1. 生涯
ファイサル・アル=ダヒルは1957年8月13日、クウェートのアースィマ県クウェートシティで生まれた。幼少期よりサッカーに非凡な才能を示し、後にクウェートのナショナルチームを牽引する傑出した選手へと成長した。
2. クラブ経歴
ファイサル・アル=ダヒルは、その選手キャリアを通じて一貫してクウェートの強豪クラブであるアル・カーディシーヤに所属した。彼はクラブの攻撃陣の要として活躍し、数々のタイトル獲得に貢献し、クラブの歴史にその名を刻んだ。
2.1. クラブ成績
ファイサル・アル=ダヒルのアル・カーディシーヤでのクラブ成績は以下の通りである。
クラブ | シーズン | リーグ | クウェート・アミールカップ | 独立カップ | クウェート・ジョイントリーグ | 合計 | |||||||||||
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ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |||||||
アル・カーディシーヤ | 1973-74 | クウェート・プレミアリーグ | 2 | - | |||||||||||||
1974-75 | 7 | - | |||||||||||||||
1975-76 | 15 | - | |||||||||||||||
1976-77 | 11 | - | |||||||||||||||
1977-78 | 4 | - | |||||||||||||||
1978-79 | 7 | - | |||||||||||||||
1979-80 | 18 | - | |||||||||||||||
1980-81 | 21 | - | |||||||||||||||
1981-82 | 0 | - | |||||||||||||||
1982-83 | 0 | - | |||||||||||||||
1983-84 | 7 | - | |||||||||||||||
1984-85 | 22 | - | |||||||||||||||
1985-86 | 7 | - | |||||||||||||||
1986-87 | 3 | 2 | |||||||||||||||
1987-88 | 11 | - | |||||||||||||||
キャリア合計 | ! 141 | 22 | 2 | 4 | - | - | 169 | 26 |
3. 代表経歴
ファイサル・アル=ダヒルは、クウェートサッカー国家代表チームにおいて長きにわたり重要な役割を担い、数々の国際大会でその才能を発揮した。彼の代表経歴は、クウェートサッカーが国際舞台で輝かしい成功を収めた時代と重なる。
3.1. 主要国際大会への参加
アル=ダヒルは、クウェート代表として以下の主要な国際大会に出場し、活躍した。
- 1980年モスクワオリンピック:この大会では、4試合に出場し、1980年7月21日にモスクワのディナモ・スタジアムで行われたナイジェリア戦で3得点を挙げるなど、印象的なプレーを見せた。
- 1980年AFCアジアカップ:クウェートが歴史的な優勝を遂げたこの大会において、アル=ダヒルは中心選手としてチームを牽引した。特に決勝の韓国戦では2得点を記録し、クウェートの3-0での勝利と初タイトル獲得に決定的な役割を果たした。
- 1982 FIFAワールドカップ:クウェート代表が史上初めてワールドカップ本戦に出場したこの大会でも、アル=ダヒルは重要な選手として選出された。グループステージのチェコスロバキア戦で1得点を記録し、これはクウェート代表にとってワールドカップ史上初のゴールとなった。このゴールにより、クウェートは1-1の引き分けに持ち込み、ワールドカップ本戦で唯一の勝ち点を獲得した。
- ガルフカップ:1976年と1986年の大会に出場し、いずれもクウェートの優勝に貢献している。
3.2. 代表ゴール
ファイサル・アル=ダヒルがクウェート代表として記録した主要なゴールは以下の通りである。これらは主にAFCアジアカップとFIFAワールドカップ本戦での得点に限定して記載する。
日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|
1980年9月25日 | クウェート市、クウェート | カタール | 4-0 | 勝利 | 1980年AFCアジアカップ |
1980年9月25日 | クウェート市、クウェート | カタール | 4-0 | 勝利 | 1980年AFCアジアカップ |
1980年9月28日 | クウェート市、クウェート | イラン | 2-1 | 勝利 | 1980年AFCアジアカップ |
1980年9月30日 | クウェート市、クウェート | 韓国 | 3-0 | 勝利 | 1980年AFCアジアカップ |
1980年9月30日 | クウェート市、クウェート | 韓国 | 3-0 | 勝利 | 1980年AFCアジアカップ |
1982年6月17日 | バリャドリッド、スペイン | チェコスロバキア | 1-1 | 引き分け | 1982 FIFAワールドカップ |
1984年12月9日 | シンガポール | シリア | 3-1 | 勝利 | 1984年AFCアジアカップ |
4. 栄誉と受賞
ファイサル・アル=ダヒルは、その輝かしいキャリアにおいて以下のチームおよび個人タイトル、その他の主要な功績を獲得した。
- クラブ(アル・カーディシーヤ)
- クウェート・プレミアリーグ優勝: 1972-73、1974-75、1975-76、1977-78
- クウェート・アミールカップ優勝: 1973-74、1974-75、1978-79、1988-89
- 国際
- AFCアジアカップ優勝: 1980
- 地域
- ガルフカップ優勝: 1976、1986
5. 評価と影響
ファイサル・アル=ダヒルは、クウェートサッカー史上最も偉大な選手の一人として広く認識されている。彼は特に1970年代後半から1980年代にかけてのクウェートサッカーの黄金期を代表する選手であり、その攻撃的なプレースタイルと決定的な得点能力でチームを牽引した。1980年のAFCアジアカップでの歴史的な優勝や、1982 FIFAワールドカップでのクウェート代表史上初ゴールは、クウェートのサッカーが国際舞台でその存在感を示した重要な瞬間であり、アル=ダヒルの貢献がなければ達成しえなかった功績である。彼のプレーは、多くの後進の選手たちに影響を与え、クウェートサッカーの発展に多大な影響を与えた。