1. 概要
アレクサンダー・ジェームズ・ピアースは、1988年11月9日にイングランドのオックスフォードシャー州ウォリンフォードで生まれたプロサッカー選手である。主にセンターバックとしてプレーし、現在はレザヘッズFCに所属している。レディングFCのユースアカデミーでキャリアをスタートさせ、2006年にプロ契約を結んだ後、レディングFCのトップチームで長年にわたり活躍した。そのキャリアを通じて、ノーサンプトン・タウンFC、AFCボーンマス、ノリッジ・シティFC、サウサンプトンFC、ブリストル・シティFC、ミルウォールFCといった複数のクラブへ期限付き移籍を経験している。
2015年にはダービー・カウンティFCへ完全移籍し、その後2019年にミルウォールFCへ、2022年にはAFCウィンブルドンへ移籍した。国際舞台では、両親の出身地であるスコットランドのユース代表(U-19、U-21)としてプレーしたが、最終的にはアイルランド共和国代表を選択し、2012年にフル代表デビューを果たし、初ゴールも記録した。レディングFCでは2011-12シーズンにフットボールリーグ・チャンピオンシップ優勝に貢献し、同シーズンの年間最優秀選手に選ばれるなど、クラブの重要な選手として活躍した。
2. 生涯と経歴
2.1. 生い立ちと学歴
アレクサンダー・ジェームズ・ピアースは、1988年11月9日にイングランドのオックスフォードシャー州ウォリンフォードで生まれた。彼はウッドコットにあるジ・オラトリー・スクールに通い、シックスフォーム(高校最終学年)まで学んだ。その後、サッカー選手としてのキャリアを形成するため、レディングFCのユースアカデミーに専念した。
3. クラブ経歴
ピアースはプロサッカー選手としてのキャリアを通じて、イングランドの様々なクラブでプレーし、多くの期限付き移籍を経験した。

3.1. レディングFC
ピアースは2001年からレディングFCのユースチームでプレーし、2006年10月23日に3年間のプロ契約を結んだ。トップチームでのデビューは、2007年1月9日のFAカップ3回戦、バーンリーFC戦で、74分にイヴァル・インギマルソンと交代で途中出場した。
2007年3月8日、ノーサンプトン・タウンFCへの期限付き移籍からレディングに復帰したピアースは、プレミアリザーブリーグの全国決勝でリザーブチームのキャプテンを務めた。この決勝では、レディングがボルトン・ワンダラーズFCに2-0で勝利し、ピアース自身もゴールを決め、過去2年間マンチェスター・ユナイテッドFCが保持していたトロフィーを獲得した。
2007年12月21日には、レディングと新たに2年半の契約を結んだ。当時のディレクターであるニック・ハモンドは、ピアースの「素晴らしい労働意欲と精神力」がレディングでの長く成功したキャリアを保証すると述べた。
2008年1月15日には、マデイ・スキースタジアムで行われたFAカップ4回戦の再試合、トッテナム・ホットスパーFC戦でフルデビューを果たした。この試合には、新イングランド代表監督のファビオ・カペッロも観戦に訪れており、ピアースは非常に堅実なパフォーマンスを見せた。
2008年8月26日、フットボールリーグカップのルートン・タウンFC戦でレディングでの初ゴールを記録した。
スティーヴ・コッペル監督の退任とブレンダン・ロジャーズ監督の就任後、ピアースはレディングの副キャプテンに任命された。新キャプテンのイヴァル・インギマルソンの負傷により、ピアースは2009-10シーズンをファーストチームのキャプテンとしてスタートした。
2011-12シーズンには、レディングのフットボールリーグ・チャンピオンシップ優勝に貢献し、シーズンを通じて守備の要として活躍しただけでなく、自身もゴールを挙げた。この活躍が評価され、彼は2011-12シーズンのレディング年間最優秀選手に選出された。
2013年6月21日、ピアースはレディングと新たに2年契約を結んだ。レディングではリーグ戦212試合に出場し14ゴールを記録した。
3.2. ノーサンプトン・タウンFC (期限付き移籍)
2007年2月9日、ピアースは1ヶ月の期限付き移籍でノーサンプトン・タウンFCに加入した。リーグデビューはノッティンガム・フォレストFCとの試合で1-0で敗れたものの、監督のスチュアート・グレイからそのパフォーマンスを高く評価された。同年4月8日のスカンソープ・ユナイテッドFC戦では、2-1の勝利に貢献する初ゴールを決めた。この期限付き移籍は2006-07シーズン終了まで延長された。ノーサンプトンではリーグ戦15試合に出場し1ゴールを記録した。
3.3. AFCボーンマス (期限付き移籍)
2007年11月2日、ピアースはAFCボーンマスに期限付き移籍し、当初は12月8日まで、その後2008年1月3日まで延長された。ボーンマスではリーグ戦11試合に出場し、フットボールリーグトロフィーで1試合に出場したが、ゴールはなかった。
3.4. ノリッジ・シティFC (期限付き移籍)
2008年1月31日、ピアースはフットボールリーグ・チャンピオンシップのノリッジ・シティFCに2007-08シーズン終了までの期限付き移籍で加入した。ノリッジではリーグ戦11試合に出場したが、ゴールはなかった。
3.5. サウサンプトンFC (期限付き移籍)
2008年10月31日、ピアースはサウサンプトンFCに12月末までの期限付き移籍で加入した。11月1日のプレストン・ノースエンドFC戦でデビューし、2-0の劣勢から3-2の逆転勝利を収めた試合でサウサンプトンでの初ゴールを決めた。サウサンプトンではリーグ戦9試合に出場し2ゴールを記録した。
