1. 概要
ノ・ヨンジン(노영진ノ・ヨンジン韓国語、1995年2月14日生まれ)は、主に「Gamsu」のプレイヤーネームで知られる韓国のプロゲーマーである。彼は『リーグ・オブ・レジェンド』と『オーバーウォッチ』という2つの主要なeスポーツタイトルで活躍し、それぞれのゲームで異なる役割を果たした。『リーグ・オブ・レジェンド』ではトップレーナーとして、Fnatic、Team Dignitas、Samsung Galaxy Blueなどのチームに所属した。その後、2016年に『オーバーウォッチ』へ転向し、CONBOX、Boston Uprising、Shanghai Dragons、Dallas Fuelといったチームでメインタンクを務め、特にオーバーウォッチリーグで顕著な成功を収めた。2020年後半には再び『リーグ・オブ_レジェンド』の競技シーンに戻り、100 Thievesのアカデミーチームを経て、2022年半ばにはかつて所属したDignitasと再契約した。Gamsuのキャリアは、異なるゲームタイトル間での成功した役割転換と、チームを初の主要タイトル獲得へと導くリーダーシップで特徴づけられる。
2. 人物
ノ・ヨンジンは1995年 2月14日に生まれた。彼は幼少期を農村地域で過ごした。子供の頃から多くのビデオゲームをプレイしていたが、夏季には家族と一緒にキャンプを楽しむなど、アウトドア活動も好んでいた。彼の個人的な背景は、プロゲーマーとしての集中力と、バランスの取れたライフスタイルを両立させる側面を示している。
3. プロフェッショナルキャリア
ノ・ヨンジン、通称Gamsuは、自身のプロフェッショナルキャリアにおいて、『リーグ・オブ・レジェンド』と『オーバーウォッチ』という二つの異なるゲームタイトルで最高峰の競技レベルで活躍した。彼はそれぞれのタイトルで異なる役割をこなし、数々のチームに所属しながら、国際的な大会で顕著な成績を収めてきた。このセクションでは、彼のプロとしての軌跡を各ゲームタイトル時代に分けて詳細に記述する。
3.1. リーグ・オブ・レジェンド時代 (2013-2016)
Gamsuのeスポーツキャリアは、2013年10月に韓国のチームであるAlienware Arenaに加入したことから始まった。このチームで彼は「PANDORA.TV Champions Winter 2013-2014」に出場し、3位という成績を収めた。その後、GamsuはAlienware Arenaを離れ、2014年6月には韓国の強豪チームであるSamsung Blueに加入した。しかし、2014年シーズン中には競技試合での出場記録はなかった。
2014年11月17日、GamsuはTeam Dignitasに加入した。Dignitasは「IEM Season IX - Cologne」に招待され、Gambit Gamingに敗れたものの3位に入賞した。2015 NA LCS Springシーズンでは、Team Dignitasは残留をかけて苦戦し、9位となり降格トーナメントに回った。しかし、Dignitasはこのトーナメントを勝ち抜き、2015 NA LCS Summerシーズンへの出場権を再獲得した。

2015年12月17日には、GamsuがFnaticの新たなトップレーナーとして発表された。Fnaticは直ちに「IEM Season X - Cologne」に招待された。この時期、チームはロースターの変更が行われ、Gamsuの他にSpirit、NoXiAKがFebivenとRekklesに加わった。Fnaticは2016 EU LCS Spring Splitに出場し、3位という成績でシーズンを終えた。
3.2. オーバーウォッチ時代 (2016-2020)
Gamsuのプロフェッショナルな『オーバーウォッチ』キャリアは、2016年9月にCONBOX T6に加入したことから始まった。彼はこのチームでOGN APEXシリーズに出場し、チームのメインタンクおよびコーチを務めた。CONBOXはAPEXの最初の3シーズンにわたって活動したが、シーズン3で敗退した後、Gamsuはチームを離れることになった。
2017年10月26日、Boston Uprisingのチーム社長であるクリス・「HuK」・ロランジャーは、オーバーウォッチリーグ inaugural seasonに向けたチームの全ロースターを発表し、Gamsuはチームのメインタンクとして名を連ねた。Gamsuは2018年シーズンに成功を収め、ステージ1と2で勝利を収め、ステージ3ではリーグ史上初の10勝0敗という完璧な成績を記録した。チームはステージタイトルやシーズンタイトルを獲得することはできなかったものの、Gamsuは2018年のオールスターゲームに選出された。
