1. Overview
ステファニア・ベルトン(Stefania Bertonステファニア・ベルトンイタリア語、1990年7月19日 - )は、イタリア出身の女性フィギュアスケート選手です。彼女は主にペアスケーティングで活躍し、パートナーのオンドレイ・ホタレックと共に、2013年ヨーロッパフィギュアスケート選手権で銅メダルを獲得し、また2013年スケートカナダインターナショナルで優勝しました。イタリアのペア選手として、ヨーロッパ選手権およびグランプリシリーズで初めてメダルを獲得した歴史的な功績を持ちます。ベルトンは、ペアスケーティングに転向する以前にはシングルスケーティングやアイスダンスの選手としても活動していました。彼女のキャリアは、その多岐にわたる競技経験と顕著な成果によって特徴づけられます。
2. 人物
ステファニア・ベルトンは1990年7月19日にイタリアのアジアーゴで生まれました。2012年1月にはイタリア警察のスポーツグループの一員となりました。2013年2月2日にはアメリカのペアスケーターであるロックニ・ブルーベイカーと婚約し、2015年6月5日にウィスコンシン州で結婚式を挙げました。
3. 経歴
ステファニア・ベルトンは、シングルスケーティング、アイスダンス、そしてペアスケーティングと、フィギュアスケート選手として多岐にわたる競技キャリアを歩みました。彼女はイタリアを代表する選手として、国内外の多くの大会で顕著な成績を収めました。
3.1. 初期キャリア (シングル・アイスダンス)
ベルトンはノービス時代にマルコ・ファブリと組んでアイスダンス競技に出場し、イタリア選手権で好成績を収めました。その後、2004-05シーズンから女子シングル選手としてISUジュニアグランプリシリーズに参戦しました。
2006-07シーズンには、ISUジュニアグランプリファイナルで6位に入賞し、同年のイタリアフィギュアスケート選手権では2位を獲得しました。翌2007-08シーズンには、シニアの主要国際大会であるヨーロッパフィギュアスケート選手権に初めて出場しました。2008年にはクリスタルスケートで国際競技会での初優勝を飾り、引き続きヨーロッパ選手権にも出場しました。
このシーズン終了後、ベルトンはペア競技への転向を決意し、オンドレイ・ホタレックとのペアを結成しました。
3.2. オンドレイ・ホタレックとのペア
2009年初頭にオンドレイ・ホタレックとペアを結成したステファニア・ベルトンは、イタリアを代表するペア選手として数々の歴史的な成果を上げました。
3.2.1. 2009-10シーズン
ベルトンとホタレックは、ペア結成後初のシーズンとなる2009-10シーズンに、イタリアフィギュアスケート選手権で2位に入賞しました。この成績により、彼らは2010年世界フィギュアスケート選手権の代表に選出され、主要国際大会でのデビューを果たし、11位という成績を収めました。

3.2.2. 2010-11シーズン
2010-11シーズン、ベルトン/ホタレック組はネーベルホルン杯で銀メダルを獲得しました。このシーズンからグランプリシリーズにもデビューし、2010年ロステレコム杯で6位に入賞しました。彼らは、このシーズンに初のイタリアフィギュアスケート選手権優勝を果たしました。そして、2011年ヨーロッパフィギュアスケート選手権に出場し、ショートプログラムで4位、フリースケーティングで5位と自己ベストを更新し、合計164.83点の自己ベストで総合5位という当時最高の成績を収めました。
3.2.3. 2011-12シーズン
2011-12シーズン、ベルトン/ホタレック組はオンドレイネペラメモリアルで銀メダルを獲得しました。グランプリシリーズでは、NHK杯で4位となった後、2011年ロステレコム杯で銅メダルを獲得しました。これは、イタリアのペア選手がグランプリシリーズで獲得した初のメダルであり、彼らのキャリアにおいて重要な節目となりました。また、2012年ヨーロッパフィギュアスケート選手権では、ホタレックの体調不良にもかかわらず4位に入賞し、イタリアのペアスケーティング史上最高の順位を更新しました。

3.2.4. 2012-13シーズン
2012-13シーズンは、ベルトン/ホタレック組にとって大きな躍進の年となりました。グランプリシリーズでは、スケートカナダインターナショナルとエリック・ボンパール杯の両大会で銅メダルを獲得しました。そして、2013年ヨーロッパフィギュアスケート選手権では、イタリアのペア選手として史上初となる銅メダルを獲得しました。このメダルは、イタリアのペアがISUチャンピオンシップスで初めて獲得したメダルでもあり、歴史的な快挙として記録されました。
3.2.5. 2013-14シーズン
2013-14シーズン、ベルトン/ホタレック組はグランプリシリーズのスケートアメリカで5位となりましたが、続くスケートカナダインターナショナルではショートプログラム、フリースケーティングともにパーソナルベストを更新し、見事に優勝しました。これは、イタリアのペア選手としてグランプリシリーズで初めての優勝という、またしても歴史的な功績でした。2014年ヨーロッパフィギュアスケート選手権では、前年より順位を一つ落とし4位となりました。同年開催されたソチオリンピックでは、団体戦のショートプログラムで初の70点台をマークしましたが、個人戦ではジャンプの失敗が響き、11位に終わりました。
3.2.6. パートナーシップ解消
