1. 生涯
ウィリアム・ポール・ランディガンは、ニューヨーク州シラキュースで生まれ育ち、幼少期からラジオに魅了され、後に俳優としてのキャリアを築いた。
1.1. 幼少期と教育
ランディガンは1914年6月12日にニューヨーク州シラキュースで生まれ、そこで育った。彼は4人兄弟の長男であった。父親のマイケル・F・ランディガンは靴屋を経営しており、ランディガンもそこで働いていた。彼の父親の店の入るビルには地元のラジオ局WFBLがあり、ランディガンはラジオに魅了された。16歳の時には、ラジオで子役を演じたり、ラジオドラマを制作したりしていた。
ノッティンガム高校を卒業後、シラキュース大学で法律を学んだ。大学在学中はWFBLでアナウンサーとして働き、学費を稼いだ。大学を卒業し、司法試験にも合格したが、その後、彼のキャリアパスを変える出来事が起こった。ユニバーサル・ピクチャーズの製作主任であったチャールズ・ロジャースがラジオでランディガンの声を聞き、彼に会ってスクリーンテストを手配し、1937年に映画製作の契約を結んだ。
1.2. 初期キャリア
ランディガンは1937年の映画『Armored Car』で映画に初出演した。当初は「ラリー・パーカー」という芸名でクレジットされていたが、2作目の『West Bound Limited』(1937年)からは本名のウィリアム・ランディガンを名乗るようになった。3作目の『The Lady Fights Back』(1937年)では主演の2人に次ぐ役を演じ、4作目の『That's My Story!』(1937年)では主演男優となった。その後、『The Black Doll』(1938年)や『Reckless Living』(1938年)では出演者リストの下位の役となったが、『State Police』(1938年)では再び主演男優を務めた。ジェイムズ・ホエール監督の『Wives Under Suspicion』(1938年)をはじめ、『Danger on the Air』(1938年)、『The Missing Guest』(1938年)、『Freshman Year』(1938年)では助演を務めた。
2. 映画キャリア
ウィリアム・ランディガンは、ユニバーサル・ピクチャーズでの初期の契約から始まり、ワーナー・ブラザース、MGM、そして20世紀フォックスへと移籍しながら、数多くの映画に出演した。第二次世界大戦中は兵役に就き、戦後も精力的に活動を続けた。
2.1. ユニバーサル・ピクチャーズ時代
ランディガンは『庭の千草』(1939年)で主要なロマンチックな役柄を演じた。また、ワーナー・ブラザースに借り出され、『無法者の群』(1939年)で助演した。『They Asked for It』(1939年)では主演を務め、『The Forgotten Woman』(1939年)ではシグリッド・ギュリーの相手役を務めた。その後、『Legion of Lost Flyers』(1939年)での助演を最後にユニバーサルを退社した。彼は後にユニバーサルでの時期について、「特に何も起こらなかった」と語っている。
2.2. ワーナー・ブラザース時代
ユニバーサル退社後、ランディガンはワーナー・ブラザースと契約を結んだ。ここでは『The Old Maid』(1939年)、『The Fighting 69th』(1940年)、『3 Cheers for the Irish』(1940年)、『The Man Who Talked Too Much』(1940年)、短編映画『Young America Flies』(1940年)、『シー・ホーク』(1940年)、短編映画『Service with the Colors』(1940年)、『East of the River』(1940年)、『カンサス騎兵隊』(1940年)などで助演を務めた。ランディガンはこの時期を振り返り、「私はいつもオリヴィア・デ・ハヴィランドの弱い弟役でした。型にはめられて、次から次へとやっつけ仕事の映画に出演しました」と述べている。
その後、ワーナーは彼を『The Case of the Black Parrot』(1941年)や『A Shot in the Dark』(1941年)といったB級映画の主演に起用した。『The Great Mr. Nobody』(1941年)、『Highway West』(1941年)、『International Squadron』(1941年)では助演を務めた。また、リパブリック・ピクチャーズの『Sailors on Leave』(1941年)では主演を務めた。
2.3. MGM時代
ランディガンはMGMに移籍し、『The Bugle Sounds』(1942年)と『The Courtship of Andy Hardy』(1942年)で助演した。彼はB級映画『Sunday Punch』(1942年)で主演に昇格し、『アパッチ街道』(1942年)と『北西警備隊』(1942年)では二番手の役を演じた。
彼はアンディ・ハーディシリーズの『Andy Hardy's Double Life』(1942年)で再びジェフ・ウィリス役を演じ、『Dr. Gillespie's Criminal Case』(1943年)と『Salute to the Marines』(1943年)で助演した。リパブリック・ピクチャーズからの依頼で、『Headin' for God's Country』(1943年)に主演した。
