1. Overview
林至涵(林至涵リン・チンハン中国語、1980年11月14日生)は、台湾のプロ囲碁棋士である。台湾棋院に所属し、台北市出身。林聖賢門下で、台湾の棋士としては周俊勲に次ぐ二人目の九段昇段者として知られている。国内の主要な棋戦において数々のタイトルを獲得し、特に天元戦では3回優勝するなど、台湾囲碁界のトップランナーの一人として活躍した。その功績は台湾囲碁界の発展に大きく貢献している。
2. 生涯とプロ入り
林至涵は1980年11月14日に台北市で生まれた。幼少期より囲碁に親しみ、アマチュア時代からその才能を開花させていった。
2.1. アマチュア時代
林至涵はプロ入り以前のアマチュア時代に、早くもその実力を国内外に示していた。1992年には世界青少年囲碁選手権大会の少年組で優勝を果たし、将来を嘱望される存在となる。また、1997年の世界アマチュア囲碁選手権戦では4位に入賞するなど、アマチュア囲碁界においても顕著な成績を残した。
2.2. プロ入段と初期の昇段
林至涵は2001年にプロ棋士として入段した。同年中に台湾棋院杯で優勝を飾るなど、プロとしてのキャリアを順調にスタートさせる。入段後もその昇段速度は速く、同年中に二段へ、2002年には三段へ昇段した。さらに2003年には四段および五段に、2004年には六段および七段に昇段を重ね、若くして高段位に到達した。
3. プロ棋士としての経歴
林至涵はプロ棋士として多岐にわたる棋戦に出場し、国内外で安定した成績を収めてきた。特に、台湾棋院の棋士としては初の九段昇段を果たすなど、そのキャリアは特筆すべきものである。
3.1. 昇段履歴
林至涵のプロ棋士としての昇段履歴は以下の通りである。
段位 | 昇段年 |
---|---|
初段 | 2001年 |
二段 | 2001年 |
三段 | 2002年 |
四段 | 2003年 |
五段 | 2003年 |
六段 | 2004年 |
七段 | 2004年 |
八段 | 2007年 |
九段 | 2009年 |
林至涵の九段昇段は、八段昇段後に公式戦で120勝を達成した規定によるもので、台湾の棋士全体では周俊勲に次ぐ二人目、台湾棋院所属の棋士としては初めての快挙であった。
3.2. 年間成績
林至涵の近年の年間成績は以下の通りである。
年 | 勝数 | 敗数 |
---|---|---|
2006年 | 42 | 19 |
2007年 | 35 | 18 |
2008年 | 65 | 27 |
2009年 | 33 | 18 |
2010年 | 47 | 22 |
4. 主要タイトルと棋戦実績
林至涵は、台湾国内の数多くの主要タイトルを獲得したほか、国際棋戦においても存在感を示した。
4.1. 国内棋戦成績
林至涵は、台湾国内の主要な囲碁大会で以下の優勝・準優勝記録を持つ。
棋戦名 | 優勝回数・年 | 準優勝回数・年 |
---|---|---|
台湾棋院杯 | 2回(2001年、2003年) | 2回(2003年、2004年) |
新人王戦 | 2回(2002年、2003年) | |
棋霊王杯プロ囲棋戦 | 2回(2003年、2004年) | 1回(2002年) |
天元戦 | 3回(2003年、2008年、2009年) | 2回(2004年、2010年) |
魔戒杯プロ囲棋戦 | 3回(2003年、2004年(2期)) | 1回(2004年(3期)) |
亞藝杯戦 | 1回(2004年) | 1回(2003年) |
東鋼杯プロ囲棋戦 | 1回(2004年) | 2回(2007年、2008年) |
CMC杯電視快棋戦 | 3回(2005年、2006年、2008年) | |
力兆杯プロ囲棋戦 | 1回(2007年) | |
国手戦 | 4回(2008年、2009年、2010年、2011年) | |
碁聖戦 | 2回(2008年、2011年) | |
海峰杯プロ囲棋戦 | 2回(2009年、2011年) | |
愛心杯プロ囲棋戦 | 1回(2010年) | 1回(2007年) |
王座戦 | 挑戦者2回(2006年(1期)、2011年)、準優勝1回(2008年) | |
棋王戦 | 挑戦者1回(2010年) | |
中環杯囲棋オープン戦 | 1回(2008年) |
4.2. 国際・大陸棋戦成績
林至涵は国際棋戦においても活躍し、中華台北代表としても出場した。
- CSK杯囲碁アジア対抗戦(2002年)
- 王磊と李昌鎬に敗れ、0勝2敗の記録を残した。
- 中環杯世界囲碁選手権戦
- 2004年には1回戦で宋泰坤に勝利するも、2回戦で山下敬吾に敗れ、ベスト8に進出した。
- 2007年にも1回戦で崔哲瀚に勝利したが、2回戦で朴正祥に敗れ、再びベスト8の成績を収めた。
- 日台精鋭プロ選手権
- 2011年に準優勝。
- スポーツアコードワールドマインドゲームズ(2012年)
- 男子個人戦で3位に入賞。
- 黒嘉嘉とペアを組み、男女ペア戦で4位。
- 珠鋼杯世界囲碁団体選手権(2013年)
- 中華台北チームの一員として出場し、個人成績は2勝3敗、チームは7位であった。
4.3. その他の棋戦記録
林至涵は、以下の特筆すべき棋戦記録を持つ。
- 2008年には国内のCMC杯電視快棋戦、天元戦、国手戦、碁聖戦の四冠を達成した。
- 中国囲棋リーグ戦には、台湾棋院チームの主将として以下の成績で出場した。
- 2008年 乙級リーグ: 3勝3敗
- 2008年 丙級リーグ: 4勝3敗 (※複数回出場しているため、リーグ戦の内容が異なる可能性あり)
- 2008年 丙級リーグ: 5勝2敗
- 2009年 丙級リーグ: 4勝3敗
- 2010年 丙級リーグ: 5勝2敗
5. 評価と影響
林至涵は、その輝かしい棋歴を通じて台湾囲碁界に多大な影響を与え、重要な地位を確立した。
5.1. 台湾囲碁界への貢献
林至涵は、台湾棋界におけるその実力と業績により、台湾囲碁界の発展に大きく貢献した棋士の一人である。特に、2009年に九段へ昇段したことは、周俊勲に次ぐ台湾人棋士としては二人目、そして台湾棋院に所属する棋士としては初の快挙であり、台湾囲碁界にとって歴史的なマイルストーンとなった。彼は数々の国内主要タイトルを獲得し、国際棋戦でも健闘することで、台湾囲碁のレベル向上と普及に寄与し、若い世代の棋士たちに大きな影響を与えた。