1. 概要
ラース・シュティンドルは、1988年8月26日に西ドイツのシュパイアーで生まれたドイツの元プロサッカー選手である。主に攻撃的ミッドフィールダーやフォワードとして活躍し、カールスルーエSC、ハノーファー96、ボルシア・メンヒェングラートバッハでキャリアを築いた。2017年にはドイツ代表としてFIFAコンフェデレーションズカップ2017で優勝を果たし、同大会の得点王にも輝いた。2024年にプロサッカー選手としてのキャリアを終え、現役を引退した。
2. クラブキャリア
ラース・シュティンドルは、ドイツ国内の複数のクラブでそのキャリアを築き、特にハノーファー96とボルシア・メンヒェングラートバッハではキャプテンを務めるなど、リーダーシップを発揮した。
2.1. ユースキャリアと初期の経歴
シュティンドルは1991年にTSVヴィーゼンタールでサッカーを始め、2000年にはカールスルーエSCのユースチームに加入した。カールスルーエSCのユースでは2007年までプレーし、プロとしての基盤を築いた。
2.2. カールスルーエSC
2007年にカールスルーエSCのトップチームに昇格し、プロとしてのキャリアをスタートさせた。2008年3月15日にはブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルト戦で81分に途中出場し、プロデビューを果たした。この試合は1-0で敗れた。同年11月29日にはハノーファー96戦でブンデスリーガ初得点を記録した。
2010年2月にはカールスルーエSCを退団する意向を表明した。カールスルーエSCのセカンドチームでは49試合に出場し11得点を挙げ、トップチームでは56試合に出場し13得点を記録した。
2.3. ハノーファー96
2010年3月16日、シュティンドルのハノーファー96への移籍が正式に決定した。ハノーファーでは2014-2015シーズンにチームのキャプテンを務め、中心選手として活躍した。
彼の在籍中、ハノーファー96は2010-11シーズンにブンデスリーガで4位という好成績を収め、2011-12シーズンにはUEFAヨーロッパリーグでベスト8に進出した。ハノーファー96ではリーグ戦131試合に出場し19得点、公式戦通算161試合に出場し26得点を記録した。
2.4. ボルシア・メンヒェングラートバッハ
2015年3月25日、シュティンドルは2015-16シーズンからボルシア・メンヒェングラートバッハへ移籍することが発表された。新天地での競争デビューは2015年8月8日のDFBポカール1回戦、FCザンクトパウリ戦で、この試合で2得点を挙げる活躍を見せた。
2016年8月1日には、前キャプテンのマルティン・シュトランツルの引退と、副キャプテンであったグラニト・ジャカの移籍に伴い、ボルシアMGの新キャプテンに就任した。
彼はボルシアMGで印象的なパフォーマンスを披露し、2017年2月23日にはUEFAヨーロッパリーグのACFフィオレンティーナ戦でハットトリックを達成し、アウェイでの3-0の劣勢を覆してチームをラウンド16進出に導いた。また、2020年12月15日にはブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルト戦でハットトリックを記録し、そのうち2得点は90分以降に生まれた。
ボルシアMGでの主な功績には、2015-16シーズンと2019-20シーズンにブンデスリーガで4位、2016-17シーズンにDFBポカールでベスト4、2016-17シーズンにUEFAヨーロッパリーグでベスト16進出などが挙げられる。
2023年4月、8年間在籍したボルシアMGとの契約が満了し、シーズン終了後に退団することが発表された。ボルシアMGではリーグ戦222試合に出場し62得点、公式戦通算271試合に出場し83得点を挙げた。
2.5. カールスルーエSCへの復帰
2023年4月28日、シュティンドルはプロキャリアをスタートさせた古巣のカールスルーエSCへ復帰することを発表した。復帰後初得点は2023年8月11日、DFBポカールの1.FCザールブリュッケン戦で記録したが、チームは惜敗し大会を去ることとなった。カールスルーエSCへの復帰後、リーグ戦で24試合に出場し4得点を挙げた。
3. 代表キャリア
ラース・シュティンドルは、ドイツのユース年代別代表を経て、A代表でも重要な役割を果たし、国際舞台で輝かしい功績を残した。
3.1. ユース代表チーム
シュティンドルは、ドイツのユース年代別代表としてもプレーした経験を持つ。2007年にはU-20ドイツ代表として3試合に出場。2009年にはU-21ドイツ代表で1試合に出場している。
3.2. トップチーム代表
2017年5月、シュティンドルはロシアで開催されるFIFAコンフェデレーションズカップ2017のドイツ代表メンバーに初招集された。同年6月6日に行われたデンマーク代表との親善試合でA代表デビューを果たし、フル出場した。
FIFAコンフェデレーションズカップ2017のグループステージ初戦、オーストラリア代表戦では、試合開始5分にA代表初得点を記録した。その3日後のチリ代表戦でも2得点目を挙げ、1-1の引き分けに貢献した。

そして、2017年7月2日に行われた大会決勝のチリ代表戦では、唯一の得点を挙げ、ドイツのFIFAコンフェデレーションズカップ初優勝に大きく貢献した。この大会で3得点を挙げたシュティンドルは、レオン・ゴレツカ、ティモ・ヴェルナーと共に大会の得点王に輝き、またゴレツカと共にシルバーブーツ賞を受賞した。
2017年11月14日に行われたフランス代表との親善試合では、ドイツが1-2でリードを許す中、90分に劇的な同点ゴールを決め、ドイツの2017年無敗記録を維持した。彼のA代表での最後の試合は、2018年3月に行われたブラジル代表戦(0-1で敗北)であった。ドイツA代表としては、2017年から2018年にかけて通算11試合に出場し4得点を記録した。
4. キャリア統計
ラース・シュティンドルのプロキャリアにおけるクラブおよび代表での出場試合数と得点記録は以下の通りである。
クラブ | シーズン | リーグ | DFBポカール | ヨーロッパ | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