2.4. 第二次世界大戦への従軍

第二次世界大戦中、ランディガンはアメリカ海兵隊に入隊し、従軍カメラマンとしてペリリューの戦いと沖縄戦に従軍した。沖縄戦で負傷し、終戦時には伍長として除隊した。
2.5. 戦後
海兵隊を除隊後、ランディガンはハリウッドに戻り、フリーランスとして活動を始めた。彼は独立系映画である『トミー&ジミー・ドーシー物語』(1947年)や『Dishonored Lady』(1947年)で助演を務めた。また、リパブリック・ピクチャーズの『The Inside Story』(1948年)では主演を務め、『Mystery in Mexico』(1948年)、『State Department: File 649』(1949年)、『Follow Me Quietly』(1949年)でも主演級の役柄を演じた。彼は舞台俳優としての活動も試み、『What Price Glory?』の再演でジョン・フォードの相手役を務めた。
2.6. 20世紀フォックス時代
ランディガンのキャリアは、20世紀フォックスの映画『ピンキー』(1949年)のオーディションに合格したことで再び活気を取り戻した。この作品は当初ジョン・フォードが監督を務め、後にエリア・カザンが引き継いだもので、ジーン・クレインのロマンチックな相手役を演じた。この映画は大ヒットし、ランディガンは20世紀フォックスと長期契約を結んだ。
20世紀フォックスでは、『Mother Didn't Tell Me』(1950年)でドロシー・マクガイアの相手役を、『I'll Get By』(1950年)と『Love Nest』(1951年)でジューン・ヘイヴァーの相手役を、『I'd Climb the Highest Mountain』(1951年)でスーザン・ヘイワードの相手役を務めた。また、『The House on Telegraph Hill』(1951年)や『Elopement』(1951年)にも出演し、『Down Among the Sheltering Palms』(1952年)と『Serpent of the Nile』(1953年)では主演男優となった。『ニューヨーク・タイムズ』紙は彼を「隣に住む少女の相手役になる男性」と評した。彼は『地獄の対決』(1953年)でも重要な役を演じた。
3. テレビジョンキャリア
ランディガンは映画キャリアと並行して、1950年代からテレビジョン分野でも活発に活動し、ドラマ出演や番組司会を務めた。
彼は『Lux Video Theatre』、『Schlitz Playhouse of Stars』、『General Electric Theater』、『Ford Theatre』、『The Star and the Story』などのテレビ番組に出演し、『Climax!』や『Shower of Stars』では司会を務めた。
1950年代後半には、『宇宙への挑戦』(1954年)、『Dangerous Voyage』(1954年)、レジナルド・ル・ボーグ監督の『The White Orchid』(1954年)といった低予算映画で主演を務めた。この時期、彼は主にテレビで活動し、『Science Fiction Theatre』、『Playhouse 90』、『Westinghouse Desilu Playhouse』などのテレビドラマにゲスト出演したほか、自動車販売のために全米を広く旅し、1955年にはクライスラーのタービンエンジンのコマーシャルにも出演した。
1959年9月30日から1960年9月7日まで、CBSのテレビシリーズ『宇宙探検』でエドワード・マコーリー大佐役を演じた。1961年には、シンジケートのアンソロジーシリーズ『Death Valley Days』のエピソード「Dangerous Crossing」にナサニエル・ノーゲート役で出演した。この物語は、不法な料金所を運営する無法者に遭遇する宗教的入植者たちに焦点を当てている。
彼はSF映画『The Underwater City』(1962年)で主演し、『The Dick Powell Theatre』、『Run for Your Life』、『Medical Center』、『Marcus Welby, M.D.』などのテレビドラマにゲスト出演した。彼の最後の映画出演は1967年の『大西部への道』であった。
4. ラジオ出演
ウィリアム・ランディガンは、映画やテレビのキャリアと並行して、ラジオ番組にも出演していた。
- 1951年: 『Screen Guild Players』(「Apartment for Peggy」)
- 1952年: 『Stars in the Air』(「Deep Waters」)
5. 政治活動
俳優としての活動以外に、ウィリアム・ランディガンは政治的な意見表明や選挙運動への参加を通じて政治に関与した。
1963年から1964年にかけて、ランディガンは俳優のウォルター・ブレナン、チル・ウィルス、エフレム・ジンバリスト・ジュニアとともに、上院議員であり共和党の大統領候補であったバリー・ゴールドウォーターの選挙戦を支援するために登場した。ゴールドウォーターは現職のリンドン・B・ジョンソンに敗北した。
ランディガン自身も、ロサンゼルス市議会の無党派議席を目指して選挙運動を行ったが、落選に終わった。
