1. Overview
マイケル・ディロン・ブロッソー(Michael Dillon Brosseauマイケル・ディロン・ブロッソー英語、1994年3月15日 - )は、アメリカ合衆国インディアナ州出身のプロ野球選手(内野手、外野手)。右投右打。現在はサンディエゴ・パドレス傘下のマイナーリーグに所属している。メジャーリーグベースボール(MLB)ではタンパベイ・レイズ、ミルウォーキー・ブルワーズでプレーし、日本プロ野球(NPB)では千葉ロッテマリーンズに所属した経歴を持つ。2019年にMLBデビューを果たし、内外野の複数のポジションを守れるユーティリティープレイヤーとして知られている。
2. 経歴
マイク・ブロッソーは、アマチュア時代からプロ入りを経て、MLBとNPB双方で活躍するキャリアを築いてきた。彼の野球選手としての歩みは、各球団での重要な出来事や成績によって特徴づけられる。
2.1. プロ入り前
ブロッソーはインディアナ州メリルビルにあるアンドレアン高等学校に進学し、当時チームメイトには後のメジャーリーガーであるショーン・マネイアがいた。2013年に高校を卒業した後、ミシガン州ロチェスターヒルズにあるオークランド大学に2013年から2016年までの4年間在籍し、大学野球でプレーした。
2.2. タンパベイ・レイズ時代
ブロッソーは2016年のMLBドラフトでは指名されず、アンドラフテッド・フリーエージェントとして2016年6月23日にタンパベイ・レイズとマイナー契約を結んだ。プロとしてのキャリアはガルフ・コーストリーグ・レイズで始まり、その好成績が評価され、2017年にはA級ボーリンググリーン・ホットロッズに昇格。同シーズンにはミッドウェストリーグで打率.318、出塁率.393を記録し、リーグをリードした。その後、A+級シャーロット・ストーンクラブズへ昇格した。2018年にはAA級モンゴメリー・ビスケッツでプレーし、2019年にはAAA級ダーラム・ブルズでシーズンをスタートさせた。メジャー昇格前には、ダーラム・ブルズとインターナショナルリーグにおいて57打点でリーグトップの成績を収めていた。
2019年6月22日、ブロッソーはレイズによってメジャーリーグに昇格した。翌日の6月23日にはオークランド・アスレチックス戦に「5番・三塁手」で先発出場し、メジャーデビューを果たした。この試合で彼は初打席でMLB初安打を記録した。同年7月3日にはボルチモア・オリオールズ戦でキャリア初となる本塁打を放ち、7月13日には自身初の複数本塁打試合を記録した。さらに7月22日にはボストン・レッドソックス戦で投手として登板し、1失点を記録した。2020年8月15日にはトロント・ブルージェイズ戦で再び投手として登板し、ランダル・グリチャックからキャリア初の奪三振を記録した。短縮された2020年シーズンは、打者として86打数で打率.302、出塁率.378、長打率.558、5本塁打、12打点を記録した。

特に印象的な出来事として、2020年9月1日にはニューヨーク・ヤンキースのアロルディス・チャップマンが投げた球が彼の頭部付近をかすめるという事件があった。チャップマンはこの件で3試合の出場停止処分を受けたが、意図的ではなかったと否定した。その後、2020年のアメリカンリーグディビジョンシリーズ第5戦で再びチャップマンと対戦したブロッソーは、決勝となる本塁打を放ち、レイズをアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ進出へと導いた。2021年シーズンは、レイズとAAA級ダーラム・ブルズの間を行き来し、57試合の出場で打率.187、5本塁打、18打点を記録した。
2.3. ミルウォーキー・ブルワーズ時代
2021年11月13日、ブロッソーは投手のエバン・レイフェルトとのトレードでミルウォーキー・ブルワーズへ移籍した。ブルワーズでの2022年シーズンは69試合に出場し、打率.255、出塁率.344、長打率.418、6本塁打、23打点を記録した。このシーズンは主に三塁手としてプレーしたが、遊撃手や一塁手としても出場し、3試合で投手としても登板した。この年は彼のキャリアで初めて外野を守らなかったシーズンとなった。
2023年にはブルワーズで29試合に出場し、打率.205、出塁率.256、長打率.397、4本塁打、8打点を記録した。同年7月5日、J. C. メヒアの昇格に伴い、ブロッソーはブルワーズによってDFA(事実上の戦力外通告)された。彼はウェイバーをクリアし、7月9日にAAA級ナッシュビル・サウンズへアウトライトされた。
2.4. 千葉ロッテマリーンズ時代
2023年7月29日、ブロッソーは日本プロ野球(NPB)の千葉ロッテマリーンズへの入団が発表された。背番号は72。同日夜に来日し、二軍での調整を経ることなく、8月1日の北海道日本ハムファイターズ戦(ZOZOマリンスタジアム)に「7番・三塁手」で先発出場した。この試合の6回の第3打席で、加藤貴之から来日初安打を放った。さらに、8月10日のオリックス・バファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)では、ジェイコブ・ワゲスパックから来日初本塁打となる左越え2ランを記録した。しかし、この本塁打がNPBでの唯一の本塁打となり、千葉ロッテマリーンズでは37試合に出場し、打率.191、1本塁打、11打点という成績に終わった。シーズン終了後の12月1日、彼は自由契約となった。
2.5. カンザスシティ・ロイヤルズ傘下時代

2023年12月7日、ブロッソーはカンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約を結んだ。2024年シーズンはAAA級オマハ・ストームチェイサーズで開幕を迎え、9試合に出場した。しかし、28打数でわずか3安打(打率.107)に留まり、本塁打なし、3打点という低調な成績に終わった。その結果、2024年4月24日にロイヤルズから自由契約とされた。
2.6. ニューヨーク・メッツ傘下時代
2024年4月30日、ブロッソーはニューヨーク・メッツとマイナー契約を結んだ。メッツ傘下のAAA級シラキュース・メッツに配属され、93試合に出場。打率.276、出塁率.368、長打率.441を記録し、15本塁打、41打点を挙げた。シーズン終了後の11月4日に、彼はFAとなった。
