1. 来歴
山中裕子は、アマチュアでの活動を経てプロの世界に進出し、日本国内の主要な団体であるスマックガールやJEWELSで活躍した。また、海外のStrikeforceやInvicta FCなどの舞台にも挑戦し、国際的な経験を積んだ。
1.1. 幼少期とキャリア初期
山中裕子は1978年10月24日に千葉県木更津市で生まれた。友人からの提案をきっかけに、当初は健康維持とフィットネス目的で総合格闘技を始めた。しかし、次第にこのスポーツが自身の身体能力に適していると感じ、本格的に取り組むようになった。
プロとしての初の公式戦は、2006年5月14日にアマチュアスマックガールルールで行われた「S-Keep: Eggs Fight 4」での藤本真理子戦で、この試合は引分に終わった。同年11月29日にスマックガール後楽園ホール大会で行われた「スマックガール: Legend of Extreme Women」でプロデビューを果たし、スーパーギャルズミックス杯無差別級トーナメントの1回戦で村上リエを3-0の判定で破り、勝利を飾った。
1.2. SMACKGIRLでの活躍と王座獲得
山中裕子は、2007年3月11日に行われたスマックガール無差別級トーナメント準決勝で女子プロレスラーの唯我を3-0の判定で下した。続く同年5月19日の決勝では武田美智子に2-1の僅差の判定で勝利し、トーナメントを制覇した。この勝利により、同日に無差別級王座を獲得した高橋洋子への挑戦権を得た。
そして2007年9月6日、「スマックガール: Queens' Hottest Summer」にて恩師でもある第3代王者高橋洋子と対戦し、3-0の判定で勝利を収めた。この結果、山中裕子はデビュー以来4戦無敗のまま、スマックガール無差別級の第4代王者となった。
2007年11月に所属していた巴組が活動停止となり、その後、藪下のマネージメントからも離れ、フリーとして活動していたが、2008年2月20日に自身のチーム「B CREW」を立ち上げた。2008年4月25日、スマックガールの「WORLD ReMix TOURNAMENT 2008無差別級 準決勝」に急遽出場したが、赤野仁美に腕ひしぎ十字固めで敗れ、プロ入り後初の敗戦を喫した。この試合が、プロモーションの消滅により、スマックガールでの彼女の最後の試合となった。
1.3. JEWELSでの活動
山中裕子は、スマックガールの活動停止後、2008年11月16日にJEWELS旗揚げ戦で超弁慶と対戦し、判定勝ちを収めてJEWELSデビューを飾った。
2009年2月4日に行われた「JEWELS 2nd RING」では、かつてトーナメント決勝で戦った武田美智子と再び対戦し、2ラウンド3分25秒、右ストレートによるTKOで勝利した。同年5月16日の「JEWELS 3rd RING」では、ジョシュ・バーネットの指導を受けていたシャノン・フーバーを相手に、自身の長い足を生かしたローキックを効果的に決め、3-0の判定勝ちを収めた。
2010年3月19日、「JEWELS 7th RING」のメインイベントで赤野仁美と約2年ぶりに再戦し、2-1の判定で勝利した。この試合は65 kg (143 lb)の契約体重で行われ、山中裕子にとってキャリア初の体重別での減量となった。この試合に向けて10 kg以上の減量を行った。同年5月23日の「JEWELS 8th RING」では江本敦子と対戦し、3-0の判定で勝利した。江本はこの試合後に引退を発表した。
2010年8月29日、「シュートボクシング: Girls S-Cup 2010」で行われたJEWELSマッチでは、オーストラリアのムエタイキックボクシング王者サンディ・ファーナーと対戦し、1ラウンド1分45秒、前腕チョークによる一本勝ちを収めた。当初は北京オリンピック女子レスリング63kg級銅メダリストであるランディ・ミラーとの対戦が予定されていたが、ミラーの負傷欠場により対戦相手がファーナーに変更された経緯がある。
2010年12月17日、「JEWELS 11th RING」ではモーリー・ヘイゼルと対戦し、2ラウンド3分12秒、パンチ連打による3度のダウンを奪いTKO勝ちを収めた。この試合も当初はランディ・ミラーとの再度の対戦が発表されていたが、ミラーの怪我による欠場で対戦相手が変更された。
2011年7月9日、「JEWELS 15th RING」でエスイと対戦し、2ラウンド2分20秒、腕ひしぎ十字固めによる一本勝ちを収めた。
