1. プロ経歴
アレン・ハンソンのプロ野球キャリアは、2009年のピッツバーグ・パイレーツとの契約から始まり、MLBでの数チームを経て、日本でのプレー、そして現在はメキシカンリーグに至るまで多岐にわたる。彼はそのキャリアを通じて、様々なリーグで内野手や外野手として活躍し、打撃と走塁で存在感を示してきた。
1.1. ピッツバーグ・パイレーツ
アレン・ハンソンは、ピッツバーグ・パイレーツ傘下のマイナーリーグでプロキャリアをスタートさせ、その成長過程で有望株としての評価を確立し、やがてメジャーリーグの舞台に上がった。
1.1.1. マイナーリーグ時代
2009年7月14日、ハンソンはピッツバーグ・パイレーツと契約金9.00 万 USDで国際フリーエージェントとして契約を結び、プロ入りした。2010年、ルーキー級のガルフ・コーストリーグ・パイレーツでプロデビュー。68試合に出場し、打率.324、28打点、7三塁打、20盗塁を記録した。2011年も同チームでプレーし、52試合で打率.263、35打点、7三塁打、24盗塁を記録。彼の記録した7三塁打は、2011年のガルフ・コーストリーグでリーグ最多だった。
2012年7月、ベースボール・アメリカ誌の「ミッドシーズン・トップ50プロスペクトリスト」で、野球界全体で40番目に優れた有望株として評価された。この年はA級ウェストバージニア・パワーでプレーし、124試合に出場して打率.309、16本塁打、62打点、13三塁打、39盗塁、55四球、99得点を記録。シーズン中にはリーグのオールスターにも選出された。
2013年シーズン開幕前には、MLB.comで54番目、ベースボール・アメリカ誌で61番目に優れた有望株と評価された。シーズンはA+級ブレイデントン・マローダーズでスタートし、92試合で打率.281、7本塁打、48打点、24盗塁を記録。7月28日にはAA級アルトゥーナ・カーブに昇格し、35試合で打率.255、10打点、6盗塁、1本塁打を記録した。同年11月20日にはルール・ファイブ・ドラフトでの流出を防ぐため、40人枠入りを果たした。
2014年シーズンはAA級アルトゥーナで118試合に出場し、打率.280、11本塁打、64打点、12三塁打、25盗塁を記録。同年8月、パイレーツは主に遊撃手としてプレーしていたハンソンの二塁手へのコンバートを発表した。この発表時、ハンソンは2013年と2014年の227試合で61失策を記録していた。パイレーツのマイナーリーグ統括ディレクターであるラリー・ブロードウェイは、このコンバートがハンソンのユーティリティ性を高めるためであり、「彼は将来的に遊撃手もプレーできると信じている。この次元を彼のゲームに加えることで、彼がメジャーレベルで組織に影響を与える機会を増やすだろう」と述べた。
2015年シーズンはAAA級インディアナポリス・インディアンスで117試合に出場し、打率.263、6本塁打、43打点、12三塁打を記録。また、2012年と同じ自己最多となる35盗塁を記録した。
2016年シーズン開幕前、MLB.comはハンソンをパイレーツ組織内で10番目、二塁手としては6番目に優れた有望株と評価した。彼はこの年もAAA級インディアナポリスでシーズンをスタートした。
1.1.2. メジャーリーグ時代
2016年5月16日、スターリング・マルテの出産休暇に伴い、ハンソンはメジャーリーグに初昇格を果たした。パイレーツのクリント・ハードル監督は、マルテが復帰すればハンソンはマイナーリーグに戻ると述べつつも、シーズン後半には再昇格する可能性が高いとしながらも、まだAAA級で実績を証明する必要があるとも語った。ハンソンは、昇格のニュースを母親に電話で伝えた際、母親が誤って電話を切り、お祝いに夢中になってしまい、ハンソンが10分近くも沈黙の中で待たされたというエピソードを後に明かした。
2016年5月17日、ハンソンはメジャーデビューを果たしたが、代打出場で三振に倒れた。翌18日にはメジャー初安打を記録。5回に代打で登場し、内野安打で出塁した。試合後、ハンソンはこの記念のボールを故郷のドミニカ共和国にいる母親へのプレゼントとして送るつもりだと語った。
2017年シーズンはマイナーリーグのオプションがないため、パイレーツの開幕ロースター入りを果たした。しかし、同年6月2日にDFAとなった。
1.2. シカゴ・ホワイトソックス

2017年6月9日、ハンソンはウェイバー公示を経てシカゴ・ホワイトソックスに移籍した。翌日にはチームの25人枠に追加された。同年12月1日、ホワイトソックスからノンテンダーFAとなり、フリーエージェントとなった。
1.3. サンフランシスコ・ジャイアンツ

2017年12月22日、ハンソンはサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった。2018年シーズンはAAA級サクラメント・リバーキャッツで開幕を迎えた。4月28日、正二塁手のジョー・パニックが手の負傷で離脱したことを受け、ハンソンはジャイアンツに昇格した。リバーキャッツでは62打数で打率.403、5二塁打、3本塁打と好調だった。
2019年3月28日、開幕ロースター入りを逃し、DFAとなった。
1.4. トロント・ブルージェイズ
2019年4月2日、ジャイアンツはハンソン、デレク・ロー、フアン・デポーラをトロント・ブルージェイズに放出し、ケビン・ピラーとのトレードが成立した。ハンソンは4月4日にブルージェイズに昇格した。しかし、5月3日にDFAとなり、5月7日にはAAA級バッファロー・バイソンズにアウトライトされた。同年8月3日にブルージェイズから自由契約となった。トロントでの出場は18試合にとどまり、打率.163と振るわなかった。
1.5. マリナーズ傘下時代
2020年1月23日、ハンソンはシアトル・マリナーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになったと報じられ、翌24日に正式発表された。この年はメジャー昇格の機会はなく、新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグが開催されなかったため、公式戦の出場はなかった。