6. 私生活
ランディガンはレナ・モーガンと結婚し、アナスタシアという娘をもうけた。
7. 死去
ランディガンは1975年12月20日、カリフォルニア州ドゥアーテにあるシティ・オブ・ホープ・メディカル・センターで、61歳で死去した。死因は心不全とみられている。
8. 出演作一覧
ウィリアム・ランディガンが関わった映画、テレビ番組、ラジオ番組のリストを以下に示す。
公開年 | 邦題 原題 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1937 | 『Armored Car』 | Henry Hutchins | |
1937 | 『West Bound Limited』 | Dispatcher | |
1937 | 『The Lady Fights Back』 | Doug McKenzie | |
1937 | 『That's My Story!』 | Howard Field | |
1937 | 『A Girl with Ideas』 | Herman | クレジットなし |
1937 | 『Prescription for Romance』 | Officer | クレジットなし |
1938 | 『The Jury's Secret』 | Announcer | クレジットなし |
1938 | 『The Black Doll』 | Rex Leland | |
1938 | 『Reckless Living』 | Stanley Shaw | |
1938 | 『The Crime of Doctor Hallet』 | Party Guest | クレジットなし |
1938 | 『State Police』 | Pvt. Smith / Bill Clarke | |
1938 | 『Sinners in Paradise』 | Radio Announcer | 声のみの出演。クレジットなし |
1938 | 『Wives Under Suspicion』 | Phil | |
1938 | 『Danger on the Air』 | Dave Chapman | |
1938 | 『Letter of Introduction』 | Minor Role | クレジットなし |
1938 | 『The Missing Guest』 | Larry Dearden | |
1938 | 『Freshman Year』 | Bob Potter | |
1939 | 『庭の千草』 | Richard Watkins | |
1939 | 『無法者の群』 | Lee Irving | |
1939 | 『They Asked for It』 | Steve Lewis | |
1939 | 『The Forgotten Woman』 | Terence Kennedy | |
1939 | 『The Old Maid』 | Lanning Halsey | |
1939 | 『Legion of Lost Flyers』 | Ralph Perry | |
1940 | 『The Fighting 69th』 | Timmy Wynn | |
1940 | 『Three Cheers for the Irish』 | Michael Flaherty | |
1940 | 『The Man Who Talked Too Much』 | John L. Forbes | |
1940 | 『Young America Flies』 | Bill Brown | 短編映画 |
1940 | 『シー・ホーク』 | Danny Logan | |
1940 | 『Service with the Colors』 | Thomas Stanton | 短編映画 |
1940 | 『East of the River』 | Nicholas Antonio 'Nick' Lorenzo | |
1940 | 『カンサス騎兵隊』 | Bob Holliday | |
1941 | 『The Case of the Black Parrot』 | Jim Moore | |
1941 | 『The Great Mr. Nobody』 | Richard Amesworth | |
1941 | 『A Shot in the Dark』 | Peter Kennedy | |
1941 | 『Highway West』 | Dave Warren | |
1941 | 『International Squadron』 | Lt. Rog Wilkins | |
1941 | 『Sailors on Leave』 | Chuck Stephens | |
1942 | 『The Bugle Sounds』 | Joe 'Joey' Hanson | |
1942 | 『The Courtship of Andy Hardy』 | Jeff Willis | |
1942 | 『Sunday Punch』 | Ken Burke | |
1942 | 『アパッチ街道』 | Tom Folliard | |
1942 | 『北西警備隊』 | James Kevin Gardiner | |
1942 | 『Andy Hardy's Double Life』 | Jeff Willis | |
