1. 初期生い立ちおよびユース経歴
初瀬亮は1997年7月10日に大阪府岸和田市で生まれた。幼少期には、地元の伝統的な祭りであるだんじり祭に専念するか、ガンバ大阪のアカデミーに所属するか迷った末、サッカーの道を選んだ。
彼は2006年から2009年までアンドリュースFCでプレーした後、2010年にガンバ大阪ジュニアユースに加入した。ジュニアユース加入当初は中盤の選手だったが、中学1年生の夏に左サイドバックへと転向した。このポジション転向が彼のその後のキャリアに大きな影響を与えた。ガンバ大阪ジュニアユースでは、2012年に関西サンライズリーグ、JFAプレミアカップ、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯 JFA 全日本U-15サッカー選手権大会を制し、史上初のU-15年代全国3冠を達成する快挙に貢献した。
2013年から2015年にかけてはガンバ大阪ユース(追手門学院高等学校在学中)でプレー。2015年には高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグで優勝を経験した。同年にはガンバ大阪の2種登録選手としてトップチームに帯同し、天皇杯の準決勝と決勝でベンチ入りを果たすなど、プロの舞台を経験した。2015年11月24日、2016年シーズンからのトップチーム昇格が内定し、同期には高木彰人、市丸瑞希、堂安律らがいた。
2. クラブ経歴
初瀬亮は、ガンバ大阪でプロキャリアをスタートさせ、その後ヴィッセル神戸、アビスパ福岡(期限付き移籍)、そしてイングランドのシェフィールド・ウェンズデイFCと国内外のクラブを渡り歩いてきた。各クラブでの彼の功績と主要な出来事は以下の通りである。
2.1. ガンバ大阪
2016年、ユースからトップチームに昇格した初瀬は、市立吹田サッカースタジアムのこけら落としマッチとなった2月14日の「Panasonic Cup」対名古屋グランパス戦で、昇格1年目ながら右サイドバックの先発メンバーに抜擢され、プロデビューを飾った。同年3月6日、J1リーグ第2節のヴァンフォーレ甲府戦でJ1リーグ初出場を果たし、長沢駿の決勝ゴールをアシストした。5月14日には、ACLのメルボルン・ビクトリー戦(第6節)で出場を果たし、プロA契約締結の条件を満たしたことが発表された。プロ1年目はJ1で5試合に出場し、ガンバ大阪U-23としてJ3で15試合に出場した。
2017年2月22日、ACL第1節のアデレード・ユナイテッドFC戦では後半途中から投入され、本職ではないインサイドハーフとしてプレーした。3月5日のJ1第2節柏レイソル戦では今季初の先発出場を果たし、再び長沢駿の得点をアシストした。6月21日、天皇杯2回戦のヴェルスパ大分戦でプロ初得点を記録した。同年10月29日、J1第29節のベガルタ仙台戦ではコーナーキックから長沢駿の得点をアシストし、公式戦4試合連続アシストを達成した。
2.2. ヴィッセル神戸
2019年、初瀬はヴィッセル神戸へ完全移籍した。2月1日、アメリカ遠征中に行われたロサンゼルスFCとのプレシーズンマッチで、直接フリーキックを決め、移籍後初ゴールを挙げた。J1リーグ戦では開幕から左サイドバックのレギュラーとして出場したが、守備面での課題が浮き彫りとなり、左サイドで縦関係を組むルーカス・ポドルスキからしばしば厳しい指導を受けた。夏に酒井高徳が加入したことでポジションを失い、同年9月5日にはJ2のアビスパ福岡へ育成型期限付き移籍することとなった。シーズン終了後、ヴィッセル神戸に復帰した。
2022年4月2日、J1第6節の京都サンガF.C.戦でJ1リーグでの初得点を記録した。2023年シーズンは、左サイドバックのレギュラーポジションを確立し、リーグ戦33試合に出場して1得点8アシストを記録するなど、クラブのJ1リーグ初優勝に大きく貢献した。2024年シーズンもリーグ戦35試合に出場し、ヴィッセル神戸のJ1リーグ連覇に貢献した。また、2024年の天皇杯優勝も経験した。
2.3. アビスパ福岡 (期限付き移籍)
2019年9月5日から同年12月まで、初瀬はヴィッセル神戸からアビスパ福岡へ育成型期限付き移籍で加入した。この期間中、彼はJ2で9試合に出場し、新たな環境で経験を積んだ。
2.4. シェフィールド・ウェンズデイ
2025年2月6日、初瀬亮はイングランドのEFLチャンピオンシップに所属するシェフィールド・ウェンズデイFCへ完全移籍した。同年2月21日、バーンリーとの試合で途中出場し、新天地でのデビューを飾った。
3. 国家代表経歴
初瀬亮は、様々な年代の日本代表に選出され、国際大会での経験を積んできた。
2016年には、AFC U-19選手権2016に出場するU-19日本代表メンバーに選出された。この大会では、準決勝のベトナム戦で左サイドバックとして先発出場し、セットプレーのキッカーとして2得点に絡む活躍を見せ、チームの10年ぶりとなる決勝進出に貢献した。
2017年5月には、2017 FIFA U-20ワールドカップに出場するU-20日本代表に招集され、この大会では主に右サイドバックとして2試合に出場した。同年11月29日には、EAFF E-1フットボールチャンピオンシップ2017に向けた国内組で構成される日本代表に初招集された。
2018年には、U-21日本代表としてAFC U-23選手権、スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)プログラム 南米・日本U-21サッカー交流、トゥーロン国際大会に出場。さらに2018年アジア競技大会にも出場し、チームは銀メダルを獲得した。
4. プレースタイル
初瀬亮は主にディフェンダーのサイドバックとしてプレーする。本職は左サイドバックだが、右サイドバックとしても高いレベルでプレーできる両利きである。彼は元々右利きだが、小学生の頃に中村俊輔に憧れて左足ばかり練習したため、両足を自在に使いこなせるようになった。特にコーナーキックなどのセットプレーでは、左足でボールを蹴ることが多い。精度の高いパスやクロス、そして積極的な攻撃参加が彼の持ち味である。
5. キャリア統計
