1. 概要
オスカー・アルベルト・オルティス(Oscar Alberto Ortizスペイン語、1953年4月8日 - )は、アルゼンチンの元サッカー選手である。主にウィンガーとして活躍し、その輝かしいキャリアの中で、1978 FIFAワールドカップでアルゼンチン代表として優勝に貢献したことで最もよく知られている。クラブレベルでは、サン・ロレンソ、グレミオ、リーベル・プレート、ウラカン、インデペンディエンテといった数々の強豪クラブに所属し、特にリーベル・プレートとサン・ロレンソでは複数の国内リーグタイトルを獲得した。彼のプレースタイルは、得点能力よりも、相手守備陣を攪乱し、決定的なパスやクロスを供給する能力に秀でていた。オルティスの貢献は、アルゼンチンサッカー史において重要な足跡を残している。
2. 初期生活とキャリアの開始
オスカー・アルベルト・オルティスは、1953年4月8日にブエノスアイレス州のチャカブコで生を受けた。幼少期からサッカーに親しみ、その才能を開花させた。プロサッカー選手としてのキャリアは、1971年に名門サン・ロレンソで始まった。彼のデビュー戦はニューウェルズ・オールドボーイズ戦で、この試合をサン・ロレンソは2対1で勝利した。オルティスは若手選手ながらもすぐにチームの重要な一員となり、サン・ロレンソが1972年に獲得したメトロポリターノとナシオナル、そして1974年のナシオナルの計3つのリーグタイトル獲得に大きく貢献し、その名を広めた。
3. クラブキャリア
オスカー・アルベルト・オルティスは、アルゼンチンとブラジルの複数のトップクラブでプレーし、それぞれのクラブで重要な役割を担い、数多くの成功を収めた。
3.1. サン・ロレンソ時代
オルティスは1971年から1976年までサン・ロレンソでプレーした。この期間、彼はチームの若き才能として頭角を現し、チームの攻撃を牽引した。特に1972年にはメトロポリターノとナシオナルの両選手権を制覇し、1974年にもナシオナル選手権で優勝するなど、彼の貢献がサン・ロレンソに3つのリーグタイトルをもたらした。
3.2. グレミオ時代
1976年、オスカー・アルベルト・オルティスはブラジルの強豪クラブ、グレミオへと移籍した。しかし、グレミオでの在籍期間は、主に怪我に悩まされたため、彼の期待されたパフォーマンスを発揮することが難しかった。そのため、彼は短期間でアルゼンチンへの復帰を決定し、次の挑戦の場を探すことになった。
3.3. リーベル・プレート時代
グレミオでの不本意な期間を経てアルゼンチンに戻ったオルティスは、1977年に国内のトップクラブであるリーベル・プレートに加入した。この移籍は彼のキャリアにおいて大きな転機となり、リーベル・プレート時代が彼の最も輝かしい時期となった。彼は加入初年度の1977年にメトロポリターノで優勝し、早くもチームに貢献した。さらに、1979年にはメトロポリターノとナシオナルの両選手権を制覇し、1980年にも再びメトロポリターノ選手権を制するなど、リーベル・プレートの歴史上2度目となる3年連続リーグタイトル獲得の偉業に貢献した。この成功は、彼の卓越した技術と戦術理解がリーベル・プレートの黄金期を支えた証である。
3.4. ウラカンとインデペンディエンテ時代
リーベル・プレートでの成功の後、1981年にオスカー・アルベルト・オルティスはウラカンへと移籍した。しかし、ウラカンでの彼のプレーは目立ったものではなく、短い在籍期間で次のクラブへ移籍することとなった。その後、彼はインデペンディエンテに加入し、キャリアの終盤を迎えた。インデペンディエンテでは、1983年のメトロポリターノ選手権でチームの一員として優勝を果たした。このタイトルが、彼のプロサッカー選手としての最後の栄冠となった。この優勝から間もなく、彼は現役を引退した。
4. 代表キャリア
オスカー・アルベルト・オルティスは、1975年から1979年にかけてアルゼンチン代表チームの一員として国際舞台で活躍した。彼の代表キャリアにおける最も重要な功績は、アルゼンチンが初のFIFAワールドカップタイトルを獲得した1978 FIFAワールドカップでの優勝メンバーであったことである。この大会で彼は重要な役割を担い、決勝ではオランダを3対1で破る歴史的な勝利に貢献した。決勝戦は、リーベル・プレートの本拠地であるモヌメンタル・デ・ヌニェスで開催され、アルゼンチン国民にとって悲願のタイトル獲得に大きく貢献した。
5. プレースタイル
オスカー・アルベルト・オルティスは、主にウィンガーとして知られる。彼のプレースタイルは、単に得点を挙げることよりも、相手チームの守備バランスを崩すことに重点を置いていた。彼は卓越したドリブル技術と視野を持ち、サイドライン際に深く切り込んでから、得点機を窺う味方選手に正確なクロスやパスを供給することで、チームの攻撃を活性化させた。その独創的なプレーは、チームの攻撃に多様性をもたらし、多くの得点機会を創出する上で不可欠な要素であった。
6. 統計
オスカー・アルベルト・オルティスのプロキャリアにおける主要な統計は以下の通りである。
- アルゼンチン代表(1975年 - 1979年):出場23試合、3得点
- アルゼンチン・プリメーラ・ディビシオン(1971年 - 1976年 / 1977年 - 1983年):出場317試合、32得点
7. 栄誉
オスカー・アルベルト・オルティスは、そのキャリアを通じてクラブと代表の両方で数多くの栄誉を獲得した。
7.1. クラブ栄誉
- サン・ロレンソ
- メトロポリターノ: 1972
- ナシオナル: 1972, 1974
- リーベル・プレート
- メトロポリターノ: 1977, 1979, 1980
- ナシオナル: 1979
- インデペンディエンテ
- メトロポリターノ: 1983
7.2. 代表栄誉
- アルゼンチン
- FIFAワールドカップ: 1978