1. 生涯
趙帥は、テコンドー選手としての輝かしいキャリアを築く一方で、学業や私生活においても充実した日々を送っている。
1.1. 幼少期と学歴
趙帥は1995年8月15日、中華人民共和国江蘇省常州市で生まれた。2006年にテコンドーを始め、その才能を開花させた。彼は後に西南大学に進学し、体育学の学位を取得した。現在も同大学の博士課程に在籍しており、多忙な練習期間中にもかかわらず、テコンドーの技術や戦術に関する学術論文を執筆している。彼の指導教員である郭莉雅教授は、趙帥が最近のテコンドー大会で採用されている技術や技巧を分析した学術論文を完成させたことを明かしている。西南大学は、世界の大学ランキングで156位、アジアの大学で156位、中国の大学では72位に位置する名門校である。
1.2. 私生活
趙帥の配偶者は、同じくテコンドー選手で2016年リオデジャネイロオリンピック金メダリストの鄭姝音(郑姝音ジェン・シューイン中国語)である。二人は中国代表チームで出会い、交際を始めた。2021年11月22日に趙帥が鄭姝音にプロポーズし、成功。約10年間の交際を経て、結婚へと歩みを進めることになった。2023年6月17日には、自身のウェイボーで鄭姝音との結婚を正式に発表し、同年8月6日に結婚式を挙げた。
2. 選手経歴
趙帥は、中国国内外での数々の大会で優れた成績を収め、そのキャリアを通じて着実に成長を遂げてきた。
2.1. 国内外での初期活動
趙帥の競技キャリアは、2010年12月の全国テコンドー選手権大会で男子54 kg級優勝を飾ったことから始まった。翌2011年5月には、世界テコンドー選手権大会の男子54 kg級に出場し、3回戦に進出するも敗退した。同年10月には、第7回全国都市運動会の男子58 kg級決勝で宋偉傑に敗れ銀メダルを獲得。11月の全国テコンドー選手権大会男子54 kg級決勝では、貴州チームの陳天陽を12対4で破り優勝した。
2013年9月、第12回全国運動会テコンドー男子58 kg級決勝で福建省の許永増を3対2で破り、優勝を飾った。これは江蘇省テコンドー男子チームにとって、全国運動会で初の金メダル獲得という歴史的快挙であった。同年10月には、第6回東アジア競技大会の男子54 kg - 58 kg級で金メダルを獲得した。2014年の仁川アジア競技大会テコンドー男子58 kg級では5位に終わった。同年11月の全国テコンドー選手権大会男子63 kg級決勝では、北京の胡鵬翔を13対1で圧倒し優勝した。2015年5月の世界テコンドー選手権大会男子58 kg級では3位入賞を果たした。
2.2. 主要な国際大会での成果
2.2.1. オリンピック
趙帥はオリンピックにおいて、中国男子テコンドー界に歴史的な金メダルをもたらした。
- 2016年リオデジャネイロオリンピック**: 男子58 kg級に出場し、カブリエル、ハーギー、ナバロ・ワルディスらを破り決勝に進出。決勝ではタイのハン・プラブを6対4で破り、金メダルを獲得した。これはリオデジャネイロオリンピックにおける中国テコンドー初の金メダルであり、中国男子テコンドーのオリンピック史上初の金メダルという快挙であった。
- 2020年東京オリンピック**: 男子68 kg級に出場。初戦でセディキを22対20で破り、準々決勝ではベルナルド・ピエを13対8で下した。しかし、準決勝でヒントンに25対33で敗れ、決勝進出を逃した。その後行われた3位決定戦では、宿敵である韓国の李大勲を17対15で破り、銅メダルを獲得した。
また、趙帥は2018年アジア競技大会の開会式で中国選手団の旗手を務め、さらに2020年東京オリンピックの開会式でも朱婷と共に中国選手団の旗手を務めた。
2.2.2. 世界テコンドー選手権大会
趙帥は世界テコンドー選手権大会でも優れた実績を残している。
- 2015年チェリャビンスク大会: 男子58 kg級で銅メダルを獲得した。
- 2017年茂朱(ムジュ)大会: 男子63 kg級決勝でイランのホセイニを11対5で破り、優勝を果たした。これは彼にとって初の世界選手権大会優勝であり、同時に中国男子テコンドーにとって初の世界選手権大会金メダルとなった。
- 2019年マンチェスター大会: 男子63 kg級決勝でイランのアハマディを27対7で破り、タイトルを防衛した。
2.2.3. その他の国際大会
