1. 生い立ち
モルテン・ウェッチェ・フレンドルップは、2001年4月7日にホルベック市内のトゥーセで生まれた。彼の家族は、教師である母マリアンヌ・ウェッチェと、不動産業者であり地元スポーツクラブトゥーセIFの非常勤役員を務める父ヤン・フレンドルップからなる。3人兄弟の末っ子であり、兄ラッセと姉クリスティンがいる。
2. クラブ経歴
フレンドルップのクラブキャリアは、幼少期に地元のクラブで始まり、その後デンマークのトップリーグクラブであるブレンビーIFでプロとして大きく成長し、現在はイタリアのジェノアCFCで活躍している。
2.1. ユース・初期キャリア
フレンドルップは地元クラブのトゥーセIFでサッカーを始め、その後ホルベックB&Iへ移籍した。ホルベックには1年間のみ在籍し、その後U-14レベルでブレンビーIFのユースアカデミーに加入した。この期間、彼はトゥーセの自宅とブレンビーの間を週に数回、約60 kmの距離を通勤しながら練習に通っていた。小学校を卒業すると、彼はブレンビーIFの練習場から徒歩5分の場所にあるブレンビー・イドレッツエフタースコーレ(スポーツ学校)に入学し、サッカーに集中できる環境を整えた。
2016年5月11日、彼はFCノアシェランに1-0で勝利し、デンマークU-15カップを獲得した。U-17レベルではチームのキャプテンを務め、リーグでオーフスGFに次ぐ2位の成績を収めた。
2.2. ブレンビーIF
ブレンビーIFでのキャリアは、若くしてトップチームに昇格し、クラブの歴史に残るリーグ優勝に貢献するなど、目覚ましいものだった。
2.2.1. トップチーム昇格と定着
2017年の夏、16歳になったフレンドルップは、クリスティアン・エヌマークやアンドレアス・ブルースといった他のアカデミー選手とともに、トップチームのオーストリア合宿に帯同した。同年12月にはブレンビーと2020年夏までの新契約を締結。
2018年2月11日、デンマーク・スーペルリーガのリンビーBK戦で16歳にしてトップチームデビューを果たし、後半40分に途中出場した。このデビューは、それまでのクラブ最年少記録保持者であるマグヌス・ワーミングの記録を37日更新する、16歳310日というクラブ史上最年少デビュー記録となった。同年3月15日には、ブレンビーと2021年までの初のプロ契約を締結し、翌シーズンからはトップチームに正式に昇格することが決定した。
2019-20シーズンには、ラッセ・ヴィゲン・クリステンセン、シモン・ティブリング、ヨシプ・ラドシェヴィッチといったレギュラー選手の長期負傷により、秋からより定期的に試合に出場するようになった。彼のパフォーマンスは称賛され、11月にはブレンビー月間最優秀選手賞を受賞した。2020年1月12日には、ブレンビーと2023年までの3年半の新たな契約を結んだ。シーズン後半も好調を維持し、2020年6月にはデンマーク・スーペルリーガ月間最優秀若手選手に選ばれ、6月と7月にはブレンビー月間最優秀選手に選出された。シーズン終了後、ニールス・フレデリクセン監督は、フレンドルップをシーズン後半のブレンビーチームのキープレイヤーの一人として高く評価した。
2.2.2. デンマークリーグ優勝とヨーロッパカップ戦デビュー
2020-21シーズンも、フレンドルップはブレンビーのミッドフィールダーとして先発出場を続けた。2020年12月20日のACホーセンス戦でキャリア通算50試合出場を達成。この勝利により、ブレンビーはリーグ首位で冬のブレイクに入った。
シーズン終盤、ブレンビーが16年ぶりのリーグタイトル獲得を目指す中、2021年5月20日のオーフスGFとの重要な試合でフレンドルップは退場処分を受けた。涙ながらにピッチを去ったものの、チームは2-1で勝利を収めた。試合後、ブレンビー・スタディオンに戻ると、フレンドルップを含む選手たちはファンから熱烈な声援を受けた。彼はFCノアシェランとの最終戦を出場停止で欠場したが、チームは2-0で勝利し、デンマーク・スーペルリーガのタイトルを獲得した。
2021年8月17日、フレンドルップはUEFAチャンピオンズリーグプレーオフ第1戦のレッドブル・ザルツブルク戦で欧州カップ戦デビューを果たしたが、チームは2-1で敗れた。同年10月24日には、コペンハーゲン・ダービーのFCコペンハーゲン戦で国内リーグ初得点を記録し、チームの勝利に貢献した。

2.3. ジェノアCFC
ジェノアCFCへの移籍後、フレンドルップはチームの降格を経験しながらも、主力としてセリエA昇格に貢献し、近年その存在感を大きく高めている。
2.3.1. 移籍とセリエAデビュー
2022年1月30日、フレンドルップはセリエAのジェノアCFCと4年半の契約を締結した。移籍金は非公開とされたが、広く報じられたところでは約350.00 万 EURであった。
ジェノアでのデビューは1ヶ月以上遅れ、同年3月13日のアタランタBCとのアウェイゲーム(0-0の引き分け)で果たした。この試合で彼は負傷したシルヴァン・ヘフティの代役として、慣れない右サイドバックで先発出場した。そのシーズン残り試合にも出場したが、ジェノアはリーグ19位に終わり、セリエBへの降格を喫した。
2.3.2. セリエAへの昇格
2022-23シーズン、ジェノアが2006-07シーズン以来のセリエBで迎えた最初のシーズンにおいて、フレンドルップはアレクサンダー・ブレッシン監督の下で様々なポジションをこなし、不動のレギュラーとして活躍した。主にボックス・トゥ・ボックスのミッドフィールダーとして貢献し、そのハードワークと試合を読む能力が称賛された。2022年9月3日、パルマ・カルチョ1913とのホームゲームでジェノアでの初ゴールを記録し、3-3の引き分けに貢献した。2022年12月にブレッシン監督が解任された後も、アルベルト・ジラルディーノ新監督の下でミッドフィールダーとして重要な役割を担い続けた。その結果、ジェノアは残り2試合を残してセリエAへの復帰を果たした。
