1. 概要
熊谷雅彦は、1975年11月23日に神奈川県藤沢市で生まれた、元サッカー選手であり、現役引退後はフロントスタッフおよびコーチとして日本のサッカー界に貢献している。ミッドフィールダーとして、柏レイソル、佐川急便東京SC、ロアッソ熊本でプレーし、特に下位リーグに沈むチームをJFL、さらにはJ2リーグへと導く昇格請負人として中心的な役割を果たした。そのキャリアは、単なる選手としてだけでなく、チームの成長を支えるリーダーシップと献身性を示しており、引退後もサッカーの発展に尽力するその姿勢は、スポーツを通じた社会貢献の模範と言える。
2. 幼少期と教育
熊谷雅彦は、1975年11月23日に神奈川県藤沢市で生まれた。ユース時代には神奈川県立藤沢西高等学校でサッカーに打ち込み(1991年 - 1993年)、その後、中央大学に進学し、1994年から1997年まで大学サッカーで経験を積んだ。身長は178 cm、体重は70 kgである。
3. 選手経歴
熊谷雅彦のプロサッカー選手としてのキャリアは1998年に始まり、柏レイソルでの短い期間を経て、佐川急便東京SC、そしてロアッソ熊本といったクラブで中心選手として活躍した。特に地域リーグやJFLに所属するチームを、その後のJリーグへの昇格へと導く上で重要な役割を果たし、選手としてのピーク時にはチームの象徴として献身的にプレーした。
3.1. 柏レイソル
中央大学を卒業後、熊谷は1998年にJ1リーグの柏レイソルに加入し、プロキャリアをスタートさせた。しかし、柏レイソルでは出場機会に恵まれず、1999年にはミッドフィールダーとしてリーグ戦1試合に出場するにとどまった。在籍2年間で公式戦出場は極めて少なく、1999年シーズン終了後に契約非更新となり、柏レイソルを退団した。
3.2. 佐川急便東京SC
2000年、熊谷は当時関東サッカーリーグに所属していた佐川急便東京SCへ移籍した。ここでは中心選手としてチームのJFL昇格に大きく貢献。2001年のJFL開幕戦から出場を続け、チームの主力選手として活躍した。その活躍が評価され、2001年と2002年にはJFLベストイレブンに2年連続で選出された。さらに2004年にはJFLでの連続試合出場記録を更新し、移籍する2005年6月までその記録を117試合に伸ばし続けたが、この移籍により記録は途絶えた。
3.3. ロアッソ熊本
2005年6月、熊谷は当時九州リーグに所属していたロッソ熊本(現・ロアッソ熊本)に移籍した。熊本では移籍後すぐにリーグ戦全試合に先発出場し、チームのリーグ優勝に貢献した。同年には第29回全国地域リーグ決勝大会で3位に入り、JFL昇格を果たした。2006年からは熊本の2代目キャプテンを務め、チームを牽引。自身も4年ぶりのJFLベストイレブンに輝くなど、高いパフォーマンスを維持した。しかし、チームはこの年Jリーグ参入を逃した。翌2007年もコンスタントに試合に出場し、前年に達成できなかったJリーグへの参入(J2リーグ昇格)に貢献した。自身9年ぶりのJの舞台となった2008年もキャプテンとして6試合に出場したが、同年限りで現役を引退した。
4. 引退後のキャリア
現役引退後、熊谷雅彦は所属していたロアッソ熊本のフロントスタッフに転身し、クラブ運営に携わるようになった。2015年からはロアッソ熊本のトップチームの主務に就任し、チームの裏方として多大な貢献をした。しかし、2017年1月9日にロアッソ熊本を退団。同年からはヴィッセル神戸のスクールコーチを務め、若手選手の育成に尽力している。
5. 個人成績
選手キャリアにおける様々なクラブ大会での出場記録および得点統計は以下の通りである。
クラブパフォーマンス | リーグ | カップ | リーグカップ | 合計 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |||
日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 合計 | |||||||||
1998 | 柏 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||
1999 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 4 | 0 | |||||
2000 | 佐川東京 | 関東 | - | - | |||||||||
2001 | JFL | 30 | 4 | 4 | 3 | - | 34 | 7 | |||||
2002 | 17 | 6 | - | - | 17 | 6 | |||||||
2003 | 30 | 2 | 3 | 0 | - | 33 | 2 | ||||||
2004 | 29 | 4 | 3 | 0 | - | 32 | 4 | ||||||
2005 | 11 | 1 | 0 | 0 | - | 11 | 1 | ||||||
2005 | 熊本 | 九州 | 11 | 0 | 1 | 0 | - | 12 | 0 | ||||
2006 | JFL | 32 | 6 | 3 | 0 | - | 35 | 6 | |||||
2007 | 25 | 2 | 1 | 0 | - | 26 | 2 | ||||||
2008 | J2 | 6 | 0 | 0 | 0 | - | 6 | 0 | |||||
通算 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 合計 | |||||||||
J1 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | |||||
J2 | 6 | 0 | - | 0 | 0 | 6 | 0 | ||||||
JFL | 174 | 25 | 14 | 3 | - | 188 | 28 | ||||||
関東 | - | - | |||||||||||
九州 | 11 | 0 | 1 | 0 | - | 12 | 0 | ||||||
総通算 | 192 | 25 | 15 | 3 | 3 | 0 | 210 | 28 |
- 上記のほか、全国地域リーグ決勝大会に2000年に5試合出場、2005年に5試合出場1得点。
6. タイトル・表彰
熊谷雅彦が選手キャリア中に獲得したチームの優勝タイトルおよび個人の受賞記録は以下の通りである。
6.1. チームタイトル
- 2005年 Kyuリーグ優勝
6.2. 個人表彰
- 2001年 JFL ベストイレブン
- 2002年 JFL ベストイレブン
- 2002年 JFL 選抜チーム
- 2006年 JFL ベストイレブン