1. 幼少期からアマチュア時代
1.1. 出生と家族
ベン・ローエンは1988年11月15日にフロリダ州ダニーデンで、マイケルとダーリーン・ローエン夫妻の間に生まれた。彼は2歳から9歳までニューヨーク州イーストオーロラに居住した。その後、家族はカリフォルニア州へ移住し、父親のマイケルはムーグ社で勤務した。
1.2. 学生時代と大学野球
カリフォルニア州パロス・ベルデスにあるパロス・ベルデス高等学校の1年生の時に、投球フォームを腕の角度を下げたアンダースローに変更した。高校卒業後はロサンゼルス・ハーバーカレッジで2年間プレーした後、バージニア工科大学に転校した。2009年にはケープコッド野球リーグに所属するコチュイット・ケトルズでサマーリーグに参加した。
2. プロ経歴
2.1. テキサス・レンジャーズ時代
2010年のMLBドラフト22巡目(全体676位)でテキサス・レンジャーズから指名され、同年6月14日に契約した。プロデビューは同年に傘下のA-級スポケーン・インディアンスで果たし、21試合に登板して2勝0敗1セーブ、防御率1.09、33イニングで30奪三振を記録した。
2011年はA級ヒッコリー・クロウダッズでプレーし、33試合に登板して5勝4敗2セーブ、防御率1.98、59イニングで43奪三振を記録した。2012年はA+級マートルビーチ・ペリカンズでプレーし、38試合に登板して5勝0敗19セーブ、防御率1.57、57.1イニングで52奪三振を記録した。この活躍が評価され、同年にはMiLB年間最優秀リリーフ投手に選出された。オフにはアリゾナ・フォールリーグに参加し、サプライズ・サグアロスに所属した。
2013年にはレンジャーズのスプリングトレーニングに招待された。シーズンはまずAA級フリスコ・ラフライダーズで開幕し、31試合に登板して3勝0敗10セーブ、防御率0.53、28奪三振と好投を見せた。同年7月にはAAA級ラウンドロック・エクスプレスへ昇格し、20試合の登板で3勝1敗3セーブ、防御率0.84、30奪三振と引き続き奮闘した。オフの11月20日にはルール・ファイブ・ドラフトでの流出を防ぐため、40人枠入りした。
2014年2月26日にレンジャーズと1年契約に合意し、AAA級ラウンドロックで開幕を迎えた。同年6月11日、タナー・シェパーズが故障者リスト入りしたため、自身初めてメジャーへ昇格した。6月15日のシアトル・マリナーズ戦でメジャーデビューを果たし、4点ビハインドの8回裏無死から登板して1回を無安打無失点に抑えた。その後もリリーフとして登板したが、7月3日のボルチモア・オリオールズ戦で0.2回を投げ2安打2失点と救援に失敗し、翌4日にAAA級ラウンドロックへ降格した。降格後もAAA級で18試合に登板したが、メジャーへ再昇格することはなかった。この年メジャーでは8試合に登板し、防御率4.15、7奪三振を記録した。オフの12月16日にDFAとなり、その数日後の12月19日に自由契約となった。
2.2. ボルチモア・オリオールズ傘下時代
2015年1月20日にロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待された。ドジャースは彼をDouble-Aのタルサ・ドリラーズに配属したが、マイナーリーグシーズン開始前の4月9日に、ライアン・ウェブ、ブライアン・ウォード、および競争バランスドラフト指名権とのトレードで、捕手のクリス・オブライエンと共にボルチモア・オリオールズへ移籍した。
移籍後は傘下のAA級ボウイ・ベイソックスで16試合に登板し、防御率1.90と好投を見せた。同年5月29日にはAAA級ノーフォーク・タイズへ昇格した。しかし、6試合の登板後、6月21日にAA級ボウイへ降格すると、7月1日に契約をオプトアウトし、自由契約となった。
2.3. シカゴ・カブス傘下時代
2015年7月5日にシカゴ・カブスとマイナー契約を結んだ。契約後は傘下のAAA級アイオワ・カブスでプレーし、8試合に登板して2勝0敗、防御率0.00、7奪三振と好投を続けた。同年7月29日にカブスとメジャー契約を結びメジャーリーグに昇格したが、登板機会のないまま2日後の7月31日にDFAとなった。
2.4. トロント・ブルージェイズ傘下時代
2015年8月3日にウェイバー公示を経てトロント・ブルージェイズへ移籍し、AAA級バッファロー・バイソンズに配属された。移籍後はバッファローで14試合に登板し、0勝1敗1セーブ、防御率2.00、11奪三振を記録した。
2016年もブルージェイズのメジャーリーグスプリングトレーニングに招待されたが、同年3月13日にマイナーリーグキャンプに異動となり、そのまま開幕を迎えた。同年8月1日にDFAとなった。
2.5. ミルウォーキー・ブルワーズ時代
2016年8月4日にウェイバー公示を経てミルウォーキー・ブルワーズへ移籍した。ブルワーズでは4試合に登板したが、3イニングで10安打を浴びて6失点(自責点5)、防御率15.00、2奪三振と結果を残せなかった。オフの11月7日、40人枠から外され、AAA級コロラドスプリングス・スカイソックスへoutrightされた。しかし、彼はこの割り当てを拒否し、フリーエージェントとなった。
2.6. ニューヨーク・メッツ傘下時代