2.7. サンディエゴ・パドレス傘下時代
2024年12月28日、ブロッソーはサンディエゴ・パドレスとマイナー契約を結んだ。
3. 選手としての特徴
マイク・ブロッソーは、パンチ力のある打撃と、内外野の複数のポジションをこなせるユーティリティープレイヤーとしての高い適応能力を最大の武器としている。彼のキャリアを通じて、一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手といった内野の主要なポジションに加え、外野も守ることができた。この守備の柔軟性は、チームにとって非常に貴重な存在となっている。また、状況によっては緊急登板するなど、投手としてもプレーした経験がある。
4. 詳細情報
ここでは、マイク・ブロッソーのプロ野球選手としての詳細な成績、記録、およびその他の関連情報を包括的に提供する。
4.1. 年度別打撃成績
| 年 度 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | TB | 50 | 142 | 132 | 17 | 36 | 7 | 0 | 6 | 61 | 16 | 1 | 0 | 1 | 0 | 7 | 0 | 2 | 39 | 3 | .301 | .319 | .462 | .781 |
| 2020 | 36 | 98 | 86 | 12 | 26 | 5 | 1 | 5 | 48 | 12 | 2 | 0 | 0 | 1 | 8 | 0 | 3 | 31 | 1 | .302 | .378 | .558 | .936 | |
| 2021 | 57 | 169 | 150 | 21 | 28 | 9 | 0 | 5 | 52 | 18 | 2 | 0 | 0 | 2 | 15 | 0 | 2 | 53 | 1 | .187 | .266 | .347 | .613 | |
| 2022 | MIL | 69 | 160 | 141 | 15 | 36 | 5 | 0 | 6 | 59 | 23 | 2 | 0 | 0 | 0 | 14 | 0 | 5 | 48 | 0 | .255 | .344 | .418 | .762 |
| 2023 | 29 | 78 | 73 | 4 | 15 | 2 | 0 | 4 | 29 | 8 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 20 | 2 | .205 | .256 | .397 | .653 | |
| ロッテ | 37 | 147 | 136 | 9 | 26 | 10 | 0 | 1 | 39 | 11 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 0 | 4 | 30 | 1 | .191 | .218 | .287 | .504 | |
| MLB:5年 | 244 | 647 | 582 | 69 | 141 | 28 | 1 | 26 | 249 | 77 | 7 | 0 | 1 | 3 | 48 | 0 | 13 | 191 | 7 | .242 | .313 | .428 | .741 | |
| NPB:1年 | 37 | 147 | 136 | 9 | 26 | 10 | 0 | 0 | 39 | 11 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 0 | 4 | 30 | 1 | .191 | .218 | .287 | .504 | |
- 2023年度シーズン終了時
4.2. 年度別投手成績
| 年 度 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | セ ーブ | 勝 利 | 敗 戦 | ホ ールド | S V | 勝 率 | 打 者 | 投 球 回 | 安 打 | 本 塁 打 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 奪 三 振 | ボ ーク | 暴 投 | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | W H I P | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | TB | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 18 | 4.0 | 5 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4.50 | 1.25 |
| 2020 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 1 | 0.1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00 | 0.00 |
| 2022 | MIL | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 13 | 3.0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00 | 1.00 |
| 2023 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 9 | 2.1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3.86 | 0.86 | |
| MLB:4年 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 41 | 9.2 | 8 | 2 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 3 | 2.79 | 1.03 | |
- 2023年度シーズン終了時
4.3. 年度別守備成績
ブロッソーはプロキャリアを通じて様々なポジションを守り、内野手と外野手の両方でユーティリティー性を示してきた。以下にメジャーリーグおよび日本プロ野球における年度ごとの守備成績をポジション別に示す。
