1. 生涯と学歴
岩崎邦宏は1944年10月5日に大分県で生まれた。学業面では大分県立佐伯鶴城高等学校を卒業後、早稲田大学教育学部に進学し、卒業した。大学在学中から競泳選手として頭角を現し、数々の実績を重ねた。
2. 選手経歴
岩崎邦宏の選手経歴は、高校・大学時代から始まり、二度のオリンピック出場、そしてアジア競技大会での圧倒的な活躍へと続いた。国内主要大会でも数多くのタイトルを獲得し、日本競泳界に大きな足跡を残した。
2.1. 初期
高校時代からその才能は際立っており、1962年の高校総体では、男子100m自由形、200m自由形、400mリレーの3種目で優勝を果たした。
早稲田大学に進学後もその勢いは衰えず、1963年の日本学生選手権水泳競技大会では、100m自由形3位、200m自由形2位、400mリレー優勝、800mリレー優勝という成績を収めた。この頃から、日本を代表するスイマーとして注目されるようになった。
2.2. オリンピック出場
岩崎は2度の夏季オリンピックに出場している。
1964年東京オリンピックには、早稲田大学2年時に出場。男子400mリレーでは4位に入賞を果たし、続く男子800m自由形リレーでは、日本競泳チームにとってこの大会唯一となる銅メダルを獲得した。
1968年メキシコシティーオリンピックにも出場したが、惜しくも2大会連続でのメダル獲得はならなかった。この大会では、100m自由形で準決勝敗退、200m自由形で予選敗退となったほか、リレー種目でも、男子400mリレーで8位、男子400mメドレーリレーで5位、男子800mリレーで予選敗退という結果であった。
2.3. アジア競技大会
岩崎はアジア競技大会でも目覚ましい活躍を見せた。
1966年バンコクアジア競技大会では、男子100m自由形で日本新記録を樹立して優勝、200m自由形でも優勝を果たした。また、男子800m自由形リレーと男子400mメドレーリレーでも優勝し、この大会で計4つの金メダルを獲得した。
続く1970年バンコクアジア競技大会でも、男子200m自由形、男子400m自由形リレー、男子800m自由形リレーの3種目で優勝し、3冠を達成。男子100m自由形でも2位となり、銀メダルを獲得した。
2.4. 国内主要大会での成績
岩崎は、国内の主要な水泳大会でも数多くのタイトルを手にした。
特に日本学生選手権水泳競技大会では、男子100m自由形、200m自由形、400mメドレーリレーの3種目で3連覇という偉業を達成した。また、男子400m自由形リレーと800m自由形リレーでは4連覇を成し遂げた。大学4年間で最大12回出場できるリレー種目において、11回の優勝は中央大学の伊藤俊介と並び、歴代1位タイの記録である。
日本選手権水泳競技大会でも、1966年から1968年にかけて100m自由形と200m自由形をそれぞれ3連覇するなど、圧倒的な強さを示した。
3. 主要な記録と実績
岩崎邦宏選手がキャリアにおいて達成した主な実績は以下の通りである。
| 年 | 大会名 | 種目 | 成績 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1962 | 高校総体 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 400mリレー | 優勝 | |||
| 1963 | 日本学生選手権 | 100m自由形 | 3位 | |
| 200m自由形 | 2位 | |||
| 400mリレー | 優勝 | |||
| 800mリレー | 優勝 | |||
| 1964 | 日本学生選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 400mリレー | 優勝 | |||
| 800mリレー | 優勝 | |||
| 400mメドレーリレー | 優勝 | |||
| 1964 | 1964年東京オリンピック | 400mリレー | 4位 | 入賞 |
| 800mリレー | 3位 | 銅メダル | ||
| 1965 | 日本学生選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 400mリレー | 優勝 | |||
| 800mリレー | 優勝 | |||
| 400mメドレーリレー | 優勝 | |||
| 1966 | 日本選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 1966 | 日本学生選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 400mリレー | 優勝 | |||
| 800mリレー | 優勝 | |||
| 400mメドレーリレー | 優勝 | |||
| 1966 | 1966年アジア競技大会 | 100m自由形 | 優勝 | 日本新記録 |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 800mリレー | 優勝 | |||
| 400mメドレーリレー | 優勝 | |||
| 1967 | 日本選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 400m自由形 | 2位 | |||
| 1968 | 日本選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 1968 | 1968年メキシコシティーオリンピック | 100m自由形 | 準決勝敗退 | |
| 200m自由形 | 予選敗退 | |||
| 400mリレー | 8位 | |||
| 800mリレー | 予選敗退 | |||
| 400mメドレーリレー | 5位 | |||
| 1970 | 日本選手権 | 100m自由形 | 優勝 | |
| 200m自由形 | 2位 | |||
| 1970 | 1970年アジア競技大会 | 100m自由形 | 2位 | |
| 200m自由形 | 優勝 | |||
| 400mリレー | 優勝 | |||
| 800mリレー | 優勝 |
4. 関連項目
- 100m自由形の歴代日本記録一覧
- 4×100mフリーリレーの歴代日本記録一覧
- 4×100mメドレーリレーの歴代日本記録一覧
- 4×200mフリーリレーの歴代日本記録一覧