1. アマチュア経歴
ザカリー・レクスはプロ野球選手となる以前、アメリカ空軍士官学校とケンタッキー大学で大学野球のキャリアを築いた。
1.1. 幼少期と教育
レクスは1993年11月12日にアメリカ合衆国イリノイ州シカゴ近郊のオーランドパークで生まれた。カール・サンドバーグ高等学校を卒業後、アメリカ空軍士官学校に進学し、士官候補生としての教育を受けながら学内のチームで野球をプレーした。しかし、その後ケンタッキー大学へ学生として転入し、野球からは2年間離れていた。
1.2. 大学野球
ケンタッキー大学に転入後、レクスは2016年にウォークオン選手としてケンタッキー・ワイルドキャッツ野球チームに加入し、大学野球に復帰した。彼はサウスイースタン・カンファレンスに属する同チームで2シーズンをプレー。その活躍が認められ、2017年のMLBドラフトでは10巡目(全体310位)でロサンゼルス・ドジャースから指名を受けた。同年6月19日にドジャースと契約を結び、プロ入りを果たした。
2. プロ選手経歴
ザカリー・レクスは、ロサンゼルス・ドジャースでプロキャリアをスタートさせ、テキサス・レンジャーズ、ロッテ・ジャイアンツ、サンディエゴ・パドレスといった球団でその能力を発揮した。
2.1. ロサンゼルス・ドジャース時代
レクスはロサンゼルス・ドジャース傘下のマイナーリーグで着実に実績を積み、その後メジャーリーグでのデビューを果たした。
2.1.1. マイナーリーグでの経歴
レクスはプロ入り後、最初のシーズンをルーキー級のオグデン・ラプターズ、A級のグレートレイクス・ルーンズ、そしてA+級のランチョクカモンガ・クエイクスの3球団で過ごし、合計47試合に出場して打率.317、2本塁打を記録した。2018年にはランチョクカモンガ・クエイクスとAA級のタルサ・ドリラーズでプレーし、88試合で打率.303、出塁率.374、長打率.424を記録し、5本塁打、40打点を挙げた。2019年もタルサ・ドリラーズでスタートし、その後AAA級のオクラホマシティ・ドジャースに昇格。この年は合計121試合に出場し、打率.291、28本塁打、93打点という好成績を残した。2021年にはオクラホマシティで87試合に出場し、打率.280、19本塁打、67打点を記録している。
2.1.2. メジャーリーグ初出場
2020年シーズンオフ、ドジャースはレクスを40人枠に追加し、ルール5ドラフトでの流出を防いだ。翌2021年6月21日、彼はメジャーリーグに初昇格。昇格時点ではオクラホマシティで打率.341、5本塁打、19打点と好調だった。同日に行われた対サンディエゴ・パドレス戦(ペトコ・パーク)で「8番・左翼手」として先発出場し、MLBデビューを果たした。この試合では2打数無安打(1奪三振、1ライナー性のセンターゴロ)に終わった。わずか1日後の6月22日にはマイナーリーグへ降格。この年、ドジャースで出場した6試合での打席は10打数にとどまり、安打を記録することはできず、7三振を喫した。
2.2. テキサス・レンジャーズ時代
2021年11月22日、レクスはビリー・マッキニーと共に金銭トレードでテキサス・レンジャーズへ移籍した。2022年シーズンは傘下AAA級のラウンドロック・エクスプレスで開幕を迎えた後、4月30日にメジャー昇格。同日の対アトランタ・ブレーブス戦(グローブライフ・フィールド)に「7番・左翼手」で出場し、4回裏の第2打席でブレーブスの先発ブライス・エルダーから右前適時打を放ち、待望のMLB初安打を記録した。しかし、同年は16試合に出場し34打数9安打、打率.265を記録したものの、7月16日にDFAされ、7月20日にレンジャーズを放出された。
2.3. ロッテ・ジャイアンツ時代
レンジャーズ放出後の2022年7月20日、レクスはDJ・ピーターズの代替選手としてKBOリーグのロッテ・ジャイアンツと契約を結んだ。KBOでの登録名は「렉스」。彼はKBOリーグで初めて背番号47番を着用した外国人選手となった。2022年シーズンはロッテで56試合に出場し、打率.330という好成績を残した。この活躍が評価され、2022年11月18日にはロッテと1年契約で再契約し、契約金は130.00 万 USDと報じられた。
しかし、2023年シーズンは55試合に出場したが、膝の負傷に苦しみ、打撃成績も打率.246、出塁率.338、長打率.345、4本塁打、30打点と低迷した。このシーズン、背番号は17番に変更されていた。膝の負傷が影響し、2023年7月11日に球団がニコ・グッドラムとの契約を発表した後、ロッテ・ジャイアンツからウェーバー公示され放出された。同年7月18日に自由契約選手となった。
2.4. サンディエゴ・パドレス時代
ロッテ・ジャイアンツを放出された後、レクスは2024年2月1日にサンディエゴ・パドレスとマイナーリーグ契約を結んだ。パドレス傘下のAA級サンアントニオ・ミッションズで64試合に出場し、打率.127、出塁率.278、長打率.208、3本塁打、19打点、1盗塁という成績を残した。2024年11月4日にシーズン終了後、フリーエージェント(FA)となった。
3. 年度別成績
ザカリー・レクスのプロ選手時代の年度別打撃成績は以下の通りである。
3.1. メジャーリーグ成績
年 | 所属球団 | 試 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁死 | 四球 | 故意四球 | 死球 | 犠飛 | 犠打 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2021 | LAD | 6 | 10 | 10 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | .000 | .000 | .000 | .000 |
2022 | TEX | 16 | 34 | 34 | 3 | 9 | 1 | 0 | 0 | 10 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | .265 | .265 | .294 | .559 |
MLB:2年 | 22 | 44 | 44 | 5 | 9 | 1 | 0 | 0 | 10 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 17 | 0 | .205 | .205 | .227 | .432 |
3.2. KBOリーグ成績
年 | 所属球団 | 試 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁死 | 四球 | 故意四球 | 死球 | 犠飛 | 犠打 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022 | ロッテ | 56 | 251 | 218 | 32 | 72 | 10 | 1 | 8 | 108 | 34 | 3 | 0 | 0 | 2 | 26 | 2 | 5 | 44 | 4 | .330 | .410 | .495 | .906 |
KBO:1年 | 56 | 251 | 218 | 32 | 72 | 10 | 1 | 8 | 108 | 34 | 3 | 0 | 0 | 2 | 26 | 2 | 5 | 44 | 4 | .330 | .410 | .495 | .906 |
3.3. 背番号
レクスがプロ選手時代に使用した背番号は以下の通りである。
- 84(2021年、ロサンゼルス・ドジャース)
- 65(2022年、テキサス・レンジャーズ)
- 47(2022年、ロッテ・ジャイアンツ)
- 17(2023年、ロッテ・ジャイアンツ)
4. コーチング経歴
選手生活を終えた後、レクスは指導者としての新たなキャリアをスタートさせた。
4.1. アリゾナ・コンプレックスリーグ・ドジャース
2025年2月28日、レクスはかつて所属したロサンゼルス・ドジャースの傘下チームで、ルーキー級のアリゾナ・コンプレックスリーグ・ドジャースの打撃コーチに就任した。これは彼にとって、選手引退後の新たな挑戦となる。