2021年6月17日、ハンソンはマリナーズと再びマイナー契約を結び、AAA級タコマ・レイニアーズでプレーしたが、メジャー昇格の機会はなかった。同年11月7日にフリーエージェントとなった。
2022年は腹部の体調不良を抱えていたため、いずれの球団にも所属しなかったが、夏には回復した。
1.6. BC・茨城時代
2023年3月24日、ハンソンは日本の独立リーグであるベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ)の茨城アストロプラネッツに入団することが発表された。茨城での登録名は「ハンソン」とされた。彼が日本の独立リーグに入団したのは、NPB球団へのアピールの機会を得るためであった。茨城アストロプラネッツのゼネラルマネージャー(GM)である色川冬馬は、ユーティリティプレイヤーのMLB経験者がNPB球団の助っ人として需要があるかどうかの挑戦として、ハンソンの獲得に動いた。2か月に及ぶ交渉の末、開幕直前で契約合意に至ったという。5月6日までの間、彼は「3番・遊撃手」として8試合に出場し、打率.233、1本塁打、6打点、4盗塁を記録した。
1.7. 北海道日本ハムファイターズ時代
2023年5月8日、ハンソンはNPBの北海道日本ハムファイターズに入団することが発表された。背番号は94。この時期の日本ハムは、清宮幸太郎、石井一成、加藤豪将、五十幡亮汰など、複数のポジションで主力野手が戦線離脱しており、郡拓也のようなユーティリティプレイヤーを必要とする状況にあったことが、緊急補強の背景にあった。
5月10日、横浜DeNAベイスターズとのイースタン・リーグの試合で「6番・遊撃手」として先発出場し、3打席目にNPBでの初安打を記録した。その後、同13日に一軍昇格し、同日の千葉ロッテマリーンズ戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)で、6回裏にアリスメンディ・アルカンタラの代打として来日初打席を迎えたが、廣畑敦也の前に空振り三振に倒れた。この試合は特別ユニフォームを着用した試合だったため、ジョン・ガントのユニフォームを借りてプレーした。5月19日のオリックス・バファローズ戦(京セラドーム大阪)では、8回表に水野達稀の代打として出場し、右前へ来日初安打となる適時打を放ち、初打点も記録した。「2番・指名打者」として先発出場した同24日の福岡ソフトバンクホークス戦(エスコンフィールド)では、和田毅から来日初本塁打となる先制の1号ソロを記録した。しかし、以降は20打席連続無安打となるなど調子が上がらず、最終的に39試合の出場で打率.144、4本塁打、9打点に終わり、同年10月30日に退団が発表された。
1.8. ケレタロ・コンスピレーターズ時代
2024年2月22日、ハンソンはメキシカンリーグに所属するケレタロ・コンスピレーターズへの入団が発表された。80試合に出場し、打率.335、16本塁打、49打点、8盗塁を記録している。
2. 国際大会経歴
ハンソンは、2020-2021シーズンおよび2021-2022シーズンにドミニカウィンターリーグのトロス・デル・エステでプレーした。
また、2020年には2021 ワールド・ベースボール・クラシック予選のフランス代表ロースターに選出された。彼はドミニカ共和国で生まれたものの、母親がフランス国籍を持つため、フランス代表として出場資格を有している。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大会が中止延期されたため、実際のプレーは叶わなかった。
2024年には第3回WBSCプレミア12にドミニカ共和国代表として出場した。
3. 詳細情報
3.1. 年度別打撃成績
年 度 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016 | PIT | 27 | 33 | 31 | 5 | 7 | 1 | 0 | 0 | 8 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 5 | 0 | .226 | .273 | .258 | .531 |
2017 | 37 | 59 | 57 | 8 | 11 | 0 | 2 | 0 | 15 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 9 | 0 | .193 | .220 | .263 | .483 | |
CWS | 69 | 175 | 160 | 28 | 37 | 9 | 1 | 4 | 60 | 10 | 9 | 2 | 1 | 3 | 10 | 0 | 1 | 43 | 5 | .231 | .276 | .375 | .651 | |
'17計 | 106 | 234 | 217 | 36 | 48 | 9 | 3 | 4 | 75 | 11 | 11 | 3 | 1 | 3 | 12 | 0 | 1 | 52 | 5 | .221 | .262 | .346 | .607 | |
2018 | SF | 110 | 310 | 294 | 36 | 74 | 17 | 5 | 8 | 125 | 39 | 7 | 3 | 3 | 3 | 9 | 0 | 1 | 71 | 4 | .252 | .274 | .425 | .699 |
2019 | TOR | 18 | 48 | 43 | 5 | 7 | 0 | 0 | 0 | 7 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 | 1 | 1 | 17 | 0 | .163 | .229 | .163 | .392 |
2023 | 日本ハム | 39 | 96 | 90 | 9 | 13 | 3 | 0 | 4 | 28 | 9 | 2 | 1 | 0 | 1 | 5 | 0 | 0 | 12 | 3 | .144 | .188 | .311 | .499 |