3.6. ダービー・カウンティFC
2015年6月8日、レディングとの契約満了に伴い、ピアースはダービー・カウンティFCと3年契約を結んだ。ダービーでのデビューは、2015年8月12日のフットボールリーグカップ、ポーツマスFC戦だった。2016年10月29日には、シェフィールド・ウェンズデイFC戦でダービーでの初ゴールを決め、2-0の勝利に貢献した。2018-19シーズン終了後、ダービー・カウンティを退団した。ダービーではリーグ戦48試合に出場し3ゴールを記録した。
3.7. ブリストル・シティFC (期限付き移籍)
2016年1月19日、ピアースはブリストル・シティFCに2015-16シーズン終了までの期限付き移籍で加入した。ブリストル・シティではリーグ戦7試合に出場したが、ゴールはなかった。
3.8. ミルウォールFC (期限付き移籍)
2019年1月4日、ピアースはミルウォールFCに2018-19シーズン後半までの期限付き移籍で加入した。ミルウォールでの期限付き移籍期間中、リーグ戦11試合に出場し、FAカップで4試合に出場し1ゴールを記録した。
3.9. ミルウォールFC
2019年5月14日、ピアースは期限付き移籍で加入していたミルウォールFCに完全移籍した。ミルウォールでは主要な役割を担ったが、2022年5月20日に契約満了に伴いクラブを退団した。ミルウォールではリーグ戦70試合に出場したが、ゴールはなかった。
3.10. AFCウィンブルドン
ミルウォールを退団後、ピアースは2022年6月7日にAFCウィンブルドンに加入した。2023年12月19日、フラットン・パークで行われたポーツマスFC戦でAFCウィンブルドンでの初ゴールを記録し、チームの5-2の勝利に貢献、EFLトロフィーのベスト16進出を決めた。2023-24シーズン終了後、契約満了に伴いクラブを退団した。AFCウィンブルドンではリーグ戦30試合に出場したが、ゴールはなかった。
3.11. レザヘッズFC
2024年10月、ピアースはイスミアンリーグサウスセントラルディビジョンに所属するレザヘッズFCに加入した。
4. 代表経歴
ピアースは国際舞台において、ユース世代ではスコットランド代表として、フル代表ではアイルランド共和国代表としてプレーした。
4.1. スコットランド
ピアースはイングランドで生まれたが、両親がスコットランド出身であるため、スコットランド代表としてプレーする資格を持っていた。彼はユースレベルでスコットランド代表としてプレーし、スコットランドU-19代表として3試合に出場した。2008年5月20日、キルマーノックで行われたノルウェーU-21代表戦でスコットランドU-21代表としてデビューしたが、試合は1-4で敗れた。スコットランドU-21代表として2試合に出場した。
4.2. アイルランド共和国
ピアースはアイルランド共和国代表としてもプレーする資格を持っており、少年時代にはアイルランド代表としてプレーした経験もある。2011年10月、彼は「私が常にプレーしたいと願ってきた国はアイルランドだ」と述べ、アイルランド代表を選択することを表明した。
2012年9月8日、ピアースは3日後に控えたオマーン代表との国際親善試合を前に、アイルランド共和国のフル代表に初招集された。同年9月11日に行われたデビュー戦でゴールを決め、チームの4-1の勝利に貢献した。2014年9月3日には、再びオマーン代表との試合で2-0の勝利の2点目を記録した。アイルランド共和国代表として7試合に出場し2ゴールを記録した。
5. 選手経歴統計
5.1. クラブ別統計
クラブ | シーズン | リーグ | FAカップ | リーグカップ | その他 | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | ゴール | 出場 | ゴール | 出場 | ゴール | 出場 | ゴール | 出場 | ゴール | ||
レディング | 2006-07 | プレミアリーグ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | |
2007-08 | プレミアリーグ | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | - | 3 | 0 | ||
2008-09 | チャンピオンシップ | 16 | 1 | 1 | 0 | 3 | 1 | 1 | 0 | 21 | 2 | |
2009-10 | チャンピオンシップ | 25 | 4 | 1 | 0 | 2 | 0 | - | 28 | 4 | ||
2010-11 | チャンピオンシップ | 21 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 24 | 1 | |
2011-12 | チャンピオンシップ | 46 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 47 | 5 | ||
2012-13 | プレミアリーグ | 19 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | - | 21 | 0 | ||
2013-14 | チャンピオンシップ | 45 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 46 | 3 | ||