2.3.3. セリエA復帰と近年の活躍
2024年2月17日、SSCナポリとのホームゲーム(1-1の引き分け)で、イタリアトップリーグでの初ゴールを記録した。同年2月29日には、ジェノアとの契約を2028年まで延長した。
2023-24シーズンはセリエAで37試合に出場し、2ゴール5アシストを記録した。彼はこのシーズン、ボール奪取数(122回)とタックル成功数(131回)でリーグトップに立ち、デュエル勝利数(215回)でリーグ6位、インターセプト数(50回)でトップ8に入るなど、優れた守備的貢献を見せた。また、わずか6枚のイエローカードしか受けていない。チームはリーグ11位で降格圏から14ポイント差をつけ、安定した成績を収めた。彼のパフォーマンスは2024年夏にはリヴァプールFCなどの欧州トップクラブからの関心を集めたと報じられたが、最終的にジェノアに残留した。
3. 代表経歴
フレンドルップは若くしてデンマークの各年代別代表チームに選出され、2024年にはA代表デビューを果たした。
3.1. ユース代表チーム
フレンドルップは2018年のUEFA U-17欧州選手権の代表メンバーに選出された。この大会ではチームの全3試合に先発出場したが、デンマークはグループステージを突破できなかった。2018年から2020年にかけてデンマークU-19代表で13試合に出場し、2度キャプテンマークを巻いた経験がある。2021年9月3日、デンマークU-21代表としてギリシャU-21代表との親善試合(1-1の引き分け)で初キャップを記録した。
3.2. A代表
2024年9月、UEFAネーションズリーグのセルビア代表戦とスイス代表戦に臨むデンマークA代表に初めて招集された。同年9月8日、パルケン・スタディオンで行われたセルビア代表戦でヴィクター・クリスティアンセンに代わって後半82分から途中出場し、デンマーク代表デビューを果たした。試合はデンマークが2-0で勝利した。
4. プレースタイル
右利きのミッドフィールダーであるフレンドルップは、「たゆまぬエネルギーを持つオールラウンダー」と評されている。彼は優れたボール奪取能力を持ち、左サイドバックや右サイドバック、守備的ミッドフィールダー、メッザーラ、さらにはウイングバックといった様々なポジションでプレーできる適応性が注目されている。また、元ブレンビーのミッドフィールダーであるクリスティアン・ノーガードと比較されることもある。
ジェノアCFCに在籍してからは、その多才で疲れ知らずな選手としての評価を確固たるものにした。2023-24シーズンのセリエAでは、ボール奪取数(122回)とタックル成功数(131回)の両方でリーグトップを記録しながら、イエローカードはわずか6枚に抑えられた。さらに、デュエル勝利数(215回)でセリエAで6位、インターセプト数(50回)ではトップ8に入った。また、試合中の走行距離でもトップ4に位置している。守備的ミッドフィールダー、メッザーラ、さらにはウイングバックなど、複数のミッドフィールダーの役割をこなす彼の能力は、チームにとっての適応性と重要性を示している。フレンドルップの目立たないながらも影響力の高いプレースタイルは、その卓越したタイミングと運動量によって特徴づけられ、ジェノアのミッドフィールダー陣におけるキープレーヤーとなっている。
5. 個人成績
クラブおよび代表チームにおける総出場試合数、得点などの公式な統計情報は以下の通り。
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | 欧州 | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |||
ブレンビーIF | 2017-18 | デンマーク・スーペルリーガ | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | |
2018-19 | スーペルリーガ | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 | 1 | ||
2019-20 | スーペルリーガ | 26 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 28 | 0 | ||
2020-21 | スーペルリーガ | 31 | 0 | 2 | 0 | - | 33 | 0 | |||
2021-22 | スーペルリーガ | 15 | 2 | 2 | 0 | 8 | 0 | 25 | 2 | ||
合計 | 78 | 2 | 7 | 1 | 8 | 0 | 93 | 3 | |||
ジェノアCFC | 2021-22 | セリエA | 10 | 0 | 0 | 0 | - | 10 | 0 | ||
2022-23 | セリエB | 37 | 2 | 3 | 0 | - | 40 | 2 | |||
2023-24 | セリエA | 37 | 2 | 2 | 0 | - | 39 | 2 | |||
2024-25 | セリエA | 19 | 2 | 2 | 0 | - | 21 | 2 | |||
合計 | 103 | 6 | 7 | 0 | - | 110 | 6 | ||||
通算 | 181 | 8 | 14 | 1 | 8 | 0 | 203 | 9 |
6. 獲得タイトル
ブレンビー
- デンマーク・スーペルリーガ: 2020-21
- デンマーク・カップ: 2017-18