MLB:4年 | 261 | 625 | 585 | 82 | 136 | 27 | 8 | 12 | 215 | 55 | 21 | 7 | 4 | 7 | 26 | 2 | 3 | 145 | 9 | .232 | .266 | .368 | .633 | |
NPB:1年 | 39 | 96 | 90 | 9 | 13 | 3 | 0 | 4 | 28 | 9 | 2 | 1 | 0 | 1 | 5 | 0 | 0 | 12 | 3 | .144 | .188 | .311 | .499 |
- 2023年度シーズン終了時
3.2. 年度別守備成績
; 内野守備
年 度 | 球 団 | 一塁(1B) | 二塁(2B) | 三塁(3B) | 遊撃(SS) | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||||||||
2016 | PIT | - | 8 | 13 | 11 | 2 | 6 | .923 | - | - | |||||||||||||||
2017 | - | 15 | 20 | 30 | 1 | 7 | .980 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 2 | 3 | 2 | 0 | 2 | 1.000 | ||||||
CWS | - | 13 | 13 | 37 | 0 | 7 | 1.000 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | - | |||||||||||
'17計 | - | 28 | 33 | 67 | 1 | 14 | .990 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | 2 | 3 | 2 | 0 | 2 | 1.000 | ||||||
2018 | SF | - | 45 | 70 | 88 | 4 | 24 | .975 | 10 | 5 | 13 | 1 | 1 | .947 | 16 | 16 | 33 | 0 | 6 | 1.000 | |||||
2019 | TOR | 2 | 9 | 2 | 0 | 1 | 1.000 | 8 | 11 | 13 | 0 | 5 | 1.000 | - | - | ||||||||||
2023 | 日本ハム | - | 8 | 9 | 17 | 0 | 1 | 1.000 | - | 9 | 14 | 12 | 2 | 3 | .929 | ||||||||||
MLB | 2 | 9 | 2 | 0 | 1 | 1.000 | 89 | 127 | 179 | 7 | 49 | .978 | 12 | 5 | 15 | 1 | 1 | .952 | 18 | 19 | 35 | 0 | 8 | 1.000 | |
NPB | - | 8 | 9 | 17 | 0 | 1 | 1.000 | - | 9 | 14 | 12 | 2 | 3 | .929 |
; 外野守備
年 度 | 球 団 | 中堅(CF) | 左翼(LF) | 右翼(RF) | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2017 | PIT | - | - | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | ||||||||||
CWS | 11 | 18 | 2 | 2 | 1 | .909 | 8 | 7 | 0 | 2 | 0 | .778 | 18 | 24 | 0 | 1 | 0 | .960 | |
'17計 | 11 | 18 | 2 | 2 | 1 | .909 | 8 | 7 | 0 | 2 | 0 | .778 | 20 | 24 | 0 | 1 | 0 | .960 | |
2018 | SF | - | 18 | 21 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | |||||
2019 | TOR | - | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 5 | 10 | 0 | 1 | 0 | .909 | |||||
MLB | 11 | 18 | 2 | 2 | 1 | .909 | 27 | 28 | 1 | 2 | 0 | .935 | 27 | 37 | 0 | 2 | 0 | .949 |
- 2023年度シーズン終了時
3.3. 主要記録
3.3.1. NPBでの初記録
- 初出場・初打席:2023年5月13日、対千葉ロッテマリーンズ7回戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)、6回裏にアリスメンディ・アルカンタラの代打で出場、廣畑敦也から空振り三振
- 初先発出場:2023年5月16日、対埼玉西武ライオンズ7回戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)、7番・指名打者で先発出場
- 初安打・初打点:2023年5月19日、対オリックス・バファローズ6回戦(京セラドーム大阪)、8回表に水野達稀の代打で出場し、右前へ来日初安打となる適時打を放ち、初打点も記録した。
- 初本塁打:2023年5月24日、対福岡ソフトバンクホークス10回戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)、1回裏に和田毅から左越ソロ
- 初盗塁:2023年6月19日、対横浜DeNAベイスターズ3回戦(横浜スタジアム)、2回表に二盗(投手:上茶谷大河、捕手:山本祐大)
3.4. 背番号
- 59(2016年)
- 37(2017年 - 同年途中)
- 39(2017年途中 - 同年終了)
- 19(2018年 - 2019年途中)
- 1(2019年途中 - 同年終了)
- 26(2023年 - 同年5月8日)
- 94(2023年5月8日 - 同年終了)