ジャイ・ヒンドレー

3.1. プロデビューと初期キャリア

ヒンドレーは2016年に台湾のコンチネンタルチームであるアタッキ・チーム・グストでプロデビューを果たした。この年、彼はGPカポダルコで優勝し、アン・ポスト・ラスでは総合2位、ヤングライダー賞を獲得するなど、その才能を示した。

2017年には、ヘラルド・サン・ツアーでヤングライダー賞を獲得し、トスカーナ・テッラ・ディ・チクリズモ・エロイカでは総合優勝と山岳賞を獲得した。また、ジロ・チクリスティコ・ディタリアで区間優勝、ツアー・オブ・福州で総合優勝を飾るなど、アマチュア時代から目覚ましい成績を収めた。

2018年シーズンにチーム・サンウェブに加入し、2018 ヴォルタ・ア・アルガルヴェでチームデビュー。同年8月にはブエルタ・ア・エスパーニャのスタートリストに名を連ね、自身初のグランツールデビューを果たし、総合32位で完走した。

2019年5月にはジロ・デ・イタリアのスタートリストに選出され、総合35位で完走した。同年にはツール・ド・ポローニュで総合2位という好成績を残している。

3.2. 2020年ジロ・デ・イタリア

2020年シーズンは、2月に開催されたヘラルド・サン・ツアーで2つのステージ優勝と総合優勝を飾り、好調なスタートを切った。

同年10月にはジロ・デ・イタリアに参戦。第15ステージで3位に入り、総合3位に浮上した。そして、ステルヴィオ峠を越える「クイーンステージ」と称された第18ステージでグランツール初勝利を挙げ、総合2位に順位を上げるとともに、ヤングライダー賞のリーダージャージも獲得した。

第20ステージの山岳ステージでは、テイオ・ゲイガンハートに次ぐ2位でフィニッシュし、ゲイガンハートと同タイムながら総合首位に立った。これにより、ヒンドレーはマリア・ローザを着用して最終ステージの個人タイムトライアルに臨むこととなった。しかし、最終ステージの15.7 kmの個人タイムトライアルでゲイガンハートに39秒差をつけられ、惜しくも総合2位でレースを終えた。

3.3. 2021年シーズン

2021年シーズンもジロ・デ・イタリアに参戦したが、第14ステージのスタート前にサドルソア(股ずれ)を理由に途中棄権した。この時点で彼は総合首位から17分以上遅れの25位だった。同年、ツール・ド・ポローニュでは総合7位に入っている。

3.4. 2022年ジロ・デ・イタリア

2022年シーズン、ヒンドレーはボーラ＝ハンスグローエに移籍し、チームの総合優勝リーダーとして期待された。シーズン序盤のティレーノ~アドリアティコでは総合5位に入るなど、好調を維持した。

同年5月、ジロ・デ・イタリアに参戦。序盤から安定した走りを披露し、第9ステージの山頂フィニッシュでは総合ライバル勢を下してステージ優勝を飾り、ジロ通算2勝目を挙げた。第3週に入っても粘り強い走りを見せ、第19ステージ終了時点ではリチャル・カラパスにわずか3秒差の総合2位につけていた。

そして、クイーンステージとなった第20ステージの最終山岳マルモラーダでカラパスを突き放し、1分28秒差をつけて総合首位に躍り出た。キャリアで2度目となるマリア・ローザを着ての最終個人タイムトライアルとなったが、今回はそのチャンスを逃さず、第21ステージを15位で完走し、総合優勝を確定させた。これにより、ジャイ・ヒンドレーはオーストラリア人選手として初めてジロ・デ・イタリアの総合優勝を達成した。これは、2011年のツール・ド・フランスを制したカデル・エヴァンスに次ぐ、オーストラリア人として2人目のグランツール総合優勝という歴史的快挙であった。

3.5. その後の主な活躍

2023年シーズンも好調を維持し、クリテリウム・デュ・ドーフィネでは総合4位に入った。

同年7月5日、ツール・ド・フランス第5ステージで、後続に32秒差をつけてステージ優勝を飾り、自身初のマイヨ・ジョーヌを獲得した。これにより、第6ステージではマイヨ・ジョーヌを着用してスタートした。最終的に総合7位でツール・ド・フランスを完走している。また、ボルタ・ア・カタルーニャでは総合8位に入った。