2019年2月12日、2019年シーズン開幕の数日前に、Boston UprisingはGamsuをShanghai Dragonsへトレードした。彼は2月23日に古巣のBoston Uprisingを破り、チームが42連敗という不名誉な記録を止める初の勝利に貢献した。残りのシーズンでは、Gamsuはドラゴンズを2度のステージプレイオフ進出に導いた。ステージ2のクォーターファイナルではSan Francisco Shockに敗れたものの、ステージ3の決勝では同じくSan Francisco Shockを破り、Gamsuは自身のキャリアで初の主要なトーナメントチャンピオンシップを獲得した。Gamsuは2019年11月4日にShanghai Dragonsを離れた。
ドラゴンズからの離脱発表の数時間後、GamsuはDallas Fuelと契約を結んだ。しかし、2020年10月17日、Gamsuは再び『リーグ・オブ・レジェンド』の競技シーンを追求するため、Dallas Fuelを離れることを発表した。
3.3. リーグ・オブ・レジェンドへの復帰 (2021-)
2021年5月、Gamsuは競技シーンに復帰し、100 Thievesのサードチームである「100 Thieves Next」と契約を結んだ。同年後半には、100 Thievesのセカンドチームである「100 Thieves Academy」に昇格した。
2022年5月には、GamsuはLCSに復帰し、かつて7年前に所属していたDignitasと再び契約した。彼はDignitasのトップレーナーとして、自身のキャリアを継続している。
4. 受賞と実績
ノ・ヨンジン(Gamsu)は、『リーグ・オブ・レジェンド』と『オーバーウォッチ』の両キャリアを通じて、数々の大会で顕著な成績を収め、以下の受賞歴と実績を残している。
ゲームタイトル | 大会名 | 成績 | 所属チーム | 開催年 |
---|---|---|---|---|
リーグ・オブ・レジェンド | PANDORA.TV Champions Winter 2013-2014 | 3位 | Alienware Arena | 2014 |
IEM Season IX - Cologne | 3位 | Team Dignitas | 2014 | |
IEM Season X World Championship | 準優勝 | Fnatic | 2016 | |
2016 EU LCS Spring Split | 3位 | Fnatic | 2016 | |
オーバーウォッチ | OGN APEX Series | 出場 (詳細不詳) | CONBOX T6 | 2016-2017 |
Overwatch League 2018 Stage 3 | 準優勝 | Boston Uprising | 2018 | |
Overwatch League 2018 All-Star Game | 選出 | Boston Uprising | 2018 | |
Overwatch League 2019 Stage 3 | 優勝 | Shanghai Dragons | 2019 | |
Overwatch League 2020 May Melee - North America | 8強 | Dallas Fuel | 2020 |
5. 評価と影響
Gamsuのeスポーツキャリアは、特に2つの異なるゲームタイトル間で成功裏に役割を転換し、それぞれの分野で最高レベルの競技を続けた点で特筆される。彼の『オーバーウォッチ』での経歴、特にShanghai Dragonsでの活躍は、チームの42連敗という不名誉な記録を止めるきっかけとなり、最終的にチームを初の主要タイトルであるオーバーウォッチリーグ2019ステージ3優勝へと導いた。これは、彼がチームのリーダーシップとパフォーマンスに与えた計り知れない影響を示している。
彼は単なる選手としてだけでなく、CONBOX T6時代にはコーチも務めるなど、チーム運営にも関与した経験を持つ。その適応能力と継続的な成功は、後続のプロゲーマーやファンにとって、多様な挑戦に立ち向かうことの重要性を示す遺産となっている。Gamsuは、彼のプレイを通じて、両ゲームのコミュニティに確かな足跡を残し、その柔軟なキャリアパスは、eスポーツ選手が特定のゲームに縛られず、新しい挑戦を通じて成長できる可能性を示唆している。彼のキャリア全体は、粘り強さ、適応性、そして勝利への献身の模範として高く評価されている。