1. 幼少期とユース時代
田代雅也は、プロサッカー選手となる以前から、サッカーへの情熱と才能を育んできた。
1.1. 初期サッカー教育
田代は埼玉県蕨市で生まれ育ち、小学校1年生の時に蕨北町サッカースポーツ少年団で本格的にサッカーを始めた。少年時代からディフェンダーとして頭角を現し、将来を嘱望される存在であった。中学校時代には、当時ジュニアユースチームとして実績を上げていた大宮アルディージャや三菱養和SCのセレクションを受けたが、いずれも不合格となった。しかし、挫折することなく武南ジュニアユースフットボールクラブでプレーを続け、基礎技術と戦術理解を深めた。
1.2. 高校・大学時代
高校はサッカー強豪校として知られる武南高校に進学。高校3年次にはチームの主将を務め、精神的支柱としてチームを牽引した。しかし、この年出場したインターハイでは、自身は怪我の影響で試合に出場することができず、チームを支えることしかできなかったという苦い経験もしている。
高校卒業後は、法政大学に進学し、大学サッカー界でもその才能を開花させた。大学でも主将を務め、卓越したリーダーシップとディフェンス能力でチームを牽引するディフェンスリーダーとしての役割を担った。大学での経験は、彼のプレースタイルと人間形成に大きな影響を与え、プロへの道を切り開く重要な期間となった。
2. プロ経歴
田代雅也は、2016年にプロキャリアをスタートさせて以来、複数のクラブを渡り歩き、その度に自身の存在感を示してきた。
2.1. FC岐阜
2016年、田代はFC岐阜に加入し、プロサッカー選手としての第一歩を踏み出した。同年3月6日に行われたJ2リーグ第2節の北海道コンサドーレ札幌戦でJリーグデビューを果たし、プロの舞台でのキャリアをスタートさせた。しかし、順調なスタートとは裏腹に、3月26日のJ2第5節水戸ホーリーホック戦では、試合中に左頬骨骨折および左眼窩壁骨折という重傷を負い、長期にわたる戦線離脱を余儀なくされた。この怪我は彼のプロキャリアの初期において大きな試練となったが、懸命なリハビリを経て6月には復帰を果たした。復帰後はチームのレギュラーセンターバックとして定着し、チームのJ2残留に大きく貢献した。
2.1.1. 不祥事と退団
FC岐阜在籍中の2017年3月27日未明、田代は石川県小松市において飲酒運転による自損事故を起こした。この事実は公になると、社会的な非難を浴び、プロサッカー選手としての社会的責任を大きく逸脱する行為として、彼のキャリアに深刻な影響を及ぼした。公人であるプロアスリートがこのような行為に及んだことは、その社会的責任の欠如として厳しく批判された。同年3月31日付けでFC岐阜との契約は解除され、彼はプロの舞台を一時離れることを余儀なくされた。この期間、彼は地元埼玉県に戻り、工事現場でのアルバイトなどで生計を立てながら、社会人サッカーに参加し、自己と向き合う時間を過ごした。この不祥事は、アスリートが社会に対して負う影響と責任について、改めて問い直す機会を提供した。
2.2. 栃木SC
FC岐阜との契約解除後、プロとしての道を一時閉ざされた田代雅也であったが、彼のサッカーへの情熱は消えることはなかった。2018年2月16日、彼はJ2リーグに復帰した栃木SCに新加入することが決まった。この移籍は、彼にとってプロサッカー選手としての再出発を意味し、多くの期待と注目を集めた。栃木SCでは、失われた信頼を取り戻すかのように精力的なプレーを見せ、チームに貢献した。
2.3. サガン鳥栖
2021年、田代はJ1リーグのサガン鳥栖へ完全移籍した。J1での新たな挑戦の場を得た彼は、鳥栖においても守備の要としてチームに貢献し、自身の存在感を確立した。
2.4. アビスパ福岡
2023年7月17日、J1リーグ戦の中断期間中に、田代はアビスパ福岡へ完全移籍した。当時のアビスパ福岡は、宮大樹や三國ケネディエブスといった主要なセンターバックの負傷により、守備陣の補強を急務としていた。そのようなチーム事情の中で田代は即戦力として期待され、リーグ再開後の8月6日に行われた九州ダービーでは、3週間前まで所属していた古巣のサガン鳥栖相手に移籍後初出場を果たした。彼はその堅実な守備とリーダーシップで、アビスパ福岡の守備陣に安定をもたらし、チームの躍進に貢献している。
2.4.1. Jリーグ通算200試合出場
2024年7月7日、田代雅也はJ1リーグの京都サンガF.C.戦に出場し、Jリーグ通算200試合出場を達成した。これは、彼の長きにわたるプロキャリアと、数々の困難を乗り越えてきた証となる大きな節目である。
3. 個人成績