1.4. 国際舞台での挑戦
山中裕子は、2011年12月17日にStrikeforceに初参戦し、「Strikeforce: Melendez vs. Masvidal」にて女子フェザー級王座を保持するクリスチャン・サイボーグに挑戦した。しかし、試合開始わずか16秒でTKO負けを喫した。
その後、2012年1月6日にカリフォルニア州アスレチックコミッション(CSAC)により、サイボーグがアナボリックステロイドのドーピング検査で陽性反応を示したことが発表された。これを受けて、この試合結果はノーコンテスト(無効試合)に変更された。
2012年8月18日、「Strikeforce: Rousey vs. Kaufman」でジャーメイン・デ・ランダミーと対戦したが、判定で敗れた。
2013年1月5日には、Invicta FCに初参戦し、「Invicta FC 4: Esparza vs. Hyatt」でエジアネ・ゴメスと対戦したが、判定で敗れた。
2. 引退
山中裕子は、2013年8月6日に自身の公式ブログ上で、同年7月31日をもってプロ選手としての引退を発表した。「ありがとうございました」と題されたブログ記事では、ファンへの感謝を述べ、今後も所属チームであるマスタージャパンをサポートし続けたいとの意向を表明した。
3. 戦績
山中裕子のプロ総合格闘技戦績は12勝3敗1ノーコンテスト、アマチュア総合格闘技戦績は0勝0敗1引分、グラップリング戦績は1勝2敗、シュートボクシング戦績は2勝0敗である。
3.1. プロ総合格闘技
| 結果 | 戦績 | 対戦相手 | 試合方法 | イベント | 開催年月日 | ラウンド | 時間 | 開催地 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 敗 | 12-3 (1) | エジアネ・ゴメス | 判定3-0 | Invicta FC 4: Esparza vs. Hyatt | 2013年1月5日 | 3 | 5:00 | カンザス州カンザスシティ、アメリカ合衆国 | |
| 敗 | 12-2 (1) | ジャーメイン・デ・ランダミー | 判定3-0 | Strikeforce: Rousey vs. Kaufman | 2012年8月18日 | 3 | 5:00 | カリフォルニア州サンディエゴ、アメリカ合衆国 | |
| NC | 12-1 (1) | クリスチャン・サイボーグ | ノーコンテスト(薬物検査失格) | Strikeforce: Melendez vs. Masvidal | 2011年12月17日 | 1 | 0:16 | カリフォルニア州サンディエゴ、アメリカ合衆国 | Strikeforce女子フェザー級タイトルマッチ。当初はTKO負け。サイボーグのスタノゾロール陽性反応によりノーコンテストに変更。 |
| 勝 | 12-1 | エスイ | 腕ひしぎ十字固め | JEWELS 15th RING | 2011年7月9日 | 2 | 2:20 | 東京、日本 | |
| 勝 | 11-1 | モーリー・ヘイゼル | TKO(パンチ連打) | JEWELS 11th RING | 2010年12月17日 | 2 | 3:12 | 東京、日本 | |
| 勝 | 10-1 | サンディ・ファーナー | 前腕チョーク | SHOOT BOXING WORLD TOURNAMENT Girls S-cup 2010 | 2010年8月29日 | 1 | 1:45 | 東京、日本 | |
| 勝 | 9-1 | 江本敦子 | 判定3-0 | JEWELS 8th RING | 2010年5月23日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
| 勝 | 8-1 | 赤野仁美 | 判定2-1 | JEWELS 7th RING | 2010年3月19日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
| 勝 | 7-1 | シャノン・フーパー | 判定3-0 | JEWELS 3rd RING | 2009年5月16日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
| 勝 | 6-1 | 武田美智子 | TKO(右ストレート) | JEWELS 2nd RING | 2009年2月4日 | 2 | 3:25 | 東京、日本 | |
