1. 概要
シヤボンガ・サングウェニは、1981年9月29日に南アフリカ共和国で生まれた元サッカー選手です。主にディフェンダーとして活躍し、そのキャリアの大半をプレミアサッカーリーグのクラブ、ゴールデンアローズとオーランド・パイレーツで過ごしました。また、南アフリカ共和国代表の一員としても重要な役割を果たし、2010年のFIFAワールドカップや2013年のアフリカネイションズカップに出場しました。彼の守備能力は高く評価され、オーランド・パイレーツではクラブの成功に大きく貢献し、特にトレブル(3冠)達成の立役者の一人としてその名を残しました。度重なる負傷により、2016年4月7日に惜しまれながらもプロサッカー選手としてのキャリアを終えましたが、彼の功績は南アフリカ共和国サッカー界において「クラブの伝説」として記憶されています。
2. 生い立ちと背景
シヤボンガ・サングウェニ(Doctor Siyabonga Sangweni英語)は、1981年9月29日に南アフリカ共和国のエンパンゲニで生まれました。彼の愛称は「Nsimbiヌシンビズールー語」として知られています。弟のタムサンカ・サングウェニもまたサッカー選手であり、彼と同じくオーランド・パイレーツでプレーした経験があります。身長は182 cmでした。
3. クラブキャリア
シヤボンガ・サングウェニは、南アフリカ共和国のトップリーグで顕著なキャリアを築きました。
3.1. ゴールデンアローズ
2005年、サングウェニはSAFAセカンドディビジョンのUthukelaからゴールデンアローズに加入しました。彼はゴールデンアローズで素晴らしいプレーを見せ、2009年にはクラブにとって初の主要なタイトルとなるMTN 8の獲得に貢献しました。この活躍により、多くのクラブの注目を集め、最終的に2011年にオーランド・パイレーツへの移籍を決めました。
3.2. オーランド・パイレーツ
サングウェニは2011-12シーズン開始時にオーランド・パイレーツと契約を結びました。その卓越した守備能力から、彼はそのシーズンの最高の補強選手の一人と称されました。ゴールデンアローズ在籍時もバファナ・バファナ(南アフリカ共和国代表の愛称)のレギュラーを務めていましたが、オーランド・パイレーツでもレギュラーとして定着し、最初のシーズンでリーグ戦28試合に出場しました。彼はこのシーズンにオーランド・パイレーツがリーグ優勝を含むトレブル(3冠)を達成する上で非常に重要な役割を果たし、シーズン最優秀選手にノミネートされましたが、この賞は最終的にリーグ得点王であったシヤボンガ・ノンベテが受賞しました。彼はラッキー・レクグワティやルーイ・マハムツァと共に多くの出場機会を得ましたが、2013-14シーズンにはほぼ全試合を欠場するほどの負傷を負いました。
3.3. 引退
2016年4月7日、オーランド・パイレーツの会長であるアーヴィン・コーザは記者会見を開き、サングウェニが度重なる負傷に苦しんでいたことを発表しました。コーザ会長は、医療専門家との協議の結果、元バファナ・バファナのセンターバックであった彼のキャリアが早期に終了せざるを得ないことを確認したと述べました。コーザ会長は、南アフリカ代表として29キャップを記録し4ゴールを挙げたサングウェニが、クラブの伝説として記憶されるだろうと語りました。
4. 代表キャリア
シヤボンガ・サングウェニは、南アフリカ共和国代表として国際舞台でも活躍しました。
4.1. 代表デビューと主な参加大会
彼は2007年5月に南アフリカ共和国代表としてデビューしました。デビュー戦の後、しばらく試合出場はありませんでしたが、2009年10月に2年ぶりに親善試合に出場しました。そして、自国開催となった2010 FIFAワールドカップの南アフリカ共和国代表メンバーに選出されました。その後も代表に招集され、2013年のアフリカネイションズカップにも出場し、グループステージで2得点を挙げる活躍を見せました。彼は代表チームの守備の要として重要な役割を担いました。
4.2. 代表でのゴールと統計
シヤボンガ・サングウェニは南アフリカ共和国代表として通算29試合に出場し、4得点を記録しました。
彼の国際Aマッチでの得点記録は以下の通りです。
# | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2010年5月24日 | オーランド・スタジアム, ソウェト, 南アフリカ | ブルガリア | 1-1 | 引き分け | 親善試合 |
2. | 2011年5月15日 | ベンジャミン・ムカパ・ナショナルスタジアム, ダルエスサラーム, タンザニア | タンザニア | 1-0 | 勝利 | 親善試合 |
3. | 2013年1月23日 | モーゼス・マブイダ・スタジアム, 南アフリカ | アンゴラ | 2-0 | 勝利 | 2013 アフリカネイションズカップ |
4. | 2013年1月27日 | モーゼス・マブイダ・スタジアム, 南アフリカ | モロッコ | 2-2 | 引き分け | 2013 アフリカネイションズカップ |
年ごとの国際Aマッチ出場および得点記録は以下の通りです。
年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|
2007 | 1 | 0 |
2008 | 0 | 0 |
2009 | 1 | 0 |
2010 | 9 | 1 |
2011 | 7 | 1 |
2012 | 5 | 0 |
2013 | 6 | 2 |
通算 | 29 | 4 |
5. 獲得タイトルと栄誉
シヤボンガ・サングウェニは、そのキャリアを通じて数々のクラブタイトルを獲得し、個人としても評価されました。
- ラモンビル・ゴールデンアローズ
- MTN 8: 2009
- オーランド・パイレーツ
- MTN 8: 2011
- Telkom Knockout: 2011
- Nedbank Cup: 2013-14
- プレミアサッカーリーグ: 2011-12
- CAFチャンピオンズリーグ: 準優勝 2013
- CAFコンフェデレーションカップ: 準優勝 2015
6. 評価と影響
シヤボンガ・サングウェニは、そのキャリアを通じて所属クラブ、特にオーランド・パイレーツにおいて絶大な影響力を持った選手として記憶されています。彼はその卓越した守備能力により、チームに安定感をもたらし、特にオーランド・パイレーツが2011-12シーズンにリーグタイトルを含むトレブル(3冠)を達成した際には、その中心選手の一人として多大な貢献をしました。これは、彼の守備的な資質がチームの成功に不可欠であったことを示しています。
彼のキャリアは度重なる負傷によって早期に幕を閉じましたが、その困難にもかかわらず、オーランド・パイレーツの会長であるアーヴィン・コーザは彼を「クラブの伝説」と称賛しました。これは、単なる数字以上の、彼がチームやファンに与えた精神的な影響とリーダーシップを物語っています。サングウェニは、そのプレーぶりだけでなく、逆境に立ち向かう姿勢においても、南アフリカ共和国の若いサッカー選手たちにとって模範となる存在であり、彼の貢献は南アフリカ共和国サッカーの歴史に深く刻まれています。