1943 | 『Dr. Gillespie's Criminal Case』 | Alvin F. Peterson | |
1943 | 『Salute to the Marines』 | Rufus Cleveland | |
1943 | 『Headin' for God's Country』 | Michael Banyan | |
1947 | 『トミー&ジミー・ドーシー物語』 | Bob Burton | |
1947 | 『Dishonored Lady』 | Jack Garet | |
1948 | 『The Inside Story』 | Waldo 'Bill' Williams | |
1948 | 『Mystery in Mexico』 | Steve Hastings | |
1949 | 『State Department: File 649』 | Ken Seely | |
1949 | 『Follow Me Quietly』 | Police Lt. Harry Grant | |
1949 | 『ピンキー』 | Dr. Thomas Adams | |
1950 | 『Mother Didn't Tell Me』 | Dr. William Wright | |
1950 | 『I'll Get By』 | William Spencer | |
1951 | 『I'd Climb the Highest Mountain』 | Rev. William Asbury Thompson | |
1951 | 『The House on Telegraph Hill』 | Major Marc Bennett | |
1951 | 『Love Nest』 | Jim Scott | |
1951 | 『Elopement』 | Matt Reagan | |
1951 | 『Screen Guild Players』(「Apartment for Peggy」) | ラジオ番組 | |
1952 | 『Stars in the Air』(「Deep Waters」) | ラジオ番組 | |
1953 | 『Down Among the Sheltering Palms』 | Capt. W.W. 'Bill' Willoby | |
1953 | 『Serpent of the Nile』 | Lucilius | |
1953 | 『Lux Video Theatre』 | Jim | テレビドラマ |
1953 | 『地獄の対決』 | Joseph Duncan | |
1953-1954 | 『Ford Television Theatre』 | Nels Wolcott / Bart Sayer | テレビドラマ |
1954 | 『宇宙への挑戦』 | Dr. Richard Stanton | |
1954 | 『Schlitz Playhouse of Stars』 | Jack Fuller | テレビドラマ |
1954 | 『General Electric Theater』 | Charlie | テレビドラマ |
1954 | 『Dangerous Voyage』 | Peter Duncan | |
1954 | 『Shower of Stars』 | 司会 | テレビ番組 |
1954 | 『The White Orchid』 | Robert Burton | |
1954-1958 | 『Climax!』 | 本人(司会) | テレビ番組 |
1955 | 『Fireside Theatre』 | Sam Weston | テレビドラマ |
1955 | 『The Star and the Story』 | Edward Mansell | テレビドラマ |
1955 | 『Science Fiction Theatre』 | Maj. Fred Gunderman | テレビドラマ |
1958 | 『Playhouse 90』 | Ben Gammon | テレビドラマ |
1958 | 『Westinghouse Desilu Playhouse』 | David Pierce | テレビドラマ |
1959-1960 | 『宇宙探検』 | Col. Edward McCauley | テレビドラマ |
1961 | 『Death Valley Days』 | Nathaniel Norgate | テレビドラマ |
1962 | 『The Underwater City』 | Bob Gage | |
1963 | 『The Dick Powell Theatre』 | Frank Jeffers | テレビドラマ |
1966 | 『Run for Your Life』 | David Phillips | テレビドラマ。別邦題『明日なき男』 |
1967 | 『大西部への道』 | Michael Moynihan | |
1968 | 『Where Angels Go, Trouble Follows』 | Mr. Clancy | クレジットなし |
1971 | 『Medical Center』 | Willoughby | テレビドラマ |
1971 | 『Marcus Welby, M.D.』 | Jack Crowley | テレビドラマ |