1. 概要
ロベルト・トリチェラ(Roberto Tricellaロベルト・トリチェッライタリア語、1959年3月18日生まれ)は、イタリア出身の元サッカー選手であり、主にディフェンダーとして、特にスイーパーの役割を担いました。彼のキャリアは、インテル・ミラノ、エラス・ヴェローナ、ユヴェントス、そしてボローニャといったイタリアの著名なクラブでの活躍で特徴付けられます。特に、エラス・ヴェローナではキャプテンとして、クラブ史上唯一となるセリエA優勝(1984-85シーズン)という歴史的な偉業を成し遂げました。また、ユヴェントスではコッパ・イタリアとUEFAカップの同時優勝(1989-90シーズン)を経験しています。国際舞台では、イタリア代表として11試合に出場し、1984年ロサンゼルスオリンピックと1986 FIFAワールドカップに参加しました。
2. 幼少期
2.1. 出生と背景
ロベルト・トリチェラは1959年3月18日に、ミラノ近郊のチェルヌスコ・スル・ナヴィーリオで生まれました。彼の幼少期の詳細や家族関係については、公開されている情報には限りがあります。
3. 選手キャリア
ロベルト・トリチェラのサッカー選手としてのキャリアは、1977年から1992年までの15年間にわたり、イタリア国内のトップクラブで輝かしい功績を残しました。
3.1. クラブキャリア
ロベルト・トリチェラは、複数のイタリアのクラブでプレーし、それぞれのチームで重要な役割を果たしました。
3.1.1. インテル・ミラノ
トリチェラは1977年から1979年までインテル・ミラノに所属しました。この期間にセリエAでのデビューを果たし、1977-78シーズンにはコッパ・イタリアのタイトルを獲得しました。インテルでの出場は5試合で、得点はありませんでした。
3.1.2. エラス・ヴェローナ
1979年にセリエBに所属していたエラス・ヴェローナへ移籍し、1987年まで8年間在籍しました。このクラブで彼はそのキャリアの絶頂期を迎えました。1984-85シーズンには、オスバルド・バニョーリ監督が率いるチームでキャプテンを務め、クラブ史上唯一となるセリエA優勝という歴史的な偉業に貢献しました。この優勝は、当時のイタリアサッカー界に大きな衝撃を与えました。トリチェラはヴェローナでリーグ戦255試合に出場し、3得点を記録しています。当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が彼に「こんなに若いのにすでにキャプテンなのか?」と尋ねたという逸話が残っています。
3.1.3. ユヴェントス
1987年、トリチェラはユヴェントスに移籍し、1990年まで3年間プレーしました。彼はクラブのレジェンドであるガエターノ・シレアの後任として期待され、このチームに加入しました。1989-90シーズンには短期間ながらクラブのキャプテンを務め、ディノ・ゾフ監督の下でコッパ・イタリアとUEFAカップの2冠達成に貢献しました。ユヴェントスではリーグ戦80試合に出場し、2得点を挙げました。
3.1.4. ボローニャ
ユヴェントスを離れた後、トリチェラは1990年から1992年までボローニャに所属しました。ボローニャでの彼はリーグ戦23試合に出場し、得点はありませんでした。この期間を最後に現役を引退しました。
3.2. 代表キャリア
トリチェラは1984年から1987年にかけてイタリア代表として11試合に出場しました。
1986 FIFAワールドカップでは、エンツォ・ベアールツォット監督が率いる代表チームの一員として選出されましたが、主にガエターノ・シレアの控えスイーパーであったため、本大会での出場機会はありませんでした。ベアールツォット監督の後任であるアツェリオ・ビチーニ監督の時代においても、フランコ・バレージの存在が大きく、出場機会は限られていました。
また、トリチェラは1984年ロサンゼルスオリンピックにイタリア代表として参加し、チームは準決勝で敗れた後、最終的に4位という成績を収めました。
4. プレースタイル
ロベルト・トリチェラは、そのキャリアを通じて主にスイーパーとして起用されましたが、センターバックとしてもプレー可能な汎用性を持っていました。彼は粘り強くも紳士的なディフェンダーとして知られ、タックルのタイミングの良さや、機動力を生かした1対1の守備能力に優れていました。
また、ボールを奪取した後に、その戦術的知性、広範囲なパス能力、そしてエレガンスなボール捌きを活かして、素早く攻撃を組み立てることができました。従来の、単にボールをクリアすることに重点を置くスイーパーとは異なり、トリチェラはボールを持って積極的に前進し、長いパスを用いてカウンター攻撃を仕掛けるなど、より現代的なスイーパーの役割を体現していました。この革新的なプレースタイルは、彼を同時代の選手たちの中で際立たせる要因となりました。
5. 獲得タイトル
ロベルト・トリチェラが選手として獲得した主なタイトルは以下の通りです。
- インテル・ミラノ
- コッパ・イタリア: 1977-78
- エラス・ヴェローナ
- セリエB: 1981-82
- セリエA: 1984-85
- ユヴェントス
- コッパ・イタリア: 1989-90
- UEFAカップ: 1989-90
6. 引退後の生活
ロベルト・トリチェラは1992年に選手としてのキャリアを引退しましたが、それ以降の彼の生活や活動に関する具体的な情報は、公にはほとんど知られていません。