1. 選手経歴
アレクサンダル・ルコヴィッチは、そのプロキャリアを通じて、複数のクラブで活躍し、国際舞台でも経験を積んだディフェンダーである。彼の選手としての歩みは、故郷のクラブでの初期からイタリア、ロシアでの挑戦、そして古巣への復帰を経て、2017年の引退まで続いた。
1.1. ユースおよび初期のキャリア
ルコヴィッチは、故郷のクラブであるスロガ・クラリェヴォでキャリアをスタートさせた。1998年にプロデビューし、1998-99シーズンには1試合に出場し得点なし、1999-2000シーズンには12試合で1得点、2000-01シーズンには14試合で1得点、2001-02シーズンには15試合で1得点を記録した。2002年にはツルベナ・ズベズダ(レッドスター・ベオグラード)に移籍。同年8月15日のカイラト戦でUEFAカップに初出場を果たした。この試合で彼はネマニャ・ヴィディッチと交代し、レッドスターは2対0で勝利を収めている。
1.2. クラブキャリア
ルコヴィッチは、キャリアを通じて複数の著名なクラブでプレーし、それぞれのクラブで重要な役割を果たした。
1.2.1. レッドスター・ベオグラード (第1期)
レッドスター・ベオグラードでの最初の在籍期間は2000年から2006年まで続いた。彼は2001-02シーズンに6試合に出場し、2002-03シーズンにはUEFAカップで1試合を含む7試合に出場した。2004-05シーズンには25試合、2005-06シーズンには27試合で3得点を記録するなど、チームの守備の要として貢献した。この間、イェディンストヴォ・ウブへ2003-04シーズンに期限付き移籍し、23試合で2得点を挙げている。
1.2.2. ウディネーゼおよびアスコリ
2006年半ば、ルコヴィッチはウディネーゼと事前契約を結んだ後、アスコリへレッドスター・ベオグラードから期限付き移籍した。これはウディネーゼがアスコリの非EU圏登録枠を「借りる」ための措置であった。2007年1月の移籍期間中にアスコリからウディネーゼへ「レンタル移籍」した。2007年1月27日には、トリノ戦でセリエAデビューを果たし、ウディネーゼでの最初の試合を経験した。2007年半ばには、レッドスターからウディネーゼへ完全移籍した。ウディネーゼでは2006-07シーズンに5試合、2007-08シーズンには32試合、2008-09シーズンには27試合、2009-10シーズンには33試合に出場し、合計で97試合に出場している。

1.2.3. ゼニト・サンクトペテルブルク
2010年7月29日、ルコヴィッチはゼニト・サンクトペテルブルクと4年契約を締結したことが公式に発表された。当初はレギュラーとしてプレーしていたが、ドメニコ・クリシートが左サイドバックのポジションに加入してからは出場機会が減少した。ゼニトでは2010年に11試合、2011-12シーズンに19試合で1得点、2012-13シーズンに9試合、2013-14シーズンに1試合に出場し、合計で40試合に出場した。
1.2.4. レッドスター・ベオグラード (第2期)
数度の移籍期間における復帰の噂を経て、2014年12月29日にルコヴィッチがレッドスターと2年半の契約を結んだことが発表された。2015年2月6日、ルビン・カザンとの親善試合で深刻な負傷を負い、2015年夏まで戦線離脱を余儀なくされた。しかし、2015年8月23日にサボ・パヴィチェヴィッチに代わって出場し、負傷後初めてレッドスターでの試合に出場した際には、スタジアム全体から拍手で迎えられた。2017年夏にクラブとの契約が満了した後、彼はフリーエージェントとしてクラブを去った。
1.3. 代表キャリア
ルコヴィッチはセルビア代表としても活躍し、主要な国際大会に出場した。
1.3.1. 代表デビューとワールドカップ出場
2005年8月15日のポーランド戦でセルビア・モンテネグロ代表として国際デビューを果たした。2010 FIFAワールドカップ予選では、主にネマニャ・ヴィディッチとセンターバックでパートナーを組み、アレクサンダル・コラロヴが左サイドバックで起用されることが多かった。2010年6月には、2010 FIFAワールドカップのセルビア代表メンバーに選出された。ワールドカップではグループステージのガーナ戦とオーストラリア戦に出場した。特にガーナ戦では、6月13日の開幕戦で退場処分を受けている。
1.3.2. 代表引退
2011年3月、EURO 2012予選の北アイルランド戦を2週間後に控えた時期に、ルコヴィッチは28歳という若さで代表チームからの引退を表明し、所属クラブであるゼニトでのプレーに集中する意向を示した。同時に、チームメイトのダンコ・ラゾビッチも同様の発表を行った。その後、シニシャ・ミハイロヴィッチ監督の就任後、一時的に代表に復帰している。彼は国際Aマッチで合計28試合に出場し、得点は記録していない。
2. 監督経歴
選手としてのキャリアを終えた後、アレクサンダル・ルコヴィッチは指導者としての道を歩み始めた。
2.1. 監督統計
以下に、彼の監督としての成績を示す。
チーム | 開始日 | 終了日 | 成績 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 | 勝 | 分 | 敗 | 勝率 | |||
セルビアU-16 | 2021年7月7日 | 2022年6月30日 | 8 | 7 | 1 | 0 | 87.50% |
セルビアU-17 | 2022年7月7日 | 現在 | 14 | 9 | 1 | 4 | 64.29% |
通算 | 22 | 16 | 2 | 4 | 72.73% |
3. 経歴統計
彼の選手キャリアにおけるクラブおよび代表での出場試合数と得点に関する詳細な統計情報を示す。
3.1. クラブ統計
様々なシーズンおよび大会におけるクラブでの出場および得点統計を以下に提示する。
クラブ | シーズン | リーグ | カップ | 大陸 | その他 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||||
スロガ・クラリェヴォ | 1998-99 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | ||||