初瀬亮の各所属クラブにおける公式戦出場記録および得点記録は以下の通り。
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | リーグカップ | 国際大会 | その他 | 合計 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |||
ガンバ大阪 | 2016 | J1 | 5 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0 | |
2017 | J1リーグ | 19 | 0 | 3 | 1 | 2 | 0 | 4 | 0 | - | 28 | 1 | |||
2018 | J1リーグ | 10 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | - | - | 15 | 0 | ||||
合計 | 34 | 0 | 5 | 1 | 7 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 51 | 1 | |||
ガンバ大阪U-23 | 2016 | J3 | 15 | 0 | - | - | - | - | 15 | 0 | |||||
2018 | J3リーグ | 10 | 0 | - | - | - | - | 10 | 0 | ||||||
合計 | 25 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 0 | |||
ヴィッセル神戸 | 2019 | J1リーグ | 17 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | - | - | 18 | 0 | |||
2020 | J1リーグ | 16 | 0 | - | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 21 | 0 | |||
2021 | J1リーグ | 33 | 0 | 3 | 0 | 8 | 0 | - | - | 44 | 0 | ||||
2022 | J1リーグ | 17 | 1 | 4 | 2 | 2 | 0 | 4 | 0 | - | 27 | 3 | |||
2023 | J1リーグ | 33 | 1 | 4 | 0 | 2 | 0 | - | - | 39 | 1 | ||||
2024 | J1リーグ | 35 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | 5 | 0 | 1 | 0 | 47 | 0 | ||
合計 | 151 | 2 | 15 | 2 | 16 | 0 | 13 | 0 | 1 | 0 | 196 | 4 | |||
アビスパ福岡 (期限付き移籍) | 2019 | J2 | 9 | 0 | - | - | - | - | 9 | 0 | |||||
シェフィールド・ウェンズデイ | 2024-25 | チャンピオンシップ | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 2 | 0 | |||
キャリア通算 | 221 | 2 | 20 | 3 | 23 | 0 | 18 | 0 | 1 | 0 | 283 | 5 |
- 国内カップには天皇杯が含まれる。
- リーグカップにはJリーグカップが含まれる。
- その他にはFUJI XEROX SUPER CUPが含まれる。
- Jリーグ初出場 - 2016年3月6日 J1.1st第2節 vsヴァンフォーレ甲府(山梨中銀スタジアム)
- 公式戦初得点 - 2017年6月21日 天皇杯2回戦 vsヴェルスパ大分(市立吹田サッカースタジアム)
- Jリーグ初得点 - 2022年4月2日 J1第6節 vs京都サンガF.C.(ノエビアスタジアム神戸)
6. 優勝記録
初瀬亮がプロキャリアを通じて獲得した主要なタイトルは以下の通り。
6.1. クラブ
;ガンバ大阪ジュニアユース
- 関西サンライズリーグ:3回(2010年、2011年、2012年)
- JFAプレミアカップ:1回(2012年)
- 日本クラブユースサッカー選手権:1回(2012年)
- 高円宮杯 JFA 全日本U-15サッカー選手権大会:1回(2012年)
;ガンバ大阪ユース
- 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ:1回(2015年)
;ガンバ大阪
- 天皇杯:1回(2015年)
;ヴィッセル神戸
- J1リーグ:2回(2023年、2024年)
- 天皇杯:1回(2024年)
- FUJI XEROX SUPER CUP:1回(2020年)
6.2. 代表
;U-19日本代表
- AFC U-19選手権:1回(2016年)
;U-21日本代表
- アジア競技大会:銀メダル(2018年)
7. 関連項目
- 大阪府出身の人物一覧
- ガンバ大阪の選手一覧
- ヴィッセル神戸の選手一覧
- アビスパ福岡の選手一覧
- ヨーロッパのサッカーリーグに所属する日本人選手一覧
8. 外部リンク
- [https://twitter.com/hatsuseryo 初瀬亮 公式Twitter]
- [https://www.instagram.com/hatsuseryo/ 初瀬亮 公式Instagram]
- [https://data.j-league.or.jp/SFIX04/?player_id=15845 Jリーグ公式サイト選手プロフィール]
- [https://int.soccerway.com/players/ryo-hatsuse/396695/ Ryo Hatsuse Soccerway Player Statistics] (英語)
- [https://www.fifa.com/fifa-tournaments/players-coaches/people=403290/index.html FIFA Tournaments - Ryo Hatsuse] (英語)