1. 概要
エリック・スペンサー・ヨキシュ(Eric Spenser Jokisch英語、1989年7月29日 - )は、アメリカ合衆国イリノイ州バージニア出身のプロ野球選手(投手)。左投右打。現在はフリーエージェント。
彼はこれまでに、メジャーリーグベースボール(MLB)ではシカゴ・カブスで、KBOリーグではキウム・ヒーローズとNCダイノスでプレーした。特にKBOリーグでは複数シーズンにわたって安定した成績を残し、最優秀防御率や最多勝の個人タイトルを獲得するなど主力投手として活躍した。
2. 幼少期とアマチュア経歴
エリック・ヨキシュは、プロ入り前の幼少期から学生時代にかけて野球に打ち込み、大学野球で頭角を現した後にプロの道に進んだ。
2.1. 生い立ちと教育
ヨキシュは1989年7月29日にアメリカ合衆国イリノイ州バージニアで生まれた。彼はバージニア・コミュニティ・ユニット・スクール・ディストリクト64のバージニア高校を卒業した。
2.2. 大学とアマチュア野球活動
2007年のMLBドラフトで、クリーブランド・インディアンスから39巡目(全体1176位)で指名されたが、プロ入りせずノースウェスタン大学に進学して大学野球でプレーした。大学在学中の2009年には、ケープコッド・ベースボールリーグに所属するハーウィッチ・マリナーズで大学サマーリーグ野球を経験した。
3. プロ経歴
エリック・ヨキシュのプロ野球選手としてのキャリアは、MLB傘下のマイナーリーグから始まり、その後KBOリーグへと活躍の場を移した。
3.1. メジャーリーグベースボール(MLB)傘下球団時代
シカゴ・カブスからのドラフト指名を経てMLBデビューを果たした後、複数のMLB傘下球団を渡り歩き、マイナーリーグで経験を積んだ。
3.1.1. シカゴ・カブスとMLBデビュー

(2015年3月21日)
2010年のMLBドラフトにおいて、シカゴ・カブスから11巡目(全体340位)で指名され、プロ契約を締結した。傘下のマイナーリーグで着実に経験を積み、2013年にはAA級テネシー・スモーキーズでノーヒットノーランを達成するなどの実績を残した。
2014年9月2日には自身初のMLB昇格を果たし、メジャーリーグデビューを飾った。メジャーでは1試合の先発を含む4試合に登板し、14.1イニングで被本塁打3本と被弾率が高かったものの、防御率1.88という好成績を記録した。また、この年のルーキー・ラギング・デーでは、人気ゲームキャラクターのルイージの格好をさせられたことでも話題となった。
マイナーリーグでは、AAA級アイオワ・カブスで26試合に先発登板し、9勝10敗、防御率3.58、1完封、WHIP1.18という安定した成績を残した。
2015年にはメジャーでの登板機会はなく、マイナーリーグでのプレーに専念した。ルーキー級のアリゾナリーグ・カブスでは3試合に先発登板し、防御率0.79という優れた成績を記録したほか、AAA級アイオワでも14試合に先発登板し、4勝5敗、防御率5.27、WHIP1.49の成績を残した。
3.1.2. その他のMLBマイナーリーグ球団時代
シカゴ・カブス退団後、ヨキシュは複数のMLB傘下球団を渡り歩き、そのほとんどをマイナーリーグで過ごした。
2016年4月13日、ヨキシュはウェイバー公示を経てマイアミ・マーリンズへ移籍し、傘下のAAA級ニューオーリンズ・ゼファーズに配属された。ダブルAのジャクソンビル・サンズで1試合に先発した後、AAA級ニューオーリンズで18試合に登板し、30.2イニングで防御率2.64、19奪三振を記録した。しかし、7月6日にドン・ケリーの昇格に伴い戦力外通告(DFA)を受け、7月8日にはウェイバーを通過し、ダブルAジャクソンビルに放出された。
同日、マーリンズはヨキシュをペドロ・シリアコとのトレードでテキサス・レンジャーズへ放出した。この移籍では40人枠に入らなかった。移籍後は傘下のAAA級ラウンドロック・エクスプレスで7試合(4先発)に登板し、24イニングで防御率4.13、15奪三振を記録した。シーズン終了後の11月7日にFAとなった。2016年シーズン全体では、所属した4球団合計でマイナーリーグ27試合(6先発)に登板し、3勝2敗1セーブ、防御率4.00、42奪三振の成績を残した。
2017年2月26日、ヨキシュはアリゾナ・ダイヤモンドバックスとマイナー契約を結んだ。この年は傘下のAAA級リノ・エーシズで28試合(21先発)に登板し、8勝8敗、防御率4.21、91奪三振を記録し、134.2イニングを投げた。また、ダブルAジャクソン・ジェネラルズでも1試合に先発登板した。2017年シーズン全体では、2球団合計で29試合(22先発)に登板し、8勝8敗、防御率4.09、97奪三振を記録した。シーズン終了後の11月6日にFAとなった。
2017年12月7日(または2018年1月10日)、ヨキシュはオークランド・アスレチックスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加した。2018年シーズンは傘下のAAA級ナッシュビル・サウンズでプレーし、26試合(23先発)に登板して5勝11敗、防御率4.06、121奪三振を記録し、148.2イニングを投げた。シーズン終了後の11月2日にFAとなった。
3.2. KBOリーグ経歴
長年MLB傘下でのプレーを続けたヨキシュは、韓国のKBOリーグに活躍の場を移し、外国人投手として数シーズンにわたって安定した成績を残した。
3.2.1. キウム・ヒーローズ
2018年11月23日、ヨキシュは韓国のネクセン・ヒーローズ(2019年よりキウム・ヒーローズに名称変更)と1年総額50.00 万 USDで契約を締結し、KBOリーグでのキャリアをスタートさせた。
2019年シーズンはチーム最多となる13勝(13勝9敗)を記録し、防御率3.13、181.1イニングを投げる活躍で、チームを韓国シリーズに導いた。シーズン終了後の11月22日、1年総額70.00 万 USDで再契約した。
2020年シーズンも2年連続でチーム最多勝となる12勝(12勝7敗)を記録し、防御率2.14で自身初の個人タイトルとなる最優秀防御率を受賞した。159.2イニングを投げた。12月2日、2021年シーズンに向けて1年総額90.00 万 USDで再契約した。