カールスルーエSC II | 2006-07 | レギオナルリーガ・ズート | 12 | 2 | - | - | 12 | 2 | ||
2007-08 | レギオナルリーガ・ズート | 26 | 4 | - | - | 26 | 4 | |||
2008-09 | レギオナルリーガ・ズート | 10 | 5 | - | - | 10 | 5 | |||
2009-10 | レギオナルリーガ・ズート | 1 | 0 | - | - | 1 | 0 | |||
合計 | 49 | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 49 | 11 | ||
カールスルーエSC | 2007-08 | ブンデスリーガ | 2 | 0 | 0 | 0 | - | 2 | 0 | |
2008-09 | ブンデスリーガ | 21 | 4 | 1 | 0 | - | 22 | 4 | ||
2009-10 | 2. ブンデスリーガ | 33 | 9 | 2 | 0 | - | 35 | 9 | ||
合計 | 56 | 13 | 3 | 0 | 0 | 0 | 59 | 13 | ||
ハノーファー96 | 2010-11 | ブンデスリーガ | 33 | 2 | 1 | 0 | - | 34 | 2 | |
2011-12 | ブンデスリーガ | 28 | 2 | 2 | 2 | 13 | 2 | 43 | 6 | |
2012-13 | ブンデスリーガ | 18 | 2 | 2 | 0 | 9 | 2 | 29 | 4 | |
2013-14 | ブンデスリーガ | 31 | 3 | 2 | 0 | - | 33 | 3 | ||
2014-15 | ブンデスリーガ | 21 | 10 | 1 | 1 | - | 22 | 11 | ||
合計 | 131 | 19 | 8 | 3 | 22 | 4 | 161 | 26 | ||
ボルシア・メンヒェングラートバッハ | 2015-16 | ブンデスリーガ | 30 | 7 | 3 | 4 | 6 | 3 | 39 | 14 |
2016-17 | ブンデスリーガ | 30 | 11 | 4 | 2 | 10 | 5 | 44 | 18 | |
2017-18 | ブンデスリーガ | 31 | 6 | 3 | 0 | - | 34 | 6 | ||
2018-19 | ブンデスリーガ | 21 | 3 | 1 | 0 | - | 22 | 3 | ||
2019-20 | ブンデスリーガ | 25 | 9 | 1 | 0 | 4 | 2 | 30 | 11 | |
2020-21 | ブンデスリーガ | 30 | 14 | 4 | 1 | 8 | 2 | 42 | 17 | |
2021-22 | ブンデスリーガ | 26 | 4 | 3 | 1 | - | 29 | 5 | ||
2022-23 | ブンデスリーガ | 29 | 8 | 2 | 1 | - | 31 | 9 | ||
合計 | 222 | 62 | 21 | 9 | 28 | 12 | 271 | 83 | ||
カールスルーエSC | 2023-24 | 2. ブンデスリーガ | 24 | 4 | 1 | 1 | - | 25 | 5 | |
キャリア合計 | 482 | 109 | 33 | 13 | 50 | 16 | 565 | 138 |
代表チーム | 年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|---|
ドイツ代表 | 2017 | 10 | 4 |
2018 | 1 | 0 | |
合計 | 11 | 4 |
:得点と結果はドイツの得点を先に示し、得点欄はシュティンドルの各得点後のスコアを示す。
# | 開催日 | 開催地 | 対戦国 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2017年6月19日 | フィシュト・オリンピックスタジアム、ソチ、ロシア | オーストラリア | 1-0 | 3-2 | 2017 FIFAコンフェデレーションズカップ |
2 | 2017年6月22日 | カザン・アリーナ、カザン、ロシア | チリ | 1-1 | 1-1 | 2017 FIFAコンフェデレーションズカップ |
3 | 2017年7月2日 | サンクトペテルブルク・スタジアム、サンクトペテルブルク、ロシア | チリ | 1-0 | 1-0 | 2017 FIFAコンフェデレーションズカップ決勝 |
4 | 2017年11月14日 | ラインエネルギーシュタディオン、ケルン、ドイツ | フランス | 2-2 | 2-2 | 親善試合 |
5. 受賞歴と功績
ラース・シュティンドルは、そのキャリアを通じてチームと個人で数々の栄誉を獲得した。
5.1. クラブ別主な成績
- ハノーファー96**
- ブンデスリーガ: 4位 (2010-11)
- UEFAヨーロッパリーグ: ベスト8 (2011-12)
- ボルシア・メンヒェングラートバッハ**
- ブンデスリーガ: 4位 (2015-16, 2019-20)
- DFBポカール: ベスト4 (2016-17)
- UEFAヨーロッパリーグ: ベスト16 (2016-17)
5.2. 代表チーム主な成績
- ドイツ代表**
- FIFAコンフェデレーションズカップ: 優勝 (2017)
5.3. 個人受賞
- FIFAコンフェデレーションズカップ・シルバーブーツ: 2017
- FIFAコンフェデレーションズカップ得点王: 2017 (レオン・ゴレツカ、ティモ・ヴェルナーと共同)
- FIFAコンフェデレーションズカップ・シルバーボール: 2017 (レオン・ゴレツカと共同)
- FIFAコンフェデレーションズカップフェアプレー賞: 2017
- ブンデスリーガ月間最優秀選手: 2020年12月
6. 引退
2024年3月28日、ラース・シュティンドルは2023-24シーズン終了後にプロサッカー選手としての現役を引退することを正式に表明した。彼はドイツの1部リーグと2部リーグで合計430試合以上に出場し、長きにわたる輝かしいキャリアを終えた。