1. 生い立ちと背景
成宮寛貴は、東京で生まれ育った。両親は沖縄県出身である。幼い頃に両親が離婚し、中学3年生の時に母親が他界したことで、彼の人生は大きく変わった。
1.1. 子供時代と家庭環境
母親の死後、成宮は高校に進学せず、様々なアルバイトを掛け持ちして生計を立て、幼い弟の面倒を見た。毎日弁当を作り、弟の高校や大学の費用も負担するなど、困難な家庭環境の中で弟を支え続けた。この経験が彼の人生観に大きな影響を与えたとされている。
1.2. 俳優への道
「中卒の自分に何ができるか」と考えていた時期に、偶然俳優のオーディションの話をもらい、それが俳優を志すきっかけとなった。母親に俳優として真剣に取り組むことを約束していたことも、彼の大きな動機となった。数々のアルバイト経験を経てスカウトされ、オーディションに合格し、2000年に俳優デビューを果たした。
2. キャリア
成宮寛貴は、2000年のデビュー以来、舞台、映画、テレビドラマ、声優、ファッションモデル、CMなど多岐にわたる分野で活躍し、その存在感を確立した。
2.1. デビューと初期のキャリア
2000年、宮本亞門演出の舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは...』のケイン役で俳優デビュー。この役は3000人のオーディション参加者の中から選ばれたもので、当初は本名の平宮博重名義で出演していた。翌2001年には東映製作の映画『溺れる魚』で映画デビューを果たした。2002年にはテレビドラマ『ごくせん』に野田猛役で出演し、その等身大の演技で高い評価と人気を獲得した。同年、フジテレビのテレビ特番『オカンは宇宙を支配する』で主演を務めた。2003年には初の時代劇映画『あずみ』に出演し、日々の訓練で培った剣術を披露し、この作品は興行的な成功を収めた。
2.2. 俳優としての活動
成宮は、様々なメディアで俳優として精力的に活動した。
2.2.1. 映画
成宮寛貴は数多くの映画に出演し、幅広い役柄を演じた。
公開年 | タイトル | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
2001 | 『溺れる魚』 | 渋沢泰人 | |
2001 | 『生霊~いきすだま~』 | 森公介 | |
2003 | 『ラヴァーズ・キス』 | 藤井朋章 | |
2003 | 『あずみ』 | うきは | |
2003 | 『アイノカラダ』 | 萩原 | |
2004 | 『深呼吸の必要』 | 西村大輔 | |
2004 | 『下弦の月~ラスト・クォーター』 | 安西知己 | 主演 |
2005 | 『NANA』 | 寺島伸夫 | |
2005 | 『乱歩地獄』「鏡地獄」 | 齋透 | 主演 |
2005 | 『探偵事務所5"~5ナンバーで呼ばれる探偵達の物語~』 | 探偵591 | 主演 |
2005 | 『あらしのよるに』 | メイ | 声優 |
2006 | 『アキハバラ@DEEP』 | ページ | 主演 |
2006 | 『椿山課長の七日間』 | 竹内弘実 | |
2006 | 『NANA2』 | 寺島伸夫 | |
2007 | 『さくらん』 | 惣次郎 | |
2007 | 『アンフェア the movie』 | 戸田 | |
2009 | 『ララピポ』 | 栗野健治 | 主演 |
2009 | 『ハルフウェイ』 | 高梨先生 | |
2009 | 『ドロップ』 | 信濃川ヒロシ | 主演 |
2009 | 『THE CODE/暗号』 | 探偵591 | |
2009 | 『ごくせん THE MOVIE』 | 野田猛 | |
2010 | 『交渉人 THE MOVIE タイムリミット高度10,000mの頭脳戦』 | 沢木秀二 | |
2010 | 『孤高のメス』 | 中村弘平 | |
2010 | 『ばかもの』 | 大須秀成 | 主演 |
2011 | 『漫才ギャング』 | ||
2012 | 『逆転裁判』 | 成歩堂龍一 | 主演 |
2012 | 『のぼうの城』 | 酒巻靱負 | |
2013 | 『クロユリ団地』 | 笹原忍 | 主演 |