2013-14シーズン終了後、2014年7月2日にステファニア・ベルトンとオンドレイ・ホタレックのペアは解消されました。ベルトンはホタレックとのペア解消を望んでおらず、競技キャリアを継続するために新たなパートナーを探していると報じられました。シーズンオフには、夫であるロックニ・ブルーベイカーとのペアでアイスショーに出演しました。
3.3. 引退後の活動
競技引退後、ステファニア・ベルトンはフィギュアスケート界での活動を続けました。2015年には、夫のロックニ・ブルーベイカーと共にリーフスアイスセンターのスケートディレクターに就任し、後進の指導と育成に携わっています。
4. プログラム使用曲
ステファニア・ベルトンは、競技キャリアを通じて様々な印象的な楽曲をプログラムで使用しました。
4.1. ペア・スケーティング
オンドレイ・ホタレックとのペアスケーティングキャリア中に使用したプログラムの楽曲と振付は以下の通りです。
シーズン | ショートプログラム | フリースケーティング | エキシビション |
---|---|---|---|
2013-2014 | 映画『マスク』サウンドトラックより 作曲:ランディ・エデルマン 振付:パスカーレ・カメレンゴ | 映画『魔人ドラキュラ』より 作曲:フィリップ・グラス 振付:デヴィッド・ウィルソン | 誰も寝てはならぬ 歌劇『トゥーランドット』より 作曲:ジャコモ・プッチーニ |
2012-2013 | 黒くぬれ! 作曲:ジャガー=リチャーズ 演奏:ローリング・ストーンズ 振付:アンジェリカ・クリロワ | ポエタ 作曲:ビセンテ・アミーゴ 振付:パスカーレ・カメレンゴ | Time of my Life 映画『ダーティ・ダンシング』サウンドトラックより 作曲:ダニー・ゴールドバーグ、マイケル・ロイド |
2011-2012 | ハーレム・ノクターン 作曲:アール・ハーゲン、ディック・ロジャース デマジアド・コラゾン 作曲:ウィリー・ドヴィル 振付:パスカーレ・カメレンゴ | アルビノーニのアダージョ 作曲:レモ・ジャゾット、トマゾ・アルビノーニ 振付:アンジェリカ・クリロワ | Caruso ボーカル:ルチアーノ・パヴァロッティ |
2010-2011 | ブエノスアイレスの冬 作曲:アストル・ピアソラ | 映画『ロミオとジュリエット』より 作曲:ニーノ・ロータ | アンチェインド・メロディー ボーカル:ライチャス・ブラザーズ |
2009-2010 | Caos Calmo 作曲:ブォンヴィーノ | ノートルダム・ド・パリ (1999年のテレビ映画より) 作曲:リッカルド・コッチャンテ | 映画『ロミオとジュリエット』より 作曲:ニーノ・ロータ |
4.2. シングル・スケーティング
シングルスケーティングキャリア中に使用したプログラムの楽曲は以下の通りです。
シーズン | ショートプログラム | フリースケーティング |
---|---|---|
2008-2009 | Jalousie Tango 作曲:ヤコブ・ゲーゼ | 高慢と偏見 作曲:カール・デイヴィス |
2007-2008 | Ca va 作曲:ロジャー・ウォーターズ | Les Retrouvailles 作曲:ヤン・ティルセン |
2006-2007 | Preludium and Allegro on a theme of Paganini 作曲:フリッツ・クライスラー | Rain 作曲:坂本龍一 |
5. 主な戦績
ステファニア・ベルトンが参加した国内外の主要大会における競技成績を、以下の表にまとめます。
5.1. ペア成績
オンドレイ・ホタレックとのペアスケーティング選手として出場した全ての主要国際大会および国内大会の成績は以下の通りです。
大会/年 | 2009-10 | 2010-11 | 2011-12 | 2012-13 | 2013-14 |
---|---|---|---|---|---|
冬季オリンピック | - | - | - | - | 11位 |
世界選手権 | 11位 149.78点 SP:11位 54.58点 FS:11位 95.20点 | 10位 157.15点 SP:9位 57.63点 FS:11位 99.52点 | 11位 168.16点 SP:9位 60.39点 FS:11位 107.77点 | 10位 171.77点 SP:9位 59.07点 FS:10位 112.70点 | 9位 184.28点 SP:10位 62.73点 FS:7位 121.55点 |
ヨーロッパ選手権 | - | 5位 164.83点 SP:4位 60.08点 FS:5位 104.75点 | 4位 158.99点 SP:4位 54.38点 FS:4位 104.61点 | 3位 187.45点 SP:3位 64.28点 FS:3位 123.17点 | 4位 195.61点 SP:5位 69.22点 FS:4位 126.39点 |
世界国別対抗戦 | - | - | 5位 158.74点 SP:3位 59.28点 FS:5位 99.46点 | - | - |
イタリア選手権 | 2位 158.46点 SP:2位 56.90点 FS:1位 101.56点 | 1位 161.82点 SP:1位 54.94点 FS:1位 106.88点 | 1位 181.08点 SP:1位 62.48点 FS:1位 118.60点 | 1位 194.78点 SP:1位 65.84点 FS:1位 128.94点 | 1位 203.43点 SP:1位 70.64点 FS:1位 132.79点 |
GPスケートカナダ | - | - | - | 3位 172.03点 SP:3位 59.79点 FS:3位 112.24点 | 1位 193.92点 SP:2位 69.38点 FS:2位 124.54点 |
