1. 生い立ち
スコット・マイケル・ピープルズは1991年9月5日に、アメリカ合衆国テキサス州パーカー郡のウェザーフォードで生まれた。
q=Weatherford, Texas|position=right
2. 選手としての経歴
ピープルズは、クリーブランド・インディアンス(現在のクリーブランド・ガーディアンズ)の傘下でマイナーリーグでのキャリアを開始し、その後日本プロ野球の横浜DeNAベイスターズでプレーした。
2.1. インディアンス傘下時代
2012年のMLBドラフトにおいて、クリーブランド・インディアンスから14巡目(全体443位)で指名されプロ入りした。プロデビューはマホニングバレー・スクラッパーズで果たしている。インディアンスのマイナー組織では7年間プレーし、マイナー通算で166試合に登板、48勝44敗、防御率4.16を記録した。
シーズンごとの詳細な記録は以下の通りである。
- 2013年シーズンはシングルAのレイクカウンティ・キャプテンズとハイAのカロライナ・マッドキャッツでプレーし、19試合で2勝6敗、防御率4.14の成績を残した。
- 2014年シーズンもカロライナ・マッドキャッツでプレーし、101と2/3イニングを投げて7勝8敗、防御率4.34を記録した。
- 翌2015年にはハイAのリンチバーグ・ヒルキャッツでプレーし、25登板で11勝4敗、防御率3.42の好成績を収めた。
- 2016年には初めてAAA級のコロンバス・クリッパーズに昇格したが、シーズンを通じては主にダブルAのアクロン・ラバーダックスで過ごし、13勝6敗、防御率3.65を記録した。
- 2017年シーズンもコロンバスとアクロンでプレーしたが、3勝9敗、防御率6.27と苦戦し、シーズン後半は回旋筋腱板の炎症で離脱した。
- 2018年シーズンもコロンバスとアクロンでプレーしたが、右足の打撲と右肘の捻挫により多くの試合を欠場し、わずか10試合の登板で防御率5.28にとどまった。
- 2019年シーズンはAAA級のコロンバスで過ごし、主に先発として25試合に登板。144と2/3イニングを投げて10勝6敗、防御率3.98、122奪三振の成績を残した。
2019年シーズン終了後の11月4日にフリーエージェントとなった。
2.2. 横浜DeNAベイスターズ時代
2019年11月9日、NPBの横浜DeNAベイスターズと契約を結んだことが発表された。
- 2020年シーズンは6月20日にNPB初出場を果たした。最終的に外国人枠の関係もありシーズンを通しての活躍はできなかったものの、10試合に登板し、2勝2敗、防御率4.97の成績にとどまった。しかし、12月14日に推定年俸4800.00 万 JPYで契約を更新した。
- 2021年シーズンは18試合に登板し、3勝4敗、防御率4.21を記録した。しかし、6月19日の広島東洋カープ戦で投球後に腰を痛めて降板し、翌6月20日に登録抹消された。6月23日には急性腰痛症と診断されたが、入院はしなかった。その後、リリーフに配置転換され、9月23日に一軍に復帰登板を果たした。シーズン終了後の12月2日に自由契約選手として公示された。
- 2022年1月21日にはDeNAとの再契約が発表され、推定年俸2500.00 万 JPYで来日3年目を迎えることになった。しかし、シーズン初先発となった4月22日の広島戦で持病の腰痛が再発し再び離脱。その後は二軍でリハビリと調整登板を続けていたが、本人からアメリカに戻って治療したいという申し出があり、7月18日に球団から退団が発表され、7月25日にウェーバー公示された。退団発表の際には、自身のTwitterアカウントにてファンへの感謝のメッセージを綴っている。
3. 選手としての特徴・人物
ピープルズは、身長196 cmの長身から角度のある最速153 km/hのストレートを投じる投手である。投球スタイルは、スライダー、ツーシーム、チェンジアップなど多彩な変化球を低めに集めるグラウンドボーラータイプとされる。
制球力に優れており、2019年には四球率1.80という数字を残している。
また、ピープルズは日本文化への深い関心を持っていることでも知られている。NPBに移籍する3年前に新渡戸稲造の名著「武士道」に出会い、「規律、細かな所作、ミスをおかさない精神。アメリカ合衆国では細かいことは気にしない傾向があるが、侍の考え方はすごく印象に残ったし、侍という生き方に興味を持ちました」と共感したと語っている。その影響で、左腕には「武」のタトゥーを彫り込んでいる。来日する際にはこの「武士道」の本を持参したというエピソードもある。
4. 引退後・コーチ経歴
スコット・マイケル・ピープルズは、選手としてのキャリアを終えた後、コーチとしての新たな道を歩んでいる。
4.1. シアトル・マリナーズ
2023年1月25日、現役引退を発表すると同時に、シアトル・マリナーズ傘下ダブルA級のアーカンソー・トラベラーズの投手コーチに就任することが発表された。2024年シーズンも同職を務めた。
4.2. クリーブランド・ガーディアンズ
2025年1月30日には、プロ入り時の古巣であるクリーブランド・ガーディアンズの組織に投手コーディネーターとして採用されたことが発表された。
5. 詳細情報
5.1. 年度別投手成績
年度 | リーグ | 試合 | 先発 | 完投 | 完封 | 無四球 | 勝利 | 敗戦 | ホールド | セーブ | 勝率 | 打者 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 与四球 | 敬遠 | 死球 | 奪三振 | 暴投 | ボーク | 失点 | 自責点 | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | DeNA | 10 | 7 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | .500 | 166 | 38.0 | 40 | 6 | 13 | 3 | 2 | 29 | 0 | 0 | 22 | 21 | 4.97 | 1.39 |
2021 | 18 | 7 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 | 0 | 0 | .429 | 191 | 47.0 | 41 | 5 | 14 | 0 | 2 | 41 | 0 | 0 | 23 | 22 | 4.21 | 1.17 | |
2022 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .000 | 18 | 3.0 | 9 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 5 | 5 | 15.00 | 3.33 | |
通算:3年 | 31 | 15 | 0 | 0 | 0 | 5 | 8 | 0 | 0 | .385 | 375 | 88.0 | 90 | 11 | 28 | 3 | 4 | 74 | 0 | 0 | 50 | 48 | 4.91 | 1.34 |
5.2. 年度別守備成績
年度 | 球団 | 投手 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | ||
2020 | DeNA | 10 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1.000 |
2021 | 18 | 0 | 4 | 1 | 0 | .800 | |
2022 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 31 | 0 | 9 | 1 | 0 | .900 |
5.3. 初記録
- 投手記録**
- 初登板・初先発登板:2020年6月20日、対広島東洋カープ2回戦(横浜スタジアム)、6回1失点で勝敗つかず
- 初奪三振:同上、1回表に菊池涼介から空振り三振
- 初勝利・初先発勝利:2020年8月20日、対広島東洋カープ11回戦(MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島)、5回1失点
- 打撃記録**
- 初打席:2020年6月20日、対広島東洋カープ2回戦(横浜スタジアム)、3回裏に床田寛樹から空振り三振
- 初安打:2020年9月17日、対東京ヤクルトスワローズ18回戦(明治神宮野球場)、3回表に高梨裕稔から二塁内野安打
5.4. 背番号
- 45(2020年 - 2022年7月25日)
5.5. 登場曲
- 「Gods gonna cut you down」Johnny Cash(2020年 - 2022年7月25日)