趙帥は、オリンピックや世界選手権大会以外にも、数多くの国際大会でメダルを獲得している。
- アジア競技大会**
- 2018年ジャカルタ大会: 男子63 kg級で銀メダルを獲得。決勝でイランのホセインに11対17で敗れた。
- ワールドテコンドーグランプリ**
- 2014年マンチェスター大会: 男子58 kg級で銀メダル。
- 2015年サムスン大会: 男子58 kg級で銅メダル。
- 2019年ローマ大会: 男子68 kg級で銅メダル。
- 2019年ソフィア大会: 男子68 kg級で金メダル。
- ワールドテコンドーグランドスラム**
- 2017年無錫大会: 男子68 kg級で銀メダル。
- 2018年無錫大会: 男子68 kg級で金メダル。
- 2019年12月無錫大会: 男子68 kg級で銀メダルを獲得。この結果、同カテゴリーのグランドスラムポイントで1位となり、2020年東京オリンピックの出場資格を獲得した。
- アジアテコンドー選手権大会**
- 2016年マニラ大会: 男子63 kg級で銅メダル。
- 世界テコンドージュニア選手権大会**
- 2012年シャルム・エル・シェイク大会: 男子59 kg級で銅メダル。
- 東アジア競技大会**
- 2013年: 男子54 kg - 58 kg級で金メダル。
- 全米オープン**
- 2019年3月: 男子68 kg級決勝で英国のマクニッシュを19対17で破り、優勝。この勝利により20点のオリンピックポイントを獲得し、東京オリンピック出場に大きく貢献した。
- 中華人民共和国全国運動会**
- 2017年9月: 第13回全国運動会テコンドー男子68 kg級決勝で趙攀鋒を8対5で破り、優勝。
- 2021年9月: 第14回中華人民共和国全国運動会テコンドー男子68 kg級決勝で陳柏霖を20対8で破り、3度目の全国運動会優勝を飾った。
3. メダル獲得記録
趙帥が国際主要大会で獲得したメダルは以下の通り。
大会 | 開催年 | 開催地 | 種目 | メダル |
---|---|---|---|---|
オリンピック | ||||
オリンピック | 2016 | リオデジャネイロ | 男子 58 kg級 | 金メダル |
オリンピック | 2020 | 東京 | 男子 68 kg級 | 銅メダル |
世界テコンドー選手権大会 | ||||
世界選手権 | 2015 | チェリャビンスク | 男子 58 kg級 | 銅メダル |
世界選手権 | 2017 | 茂朱 | 男子 63 kg級 | 金メダル |
世界選手権 | 2019 | マンチェスター | 男子 63 kg級 | 金メダル |
ワールドテコンドーグランプリ | ||||
グランプリ | 2014 | マンチェスター | 男子 58 kg級 | 銀メダル |
グランプリ | 2015 | サムスン | 男子 58 kg級 | 銅メダル |
グランプリ | 2019 | ローマ | 男子 68 kg級 | 銅メダル |
グランプリ | 2019 | ソフィア | 男子 68 kg級 | 金メダル |
ワールドテコンドーグランドスラム | ||||
グランドスラム | 2017 | 無錫 | 男子 68 kg級 | 銀メダル |
グランドスラム | 2018 | 無錫 | 男子 68 kg級 | 金メダル |
アジア競技大会 | ||||
アジア競技大会 | 2018 | ジャカルタ | 男子 63 kg級 | 銀メダル |
アジアテコンドー選手権大会 | ||||
アジア選手権 | 2016 | マニラ | 男子 63 kg級 | 銅メダル |
世界テコンドージュニア選手権大会 | ||||
ジュニア選手権 | 2012 | シャルム・エル・シェイク | 男子 59 kg級 | 銅メダル |
東アジア競技大会 | ||||
東アジア競技大会 | 2013 | 天津 | 男子 54 kg - 58 kg級 | 金メダル |
4. 世界ランキング
世界テコンドー連盟(WT)が発表する公式ランキングにおいて、趙帥は2023年8月時点で男子68 kg級で67位にランクされている。
5. 社会活動
選手としての活動以外にも、趙帥は社会貢献活動にも積極的に参加している。2023年10月22日には、配偶者の鄭姝音と共に「2023年蘇州太湖マラソン」の先頭を走り、約19の国と地域から集まった約23,000人の参加者を鼓舞した。