2024年シーズンは、ティレーノ~アドリアティコで総合3位、ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナで総合5位、グランプリ・シクリスト・ド・モントリオールで総合10位を記録した。2025年のボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナでは総合9位に入っている。

4.1. ステージ優勝

• 2017年 トスカーナ・テッラ・ディ・チクリズモ・エロイカ 第1aステージ(チームタイムトライアル)
• 2017年 ジロ・チクリスティコ・ディタリア 第7ステージ
• 2017年 ツアー・オブ・福州 第4ステージ
• 2020年 ヘラルド・サン・ツアー 第2ステージ、第4ステージ
• 2020年 ジロ・デ・イタリア 第18ステージ
• 2022年 ジロ・デ・イタリア 第9ステージ
• 2023年 ツール・ド・フランス 第5ステージ

4.2. 総合優勝

• 2016年 GPカポダルコ
• 2017年 トスカーナ・テッラ・ディ・チクリズモ・エロイカ
• 2017年 ツアー・オブ・福州
• 2020年 ヘラルド・サン・ツアー
• 2022年 ジロ・デ・イタリア

4.3. その他の主な成績

• 2013年 オセアニア選手権 ジュニアロードレース 2位、個人タイムトライアル 10位
• 2014年 オセアニア選手権 ジュニアロードレース 3位、オーストラリア選手権 ジュニアロードレース 3位
• 2015年 オセアニア選手権 U23個人タイムトライアル 10位
• 2016年 アン・ポスト・ラス 総合2位、ヤングライダー賞
• 2016年 台湾KOMチャレンジ 2位
• 2016年 ツール・ド・ラヴニール 総合5位
• 2016年 フレッシュ・アルデンネーズ 6位
• 2017年 ヘラルド・サン・ツアー 総合2位、ヤングライダー賞
• 2017年 トロフェオ・チッタ・ディ・サン・ヴェンデミアーノ 2位
• 2017年 オセアニア選手権 ロードレース 3位
• 2017年 ローヌ＝アルプ・イゼール・ツアー 総合4位
• 2017年 グランプレミオ・インダストリエ・デル・マルモ 4位
• 2017年 ツール・アルザス 総合9位
• 2017年 ツール・ド・ラヴニール 総合10位
• 2017年 グランプレミオ・パリオ・デル・レチョート 10位
• 2019年 ツール・ド・ポローニュ 総合2位
• 2020年 ジロ・デ・イタリア 総合2位(第20ステージ終了後マリア・ローザ着用、第18~20ステージヤングライダー賞ジャージ着用)
• 2020年 ヘラルド・サン・ツアー 山岳賞
• 2021年 ツール・ド・ポローニュ 総合7位
• 2022年 ティレーノ~アドリアティコ 総合5位
• 2022年 クラシカ・ハエン・パライソ・インテリア 6位
• 2022年 ブエルタ・ア・ブルゴス 総合7位
• 2022年 ブエルタ・ア・エスパーニャ 総合10位
• 2023年 クリテリウム・デュ・ドーフィネ 総合4位
• 2023年 ツール・ド・フランス 総合7位(第5ステージ終了後マイヨ・ジョーヌ着用)
• 2023年 ボルタ・ア・カタルーニャ 総合8位
• 2024年 ティレーノ~アドリアティコ 総合3位
• 2024年 ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ 総合5位
• 2024年 グランプリ・シクリスト・ド・モントリオール 総合10位
• 2025年 ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ 総合9位

5.1. ジロ・デ・イタリア

グランドツアー総合順位記録

グランドツアー	2018	2019	2020	2021	2022	2023	2024
ジロ・デ・イタリア	-	35	2	DNF	1	-	-

5.2. ツール・ド・フランス

グランドツアー総合順位記録

グランドツアー	2018	2019	2020	2021	2022	2023	2024
ツール・ド・フランス	-	-	-	-	-	7	18

5.3. ブエルタ・ア・エスパーニャ

グランドツアー総合順位記録

グランドツアー	2018	2019	2020	2021	2022	2023	2024
ブエルタ・ア・エスパーニャ	32	-	-	-	10	-	-