1999-00 | 12 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 11 | 1 | |||||
2000-01 | 14 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 14 | 1 | |||||
2001-02 | 15 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 | 3 | |||||
合計 | 49 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 49 | 5 | |||||
レッドスター | 2001-02 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | ||||
2002-03 | 6 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | |||||
2004-05 | 25 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | |||||
2005-06 | 27 | 3 | 8 | 0 | 0 | 0 | 35 | 3 | |||||
合計 | 64 | 3 | 14 | 0 | 0 | 0 | 78 | 3 | |||||
イェディンストヴォ・ウブ (期限付き移籍) | 2003-04 | 23 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 23 | 2 | ||||
アスコリ | 2006-07 | 10 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 12 | 0 | ||
ウディネーゼ | 2006-07 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | ||
2007-08 | 32 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 36 | 0 | |||
2008-09 | 27 | 0 | 1 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0 | 35 | 0 | |||
2009-10 | 33 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 35 | 0 | |||
合計 | 97 | 0 | 7 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0 | 111 | 0 | |||
ゼニト・サンクトペテルブルク | 2010 | 11 | 0 | 2 | 0 | 9 | 0 | 0 | 0 | 22 | 0 | ||
2011-12 | 19 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 21 | 1 | |||
2012-13 | 9 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 13 | 0 | |||
2013-14 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | |||
合計 | 40 | 1 | 5 | 0 | 11 | 0 | 3 | 0 | 59 | 1 | |||
レッドスター・ベオグラード | 2014-15 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
2015-16 | 28 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 1 | |||
2016-17 | 28 | 5 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 33 | 7 | |||
合計 | 56 | 6 | 6 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 63 | 8 | |||
キャリア通算 | 360 | 17 | 20 | 2 | 33 | 0 | 3 | 0 | 422 | 20 |
3.2. 代表統計
国際代表チームでの出場および得点統計を以下に提示する。
代表チーム | 年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|---|
セルビア | 2005 | 5 | 0 |
2006 | 3 | 0 | |
2007 | 0 | 0 | |
2008 | 3 | 0 | |
2009 | 7 | 0 | |
2010 | 9 | 0 | |
2011 | 0 | 0 | |
2012 | 1 | 0 | |
通算 | 28 | 0 |
4. 獲得タイトル
アレクサンダル・ルコヴィッチは、そのキャリアを通じて数々のチームタイトルと個人賞を獲得した。
- レッドスター・ベオグラード
- セルビア・スーペルリーガ:2005-06、2015-16
- セルビア・カップ:2001-02、2005-06
- FCゼニト・サンクトペテルブルク
- ロシア・プレミアリーグ:2010、2011-12
- ロシア・スーパーカップ:2011
- 個人
- セルビア・スーペルリーガ ベストイレブン:2015-16
5. 引退
2017年7月、アレクサンダル・ルコヴィッチはプロサッカー選手としての引退を表明した。彼は2017年夏にレッドスター・ベオグラードとの契約が満了した後、この決断を下した。これにより、1998年にスロガ・クラリェヴォでプロデビューして以来、約19年間にわたる選手としてのキャリアに終止符を打った。引退後はセルビア代表のユースチームで指導者としてのキャリアをスタートさせている。