2014 | 『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』 | 甲斐享 | 主演 |
2016 | 『映画 暗殺教室~卒業編~』 | 柳沢誇太郎 |
2.2.2. ドラマ
成宮はテレビドラマでも多数の主演や重要な役柄を演じた。
放送年 | タイトル | 役名 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
2001 | 『金田一少年の事件簿』 第4・5話 | 斑目揚羽 | ||
2002 | 『木更津キャッツアイ』 | 佐々木純 | ||
2002 | 『サラリーマン金太郎3』 第3話 | 丸山登の息子 | ||
2002 | 『ごくせん』 第1シリーズ | 野田猛 | ||
2002 | 『超V.I.P.』「フォーチュンの扉」第4話 | 南条拓哉 | ||
2002 | 『利家とまつ~加賀百万石物語~』 | 前田利政 | ||
2002 | 『少年たち3』 | 海野友紀 | ||
2002 | 『オカンは宇宙を支配する』 | 鎌田ツヨシ | 主演 | |
2002 | 『成りあがり』 | 斉木昌弘 | ||
2003 | 『高校教師』 | 上谷悠次 | ||
2003 | 『ごくせんスペシャルさよなら3年D組...ヤンクミ涙の卒業式』 | 野田猛 | ||
2003 | 『Stand Up | 』 | 宇田川隼人 | |
2003 | 『68FILMS 美少年Hi!』 第9話「恋する梅干し」 | 主演 | ||
2003 | 『ニコニコ日記』 | 青年 | ||
2003 | 『TRICK3』 第9話・最終話 | 岸本誠一 | ||
2004 | 『ほんとにあった怖い話』「さがしもの」 | 孝治 | 主演 | |
2004 | 『乱歩R』 第3話 | 伊志田優二 | ||
2004 | 『オレンジデイズ』 | 相田翔平 | ||
2005 | 『Mの悲劇』 | 下柳晃一 | ||
2005 | 『いま、会いにゆきます』 | 秋穂巧 | 主演 | |
2005 | 『あいのうた』 | 柳沼佑介 | ||
2005 | 『女の一代記』 第3夜『杉村春子・悪女の一生』 | 石山季彦 | ||
2006 | 『功名が辻』 | 豊臣秀次 | ||
2006 | 『西遊記』 第六巻 | 修周 / 鶏肖魔人 | ||
2006 | 『生きててもいい...? ~ひまわりの咲く家~』 | 菅原晴一郎 | ||
2006 | 『スイッチを押すとき』 | 南洋平 | 主演 | |
2007 | 『華麗なる一族』 | 一之瀬四々彦 | ||
2007 | 『悪魔が来りて笛を吹く』 | 三島東太郎 | ||
2007 | 『テレサ・テン物語~私の家は山の向こう』 | ジム | ||
2007 | 『スシ王子!』 | 一柳洋 | ||
2007 | 『はだしのゲン』 | 吉田政二 | ||
2007 | 『スワンの馬鹿! ~こづかい3万円の恋~』 | 川瀬光充 | ||
2008 | 『ハチミツとクローバー』 | 森田忍 | ||
2008 | 『千の風になって ドラマスペシャル』 第5弾『なでしこ隊~少女達だけが見た特攻隊・封印された23日間~』 | 本島桂一 | ||
2008 | 『ブラッディ・マンデイ』 | テロリストJ(神崎潤) | ||
2008 | 『イノセント・ラヴ』 | 瀬川昴 | ||
2009 | 『誰も守れない』 | 中原孝二 | ||
2009 | 『幸福のスープはいかが?』 | 田尾哲也 | 主演 | |
2009 | 『ザ・クイズショウ』 第3話 | 宮本健治 | ||
2009 | 『ザ・ライバル「少年サンデー・少年マガジン物語」』 | 三条大輔 | ||
2009 | 『都市伝説セピア』「フクロウ男」 | 佐伯武彦 | 主演 | |
2009 | 『戦場のメロディ』 | 植木信吉 | ||
2009 | 『東京DOGS』 第1話 | 棚島秀夫 | ||
2009 | 『ニュース速報は流れた』 | 小林亮平 | 主演 | |
2010 | 『ヤンキー君とメガネちゃん』 | 品川大地 | 主演 | |
2010 | 『Wの悲劇』 | 和辻卓夫 | ||
2010 | 『ブラッディ・マンデイ Season2』 | テロリストJ(神崎潤) | ||