2014-15 | チャンピオンシップ | 40 | 0 | 6 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 49 | 0 | |
合計 | 212 | 14 | 15 | 0 | 12 | 1 | 1 | 0 | 240 | 15 | ||
ノーサンプトン・タウン (期限付き移籍) | 2006-07 | リーグ1 | 15 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 | 1 |
AFCボーンマス (期限付き移籍) | 2007-08 | リーグ1 | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 12 | 0 |
ノリッジ・シティ (期限付き移籍) | 2007-08 | チャンピオンシップ | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 11 | 0 | |
サウサンプトン (期限付き移籍) | 2008-09 | チャンピオンシップ | 9 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 9 | 2 | |
ダービー・カウンティ | 2015-16 | チャンピオンシップ | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | - | 2 | 0 | |
2016-17 | チャンピオンシップ | 40 | 2 | 2 | 0 | 3 | 0 | - | 45 | 2 | ||
2017-18 | チャンピオンシップ | 7 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | - | 10 | 1 | ||
2018-19 | チャンピオンシップ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | ||
合計 | 48 | 3 | 4 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 58 | 3 | ||
ブリストル・シティ (期限付き移籍) | 2015-16 | チャンピオンシップ | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 7 | 0 | |
ミルウォール (期限付き移籍) | 2018-19 | チャンピオンシップ | 11 | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 | - | 15 | 1 | |
ミルウォール | 2019-20 | チャンピオンシップ | 29 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | - | 31 | 0 | |
2020-21 | チャンピオンシップ | 24 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | - | 26 | 0 | ||
2021-22 | チャンピオンシップ | 6 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | - | 9 | 0 | ||
合計 | 70 | 0 | 9 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 81 | 1 | ||
AFCウィンブルドン | 2022-23 | リーグ2 | 20 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 22 | 0 |
2023-24 | リーグ2 | 10 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 3 | 1 | 17 | 1 | |
合計 | 30 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 4 | 1 | 39 | 1 | ||
レザヘッズ | 2024-25 | サザンリーグ・プレミアディビジョン・サウス | 5 | 0 | 1 | 0 | - | 0 | 0 | 6 | 0 | |
キャリア合計 | 418 | 20 | 33 | 1 | 21 | 1 | 6 | 1 | 478 | 23 |
5.2. 代表別統計
# | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2012年9月11日 | クレイヴン・コテージ、ロンドン、イングランド | Omanオマーン英語 | 4-1 | 親善試合 | |
2 | 2014年9月3日 | アビバ・スタジアム、ダブリン、アイルランド共和国 | Omanオマーン英語 | 2-0 | 親善試合 |
スコットランドU-19代表として3試合0ゴール、スコットランドU-21代表として2試合0ゴール、アイルランド共和国代表として7試合2ゴールを記録している。
6. 受賞歴
6.1. クラブでの受賞
- レディング
- フットボールリーグ・チャンピオンシップ: 2011-12シーズン
6.2. 個人受賞
- レディング年間最優秀選手: 2011-12シーズン
7. 関連項目
- アイルランド共和国国外で生まれたサッカーアイルランド共和国代表選手の一覧
- 複数の国を代表して競技したスポーツ選手の一覧