1. 生い立ちと初期キャリア
パク・サンインの幼少期からプロキャリアに至るまでの過程は、彼のサッカー人生の基礎を築いた重要な時期であった。
1.1. 幼少期とユース時代
パク・サンインは13歳で昌寧中学校にてサッカーを始めた。その後、東莱高校へと進み、1972年に同校を卒業した。学生時代からその才能は際立っていた。
1.2. プロキャリア初期
高校卒業と同じ1972年、パク・サンインは商業銀行サッカー団に入団し、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた。入団から1年後、兵役義務を果たすために軍に入隊した。
2. 選手としてのキャリア
選手としてのパク・サンインは、国内外の様々なクラブで活躍し、韓国代表としても輝かしい成績を収めた。
2.1. クラブキャリア
1981年、パク・サンインはオランダの著名なクラブであるフェイエノールトのトライアルに参加し、クラブから好意的な評価を得た。しかし、選手労働組合の反対により契約は成立しなかった。同年7月には、ドイツのブンデスリーガクラブであるMSVデュースブルクと1年間の契約を結び、契約金は7500.00 万 KRWと報じられた。しかし、大腿部の負傷のため、リーグ戦にはわずか2試合の出場にとどまった。
その後、韓国に帰国し、ハレルヤFCに加入した。1983年にはハレルヤFCと共にKリーグの初代王者となる栄冠を手にした。1986年から1987年には現代ホランイでプレーし、そのキャリアを続けた。
2.2. 代表キャリア
パク・サンインは韓国代表選手としても活躍した。特に1978年のアジア競技大会では、韓国代表の一員として金メダルを獲得した。
また、大統領杯国際サッカー大会では1976年と1978年に、キングス・カップでは1975年に、ムルデカトーナメントでは1977年にそれぞれ優勝を経験し、国際舞台でもその才能を発揮した。
3. 指導者としてのキャリア
現役引退後、パク・サンインは指導者の道に進み、母校や年代別代表、クラブチームの監督として後進の育成に貢献した。
3.1. クラブチーム監督
1988年から2001年まで、自身の母校のサッカーチームの監督を務め、多くの若手選手を指導した。特に、チェ・ヨンスのような後の韓国サッカー界を代表する選手を育て上げたことで知られている。
2006年には新たに創設された釜山交通公社サッカー団の監督に就任し、2016年まで約10年間にわたりチームを率いた後、退任した。
3.2. 年代別代表監督
クラブチームの監督を務める傍ら、1992年から1993年にかけては韓国U-20代表の監督も兼任した。この期間中、彼は1993年に開催された1993 FIFAワールドユース選手権(現在のFIFA U-20ワールドカップ)に韓国U-20代表を導いた。同大会では、韓国チームは3引き分けで無敗の成績を収めた。また、2009年には東アジア競技大会の韓国代表チーム監督を務めた。
4. 主な成績と栄誉
パク・サンインは選手としても監督としても、数々のタイトルを獲得し、個人としても評価された。
4.1. 選手として
- ROK陸軍
- 韓国サッカーリーグ:1974年秋季(優勝)
- 韓国大統領杯全国サッカー大会:1975年(優勝)
- 韓国全国サッカー選手権大会:1975年(優勝)
- ハレルヤFC
- Kリーグ:1983年(優勝)
- 韓国代表
- アジア競技大会:1978年(優勝)
- 韓国大統領杯国際サッカー大会:1976年、1978年(優勝)
- キングス・カップ:1975年(優勝)
- ムルデカトーナメント:1977年(優勝)
- 個人
- 韓国全国サッカー選手権大会MVP:1975年
- KリーグベストXI:1985年
4.2. 監督として
- 釜山交通公社サッカー団
- ナショナルリーグカップ:2010年(優勝)
5. 私生活
パク・サンインには二人の息子がいる。長男のパク・ヒョクスンと次男のパク・スンミンも、父と同じくサッカー選手としての道を進んでいる。
6. 評価と影響
パク・サンインは、その優れたプレースタイルと指導力により、韓国サッカー界に多大な影響を与えた人物として高く評価されている。
6.1. 韓国サッカーへの影響
選手としては、その創造的なプレースタイルで多くのファンを魅了し、韓国サッカーの発展に貢献した。特に指導者としては、チェ・ヨンスなど、後の世代を担う多くの才能ある選手を育成した功績は大きい。彼の指導は、韓国サッカーの基盤を強化し、将来の成功につながる道を切り開いた。
6.2. 世論とメディアの評価
パク・サンインは、その卓越したテクニックと試合を支配する能力から、メディアやサッカーファンから「韓国のクライフ」というニックネームで呼ばれることがあった。これは、彼がいかに優れた選手であり、韓国サッカー界において象徴的な存在であったかを物語っている。