1. 個人情報と背景
美闘陽子、本名新井陽子は、1986年12月13日に埼玉県川口市で生まれた。プロレスラーになる以前から、スポーツ分野で顕著な実績を残している。
極真空手の有段者であり、関東大会で優勝、全日本大会では2位という成績を収めた。また、ハンドボール選手としても活躍し、全国大会で2位となるなど、高い身体能力と競技経験を持っていた。
2010年、当時のスターダムのゼネラルマネージャーであった風香のブログを通じてスカウトされ、スターダムの練習生として入団。「未来のエース候補」として期待され、厳しい練習を積んだ。同年11月12日に行われた第1回プロテストに合格し、プロレスラーとしてのキャリアをスタートさせる準備を整えた。
2. プロレスのキャリア
美闘陽子のプロレスキャリアは、スターダムでのデビューから始まり、二度の引退と一度の復帰を経て、短期間ながらも印象的な活躍を見せた。
2.1. デビューと初期キャリア (2010-2012)
美闘陽子は、2010年10月31日に新木場1stRINGで開催された「ゆずポン祭」において、同じ練習生であった須佐えりとのエキシビションマッチでリングに姿を現した。
公式なデビュー戦は、2011年1月23日、新木場1stRINGで開催されたスターダムの旗揚げ戦「スターダム旗揚げ戦 ~Birth of nova 新星誕生!~」のメインイベントで行われた。この試合で世IV虎と対戦し、10分31秒に自身の得意技であるドールBからのエビ固めで勝利を収め、プロとしての初勝利を飾った。
初期のキャリアでは様々な試合を経験した。2011年2月12日の大会では、愛リスとのタッグで世IV虎と夏樹☆たいよう組と対戦し、敗北を喫した。しかし、同年6月12日には愛川ゆず季と初のタッグを結成し、高橋奈苗と岩谷麻優組と対戦。岩谷からドールBで勝利を奪った。さらに6月26日には、愛川とのタッグは「BY砲(仮)」として川崎葛飾最強伝説(世IV虎と夏樹☆たいよう)と対戦し、夏樹からフォールを奪い、この強豪タッグに初黒星をつけた。
2011年7月24日には、後楽園ホール大会で開催された初代ワールド・オブ・スターダム王座決定トーナメントに参戦。決勝まで進出するも、高橋奈苗に敗れ、惜しくも王座獲得はならなかった。
同年11月27日、美闘はBY砲として愛川ゆず季と共に、自身にとって初のタイトルとなる初代ゴッデス・オブ・スターダム王座を獲得した。この王座は2011年末から2012年にかけて保持し続けた。2012年8月には、愛川ゆず季が保持するワンダー・オブ・スターダム王座に挑戦したが、獲得には至らなかった。この試合後、頚椎損傷により欠場を余儀なくされた。そして同年11月3日、10月31日付けでプロレスラーを任意引退したことを発表した。引退の理由として、首と背中の怪我を挙げ、保持していたゴッデス・オブ・スターダム王座も返上した。
2.2. 復帰と第2期活動期間 (2016-2017)
約4年間のブランクを経て、美闘陽子は2016年4月29日のスターダム後楽園ホール大会でリングへの復帰を宣言した。そして同年6月16日、後楽園ホールでの宝城カイリ戦で正式に復帰戦を行い、敗れはしたものの再出発を果たした。
2016年8月には、5★STAR GPに参戦。全試合中1試合を除いて勝利を収め、ブロック内で首位タイとなった。同年9月11日のタイブレーカーマッチではケイ・リー・レイを破り、決勝に進出。決勝ではテッサ・ブランチャードを破り、見事トーナメント優勝を果たした。
同年10月10日には、紫雷イオが保持するワールド・オブ・スターダム王座に挑戦したが、惜しくも王座獲得には至らなかった。
