1. 概要
王龍偉(Wang Lung-wei英語、1949年7月14日 - )は、香港出身の武術家、俳優、監督、製作者、武術振付師である。1974年から1990年代半ばにかけて活動し、主にショウ・ブラザーズ・スタジオの作品を中心に80本以上のカンフー映画に出演した。特に悪役を演じることが多く、その強烈な存在感で知られる。1985年からは監督・製作者としても活躍し、映画業界に多大な貢献を果たした後、2009年以前に引退した。
2. 生涯
王龍偉の出生と、ショウ・ブラザーズでの悪役としてのキャリアの始まりを詳述する。
2.1. 出生と背景
王龍偉は1949年7月14日に香港で生まれた。幼少期の詳細については情報が限られている。
2.2. 初期キャリア
王龍偉は1974年から本格的に映画業界での活動を開始した。彼のキャリアの始まりは、香港の著名な映画会社であるショウ・ブラザーズ・スタジオでの活動と密接に関連している。初出演は1974年のチャン・チェン監督作品『少林武者』(Shaolin Martial Arts英語)であり、この映画でユ・ピ役を演じた。この役柄が、彼のその後のキャリアにおいて悪役を演じるというパターンを確立するきっかけとなった。
3. 主な活動と業績
王龍偉は、俳優として数多くの悪役を演じ、また監督・製作者、武術振付師としても香港映画界に貢献した。
3.1. 俳優としての活動
王龍偉は、そのキャリアを通じて主にカンフー映画や香港アクション映画の分野で活躍した。彼は80本以上の作品に出演し、その大半で印象的な悪役を演じることで知られている。彼の強靭な体格と武術の腕前は、悪役としての存在感を一層際立たせた。しかし、悪役以外の数少ない例外も存在し、特に1981年の映画『武館』(Martial Club英語)では、彼の異なる一面を見せている。
3.2. 監督・製作活動
1985年、王龍偉は俳優業に加え、監督および製作者としての活動を開始し、カメラの裏側へと活躍の場を広げた。彼は自身の作品の脚本も手掛け、多岐にわたる才能を発揮した。監督作品としては、『香港ゴッドファーザー』(Hong Kong Godfather英語、1985年)などが挙げられる。これらの作品を通じて、彼は香港映画界における自身の創造的なビジョンを実現した。
3.3. 武術振付
王龍偉は、俳優や監督としての活動と並行して、武術振付師としても重要な役割を担った。彼自身の武術の熟練度は、映画のアクションシーンにリアリティと迫力を与える上で不可欠なものであった。彼は多くの作品で、複雑かつダイナミックな武術シーンの演出を手掛け、香港アクション映画の発展に貢献した。
4. フィルモグラフィー
4.1. 俳優出演作
- 1974年: 『ファイブ・シャオリン・マスターズ』(Five Shaolin Masters英語)
- 1974年: 『少林武者』(Shaolin Martial Arts英語)
- 1975年: 『ボクサー・リベリオン』(Boxer Rebellion英語)
- 1975年: 『マルコ・ポーロ』(Marco Polo英語)
- 1976年: 『七人陸軍』(Seven Man Army英語)
- 1976年: 『インビンシブル・カンフー・ブラザーズ』(Invincible Kung Fu Brothers英語)
- 1976年: 『ニュー・シャオリン・ボクサー』(New Shaolin Boxer英語)
- 1976年: 『少林寺』(Shaolin Temple英語)
- 1976年: 『空飛ぶギロチン』(Master of the Flying Guillotine英語)
- 1977年: 『チャイナタウン・キッド』(Chinatown Kid英語)
- 1977年: 『デス・デュエル』(Death Duel英語)
- 1977年: 『ブレイブ・アーチャー』(The Brave Archer英語)
- 1977年: 『インビンシブル・シャオリン』(Invincible Shaolin英語)
- 1978年: 『アベンジング・イーグル』(The Avenging Eagle英語)
- 1978年: 『ブレイブ・アーチャー パートII』(The Brave Archer Part II英語)
- 1978年: 『ファイブ・デッドリー・ヴェノムズ』(Five Deadly Venoms英語)
- 1978年: 『クリップルド・アベンジャーズ』(Crippled Avengers英語)
- 1978年: 『ライフ・コンバット』(Life Combat英語)
- 1978年: 『ヴェンジェフル・ビューティー』(Vengeful Beauty英語)
- 1979年: 『キッド・ウィズ・ザ・ゴールデン・アーム』(Kid with the Golden Arm英語)
- 1979年: 『ダーティ・ホー』(Dirty Ho英語)
- 1979年: 『広東十虎』(Ten Tigers of Kwangtung英語)
- 1980年: 『ツー・オン・ザ・ロード』(Two on the Road英語)
- 1980年: 『クラン・オブ・ザ・ホワイト・ロータス』(Clan of the White Lotus英語)
- 1980年: 『少林三十六房』(Return to the 36th Chamber英語)
- 1981年: 『マイ・ヤング・アンティ』(My Young Auntie英語)
- 1981年: 『ロアー・オブ・ザ・ライオン』(Roar of the Lion英語)
- 1981年: 『トレジャー・ハンターズ』(Treasure Hunters英語)
- 1981年: 『武館』(Martial Club英語)
- 1982年: 『マイ・レベリアス・サン』(My Rebellious Son英語)
- 1982年: 『ヘルス・ワーニング』(Health Warning英語)
- 1982年: 『キャット・VS・ラット』(Cat vs. Rat英語)
- 1984年: 『エイト・ダイアグラム・ポール・ファイター』(Eight Diagram Pole Fighter英語)
- 1984年: 『ウィッツ・オブ・ザ・ブラッツ』(Wits of the Brats英語)
- 1985年: 『香港ゴッドファーザー』(Hong Kong Godfather英語)
- 1985年: 『ヤング・ヴァガボンズ』(Young Vagabonds英語)
- 1985年: 『ザ・マン・イズ・デンジャラス』(The Man Is Dangerous英語)
- 1987年: 『プロジェクトA2 史上最大の標的』(Project A Part II英語)
- 1992年: 『ツイン・ドラゴン』(Twin Dragons英語)
- 1993年: 『ザ・レディ・イズ・ザ・ボス』(The Lady Is the Boss英語)
- 1993年: 『少林寺・武当』(Shaolin & Wu-Tang英語)
- 1993年: 『ファスト・フィンガーズ』(Fast Fingers英語)
- 1994年: 『新少林寺伝説』(New Legend of Shaolin英語)
4.2. 監督作品
- 1985年: 『香港ゴッドファーザー』(Hong Kong Godfather英語)
5. 引退
王龍偉は1990年代半ばまで映画業界で精力的に活動した後、引退した。具体的な引退時期は不明だが、2009年以前にはすでに業界から身を引いていたとされる。