1. 出生と背景
1.1. 出生地と国籍
ヨハン・ワレムは1972年2月1日にベルギーのエノー州ソワニーで生まれた。国籍はベルギーである。
2. 選手経歴
ヨハン・ワレムは、プロサッカー選手としてベルギーとイタリアの複数のクラブで活躍し、その正確なパスと戦術眼で知られたミッドフィールダーであった。また、ベルギー代表としても主要な国際大会に出場した。
2.1. デビューと初期
ワレムは、若手時代にR.W.D. モレンベークでプレーした後、1991年にベルギーの強豪クラブであるRSCアンデルレヒトでプロデビューを果たした。アンデルレヒトには1997年まで在籍し、その間にリーグ戦で通算180試合に出場し17得点を記録した。この期間に、チームはベルギー・ファーストディビジョンAで1992-93、1993-94、1994-95シーズンと3連覇を達成し、1993-94シーズンにはベルギーカップでも優勝に貢献した。
2.2. クラブ経歴
RSCアンデルレヒトでの成功後、ワレムは1997年にイタリアのセリエAに所属するウディネーゼ・カルチョへ移籍した。ウディネーゼではアルベルト・ザッケローニ監督の下でプレーし、加入初年度には28試合に出場し、チームのリーグ3位に貢献した。1999年にはパルマへレンタル移籍し、1999年のスーペルコッパ・イタリアーナで優勝を経験した。
2000年にウディネーゼに復帰し、同年にはUEFAインタートトカップで優勝を果たした。2001年にはベルギーのスタンダール・リエージュへ移籍し、一時的に母国リーグに戻った。その後、2003年にイタリアのトリノFCへ、2004年にはカルチョ・カターニアへ移籍し、2005年に33歳で現役を引退した。
2.3. 代表歴
ワレムは1991年にサッカーベルギー代表に初選出され、2002年までの間に国際Aマッチ通算36試合に出場し2得点を記録した。
1998 FIFAワールドカップでは、クラブでの好調なパフォーマンスにもかかわらず、代表メンバーからは外れた。UEFA欧州選手権2000には代表として参加したが、足の怪我のため試合に出場することはなかった。
2002 FIFAワールドカップでは、グループリーグのロシア戦で得点を挙げ、チームの決勝トーナメント進出に貢献した。ベルギー代表はラウンド16でブラジルに敗れたが、チームはFIFAフェアプレー賞を受賞した。ワレムは2002 FIFAワールドカップ終了後、代表チームから引退した。
| 年 | 出場 | 得点 |
|---|---|---|
| 1991 | 1 | 0 |
| 1992 | 3 | 0 |
| 1993 | 0 | 0 |
| 1994 | 1 | 0 |
| 1995 | 2 | 0 |
| 1996 | 0 | 0 |
| 1997 | 0 | 0 |
| 1998 | 2 | 0 |
| 1999 | 10 | 1 |
| 2000 | 3 | 0 |
| 2001 | 7 | 0 |
| 2002 | 7 | 1 |
| 通算 | 36 | 2 |
2.4. プレースタイルと愛称
ヨハン・ワレムは主にミッドフィールダーとしてプレーし、特に中盤の左サイドでその能力を発揮した。彼のプレーは、パスの正確さと優れた戦術眼が特徴であった。
ウディネーゼ在籍時には、その精度の高いパス能力から、イタリア語で「Il Geometra」(Il Geometraイル・ジオメトライタリア語、幾何学者)という愛称で呼ばれた。また、当時チームメイトであったドイツ人ストライカーのオリバー・ビアホフとの連携は高く評価された。
3. 選手としての受賞歴
ヨハン・ワレムは選手として、クラブおよび代表チームで数々のタイトルを獲得し、個人としても栄誉に輝いた。
3.1. クラブでの受賞歴
- RSCアンデルレヒト
- ベルギー・ファーストディビジョンA: 1992-93, 1993-94, 1994-95
- ベルギーカップ: 1993-94; 準優勝 1996-97
- ベルギー・スーパーカップ: 1993, 1995
- パルマ
- スーペルコッパ・イタリアーナ: 1999
- ウディネーゼ・カルチョ
- UEFAインタートトカップ: 2000
- サッカーベルギー代表
- FIFAフェアプレー賞: 2002 FIFAワールドカップ
3.2. 個人での受賞歴
- ベルギー年間最優秀若手選手賞: 1991-92
4. 指導者経歴
ヨハン・ワレムは選手引退後、ユース年代の指導からキャリアをスタートさせ、その後はプロチームやナショナルチームの監督として経験を積んだ。
4.1. ユース年代の指導
2005年に現役を引退した後、ワレムは指導者の道に進んだ。最初に指導を担当したのは、古巣であるRSCアンデルレヒトのU-19チーム(2008年-2010年)であった。その後、かつて選手として所属したウディネーゼ・カルチョのユースチーム(2010年-2011年)およびU-19チーム(2011年-2012年)で指導を行った。
4.2. プロチーム・代表チームの指導
2011-12シーズン終了後、ワレムはベルギーU-21代表の監督に就任し、2012年から2015年まで指揮を執った後、2016年から2020年まで再び同チームの監督を務めた。
その間、2015年から2016年にかけてはベルギーのKVコルトレイクの監督も務めた。2020年1月25日にはサッカーキプロス代表の監督に任命され、2021年2月17日まで指揮を執った。
| チーム | 就任 | 退任 | 成績 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 試合数 | 勝利 | 引き分け | 敗戦 | 勝率 | |||
| キプロス | 2020年1月25日 | 2021年2月17日 | 8 | 1 | 1 | 6 | 12.5% |
5. 引退後の活動
選手引退後、ヨハン・ワレムはサッカー指導者としての活動の傍ら、テレビの解説者としても活躍している。特にベルガコムTVでテレビコンサルタントを務めた経験がある。
6. 外部リンク
- [https://www.lequipe.fr/Football/FootballFicheJoueur4427.html L'Équipe]
- [http://www.vi.nl/vi/show/id=40053/dbid=2503/typeofpage=40054/sc=8bc1db Voetbal International (オランダ語)]