2016年11月11日、美闘は宝城カイリとタッグを組み、ゴッデス・オブ・スターダムタッグリーグの決勝で紫雷イオと岩谷麻優組を破り、優勝した。そして同年12月22日、スターダム後楽園ホール大会で大江戸隊(花月と木村響子)を破り、宝城カイリと共に自身二度目となるゴッデス・オブ・スターダム王座を獲得した。この王座は2017年1月15日にケイ・リー・レイとニクソン・ニューウェルを相手に初防衛に成功したが、同年3月5日には松本浩代とジャングル叫女のタッグに敗れ、王座を失った。
2017年9月23日、スターダム大阪大会で岩谷麻優を下し、自身初となるワンダー・オブ・スターダム王座を獲得した。しかし、同年11月19日の後楽園ホール大会で紫雷イオに敗れ、三度目の防衛に失敗し王座から陥落した。この試合後、美闘は2017年12月24日に再度引退することを自ら発表した。そして、その宣言通り、同年12月24日に現役を引退し、「普通の女性に戻りたい」と語った。
2.3. その後の単発出場 (2021)
2017年の二度目の引退後、美闘陽子はプロレスのリングから離れていたが、2021年3月3日に行われたスターダムの10周年記念大会「スターダム10周年記念~ALLSTAR DREAM CINDERELLA~」日本武道館大会で、一夜限りの復帰を果たした。
この大会では、24人参加の「スターダムオールスター・ランブル」に出場。現役のウナギ・サヤカ、白川未奈、ビー・プレストリーといった選手たちに加え、長与千種、井上京子、下田美馬、愛川ゆず季、さくらえみ、中西百重など、過去に活躍した多くのレジェンド選手たちと共にリングに立った。
3. フィニッシュ・ホールド
美闘陽子が選手生活中に使用した主要なフィニッシュ・ホールドやテクニックは以下の通りである。
- Bドライバー
タックルで相手を担ぎ上げてから、両足を脇に固定しなおして真っ逆さまに落とす技。谷嵜なおきのインプラントと同型であり、美闘の復帰後の主なフィニッシュ・ムーブとして使用された。
- BYボム
BTボムと同型の技。
- 各種キック
試合中に多用されたキック技の総称。
- ドールB
回転式の二段蹴り。美闘の師匠である風香の必殺技「ドールF」にあやかり、美闘の頭文字を取って「ドールB」と命名された。初期キャリアの主要なフィニッシュ・ホールドであった。
- ミサイル・キック
- ブレーンバスター
- ジャーマンスープレックス
4. タイトルおよび受賞歴
美闘陽子のプロレスキャリアにおける主なタイトル獲得歴と受賞歴は以下の通りである。
- 日刊スポーツ
- 女子タッグチーム賞 (2011年) - パートナー: 愛川ゆず季
- スターダム
- ゴッデス・オブ・スターダム王座 (2回)
- 初代 - パートナー: 愛川ゆず季
- 第10代 - パートナー: 宝城カイリ
- ワンダー・オブ・スターダム王座 (第10代)
- ゴッデス・オブ・スターダムタッグリーグ 優勝
- 2011年 - パートナー: 愛川ゆず季
- 2016年 - パートナー: 宝城カイリ
- 5★STAR GP 優勝 (2016年)
- スターダムアワード (4回)
- ベストマッチ賞 (2017年) - 10月17日の彩羽匠戦
- ベストタッグ賞 (2016年) - パートナー: 宝城カイリ
- 殊勲賞 (2011年、2016年)
- ゴッデス・オブ・スターダム王座 (2回)
5. その他の情報
- 入場テーマ曲
- 「Tik Tok」 - ケシャ
- 「READY GO」 - 4minute (「全力女子」として使用)
- 写真集
- 『女子プロレス エロカワ主義』 (2012年)
6. 外部リンク
- [http://wwr-stardom.com/?stars=bito スターダム公式プロフィール]
- [https://www.cagematch.net/?id=2&nr=10449 Cagematchプロフィール]
- [https://ameblo.jp/aloha---405/ 美闘陽子のHappy smile y☺k] - 本人のブログ
- [https://twitter.com/aloha405b Twitterアカウント]