GPスケートアメリカ | - | - | - | - | 5位 180.27点 SP:4位 63.85点 FS:5位 116.42点 |
GPエリック杯 | - | - | - | 3位 169.49点 SP:4位 57.30点 FS:5位 112.19点 | - |
GPロステレコム杯 | - | 6位 150.85点 SP:7位 49.78点 FS:6位 101.07点 | 3位 168.02点 SP:3位 60.13点 FS:3位 107.89点 | - | - |
GPNHK杯 | - | - | 4位 163.83点 SP:3位 56.23点 FS:5位 107.60点 | - | - |
メラーノ杯 | - | - | - | - | 1位 192.69点 SP:1位 67.11点 FS:1位 125.58点 |
ロンバルディア杯 | - | - | - | - | 1位 187.97点 SP:1位 67.89点 FS:1位 120.08点 |
ネペラ記念 | - | - | 2位 163.83点 SP:3位 54.68点 FS:2位 109.15点 | 2位 137.12点 SP:1位 49.28点 FS:2位 87.84点 | - |
NRW杯 | 2位 147.43点 SP:2位 53.57点 FS:1位 93.86点 | 1位 153.91点 SP:1位 55.17点 FS:1位 98.74点 | - | 2位 178.64点 SP:3位 58.85点 FS:2位 119.79点 | - |
ニース杯 | - | - | 1位 167.86点 SP:1位 57.64点 FS:2位 110.22点 | - | - |
ネーベルホルン杯 | - | 2位 155.21点 SP:2位 54.20点 FS:2位 101.01点 | - | - | - |
アイスチャレンジ | 3位 151.77点 SP:3位 53.15点 FS:2位 98.62点 | - | - | - | - |
オリンピック団体戦 | - | - | - | - | 4位 |
5.2. シングル成績
シングルスケーティング選手として出場した全ての主要国際大会および国内大会の成績は以下の通りです。
大会/年 | 2004-05 | 2005-06 | 2006-07 | 2007-08 | 2008-09 |
---|---|---|---|---|---|
ヨーロッパ選手権 | - | - | - | 13位 130.59点 SP:13位 46.84点 FS:12位 83.75点 | 16位 118.97点 SP:18位 41.94点 FS:16位 77.03点 |
イタリア選手権 | 1位 J. | 4位 116.08点 SP:3位 42.86点 FS:4位 73.22点 | 2位 139.47点 SP:2位 55.43点 FS:2位 84.04点 | 2位 126.67点 SP:1位 49.00点 FS:2位 77.21点 | 3位 141.11点 SP:2位 54.47点 FS:3位 86.64点 |
クリスタルスケート | - | - | - | - | 1位 127.98点 SP:1位 52.24点 FS:2位 75.74点 |
ニース杯 | - | - | - | - | 3位 125.80点 SP:2位 45.38点 FS:4位 80.42点 |
世界ジュニア選手権 | - | - | 10位 126.06点 SP:8位 45.30点 FS:10位 80.76点 | 13位 115.21点 SP:15位 44.62点 FS:13位 70.59点 | - |
JGPファイナル | - | - | 6位 124.38点 SP:4位 45.19点 FS:6位 79.19点 | - | - |
JGPチェコスケート | - | - | - | - | 3位 134.90点 SP:1位 52.75点 FS:4位 82.15点 |
JGPジョン・カリー記念 | - | - | - | 7位 111.53点 SP:4位 45.24点 FS:10位 66.29点 | - |
JGPソフィア杯 | - | - | - | 6位 107.65点 SP:7位 37.36点 FS:5位 70.29点 | - |
JGPスピンオブノルウェー | - | - | 2位 111.97点 SP:4位 42.68点 FS:5位 69.29点 | - | - |
JGPクロアチア杯 | - | 12位 92.69点 SP:9位 37.04点 FS:14位 55.65点 | - | - | - |
JGPタリン杯 | - | 9位 102.42点 SP:11位 36.41点 FS:10位 66.01点 | - | - | - |
JGPハルギタ杯 | 17位 80.90点 SP:21位 26.62点 FS:13位 54.28点 | - | - | - | - |
JGPクールシュヴェル | 12位 103.16点 SP:14位 37.78点 FS:10位 65.38点 | - | 3位 111.52点 SP:5位 36.89点 FS:3位 74.63点 | - | 4位 114.81点 SP:5位 42.19点 FS:5位 72.62点 |
ガルデナスプリング杯 | - | 5位 J. | - | - | - |
トリグラフ杯 | 5位 J. | - | - | - | - |
メラーノ杯 | 1位 J. | - | - | - | - |