2021年シーズンは16勝(16勝9敗)を記録し、デビッド・ブキャナンと並んでKBOリーグの最多勝タイトルを分け合った。防御率2.93を記録し、投球回数(181.1回)でリーグ2位、防御率でリーグ4位という成績を残した。12月30日、2022年シーズンに向けて最大130.00 万 USDの1年契約でキウムと再契約し、4シーズン目を迎えた。
2022年シーズンは30試合に先発登板し、10勝8敗、防御率2.57、154奪三振を記録した。キャリアハイとなる185.2イニングを投げ、4年連続で2桁勝利を達成した。12月11日、2023年シーズンに向けて150.00 万 USDの1年契約でキウムと再契約した。
2023年シーズンは12試合に先発登板し、5勝3敗、防御率4.39、65.2イニングで51奪三振を記録した。しかし、6月初旬に左内転筋の断裂で全治6週間と診断され、6月16日にキウム・ヒーローズを退団(ウェーバー公示)し、後任としてイアン・マッキニーが契約された。6月23日に自由契約となった。
キウム・ヒーローズでの5シーズン全体で、130試合に登板し、56勝36敗、防御率2.85の成績を残した。
3.2.2. NCダイノス
2024年7月31日、ヨキシュは約1年ぶりにKBOリーグに復帰し、NCダイノスと契約を締結した。これは、ダニエル・カスターノの代替選手としての獲得であった。NCダイノスに入団する前の2024年6月には斗山ベアーズの入団テストに参加していたが、斗山ベアーズは白川圭奨を獲得したため、契約には至らなかった。
NCダイノスでは8試合に先発登板し、3勝4敗、防御率5.72、39.1イニングで32奪三振という成績を残した。シーズン終了後の11月30日に自由契約となった。
4. 年度別投手成績
メジャーリーグベースボール(MLB)とKBOリーグにおけるエリック・ヨキシュの投手としての年度ごとの詳細な成績を以下に示す。
年 度 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 四 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ 丨 ブ | ホ 丨 ル ド | 勝 率 | 打 者 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 敬 遠 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ 丨 ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | W H I P | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2014 | CHC | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 66 | 14.1 | 18 | 3 | 4 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 3 | 3 | 1.88 | 1.54 |
2019 | キウム | 30 | 30 | 1 | 1 | 1 | 13 | 9 | 0 | 0 | .591 | 746 | 181.1 | 166 | 9 | 39 | 0 | 11 | 141 | 6 | 0 | 72 | 63 | 3.13 | 1.13 |
2020 | 27 | 27 | 0 | 0 | 0 | 12 | 7 | 0 | 0 | .632 | 640 | 159.2 | 144 | 6 | 25 | 0 | 6 | 115 | 3 | 1 | 53 | 38 | 2.14 | 1.06 | |
2021 | 31 | 31 | 0 | 0 | 0 | 16 | 9 | 0 | 0 | .640 | 739 | 181.1 | 171 | 12 | 46 | 2 | 4 | 131 | 9 | 0 | 71 | 59 | 2.93 | 1.20 | |
2022 | 30 | 30 | 0 | 0 | 0 | 10 | 8 | 0 | 0 | .556 | 746 | 185.1 | 169 | 8 | 33 | 0 | 5 | 154 | 2 | 0 | 61 | 53 | 2.57 | 1.09 | |
2023 | 12 | 12 | 0 | 0 | 0 | 5 | 3 | 0 | 0 | .625 | 286 | 65.2 | 82 | 3 | 14 | 1 | 3 | 51 | 1 | 0 | 37 | 32 | 4.39 | 1.46 | |
2024 | NC | 8 | 8 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 | 0 | 0 | .429 | 174 | 39.1 | 56 | 5 | 14 | 0 | 1 | 32 | 0 | 0 | 27 | 25 | 5.72 | 1.78 |
MLB:1年 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 66 | 14.1 | 18 | 3 | 4 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 3 | 3 | 1.88 | 1.54 | |
KBO:6年 | 138 | 138 | 1 | 1 | 1 | 59 | 40 | 0 | 0 | .596 | 3331 | 812.2 | 788 | 43 | 171 | 3 | 30 | 624 | 21 | 1 | 321 | 270 | 2.99 | 1.18 |
- 2024年度シーズン終了時
- 太字はリーグ最多
- KBOの「年」は韓国での登録年度、MLBはメジャーでの登録年度
4.1. 背番号
- 43(2014年、2019年 - 2023年)
- 20(2024年)