1. 概要
フーシェ・ステーンハイス(Guusje Steenhuisフーシェ・ステーンハイスオランダ語、1992年10月27日 - )は、オランダ・グラーヴェ出身の柔道選手。女子78kg級のトップ選手として知られ、多数の国際大会でメダルを獲得している。彼女は、世界柔道選手権大会で銀メダル1つと銅メダル3つ、ヨーロッパ柔道選手権大会で銀メダル4つ、ヨーロッパ競技大会で銀メダル1つと銅メダル1つを獲得するなど、そのキャリアを通じて一貫して高い成績を収めてきた。また、IJFワールドツアーでは7つのグランドスラム金メダルを含む多くのメダルを手にしており、2018年には2年連続で世界ランキング1位を達成した。2020年東京オリンピックと2024年パリオリンピックにも出場し、いずれも7位入賞を果たしている。ステーンハイスはLGBTであることを公表しており、その私生活も注目されている。
2. 幼少期とジュニア時代
フーシェ・ステーンハイスは、その柔道キャリアを幼少期からスタートさせ、ジュニア時代にはすでに国際舞台で才能の片鱗を見せていた。
2.1. 出生と背景
フーシェ・ステーンハイスは、1992年10月27日にオランダのグラーヴェで生まれた。彼女はオランダを代表する女子柔道選手として、78kg級で活躍している。
2.2. ジュニア時代の主な実績
ステーンハイスはジュニア時代からその才能を発揮し、多くの主要大会でメダルを獲得している。
- 2010年にはヨーロッパジュニア柔道選手権大会の78kg級で2位となり、翌2011年には同大会で優勝を果たした。
- 2011年には世界ジュニア柔道選手権大会に出場し、78kg級で3位に入賞した。
- 2011年にはベルギー国際柔道大会で優勝を飾った。
- 2013年にはヨーロッパU23柔道選手権大会で3位に入賞した。
これらの実績は、彼女がシニアキャリアに進むための強固な基盤を築いた。
3. シニアキャリア
フーシェ・ステーンハイスは、シニア柔道選手としてのキャリアにおいて、数々の重要な瞬間と実績を積み重ねてきた。
3.1. 成長過程と重要な瞬間
ステーンハイスのシニアキャリアは2014年頃から本格化し、着実に成長を遂げた。
- 2014年にはヨーロッパオープン・ワルシャワで優勝し、同年にはグランドスラム・バクーで3位、グランプリ・青島で2位となった。
- 2015年にはグランドスラム・バクーの決勝で日本の緒方亜香里に逆転勝ちを収め、初のグランドスラム優勝を果たした。同年、ヨーロッパ競技大会では3位に入賞した。
- 同年にロシアのチュメニで開催されたグランドスラムでは、決勝で日本の佐藤瑠香を破り、グランドスラム大会で2連勝を飾った。
- 2015年世界柔道選手権大会では3回戦で日本の梅木真美に敗れたものの、グランドスラム・東京では決勝まで進出し、アメリカのケイラ・ハリソンに敗れて2位となった。
- 2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、国内の同じ階級に世界選手権3位のマリンド・フェルケルクがいたため、惜しくも代表に選出されなかった。同年、ワールドマスターズで3位に入賞した。
- 2018年の世界選手権では決勝に進出したが、日本の濵田尚里との9分以上に及ぶ激戦の末に反則負けを喫し、2位となった。しかし、この年を含め2年連続で世界ランキング1位を記録する快挙を達成した。
- 2019年にはヨーロッパ競技大会で2位となり、銀メダルを獲得した。
- 2021年にはワールドマスターズで銅メダルを獲得した。同年、ヨーロッパ柔道選手権大会では銀メダル、世界選手権では準決勝で世界チャンピオンのフランスのマドレーヌ・マロンガに敗れたものの、3位決定戦でマリンド・フェルケルクを破り、銅メダルを獲得した。
3.2. オリンピック出場
フーシェ・ステーンハイスは、これまでに2度のオリンピックに出場している。
- 日本武道館で開催された2020年東京オリンピックでは、女子78kg級で7位入賞を果たした。
- フランスのパリで開催された2024年パリオリンピックでも、女子78kg級に出場し、再び7位入賞の成績を残した。
3.3. 世界選手権・ヨーロッパ選手権
ステーンハイスは、柔道界の二大主要大会である世界柔道選手権大会とヨーロッパ柔道選手権大会で、一貫して高い成績を残している。
- 世界柔道選手権大会**:
- 2018年バクー大会では78kg級で銀メダルを獲得。
- 2021年ブダペスト大会では78kg級で銅メダルを獲得。
- 2023年ドーハ大会では78kg級で銅メダルを獲得し、さらに混合団体戦でも銅メダルを獲得した。
- ヨーロッパ柔道選手権大会**:
- 2016年カザン大会、2017年ワルシャワ大会、2021年リスボン大会、2022年ソフィア大会と、78kg級で4年連続銀メダルを獲得した。
- ヨーロッパ競技大会**:
- 2015年バクー大会では78kg級で銅メダルを獲得。
- 2019年ミンスク大会(ヨーロッパ柔道選手権を兼ねる)では78kg級で銀メダルを獲得した。
3.4. IJFワールドツアーでの活動
フーシェ・ステーンハイスは、国際柔道連盟(IJF)が主催するワールドマスターズ、グランドスラム、グランプリといった主要なワールドツアー大会で数多くのメダルを獲得している。
- ワールドマスターズ**:
- 2016年グアダラハラ、2017年サンクトペテルブルク、2021年ドーハ、2022年エルサレムの各大会で78kg級の銅メダルを獲得している。
- グランドスラム**:
- 金メダル:2015年バクー、2015年チュメニ、2016年バクー、2016年アブダビ、2017年バクー、2018年アブダビ、2024年バクー。