2010 | 『BUNGO -日本文学シネマ-』『高瀬舟』 | 喜助 | 主演 | |
2010 | 『獣医ドリトル』 | 花菱優 | ||
2011 | 『TAROの塔』 | 堀口茂治 | ||
2011 | 『風の少年~尾崎豊 永遠の伝説~』 | 尾崎豊 | 主演 | |
2011 | 『最後の晩餐 ~刑事・遠野一行と七人の容疑者~』 | 八木沢鷹彦 | ||
2011 | 『陽はまた昇る』 | 八木沢鷹彦 | ||
2012 | 『もう誘拐なんてしない』 | 山部勢司 | ||
2012 | 『梅ちゃん先生』 | 吉岡智司 | ||
2012 | 『陽だまりの樹』 | 手塚良庵 | 主演 | |
2012 | 『一休さん』 | 蜷川新右衛門 | ||
2012-2015, 2017 | 『相棒』 season11 - season13、season15 - season17(回想)、season22(回想・写真) | 甲斐享 | 主演(水谷豊とW主演) | |
2013 | 『一休さん2』 | 蜷川新右衛門 | ||
2013 | 『クロユリ団地~序章~』 第7話 | 笹原忍 | ||
2014 | 『金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件』 | 高遠遙一 | ||
2014 | 『金田一少年の事件簿N』 第5・6・8・9話 | 高遠遙一 | ||
2015 | 『ふたがしら』 | 甚三郎 | ||
2015 | 『花咲舞が黙ってない』 第2シリーズ 第2話 - 最終話 | 松木啓介 | ||
2015 | 『37.5℃の涙』 | 朝比奈元春 | ||
2015 | 『妻と飛んだ特攻兵』 | 山内節夫 | ||
2016 | 『怪盗 山猫』 | 勝村英男(カメレオン) | ||
2016 | 『大奥』 | 徳川家斉 | ||
2016 | 『不機嫌な果実』 | 野村健吾 | ||
2016 | 『早子先生、結婚するって本当ですか?』 第5話 - 最終話 | 岡山藤吾 | ||
2016 | 『世にも奇妙な物語 '16秋の特別編』「貼られる!」 | 椎名毅 | 主演 | |
2016 | 『IQ246~華麗なる事件簿~』 第5話 | 千代能光一 | ||
2025 | 『死ぬほど愛して』 | 神城真人 | 主演(配信ドラマ) |
2.2.3. 舞台
成宮は舞台俳優としても活躍し、様々な演劇作品に出演した。
- 『滅びかけた人類、その愛の本質とは...』(2000年) - ケイン 役
- 『ハムレット』(2001年) - フォーティンブラス 役
- 『黄昏』(2003年) - ビリー・レイ 役
- 『浪人街』(2004年) - 有村一馬 役
- 『お気に召すまま』(2004年、2007年) - ロザリンド 役
- 『マダムメルヴィル』(2004年) - カール 役
- 『KITCHEN キッチン』(2005年) - ペーター 役
- 『魔界転生』(2006年) - 天草四郎 役
- 『太陽に灼かれて』(2011年) - ミーチャ 役
- 『太陽2068』(2014年) - 森重富士太 役
2.2.4. 声優・吹き替え
成宮はビデオゲームへの声の出演や、海外作品の吹き替えなど、声優としても貢献した。
区分 | 年 | タイトル | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ゲーム | 2010 | 『龍が如く4 伝説を継ぐもの』 | 谷村正義 | 声と容姿。リマスター版では増田俊樹に交代。 |
ゲーム | 2012 | 『レイトン教授VS逆転裁判』 | 成歩堂龍一 | 声 |
吹き替え | 2005 | 『A.I.』 | ジゴロ・ジョー | ジュード・ロウの吹き替え |
吹き替え | 2006 | 『スーパーナチュラル』 | サム・ウィンチェスター | ジャレッド・パダレッキの吹き替え(シーズン2まで) |
吹き替え | 2010 | 『エクリプス/トワイライト・サーガ』 | エドワード・カレン | ロバート・パティンソンの吹き替え |