2016年12月15日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結び、2017年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった。2017年は傘下のAAA級ラスベガス・フィフティワンズでプレーし、54試合に登板して3勝3敗、防御率4.41、63.1イニングで52奪三振を記録した。オフの11月6日にフリーエージェントとなった。
2.7. シンシナティ・レッズ傘下時代
2018年1月19日にシンシナティ・レッズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった。シーズン開幕は傘下のAAA級ルイビル・バッツでプレーしていたが、同年5月9日に自由契約となった。
2.8. 独立リーグ時代
2018年6月3日、独立リーグであるアトランティックリーグのシュガーランド・スキーターズと契約した。シュガーランドでは15試合に登板し、3勝1敗、防御率4.50、13奪三振を記録した。
2.9. アトランタ・ブレーブス傘下時代
2019年1月18日にアトランタ・ブレーブスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった。シーズン中は傘下のAA級ミシシッピ・ブレーブスとAAA級グウィネット・ストライパーズでプレーし、2球団合計で40試合(うち先発7試合)に登板して5勝3敗1セーブ、防御率3.61、65奪三振を記録した。同年7月19日にはAAAオールスターゲームに登板した。
2020年はCOVID-19パンデミックによるマイナーリーグシーズンの中止のため、試合に出場しなかった。同年11月2日にフリーエージェントとなった。
2.10. ロサンゼルス・エンゼルス時代
2020年12月14日にロサンゼルス・エンゼルスとマイナー契約を結び、2021年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった。
2021年4月12日、アクティブ・ロースターに選出され、同日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦で2016年以来5年ぶりとなるメジャーリーグ復帰登板を果たし、1イニングを無失点に抑えた。しかし、メジャーでは11.1イニングで8失点を喫し、同年5月5日にDFAとなった。5月8日、ウェイバー公示を通過し、AAA級ソルトレイク・ビーズへoutrightされた。同年10月14日にフリーエージェントとなった。
3. 引退後の経歴
2021年12月10日、ベン・ローエンはプロ野球選手としての引退を発表し、同時にロサンゼルス・エンゼルスのスカウト兼コーチとして球団に加わった。
4. 投球スタイル
ベン・ローエンはキャリアを通じて、特徴的なアンダースローの投球フォームを持っていた。彼の主な球種はツーシーム、スライダー、チェンジアップ、そしてカーブであった。速球の球速は平均約125.5 km/hと比較的低速であり、かつてのアンダースロー投手チャド・ブラッドフォードと比較されることもあった。しかし、2021年には投球フォームをオーバースローに変更し、新たな投球スタイルを模索した。
5. 受賞歴
- 2012年:MiLB年間最優秀リリーフ投手
- 2019年:AAAオールスターゲーム出場
6. 年度別投手成績
| 年 | 球団 | 登板 | 先発 | 完投 | 完封 | 無四球 | 勝利 | 敗戦 | セーブ | ホールド | 勝率 | 打者 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 与四球 | 与死球 | 奪三振 | 失点 | 自責点 | 防ぎえる失点 | 防御率 | WHIP | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2014年 | TEX | 8 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 39 | 8.2 | 10 | 0 | 4 | 3 | 0 | 7 | 0 | 0 | 4 | 4 | 4.15 | 1.61 |
| 2016年 | MIL | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 19 | 3.0 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 6 | 5 | 15.00 | 3.33 |
| 2021年 | LAA | 8 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 49 | 11.1 | 12 | 3 | 2 | 0 | 2 | 8 | 0 | 0 | 8 | 7 | 5.56 | 1.24 |
| MLB:3年 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 107 | 23.0 | 32 | 3 | 6 | 3 | 2 | 17 | 0 | 0 | 18 | 16 | 6.26 | 1.65 | |
- 2021年度シーズン終了時
7. 背番号
選手経歴中に使用した背番号に関する情報は以下の通りです。
- 39(2014年)
- 47(2016年)
- 71(2021年)