1. 幼少期とキャリアの始まり
ベフルジ・ホジャゾダは1995年1月11日にタジキスタンの首都ドゥシャンベで生まれた。彼の幼少期の詳細やスポーツを始めた具体的な経緯については限られた情報しかないが、早くから複数の格闘技に才能を示し、後に国際的な舞台で活躍する基礎を築いた。
2. スポーツキャリア
ホジャゾダは柔道、サンボ、クラッシュの3つの格闘技において国際レベルで活躍する、多才な選手である。
2.1. 柔道
ホジャゾダは主に73kg級で競技し、数々の国際大会でその実力を示した。
2017年にはアジア柔道選手権大会で7位に入賞。2018年のアジア競技大会でも73kg級で7位となった。同年には世界柔道選手権大会に出場し、4回戦でアゼルバイジャンのヒダヤト・ヘイダロフに敗れた。
2019年に入ると、グランドスラム・エカテリンブルグで3位となり、タジキスタン選手として初めてグランドスラム大会でのメダル獲得という歴史的な快挙を達成した。同年には世界柔道選手権大会で5位に入賞し、グランプリ・タシュケントでは2位の成績を収めた。
2023年には地元ドゥシャンベで開催されたグランプリ・ドゥシャンベで2位、さらにブダペストで行われたワールドマスターズでも2位となるなど、一貫して好成績を維持した。また、2022年に開催が延期されたアジア競技大会(2023年杭州開催)では3位に入賞した。
2024年には、自身の名を冠したグランドスラム・ドゥシャンベで2位となり、同年のパリ2024オリンピックにも出場したが、ラウンド32で敗退した。
2.2. サンボ
ホジャゾダは主に74kg級でサンボの競技にも取り組んでおり、柔道と並行して目覚ましい成果を残している。
2017年にはソチで開催された世界サンボ選手権74kg級で優勝し、世界チャンピオンの栄冠を手にした。同年にはタシュケントで行われたアジアサンボ選手権68kg級でも優勝している。また、アシュガバートで開催されたアジア室内競技大会のサンボ74kg級でも金メダルを獲得した。
翌2018年にはブカレストでの世界サンボ選手権74kg級で3位に入賞した。
2.3. クラッシュ
クラッシュにおいてもホジャゾダは国際的な実績を誇る。
2017年のアシュガバートで開催されたアジア室内競技大会ではクラッシュ73kg級で銀メダルを獲得した。
2018年のジャカルタで開催されたアジア競技大会では、クラッシュ81kg級で銀メダルに輝いた。
2.4. 複数競技への参加とIJF規定
ベフルジ・ホジャゾダのキャリアにおける特筆すべき点は、柔道以外の格闘技であるサンボやクラッシュの国際大会にも同時に参加し、優れた成績を収めていることである。しかし、この活動は国際柔道連盟 (IJF)が定める規定と関連して議論の対象となった。
IJFは2015年以降、カデ、ジュニア、シニアのいずれのカテゴリにおいても、世界ランキング入りしている全ての柔道選手に対し、IJFの許可を得ずに他の格闘技の国際大会に参加することを禁じる方針を打ち出した。これは、柔道という競技の独立性と選手の集中を保つことを目的とした規制であるとされている。
この規定の適用に関して、ジョージアの柔道家グラム・ツシシビリのケースが注目された。ツシシビリはカザフスタンのレスリングとして知られるクレシュの世界選手権に、IJFからの度重なる警告にもかかわらず出場を続けたため、2019年3月に2ヶ月間の出場停止処分を受けた。
一方、ホジャゾダもこの規定に抵触する可能性のある活動を行っていた。2018年のサンボ世界選手権でメダルを獲得した108名の選手のうち、ホジャゾダを含む20名が2016年以降もIJFワールド柔道ツアーや大陸連盟主催のコンチネンタルオープンに出場していたことが判明している。さらに、ホジャゾダを含む10名は、2018年以降も引き続きIJFワールド柔道ツアーに出場していた。しかし、彼らはツシシビリとは異なり、IJFから処分を受けることはなかった。彼らがIJFの許可を得て他の競技大会に出場していたかどうかは明らかになっていない。この事例は、IJFの規約適用における公平性や透明性について、疑問を呈する声も生じさせた。
3. 主要国際大会での成績
ホジャゾダは柔道、サンボ、クラッシュの各競技で国際的に顕著な成績を収めている。
3.1. 柔道の主な成績
柔道における主な国際大会での成績は以下の通りである。
開催年 | 大会名 | 階級 | 成績 |
---|---|---|---|
2017年 | アジア柔道選手権大会 | 73kg級 | 7位 |
2018年 | アジア競技大会 | 73kg級 | 7位 |
2019年 | グランプリ・テルアビブ | 73kg級 | 5位 |
2019年 | グランドスラム・エカテリンブルグ | 73kg級 | 3位 |
2019年 | 世界柔道選手権大会 | 73kg級 | 5位 |
2019年 | グランプリ・タシュケント | 73kg級 | 2位 |
2023年 | グランプリ・ドゥシャンベ | 73kg級 | 2位 |
2023年 | ワールドマスターズ | 73kg級 | 2位 |
2023年 | アジア競技大会 | 73kg級 | 3位 |
2024年 | グランドスラム・ドゥシャンベ | 73kg級 | 2位 |
2024年 | パリ2024オリンピック | 73kg級 | ラウンド32 |
3.2. サンボの主な成績
サンボにおける主な国際大会での成績は以下の通りである。
開催年 | 大会名 | 階級 | 成績 |
---|---|---|---|
2017年 | 世界サンボ選手権 | 74kg級 | 優勝 |
2017年 | アジア室内競技大会 | 74kg級 | 優勝 |
2017年 | アジアサンボ選手権 | 68kg級 | 優勝 |
2018年 | 世界サンボ選手権 | 74kg級 | 3位 |
3.3. クラッシュの主な成績
クラッシュにおける主な国際大会での成績は以下の通りである。
開催年 | 大会名 | 階級 | 成績 |
---|---|---|---|
2017年 | アジア室内競技大会 | 73kg級 | 2位 |
2018年 | アジア競技大会 | 81kg級 | 2位 |
4. 世界ランキング
国際柔道連盟 (IJF)におけるベフルジ・ホジャゾダの柔道世界ランキングは、2024年5月6日時点で1908ポイントを獲得し、23位となっている。