1. 概要
ヤロミール・ブラジェク(Jaromír Blažekヤロミール・ブラジェクチェコ語、1972年12月29日生まれ)は、チェコ出身の元プロサッカーのゴールキーパーである。名字に関してはブラゼク表記もある。彼はチェコ1部リーグで6度のリーグ優勝を経験し、チェコリーグ歴代最多のクリーンシート記録を持つなど、チェコサッカー界のレジェンドとして知られている。チェコ代表としても、UEFA欧州選手権3大会とFIFAワールドカップ1大会に招集されたが、主にペトル・チェフの控えとして活動した。
2. 生涯と背景
ヤロミール・ブラジェクは、1972年12月29日にブルノで生まれた。身長は188 cm、体重は88 kgであった。彼のキャリアのほとんどはチェコ国内で過ごされたが、短い期間、ドイツのクラブでもプレーした経験がある。
2.1. 私生活
ブラジェクは結婚しており、ヤクブとアネタの2人の子供がいる。彼はテニス選手として知られるラデク・シュテパネクの従兄弟である。
3. クラブキャリア
ヤロミール・ブラジェクは、プロキャリアの大部分をチェコのクラブで過ごし、数々のタイトルを獲得した。
3.1. 初期キャリア
ブラジェクはSKスラヴィア・プラハでキャリアをスタートさせ、1990年にプロリーグデビューを果たした。当初は主に控えとして2年間を過ごした後、1992年にSKディナモ・チェスケー・ブジェヨヴィツェに移籍し、そこで正ゴールキーパーとなった。この1992-93シーズンはチェコスロバキア1部リーグの最後のシーズンとなった。その後、彼は新設されたチェコ1.チェスカー・フォトバロヴァー・リガでの最初のシーズンをFKヴィクトリア・ジジコフで過ごし、1994年のチェコカップで初のタイトルを獲得した。
ジジコフを1年で去った後、彼はプラハのボヘミアンズ1905に移籍したが、その年チームは降格した。2部リーグでプレーすることを望まなかったブラジェクは、古巣のSKスラヴィア・プラハに1年間レンタル移籍し、そこで1995-96シーズンにチェコ1部リーグ優勝を果たした。ボヘミアンズが同年に1部リーグに復帰したため、彼はボヘミアンズに戻り、その後3年半を過ごした。
3.2. ACスパルタ・プラハと海外での経験
ボヘミアンズでのプレーが低迷していたにもかかわらず、ブラジェクは強豪ACスパルタ・プラハの注目を集め、2000年初頭にACスパルタ・プラハへ移籍した。移籍後すぐに2000年と2001年にリーグ連覇を達成した。2001年にはライバルクラブのFKマリラ・プシーブラムにレンタル移籍したが、1年で復帰した。その後は、ACスパルタ・プラハでリーグ戦、カップ戦、UEFAチャンピオンズリーグなど、ほとんどすべての試合に出場した。この時期はブラジェクにとって非常に成功した期間であり、さらに4つのリーグタイトルと3つの国内カップを獲得した。
2007年、彼は海外でのプレーを決意し、ドイツの1.FCニュルンベルクへ移籍した。ニュルンベルクは、夏にVfBシュトゥットガルトへ移籍したラファエル・シェーファーの後任としてブラジェクを獲得した。ニュルンベルクでは正守護神としてプレーしたが、4月に体調を崩し、シーズンの終盤を欠場した。その結果、チームはブンデスリーガからの降格を余儀なくされた。2008年6月、ブラジェクは翌シーズンからACスパルタ・プラハに復帰することが発表された。しかし、2011年12月16日、ACスパルタ・プラハはブラジェクとの契約を早期に解除する決定を発表し、彼は自由契約選手となった。
3.3. 後期キャリアと引退
ACスパルタ・プラハを退団した後、ブラジェクは2012年にFCヴィソチナ・イフラヴァに加入した。2014年2月22日、イフラヴァでの1.SCズノイモ戦で、ブラジェクは139回目のクリーンシートを達成し、チェコリーグのゴールキーパーによる新記録を樹立した。彼は2015年までプレーを続け、42歳4ヶ月という年齢でチェコ1.チェスカー・フォトバロヴァー・リガの史上最年長出場選手となった。キャリアを通じて、彼はチェコ1部リーグで歴代最多の157回のクリーンシートを記録し、19シーズンという最多出場シーズン数も記録している。