; 投手守備
| 年 度 | 球 団 | 投手(P) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
| 2019 | TB | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.000 |
| 2020 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | |
| 2022 | MIL | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- |
| 2023 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | |
| MLB | 10 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | |
; 内野守備
| 年 度 | 球 団 | 一塁(1B) | 二塁(2B) | 三塁(3B) | 遊撃(SS) | ||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
| 2019 | TB | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 26 | 25 | 39 | 0 | 8 | 1.000 | 18 | 12 | 18 | 1 | 2 | .968 | - | |||||
| 2020 | 12 | 51 | 8 | 0 | 9 | 1.000 | 9 | 15 | 17 | 0 | 8 | 1.000 | 11 | 6 | 23 | 2 | 1 | .935 | - | ||||||
| 2021 | 10 | 35 | 3 | 1 | 3 | .974 | 27 | 20 | 42 | 0 | 14 | 1.000 | 23 | 11 | 27 | 1 | 2 | .974 | - | ||||||
| 2022 | MIL | 3 | 13 | 0 | 0 | 1 | 1.000 | - | 55 | 22 | 63 | 6 | 8 | .934 | 4 | 4 | 7 | 1 | 2 | .917 | |||||
| 2023 | 4 | 20 | 3 | 0 | 1 | 1.000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 20 | 3 | 24 | 5 | 2 | .844 | - | ||||||
| ロッテ | - | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | 35 | 13 | 52 | 5 | 4 | .929 | - | |||||||||||
| MLB | 30 | 120 | 14 | 1 | 14 | .993 | 63 | 60 | 98 | 0 | 30 | 1.000 | 127 | 54 | 155 | 15 | 15 | .933 | 4 | 4 | 7 | 1 | 2 | .917 | |
| NPB | - | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | 35 | 13 | 52 | 5 | 4 | .929 | - | |||||||||||
; 外野守備
| 年 度 | 球 団 | 左翼(LF) | 右翼(RF) | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
| 2019 | TB | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 6 | 5 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
| 2020 | 2 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | |
| 2021 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | |
| MLB | 8 | 9 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 8 | 6 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | |
- 2023年度シーズン終了時
4.4. 記録
マイク・ブロッソーがプロ野球キャリアを通じて達成した主要な記録や特筆すべき達成事項を以下に記述する。
4.4.1. NPB初記録
- 初出場・初先発出場:2023年8月1日、対北海道日本ハムファイターズ14回戦(ZOZOマリンスタジアム)、7番・三塁手で先発出場
- 初打席:同上、2回裏に加藤貴之から三ゴロ
- 初安打:同上、6回裏に加藤貴之から左前安打
- 初打点:2023年8月2日、対北海道日本ハムファイターズ15回戦(ZOZOマリンスタジアム)、3回裏にジェームス・マーベルから左犠飛
- 初本塁打:2023年8月10日、対オリックス・バファローズ15回戦(ZOZOマリンスタジアム)、3回裏にジェイコブ・ワゲスパックから左越2ラン
4.5. 背番号
マイク・ブロッソーがプロキャリアで使用した背番号は以下の通り。
- 43(2019年 - 2021年、タンパベイ・レイズ)
- 20(2022年、ミルウォーキー・ブルワーズ)
- 10(2023年 - 2023年7月9日、ミルウォーキー・ブルワーズ)
- 72(2023年7月30日 - 同年終了、千葉ロッテマリーンズ)
4.6. 登場曲
マイク・ブロッソーが打席に入る際に使用した登場曲は以下の通り。
- 「Head & Heart (feat. MNEK)」Joel Corryジョエル・コリー英語(2023年8月 - 同年終了)※奇数打席
- 「Prospect (feat. Lil Baby)」iann diorイアン・ディオール英語(2023年8月 - 同年終了)※偶数打席