| クラブ | シーズン | リーグ | カップ戦 | リーグカップ | 通算 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |||||
| 日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 通算 | |||||||||
| FC岐阜 | 2016 | J2リーグ | 28 | 1 | 1 | 0 | - | 29 | 1 | ||||
| 2017 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | ||||||
| 栃木SC | 2018 | 20 | 0 | 0 | 0 | - | 20 | 0 | |||||
| 2019 | 28 | 3 | - | 1 | 0 | 29 | 3 | ||||||
| 2020 | 41 | 3 | - | - | 41 | 3 | |||||||
| サガン鳥栖 | 2021 | J1リーグ | 15 | 0 | 2 | 0 | 5 | 1 | 22 | 1 | |||
| 2022 | 21 | 3 | 2 | 0 | 4 | 1 | 27 | 4 | |||||
| 2023 | 16 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | 21 | 0 | |||||
| アビスパ福岡 | 2023 | 9 | 0 | 3 | 0 | - | 12 | 0 | |||||
| 2024 | 37 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 39 | 2 | |||||
| 2025 | |||||||||||||
| J1通算 | 98 | 5 | 9 | 0 | 14 | 2 | 121 | 7 | |||||
| J2通算 | 117 | 7 | 1 | 0 | 1 | 0 | 119 | 7 | |||||
| 総通算 | 215 | 12 | 10 | 0 | 15 | 2 | 240 | 14 | |||||
;出場歴
- Jリーグ初出場 - 2016年3月6日 J2第2節 vs北海道コンサドーレ札幌(長良川)
- Jリーグ初得点 - 2016年6月26日 J2第20節 vsロアッソ熊本(長良川)
4. 代表経歴
田代雅也のナショナルチームでの活動は、大学時代に評価された経験がある。
- 2014年: 関東大学選抜に選出され、大学サッカー界でのトップレベルの選手としてその能力を認められた。
5. タイトル
田代雅也がプロキャリアで獲得したタイトルは以下の通りである。
5.1. クラブ
; アビスパ福岡
- Jリーグカップ: 2023年
6. 批判と論争
田代雅也が2017年3月に起こした飲酒運転による自損事故は、彼のプロサッカー選手としてのキャリアに大きな汚点を残しただけでなく、社会全体にも警鐘を鳴らした。飲酒運転は極めて危険な行為であり、多くの人命を奪う可能性を秘めている。公人であるプロアスリートがこのような行為に及んだことは、その社会的責任の欠如として厳しく批判された。
この事件により、彼は所属クラブであるFC岐阜との契約解除という厳しい処分を受け、一時はプロとしての道を閉ざされた。これは、社会的な模範となるべき立場にあるプロアスリートにとって、倫理的責任の重大性を示す象徴的な出来事となった。しかし、その後、彼は反省と努力を重ねてプロの舞台に復帰した。この出来事は、彼の人間性やプロとしての自覚が問われると共に、困難から立ち直る過程を通じて、社会に対する責任を再認識する機会となった。この経験は、彼のその後の選手生活においても、責任感を持って行動することの重要性を常に意識させる教訓となっている。
7. 関連項目
- 埼玉県出身の人物一覧
- 法政大学の人物一覧
- FC岐阜の選手一覧
- 栃木SCの選手一覧
- サガン鳥栖の選手一覧
- アビスパ福岡の選手一覧
8. 外部リンク
- [https://www.avispa.co.jp/club-info/df37_tashiro_2023 アビスパ福岡公式サイトでのプロフィール]
- [https://data.j-league.or.jp/SFIX04/?player_id=19274 Jリーグデータサイトでの選手データ]
- [https://web.gekisaka.jp/player/?26132-13613-jp ゲキサカ選手プロフィール]
- [https://www.instagram.com/masaya_bbb/ 田代雅也公式Instagram]