吹き替え | 2015 | 『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』 | フック船長 | ギャレット・ヘドランドの吹き替え |
2.3. ファッション・モデル活動
成宮は俳優業と並行して、ファッションアイコンとしても大きな影響力を持った。自身で服をデザインしたり、様々なコラボレーションプロジェクトに参加したりした。2003年秋には東京コレクションでモデルとして登場し、彼のトレードマークである髪型「成宮カット」は日本の若者の間で大流行した。過去には10以上のファッション誌やその他の雑誌の表紙を飾り、2005年にはスワロフスキー主催の「CRYSTALLIZED STYLE AWARD」をhitomiと共に受賞した。また、海外のハイファッションブランドからのモデルオファーも多数あり、日本国外でのモデル・俳優活動も視野に入れていた。2007年にはニューカレドニア観光親善大使に就任し、2009年9月18日にはハローキティとのコラボレーションジュエリーを発表した。2005年9月には女性誌『anan』でオールヌードを披露した。
2.4. CM出演
成宮は多数の広告キャンペーンやブランドのCMに出演した。
- J-PHONE(2002年)
- ハウス食品「ビストロシェフ」(2003年)、「新・カレーライス宣言」(2005年)
- アニマックス 開局5周年記念CM(2003年)
- JAL 北海道キャンペーン(2004年)
- ボーダフォン(2004年)
- エフティ資生堂「シーブリーズ」(2006年)
- ユニクロ(2007年)
- 宝酒造「タカラCANチューハイ 直搾り」(2007年)
- グンゼ(2008年)
- ホーユー「メンズビューティーン」(2008年 - 2009年)
- 森永乳業「マウントレーニア ダブルエスプレッソ」(2009年)
- キャドバリー「ストライド」(2010年)
- シマンテック「ノートン2011」(2010年)
- コスモライフ「コスモウォーター」(2012年 - 2016年)
- ヤマトホームコンビニエンス(2012年)
- フィリップス(2012年 -)
- サッポロビール「ホワイトベルグ」(2014年)
- ダイハツ工業「ムーヴ」(2014年)
- グラクソ・スミスクライン「シュミテクト」(2015年 - 2016年)
- ファイナルファンタジー レコードキーパー(2016年)
2.5. 受賞歴
成宮はキャリアにおいていくつかの賞を受賞し、評価された。
- 第29回エランドール賞 新人賞(2005年)
- CRYSTALLIZED STYLE AWARD(2005年、スワロフスキー主催)
- 第16回 日刊スポーツドラマグランプリ 助演男優賞(『相棒 season11』、2012年)
3. 引退
2016年12月、成宮寛貴は突然エンターテイメント業界からの引退を発表し、世間に大きな衝撃を与えた。
3.1. 疑惑報道と引退発表
2016年12月、写真週刊誌『FRIDAY』が成宮の薬物使用疑惑を報じた。これに対し、所属事務所は「事実無根」と即座に否定し、成宮本人も「非常に憤りを感じる。薬物を使用したことは絶対にない」と反論した。その後、自ら薬物検査を実施し、12月7日には尿検査で陰性判定が出た。しかし、この報道を受けて、成宮は「全ての原因を作ったのは自分自身だ。心から信頼していた友人に裏切られ、複数の人が仕掛けた罠にはまってしまった」「このまま芸能界にいては、これ以上関係者や家族に迷惑をかけるわけにはいかない」と自筆のメッセージを通じて芸能界引退の意向を表明し、12月9日に所属事務所を通じて正式に引退を発表した。
4. 引退後の活動と復帰
エンターテイメント業界を離れてからの成宮は、本名で新たな活動を開始し、数年を経て再び俳優業に復帰した。
4.1. 本名での活動
芸能界引退後、成宮は本名の「平宮博重」名義で活動を開始した。インスタグラムアカウントを開設し、2019年9月14日には自身の誕生日を機に「Hiroshige Narimiya」としての公式サイトを開設した。自身が描いた絵を元にした商品プロデュース(HNProduct)に携わり、マグカップやバスソルトなどを販売。また、企業や有名ブランドの商材アドバイジングやクリエイティブ関連の仕事も行っている。
