O2アリーナ | |
2 | 勝利 | 2-0 | マイリス・ギャングロフ | 判定 | 6 | 2021年3月20日 | ロンドン、The SSEアリーナ | |
1 | 勝利 | 1-0 | ベック・コノリー | 判定 | 6 | 2020年10月17日 | ピーターバラ、イースト・オブ・イングランド・アリーナ | プロデビュー戦 |
5. 外部リンク
- [https://boxrec.com/en/boxer/889583 BoxRec]
- [https://box.live/boxers/ellie-scotney/ Ellie Scotney - Profile, News Archive & Current Rankings] at [https://Box.Live Box.Live]