4. 代表キャリア
ヤロミール・ブラジェクは、2000年から2008年までチェコサッカー代表として国際試合に出場した。
4.1. 代表出場
ブラジェクは2000年3月29日、オーストラリアとの親善試合で代表デビューを果たし、この試合は3-1で勝利した。彼はユーロ2000、ユーロ2004、2006 FIFAワールドカップ、ユーロ2008にチェコ代表の一員として招集された。しかし、代表チームの正ゴールキーパーであるペトル・チェフの活躍により、ブラジェクは定期的な出場機会を得ることができなかった。彼が主要国際大会で唯一出場したのはユーロ2004で、グループリーグ第3戦のドイツ戦だった。この試合はチェコが既に決勝トーナメント進出を決めていたため、控え選手中心で臨んだことで出番が回ってきた。
5. キャリア統計
5.1. クラブ統計
ヤロミール・ブラジェクは、キャリアを通じて多くのクラブでプレーしたが、その詳細な出場記録は統一された形で利用できない。しかし、彼はチェコ1部リーグで歴代最多の19シーズンにわたってプレーし、157回のクリーンシートを達成するなど、その息の長いキャリアと高いパフォーマンスが特筆される。
5.2. 代表統計
ヤロミール・ブラジェクのチェコ代表における年度別出場記録は以下の通り。
年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|
2000 | 2 | 0 |
2001 | 0 | 0 |
2002 | 0 | 0 |
2003 | 2 | 0 |
2004 | 4 | 0 |
2005 | 2 | 0 |
2006 | 2 | 0 |
2007 | 1 | 0 |
2008 | 2 | 0 |
合計 | 15 | 0 |
6. 栄誉と功績
ヤロミール・ブラジェクは、その輝かしいキャリアの中で数多くのクラブタイトルと個人栄誉を獲得した。
6.1. クラブ栄誉
- FKヴィクトリア・ジジコフ
- チェコカップ: 1994
- SKスラヴィア・プラハ
- チェコ1部リーグ: 1995-96
- ボヘミアンズ1905
- チェコ2部リーグ: 1997-98(3位)、1998-99(優勝)
- ACスパルタ・プラハ
- チェコ1部リーグ:
- 優勝: 1999-2000、2000-01、2002-03、2004-05、2006-07
- 準優勝: 2003-04、2008-09、2010-11
- チェコカップ:
- 優勝: 2004、2006、2007
- 準優勝: 2001
- チェコ1部リーグ:
- FCヴィソチナ・イフラヴァ
- チェコ2部リーグ準優勝: 2011-12
6.2. 代表栄誉
- チェコ
- UEFA欧州選手権準決勝進出: 2004
6.3. 個人栄誉
- チェコ1部リーグ年間最優秀チーム選出: 1999-2000、2002-03、2003-04、2008-09
- チェコ1部リーグ最多クリーンシート: 2002-03、2006-07、2009-10、2010-11
- チェコ1部リーグ最優秀ゴールキーパー: 2012-13
- チェコ1部リーグ20周年記念ファン投票による最優秀ゴールキーパー部門2位(1993年-2013年)
- 月間最優秀選手: 2013年10月
- チェコ年間最優秀サッカー選手リーグ部門パーソナリティ・オブ・ザ・リーグ: 2005-06
7. 記録
ヤロミール・ブラジェクは、チェコ1.チェスカー・フォトバロヴァー・リガにおいて、以下の主要な記録を樹立した。
- リーグ史上最年長出場選手: 42歳4ヶ月
- リーグ史上最多クリーンシート記録: 157試合
- リーグ史上最多出場シーズン数: 19シーズン
8. 関連項目
- サッカーチェコ代表
- ゴールキーパー (サッカー)
- ACスパルタ・プラハ
- SKスラヴィア・プラハ
- ペトル・チェフ
- チェコ1.チェスカー・フォトバロヴァー・リガ