1. 概要
ブライオニー・ケイト・フランシス・ペイジ(Bryony Kate Frances Pageブライオニー・ケイト・フランシス・ペイジ英語、1990年12月10日生まれ)は、イギリスのトランポリン選手である。彼女はオリンピックに3回出場し、連続してメダルを獲得するという歴史的な偉業を達成した。具体的には、2016年リオデジャネイロオリンピックで銀メダル、2020年東京オリンピックで銅メダルを獲得し、2024年パリオリンピックでは女子トランポリン競技で金メダルを獲得した。これにより、彼女はイギリスのトランポリン選手として初のオリンピックメダリストとなり、さらに初のオリンピックチャンピオン、そしてイギリスの体操競技における初の女性個人オリンピックチャンピオンという輝かしい地位を確立した。5つの世界タイトルと1つのオリンピック金メダルを持つペイジは、イギリスの体操競技史上、全種目を通じて最も成功した女性選手である。
2. 初期生と教育
ブライオニー・ペイジはイングランドのクルーで生まれた。彼女はブライン・リース・スクールとマルバンク・スクール・アンド・シックス・フォーム・カレッジで教育を受けた。9歳の時にトランポリン競技を始めた。
その後、シェフィールド大学で生物学を専攻し、スポーツ奨学金を受けながら学んだ。2015年に優等学位(ファーストクラス)を取得して卒業し、その卒業論文は恐竜が発する音に関する研究であった。大学卒業後は、トランポリン競技に専念するようになった。彼女の身長は173 cmである。
3. キャリア
ブライオニー・ペイジは、トランポリン競技者として数々の困難を乗り越え、国際舞台で輝かしい成果を収めてきた。彼女のキャリアは、初期の挑戦からオリンピックでの歴史的なメダル獲得、そして世界選手権や欧州選手権での継続的な成功へと続いている。
3.1. 初期キャリアと困難の克服
キャリアの初期段階において、ペイジは2年間にわたり「イップス」(アスリートが経験する、運動神経の微細な制御を失う状態)に苦しみ、自信とパフォーマンスに影響が出た。しかし、2010年には自信回復コーチの助けを得てこれを克服した。
同年、彼女は初の世界選手権に出場し、個人種目で4位に入賞した。2011年の世界選手権では、団体戦で銀メダルを獲得したチームの一員となった。2012年のロンドンオリンピックには病気と怪我の問題で出場を逃したが、同年ソフィアで開催されたワールドカップでは個人種目で金メダルを獲得した。
3.2. オリンピックメダル
ペイジはオリンピックで3大会連続メダルを獲得し、イギリスのトランポリン競技史に名を刻んだ。

- 2016年リオデジャネイロオリンピック:ペイジとイギリスのチームメイトであるキャット・ドリスコルは、トランポリン競技でイギリス初のオリンピック決勝進出者となった。ペイジは予選を7位で通過し、決勝では56.040点を記録して一時的に首位に立ったが、前回大会の金メダリストであるロージー・マクレナンが56.465点を記録したため、ペイジは2位となり銀メダルを獲得した。これは、イギリスのトランポリン選手がオリンピックで獲得した初のメダルとなった。
- 2020年東京オリンピック:5年後の2020年東京オリンピックでは、ペイジは銅メダルを獲得し、2大会連続でのメダル獲得を達成した。
- 2024年パリオリンピック:ペイジは2024年パリオリンピックで金メダルを獲得した。これは、イギリスの体操選手がトランポリン競技で獲得した初の金メダルであり、イギリスの体操競技における初の女性個人オリンピックチャンピオンとなった。彼女は閉会式でトライアスロン選手のアレックス・イーと共にイギリス選手団の旗手を務めた。
3.3. 世界選手権大会の成果
ブライオニー・ペイジは世界選手権でも数々のメダルを獲得し、その実力を示した。
大会 | 種目 | メダル |
---|---|---|
2013年 ソフィア | 団体 | 金 |
2019年 東京 | 団体 | 銀 |
2021年 バクー | 個人 | 金 |
2021年 バクー | オールアラウンド団体 | 銅 |
2022年 ソフィア | 個人 | 銀 |
2022年 ソフィア | 団体 | 銀 |
2022年 ソフィア | オールアラウンド団体 | 金 |
2023年 バーミンガム | 個人 | 金 |
2023年 バーミンガム | シンクロナイズド | 銅 |
2023年 バーミンガム | オールアラウンド団体 | 銅 |
3.4. 欧州選手権大会およびその他の大会
ペイジは欧州選手権大会でも優れた成績を収めている。2014年と2016年の欧州選手権では、団体戦で金メダルを獲得したイギリスチームの一員であった。
また、2022年のリミニで開催された欧州選手権では、個人種目とシンクロナイズド種目の両方で金メダルを獲得した。2024年のギマランイスで開催された欧州選手権でも、再び個人種目とシンクロナイズド種目の両方で金メダルを獲得している。
3.5. イギリス国内大会
ペイジは2013年から2015年にかけて、イギリス国内選手権で3年連続のタイトルを獲得している。
4. 受賞および栄誉
2022年、ブライオニー・ペイジはシェフィールド大学から名誉博士号を授与された。この栄誉は、大学、シェフィールド市、または地域に顕著な貢献をした者に対して贈られるものである。
5. 引退後の活動計画
2024年11月、ペイジは選手キャリアからの引退を発表し、翌年にはモントリオールでシルク・ドゥ・ソレイユの訓練に参加し、グループのツアーに合流することを目指すと表明した。
6. 評価と影響
ブライオニー・ペイジは、イギリスのトランポリン競技の歴史において極めて重要な人物である。彼女は2016年リオデジャネイロオリンピックでイギリス初のトランポリン競技メダルをもたらし、2024年パリオリンピックでは初のオリンピック金メダルを獲得した。この功績により、彼女はイギリスの体操競技における女性アスリートの可能性を大きく広げた。
ペイジの成功は、単に個人の業績に留まらず、イギリス国内におけるトランポリン競技の認知度向上と発展に大きく貢献した。彼女の粘り強さ、特に「イップス」のような困難を克服した経験は、多くの若手アスリートにとってインスピレーションとなっている。オリンピック金メダルを含む5つの世界タイトルを獲得した彼女は、イギリスの体操競技史上、最も成功した女性選手として、その地位を確固たるものにしている。彼女のキャリアは、スポーツにおける卓越性、精神的な強さ、そして女性アスリートが達成できることの模範を示している。