フランク・ワイコフ

1.1. 出生と成長

フランク・クリフォード・ワイコフは、1909年10月29日にアメリカ合衆国アイオワ州デモインで生まれました。

1.2. 学業と大学での活動

ワイコフは、1928年アムステルダムオリンピックへの出場後、1929年にカリフォルニア州のグレンデールコミュニティカレッジに入学しました。彼はこの大学で1年間学び、高校時代のコーチであったノーマン・ヘイハーストの指導のもとでトレーニングを続けました。入学前年の秋には重度の喉の感染症にかかり、一時は生命の危機に瀕しましたが、翌年の春には回復し、グレンデールの短距離選手として4度も世界記録に並ぶ好記録を出しています。

その後、ワイコフは南カリフォルニア大学に転校し、著名なコーチであるディーン・クロムウェルの指導を受けることになります。彼は南カリフォルニア大学在学中に、NCAAの100ヤード走で1930年と1931年に優勝しました。また、彼はカッパ・アルファ・オーダーという友愛会(フラタニティ)のメンバーでもありました。

2.1. 主要大会出場と記録

ワイコフは、学生時代から目覚ましい活躍を見せました。彼はAAU選手権の100ヤード走で、1928年と1931年の2度にわたって優勝しています。さらに、1930年5月には100ヤード走で9.4秒という世界新記録を樹立し、その1ヵ月後にも同じ記録を再現しました。

1931年には、南カリフォルニア大学の4x100mリレーチームのアンカーとして、40.8秒という新たな世界記録樹立に貢献しました。

2.2. オリンピック3連覇

ワイコフは、オリンピックの4x100mリレーで3大会連続金メダルを獲得するという偉業を成し遂げました。

• 1928年アムステルダムオリンピック**
  • ワイコフはアムステルダムでオリンピックデビューを果たしました。100m走では3位に10分の1秒及ばず4位に終わりました。しかし、ジェームズ・クイン、チャールズ・ボラー、ヘンリー・ラッセルと共にアメリカの4x100mリレーチームの第1走者を務め、決勝で41.0秒の世界記録(当時)に並び、金メダルを獲得しました。
• 1932年ロサンゼルスオリンピック**
  • 自国開催となったロサンゼルスオリンピックでは、ロバート・キーゼル、ヘクター・ダイヤー、エメット・トッピーノと共に4x100mリレーに出場し、アンカーを務めました。このチームは40.0秒という新たな世界記録を樹立し、ワイコフは2大会連続となる金メダルを獲得しました。
• 1936年ベルリンオリンピック**
  • ワイコフは、1936年ベルリンオリンピックで3大会連続となるオリンピック出場を果たしました。100m走では再び8年前と同じく4位に終わりました。しかし、短距離・跳躍で4冠を達成したジェシー・オーエンス、ラルフ・メトカーフ、フォイ・ドレイパーと共に4x100mリレーに出場し、アンカーを務めました。このチームは39.8秒という世界タイ記録で金メダルを獲得し、ワイコフはオリンピックの4x100mリレーで3大会連続金メダルを獲得した史上初の選手となりました。

  

3.1. 教師および行政官としての活動

1932年に南カリフォルニア大学を卒業した後、ワイコフは1936年に修士号を取得しました。その後、彼は教師および行政官としての道を歩み始め、ロサンゼルス郡の学校システムで教鞭を執り、行政職を歴任しました。ワイコフは1972年に引退するまで、同地の教育に尽力しました。

5.1. スポーツ界への影響

フランク・ワイコフは、オリンピックの4x100mリレーで3大会連続金メダルを獲得した史上初の選手であり、その全てを世界記録で成し遂げたという、陸上競技史に残る唯一無二の記録を樹立しました。彼のこの偉業は、リレー競技における卓越した才能とチームワークの象徴として、現在も語り継がれています。

5.2. スローガンと顕彰

ワイコフの個人的なスローガンである「清らかな言葉、清らかなスポーツ、清らかな学問、清らかな人生」は、1938年にYMCAによって採用され、青少年の健全な育成を目指す活動の指針となりました。

彼の獲得したオリンピックメダルは、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるLA84財団を通じて閲覧することが可能であり、その偉業が現代まで伝えられています。