| 勝 | 5-1 | 超弁慶 | 判定3-0 | JEWELS 旗揚げ戦 | 2008年11月16日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
| 敗 | 4-1 | 赤野仁美 | 腕ひしぎ十字固め | SMACKGIRL WORLD ReMix TOURNAMENT 2008 準決勝 | 2008年4月25日 | 2 | 3:10 | 東京、日本 | WORLD ReMix TOURNAMENT 2008 無差別級 準決勝 |
| 勝 | 4-0 | 高橋洋子 | 判定3-0 | SMACKGIRL 2007 ~女王たちの一番熱い夏~ | 2007年9月6日 | 3 | 5:00 | 東京、日本 | SMACKGIRL無差別級女王タイトルマッチ。王座獲得。 |
| 勝 | 3-0 | 武田美智子 | 判定2-1 | SMACKGIRL 2007 ~最強はUSAだと女王は言った~ | 2007年5月19日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | スーパーギャルズミックス杯 無差別級トーナメント 決勝 |
| 勝 | 2-0 | 唯我 | 判定3-0 | SMACKGIRL 2007 ~女王は新宿の夜を赤く染るか?~ | 2007年3月11日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | スーパーギャルズミックス杯 無差別級トーナメント 準決勝 |
| 勝 | 1-0 | 村上リエ | 判定3-0 | SMACKGIRL 2006 ~極女伝説~ | 2006年11月29日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | スーパーギャルズミックス杯 無差別級トーナメント 1回戦 |
3.2. アマチュア総合格闘技
| 結果 | 対戦相手 | 試合結果 | 大会名 | 開催年月日 |
|---|---|---|---|---|
| 引分 | まりぃ015 | 4分1R終了 ドロー | S-KEEP "EGGS FIGHT4" | 2006年5月14日 |
3.3. グラップリング
| 結果 | 戦績 | 対戦相手 | 試合方法 | イベント | 開催年月日 | ラウンド | 時間 | 開催地 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 敗 | 1-2-0 | 塩田さやか | 腕ひしぎ十字固め | Giグラップリング2008 | 2008年8月31日 | 1 | 1:24 | 東京、日本 | QUEEN TOURNAMENT エキスパート 無差別級 準決勝 |
| 勝 | 1-1-0 | 内藤晶子 | 腕ひしぎ十字固め | Giグラップリング2008 | 2008年7月5日 | 1 | 0:46 | 東京、日本 | QUEEN TOURNAMENT エキスパート 無差別級 2回戦 |
| 敗 | 0-1-0 | ロクサン・モダフェリ | アドバンテージ判定0-1 | SMACKGIRL GRAPPRING QUEEN TOURNAMENT 2006 | 2006年7月23日 | 1 | 7:00 | 東京、日本 | 無差別級トーナメント 1回戦 |
3.4. シュートボクシング
| 結果 | 戦績 | 対戦相手 | 試合方法 | イベント | 開催年月日 | ラウンド | 時間 | 開催地 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 勝 | 2-0-0 | 藪下めぐみ | TKO(ドクターストップ) | 2011 Shoot Boxing Girls S-Cup | 2011年8月19日 | 3 | 0:03 | 東京、日本 | |
| 勝 | 1-0-0 | 超弁慶 | TKO(パンチ) | SHOOT BOXING GIRLS TOURNAMENT Girls S-cup 2009 | 2009年8月23日 | 1 | 0:57 | 東京、日本 |
4. 獲得タイトルと実績
- スーパーギャルズミックス杯 無差別級トーナメント優勝(2007年)
- 第4代スマックガール無差別級女王(2007年)