1. 概要
梁敞涉(ヤン・チャンソプ、양창섭ヤン・チャンソプ韓国語、1999年9月22日 - )は、韓国のソウル特別市出身の野球選手。KBOリーグのサムスン・ライオンズに所属する投手である。幼少期からその才能を発揮し、高校時代にはチームを全国大会優勝に導くなど、アマチュア野球界のエースとして活躍。2018年にプロ入り後、KBOリーグ史上最年少でのデビュー戦勝利を記録するなど目覚ましいスタートを切ったが、負傷や兵役義務の履行を経て、現在は復帰に向けて活動している。
2. 幼少期
梁敞涉は1999年9月22日にソウル特別市で生まれた。幼少期から野球に親しみ、蘆原区リトル野球チームでプレー。この頃、国家代表にも選出され、日韓戦で先発投手として活躍した。
2.1. 生い立ちと学生時代
彼はソウル緑川小学校を卒業後、ソウル清涼中学校に進学。清涼中学校ではチームのエースとして活躍し、その才能を際立たせた。その後、徳寿高等学校に入学した。高校1年生の時は多くの試合に出場することはなかったものの、2年生からはチームのエースとして、また全国的なエースとして認められる存在となった。
3. アマチュア時代
梁敞涉はプロ入り前、高校野球と青少年国家代表としての活動を通じて、その実力を国内外に示し、プロからの注目を集めた。
3.1. 高校野球での活躍
徳寿高等学校2年生時には、チームを黄金獅子旗全国高校野球大会と青龍旗全国高校野球選手権大会で優勝に導いた。この活躍により、彼は全国区のエースとしての地位を確立した。3年生のシーズンも引き続きチームのエースとして活躍し、黄金獅子旗全国高校野球大会での優勝に貢献した。この大会では、疲労蓄積を考慮し、その後の試合では多くの登板は行わなかった。
3.2. 青少年代表
梁敞涉は高校2年生の時に青少年国家代表に選出され、国際舞台で活躍した。2016年のアジア青少年野球選手権大会と2017年の第28回世界青少年野球選手権大会では、韓国代表のエースとして目覚ましい活躍を見せ、その投球でチームを牽引した。これらの国際大会での彼の活躍は、プロのスカウト陣から高い評価を受ける要因となり、新人ドラフトでの全体2位指名へとつながった。
4. プロ経歴
梁敞涉は2018年にKBOリーグのサムスン・ライオンズに入団。華々しいデビューを飾ったが、その後のキャリアは負傷と兵役義務の履行により中断を余儀なくされた。
4.1. KBOリーグドラフトと入団
2018年のKBOリーグ新人ドラフトにおいて、梁敞涉は2次ドラフト1巡目(全体2位)でサムスン・ライオンズから指名を受けた。契約金は2.60 億 KRW、年俸は2700.00 万 KRWで契約を締結し、プロ野球選手としての第一歩を踏み出した。
4.2. 2018年シーズンデビューと活躍
プロ入り後、梁敞涉は新人ながら2018年シーズンのスプリングキャンプに崔采興や金泰佑といった選手たちと共に参加した。当初、彼は高校卒業直後のルーキーであるためブルペンでの起用が予定されていたが、スプリングキャンプ期間中に先発候補の崔采興が6イニング14失点と不調だったのに対し、梁敞涉は7イニング1失点、防御率0の好投を見せ、急遽5番目の先発候補として注目されるようになった。
同年3月13日のKTウィズとのオープン戦開幕戦では先発登板し、4イニングを投げて4四球3奪三振を記録。特に高校時代のライバルであり、注目されていた新人姜白虎との対決では強い投球を見せた。オープン戦での活躍が評価され、開幕時には4番目の先発投手として起用されることが決定した。
2018年3月28日、起亜タイガース戦に先発登板し、プロデビュー戦を飾った。この試合で彼は6イニング無失点のQSを達成し、プロ初勝利を挙げた。これはKBOリーグ史上6人目の高卒新人によるデビュー戦先発勝利であり、満18歳6ヶ月6日での達成は、史上最年少デビュー戦先発勝利記録となった。起亜タイガース戦での好投から、ファンの間では「ギナッセン」(기나쌩、キア(KIA)に強いという意味)という愛称で呼ばれるようになった。シーズン後半にはブルペンとしても登板し、チームに貢献した。
4.3. 負傷とリハビリ
2019年のスプリングキャンプ期間中、梁敞涉は肘の痛みを訴え、精密検査を受けた。その結果、同年3月12日にトミー・ジョン手術と肘の骨片除去手術を受けることになり、2019年シーズンは全休となった。この手術と長期にわたるリハビリ期間は、彼の選手キャリアにとって大きな試練となった。
4.4. 兵役義務の履行
梁敞涉は大韓民国の兵役法に基づき、2023年8月1日に常勤予備役として入隊した。プロ野球選手としてのキャリアを一時中断し、兵役義務を履行している。
4.5. その後のシーズン活動
負傷からの回復と軍服務を終えた後、梁敞涉はプロ野球に復帰することを目指している。2020年以降、彼は限られた試合数ながらもマウンドに上がり、復帰への道を模索している。特に2020年には防御率2.70を記録するなど、ブランクがありながらも能力の高さを見せている。
5. 通算成績
梁敞涉のKBOリーグレギュラーシーズンにおける年度別および通算の成績は以下の通りである。
| 年 | チーム名 | 防御率 | 試合 | 完投 | 完封 | 勝 | 敗 | セーブ | ホールド | 勝率 | 打者 | 投球イニング | 被安打 | 被本塁打 | 四球 | 死球 | 奪三振 | 失点 | 自責点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | サムスン | 5.05 | 19 | 0 | 0 | 7 | 6 | 0 | 0 | 0.538 | 400 | 87⅓ | 100 | 12 | 34 | 10 | 49 | 52 | 49 |
| 2020 | 2.70 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 29 | 6⅔ | 6 | 1 | 3 | 0 | 4 | 2 | 2 | |
| 2021 | 6.60 | 6 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0.400 | 73 | 15 | 21 | 3 | 8 | 0 | 13 | 11 | 11 | |
| 2022 | 9.82 | 2 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 0 | - | 96 | 20⅓ | 24 | 3 | 12 | 1 | 10 | 19 | 19 | |
| 2023 | 9.10 | 15 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0.000 | 141 | 28⅔ | 45 | 7 | 16 | 1 | 12 | 29 | 29 | |
| 通算 | 5シーズン | 6.27 | 56 | 0 | 0 | 10 | 13 | 0 | 3 | 0.476 | 739 | 158 | 196 | 26 | 85 | 12 | 88 | 113 | 110 |
6. プレースタイルと評価
梁敞涉は高校時代から「全国区のエース」と称されるなど、その投球能力は高く評価されてきた。特に、デビュー戦でのQS達成と最年少勝利は、彼がプロレベルで通用する実力を持っていることを証明した。負傷による長期離脱を経験したが、復帰後もそのポテンシャルは高く評価されており、今後の活躍が期待される選手である。
7. 受賞歴
梁敞涉はアマチュア時代から数々の賞を受賞しており、その才能が早くから認められていた。
- 2014年 全国中学野球選手権大会 最優秀選手賞
- 2016年 黄金獅子旗全国高校野球大会 兼 週末リーグ王中王戦 最優秀選手賞
- 2016年 青龍旗全国高校野球選手権大会 兼 週末リーグ王中王戦 優秀投手賞
- 2017年 黄金獅子旗全国高校野球大会 兼 週末リーグ王中王戦 最優秀選手賞(黄金獅子旗史上2人目の2年連続最優秀選手賞受賞)