1. 概要
ジョゼ・サ・ラポソ(José Sá Raposoポルトガル語、1962年2月3日 - )は、ポルトガルの著名な俳優であり、プロデューサーとしても活動しています。彼のキャリアは1980年代初頭に児童演劇から始まり、その後、レヴィスタ演劇(軽喜劇)やミュージカル、テレビドラマ、映画、そして声優と多岐にわたる分野で活躍してきました。
彼は、元妻のマリア・ジョアン・アブレウと共に制作会社「A Toca dos Raposos」を設立し、数々の舞台作品を上演しました。映画ではジョアン・ボテーリョ、ジョアン・カニージョ、テレザ・ヴィラヴェルデといった著名な監督の作品に出演し、テレビでは多くの人気ソープオペラやバラエティ番組で主要な役割を演じました。また、『ライオン・キング』や『トイ・ストーリー』シリーズなどのアニメーション映画で声優としても活躍し、2009年にはポルトガル・ゴールデン・グローブ賞の最優秀演劇俳優賞を受賞するなど、その功績は高く評価されています。
2. 生涯
ジョゼ・サ・ラポソの生涯は、彼の芸術への深い情熱と多岐にわたる才能に彩られています。彼はリスボンで生まれ育ち、幼少期から演劇に親しみ、そのキャリアは早くから開花しました。
2.1. 出生と初期の生活
ジョゼ・サ・ラポソは、1962年2月3日にリスボンで生まれました。彼の演劇キャリアは、1981年にフランシスコ・ニコルソンの指導の下、テアトロ・アドホックで児童演劇に出演したことから始まりました。彼はこの劇団に所属し、俳優としての基礎を築きました。
2.2. 演劇界への進出
児童演劇での経験を経て、ジョゼ・サ・ラポソはポルトガルの伝統的なレヴィスタ演劇(Teatro de Revistaポルトガル語)の世界に進出しました。彼はテアトロ・マリア・ヴィトーリア、テアトロ・ヴァリエダーデス、テアトロ・ABCといった主要な劇場でレヴィスタ演劇に出演し、その才能を磨きました。
彼は元妻のマリア・ジョアン・アブレウと共に制作会社「A Toca dos Raposos」を設立し、自身でいくつかの舞台作品を制作・上演しました。この制作会社を通じて、彼は俳優としてだけでなく、プロデューサーとしての才能も発揮しました。
3. 主な演技活動
ジョゼ・サ・ラポソは、その長いキャリアを通じて、演劇、映画、テレビ、声優と、あらゆるメディアでその演技力を披露してきました。彼の多様な役柄への挑戦と貢献は、ポルトガルのエンターテイメント業界において特筆すべきものです。
3.1. 演劇
ラポソは数々の重要な舞台作品に出演し、その演技は高く評価されました。彼はディエゴ・ファブリの『O Processo de Jesusポルトガル語』にテアトロ・ダ・トリンダーデで出演し、ベン・ジョンソンの『Volponeポルトガル語』ではテアトロ・アベルトで、ニール・サイモンの『O Último dos Marialvasポルトガル語』ではカサ・ダ・コメーディアでそれぞれ重要な役を演じました。
また、彼はジャン・ジョルデュイユが監督したハイナー・ミュラーの『Germânia 3ポルトガル語』(ベレン文化センター)や、アンドレ・ガーゴが監督したジョン・ゴッドバーの『Os Portasポルトガル語』(テアトロ・ナシオナル・D・マリア2世)にも出演しました。
ミュージカルの分野でも活躍し、トーマス・ミーハン原作の『アニー』ではA・コルテス監督のもとテアトロ・マリア・マトスで公演に参加しました。2003年にはジョルジュ・シルヴァ・メロ監督のショー『Cada Dia Um a Um a Liberdade e o Reinoポルトガル語』に出演。2004年にはフィリペ・ラ・フェリアと共にガーソン・カニンの『A Rainha do Ferro Velhoポルトガル語』でテアトロ・ポリテアマにて共演しました。
近年では、フィリペ・ラ・フェリアが手掛けるミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』に出演し、2019年6月13日にテアトロ・リヴォリで初演され、その後リスボンのテアトロ・ポリテアマでザザ・ナポリ役を演じました。
3.2. 映画
ジョゼ・サ・ラポソは、数多くのポルトガル映画に出演し、多様な役柄を演じました。彼の出演作には、ジョアン・ボテーリョ監督の『Aqui na Terraポルトガル語』(1993年)、ジョアン・カニージョ監督の『Sapatos Pretosポルトガル語』(1998年)、『Ganhar a Vidaポルトガル語』(2001年)、『Noite Escuraポルトガル語』(2004年)があります。