4.2. 俳優活動の再開
2019年10月、一部メディアがテレビ朝日系ドラマ『相棒』での芸能界復帰を報じたが、『相棒』の脚本家の一人である輿水泰弘が自身のTwitterでこの報道をフェイクニュースであると否定。成宮本人も同月3日に自身のインスタグラムとTwitterで一連のニュースを否定した。所属事務所は「何も聞いていない」、テレビ朝日も「その予定はございません」とコメントした。
2020年4月27日には、俳優の水嶋ヒロのインスタグラムライブ配信に急遽コラボ出演し、約20分間の会話が約12万回再生されるなど話題となった。
2024年9月、芸能界に復帰し俳優活動を再開したことが報じられた。この際、当初は本名の平宮博重名義での活動とされたが、その後の公の場への登場や配信ドラマの発表では、元の芸名である「成宮寛貴」名義を使用している。同年11月4日には住之江競艇場で行われたトークショーに登壇し、引退表明以来8年ぶりに公の場に姿を見せ、俳優の仕事を再開し現在ドラマの撮影中であることを自ら明かした。2025年2月には、俳優活動復帰作が3月27日配信予定のABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』であることが告知された。
5. 論争と世間からの評価
成宮寛貴のキャリアは、その演技力と人気で高く評価される一方で、引退を巡る薬物疑惑や、それに続くザ・グレート・サスケ氏との論争など、いくつかの重要な論争に直面した。
5.1. ザ・グレート・サスケ氏との論争
成宮の引退発表直後、覆面レスラーのザ・グレート・サスケ氏が自身のブログで「10年前、私の愚息があなたから受けたハラスメントが事実だったと認めなければならないということか?」と投稿し、波紋を呼んだ。同年12月14日の記者会見でサスケ氏は「ハラスメント」の内容について問われると、「性的ハラスメント。はっきり言います、性的ハラスメント。これははっきり言える」と明言し、成宮を指しているのかと問われると「そうです」と答えた。成宮と息子の関係については「仕事上での出会い。初めて会った直後にそういうことがあったと聞いている」と説明した。サスケ氏によると、息子はこの件でPTSDと診断され、現在海外で治療を受けているという。サスケ氏は「ここ数年、引きこもり状態で、外部の情報も遮断している」と息子の現状を語り、現在の状況に対する息子の反応については「全く反応がない。多分知らない。話せる状態ではない」と述べた。サスケ氏は成宮を訴える意図はないとし、「公の場で話した以上、成宮さんの事務所のマネージャーの方と話し合いをしたい。私の真意を理解していただきたい」と語った。この論争は、成宮の引退と重なり、彼の公的なイメージにさらなる影を落とした。
5.2. 評価と批判
成宮は、その演技力と幅広い役柄への挑戦で高い評価を得てきた。特に『ごくせん』での等身大の演技や、『ブラッディ・マンデイ』での危険なテロリスト役、『イノセント・ラヴ』での同性愛者役など、多様なキャラクターを演じ分ける多才さが評価された。また、ファッションリーダーとしての影響力も大きく、「成宮カット」が流行するなど、若者文化に与えた影響も特筆される。
しかし、2016年の薬物使用疑惑報道とそれに続く引退は、彼のキャリアに大きな転換点をもたらし、世間からの批判や憶測に晒された。特に、ザ・グレート・サスケ氏が提起した性的嫌がらせ疑惑は、彼の公的なイメージに深刻な影響を与えた。これらの論争は、彼の俳優としての評価とは別に、社会的な側面からの議論を呼んだ。
6. 影響
成宮寛貴は、その俳優としてのキャリアを通じて、日本のポピュラーカルチャー、特にファッションやエンターテイメント業界全体に広範な影響を与えた。彼のトレードマークである「成宮カット」は、日本のティーンエイジャーの間で一大ブームを巻き起こし、彼自身がファッションリーダーとしての地位を確立した。俳優としては、様々なジャンルの作品で多様な役柄を演じ分け、その演技力と存在感で多くの観客を魅了した。彼の突然の引退は業界に大きな衝撃を与えたが、その後の本名での活動や、2024年の俳優業復帰のニュースは、依然として彼が世間の注目を集める存在であることを示している。