- 銀メダル:2015年東京、2017年東京、2018年パリ、2022年アンタルヤ、2024年トビリシ。
- 銅メダル:2014年バクー、2015年アブダビ、2017年パリ、2017年アブダビ、2019年アブダビ、2022年バクー、2023年パリ、2024年パリ。
- グランプリ**:
- 金メダル:2017年ハーグ。
- 銀メダル:2014年青島、2016年トビリシ、2016年ザグレブ。
- 銅メダル:2016年デュッセルドルフ、2018年ブダペスト。
4. 主な実績とメダル獲得記録
フーシェ・ステーンハイスのキャリア全体における主要なメダル獲得記録を以下に整理して示す。
4.1. 世界選手権メダル
年 | 大会 | 階級 | メダル |
---|---|---|---|
2018 | 世界選手権 バクー | 78kg級 | 銀 |
2021 | 世界選手権 ブダペスト | 78kg級 | 銅 |
2023 | 世界選手権 ドーハ | 78kg級 | 銅 |
2023 | 世界団体 ドーハ | 混合団体 | 銅 |
4.2. ヨーロッパ選手権・ヨーロッパ競技大会メダル
年 | 大会 | 階級 | メダル |
---|---|---|---|
2015 | ヨーロッパ競技大会 バクー | 78kg級 | 銅 |
2016 | ヨーロッパ選手権 カザン | 78kg級 | 銀 |
2017 | ヨーロッパ選手権 ワルシャワ | 78kg級 | 銀 |
2019 | ヨーロッパ競技大会 ミンスク | 78kg級 | 銀 |
2021 | ヨーロッパ選手権 リスボン | 78kg級 | 銀 |
2022 | ヨーロッパ選手権 ソフィア | 78kg級 | 銀 |
4.3. IJFワールドツアーメダル
年 | 大会 | 階級 | メダル |
---|---|---|---|
ワールドマスターズ | |||
2016 | グアダラハラ | 78kg級 | 銅 |
2017 | サンクトペテルブルク | 78kg級 | 銅 |
2021 | ドーハ | 78kg級 | 銅 |
2022 | エルサレム | 78kg級 | 銅 |
グランドスラム | |||
2014 | バクー | 78kg級 | 銅 |
2015 | バクー | 78kg級 | 金 |
2015 | チュメニ | 78kg級 | 金 |
2015 | アブダビ | 78kg級 | 銅 |
2015 | 東京 | 78kg級 | 銀 |
2016 | バクー | 78kg級 | 金 |
2016 | アブダビ | 78kg級 | 金 |
2017 | パリ | 78kg級 | 銅 |
2017 | バクー | 78kg級 | 金 |
2017 | アブダビ | 78kg級 | 銅 |
2017 | 東京 | 78kg級 | 銀 |
2018 | パリ | 78kg級 | 銀 |
2018 | アブダビ | 78kg級 | 金 |
2019 | アブダビ | 78kg級 | 銅 |
2022 | アンタルヤ | 78kg級 | 銀 |
2022 | バクー | 78kg級 | 銅 |
2023 | パリ | 78kg級 | 銅 |
2024 | パリ | 78kg級 | 銅 |
2024 | バクー | 78kg級 | 金 |
2024 | トビリシ | 78kg級 | 銀 |
グランプリ | |||
2014 | 青島 | 78kg級 | 銀 |
2016 | デュッセルドルフ | 78kg級 | 銅 |
2016 | トビリシ | 78kg級 | 銀 |
2016 | ザグレブ | 78kg級 | 銀 |
2017 | ハーグ | 78kg級 | 金 |
2018 | ブダペスト | 78kg級 | 銅 |
4.4. ジュニア・U23メダル
年 | 大会 | 階級 | メダル |
---|---|---|---|
ヨーロッパジュニア選手権 | |||
2010 | サモコフ | 78kg級 | 銀 |
2011 | ロンメル | 78kg級 | 金 |
世界ジュニア選手権 | |||
2011 | ケープタウン | 78kg級 | 銅 |
ヨーロッパU23選手権 | |||
2013 | サモコフ | 78kg級 | 銅 |
5. 私生活
フーシェ・ステーンハイスの私生活についても一部公にされている情報がある。
5.1. 公開されたアイデンティティ
フーシェ・ステーンハイスは、LGBT(性的少数者)であることを公表している。この事実は、彼女がスポーツ界における多様性の象徴の一人として注目されるきっかけともなっている。
6. 評価
フーシェ・ステーンハイスは、その柔道キャリアを通じて、国際柔道界に大きな影響を与え、高い評価を得てきた。
6.1. 影響と評価
ステーンハイスは、2018年に2年連続で世界ランキング1位を達成するなど、78kg級における世界トップレベルの選手としての地位を確立した。彼女は、その粘り強い戦いぶりと、一貫して国際大会でメダルを獲得し続ける安定性で知られている。特に、世界柔道選手権大会やヨーロッパ柔道選手権大会での複数回のメダル獲得は、彼女が柔道界で最も成功したオランダ人女子選手の一人であることを示している。彼女のキャリアは、多くの若い柔道家にとっての模範となっている。
6.2. 世界ランキングと記録
フーシェ・ステーンハイスは、キャリアを通じて高い世界ランキングを維持してきた。
- 2018年には2年連続で世界ランキングの年間1位となり、その実力の高さが証明された。
- 国際柔道連盟(IJF)の世界ランキングでは、2024年7月22日現在で3372ポイントを獲得し、5位にランクされている。
- オリンピックでは2大会連続で7位入賞という安定した成績を残しており、国際舞台での高い競争力を示している。