その他、テレザ・ヴィラヴェルデ監督の『Os Mutantesポルトガル語』(1998年)、ジョアキン・サピーニョ監督の『Corte de Cabeloポルトガル語』(1995年)、ジョゼ・フォンセカ・エ・コスタ監督の『Viúva Rica Solteira Não Ficaポルトガル語』(2006年)、イネス・デ・メデイロス監督の『Senhor Jerónimoポルトガル語』(1998年)、ルイス・フィリペ・ローシャ監督の『Camarateポルトガル語』(2001年)、マルガリーダ・カルドーゾ監督の『A Costa dos Murmúriosポルトガル語』(2005年)、ジョゼ・サクラメント監督の『Filme da Tretaポルトガル語』(2006年)、そして『Call Girl』(2007年)などがあります。また、2016年には『セイント・ジョージ』にも出演しています。
彼はルイ・ゲラ、ティアゴ・ゲデス、リタ・ヌネスといった監督の映画作品にも参加しています。
3.3. テレビドラマ・番組
ラポソはテレビの世界でも精力的に活動し、多くのソープオペラやテレビ番組のキャストとして名を連ねました。
主な出演作は以下の通りです。
- 『O Postoポルトガル語』(1990年)
- 『O Cacilheiro do Amorポルトガル語』(1990年)
- 『Pensão Estrelaポルトガル語』(1995年、SIC)
- 『Nós os Ricosポルトガル語』(1997年、RTP)
- 『Médico de Família』(1998年 - 2000年、SIC)
- 『Malucos do Risoポルトガル語』(SIC)
- 『Ballet Roseポルトガル語』(1998年、レオネル・ヴィエイラ監督)
- 『Bons Vizinhosポルトガル語』(2002年、TVI)
- 『O Testamentoポルトガル語』(2007年、RTP)
- 『Resistireiポルトガル語』(2007年、SIC)
- 『Rebelde Way』(2008年、SIC)
- 『Conta-me Como Foiポルトガル語』(2007年 - 2009年、RTP)
- 『Espírito Indomávelポルトガル語』(2010年、TVI)
- 『Golpe de Sorte』(2019年、SIC)
3.4. 声優活動
ジョゼ・サ・ラポソは、アニメーション映画のポルトガル語吹き替えでもその声の才能を発揮しています。
主な声優出演作品は以下の通りです。
- 『Sr.BogusSr.ボーガス英語』
- 『ライオン・キング』
- 『ノートルダムの鐘』および『ノートルダムの鐘II』
- 『ヘラクレス』
- 『わんわん物語』
- 『トイ・ストーリー』三部作
- 『カンフー・パンダ』
- 『カーズ』
- 『シュガー・ラッシュ』
- 『モンスターズ・ユニバーシティ』
- 『ChalkZoneチャークゾーン英語』
4. 受賞歴と評価
ジョゼ・サ・ラポソの長年にわたる芸術活動は、ポルトガル国内で高く評価され、数々の栄誉に輝いています。
4.1. 受賞歴
彼のキャリアにおける最も顕著な受賞は、2009年に獲得したポルトガル・ゴールデン・グローブ賞の最優秀演劇俳優賞です。この賞は、彼の舞台における卓越した演技力と貢献が認められた証となりました。
4.2. 批評と論評
ジョゼ・サ・ラポソは、その多才な演技と幅広い役柄への挑戦により、批評家や一般の観客から常に高い評価を受けてきました。彼はコメディからドラマ、ミュージカルまで、あらゆるジャンルでその存在感を示し、ポルトガルエンターテイメント界の重鎮としての地位を確立しています。彼の演技は、役柄に深みと人間味を与えることで知られ、多くの人々に感動を与えてきました。
5. 影響と遺産
ジョゼ・サ・ラポソは、その多岐にわたる活動を通じて、ポルトガルの演劇、映画、テレビ業界に多大な影響を与えました。彼のキャリアは、若手俳優にとっての模範となり、また、彼が関わった数々の作品は、ポルトガルの文化史に深く刻まれています。
制作会社「A Toca dos Raposos」の設立は、彼が単なる俳優に留まらず、自ら作品を生み出すプロデューサーとしてのビジョンを持っていたことを示しています。これにより、彼はポルトガルの舞台芸術の発展にも貢献しました。彼の長年にわたる活躍と受賞歴は、彼がポルトガルエンターテイメント界のアイコンの一人であることを明確に示しており、その遺産は今後も長く語り継がれるでしょう。
6. 外部リンク
- [https://www.imdb.com/name/nm0710810/ ジョゼ・サ・ラポソ - IMDb]