1. 概要
マクシム・ミハイロヴィチ=ミハイロフ(Максим Михайлович Михайловmɐˈksʲim mʲɪˈxaɪɫəfロシア語、1988年3月19日 - )は、ロシアの男子バレーボール選手である。身長は2.02 m、体重は103 kg。スパイク到達点は360 cm、ブロック到達点は340 cmに達する。ポジションはオポジットで、ロシアスーパーリーグのゼニト・カザンに所属し、ロシア代表の一員として活躍している。
ミハイロフは、その類まれなる攻撃力と安定したプレーで、数々の国際大会で輝かしい成績を収めてきた。2008年の北京オリンピックで銅メダルを獲得して以来、2012年のロンドンオリンピックでは金メダル、2020年の東京オリンピックでは銀メダルを獲得するなど、オリンピックで3つのメダルを手にした。また、2011年のFIVBワールドカップでの金メダル、ワールドリーグでの複数回の優勝、欧州選手権での2度の優勝(2013年、2017年)など、多くの主要国際大会でチームを牽引し、ロシアバレーボール界を代表する選手としてその名を確立している。
2. 生涯
マクシム・ミハイロフは、レニングラード州クジモロフスキー(当時のソビエト社会主義共和国連邦)で生まれ、幼少期からバレーボールに情熱を注いだ。彼のキャリアは地元レニングラード地域で、ヴァレリー・ベスプロズヴァンヌイフの指導のもと始まった。
2.1. 幼少期とバレーボールの開始
ミハイロフは2003年にプロバレーボール選手としてのキャリアをスタートさせる以前から、ユースやジュニア世代の代表として活躍していた。2005年のバレーボール男子ユース世界選手権では金メダルを獲得し、2006年のジュニアヨーロッパ選手権でも金メダルに輝いた。さらに、2007年のバレーボール男子ジュニア世界選手権では銀メダルを獲得し、同大会でベストサーバー賞を受賞するなど、若くしてその才能を国際舞台で示していた。
2.2. プロデビューと初期のクラブキャリア
2003年、ミハイロフはロシアスーパーリーグのヤロスラヴィチ・ヤロスラヴリ(当時はストロイテル・ヤロスラヴリ、後にネフチャニク・ヤロスラヴリを経て、最終的にヤロスラヴィチ・ヤロスラヴリとなる)に入団し、プロキャリアを開始した。彼はアウトサイドヒッターとしてプレーし、2008年、2009年、2010年と3年連続でロシアリーグの得点王に輝くなど、チームの中心選手として活躍した。
2.3. 私生活
ミハイロフはアナスタシアと結婚しており、ニキータという名前の息子がいる。彼の私生活についてはあまり多くが公表されていないが、家族との時間を大切にしていることが知られている。
3. クラブキャリア
マクシム・ミハイロフは、キャリアの大部分をロシア国内のトップクラブで過ごし、数々の重要なタイトルを獲得してきた。彼のプレーは、所属クラブの成功に大きく貢献している。
3.1. ヤロスラヴィチ・ヤロスラヴリ (2003年-2010年)
2003年から2010年まで、ミハイロフはヤロスラヴィチ・ヤロスラヴリ(ストロイテル・ヤロスラヴリ、ネフチャニク・ヤロスラヴリの時期を含む)に所属した。この期間、彼はチームの主要な攻撃オプションとして成長し、特に2008年から2010年までの3年間はロシアリーグで連続して得点王のタイトルを獲得するなど、傑出した個人成績を収めた。この活躍が、彼がロシアのトップクラブへと移籍する足がかりとなった。
3.2. ゼニト・カザン (2010年-現在)
2010年、ミハイロフはロシアリーグ2連覇中の強豪ゼニト・カザンへ移籍し、現在までその中心選手としてプレーを続けている。ゼニト・カザンでは、国内リーグやカップ戦はもちろん、欧州クラブの最高峰であるCEVチャンピオンズリーグや、世界クラブの頂点を決めるFIVBクラブ世界選手権で目覚ましい成功を収めている。
ゼニト・カザンでの主な功績は以下の通りである。
- CEVチャンピオンズリーグでは、2011-12シーズンに初優勝を飾ると、2014-15、2015-16、2016-17、2017-18シーズンと立て続けに優勝し、チームの黄金期を築いた。
- FIVBクラブ世界選手権では、2011年に銅メダルを獲得。2015年と2016年には銀メダルを獲得し、2017年には金メダルを獲得した。2019年には再び銅メダルを獲得している。
- ロシア国内の大会では、ロシアスーパーリーグで2010-11、2011-12、2013-14、2014-15、2015-16、2016-17、2017-18シーズンに優勝。ロシアカップでは2013、2014、2015、2016、2017年に優勝。ロシアスーパーカップでも2010、2011、2015、2016、2017年にタイトルを獲得するなど、圧倒的な強さを見せている。
また、ゼニト・カザン在籍中には数々の個人賞も受賞しており、2016-17シーズンにはCEVチャンピオンズリーグ決勝でMVPに選ばれるなど、その貢献度は計り知れない。
4. ロシア代表キャリア
マクシム・ミハイロフは、ユース・ジュニア世代からロシア代表として国際舞台で活躍し、シニア代表でも長年にわたりチームの攻撃の要として数々の栄光に貢献してきた。
4.1. ユース・ジュニア代表
ミハイロフは、若年層の国際大会で早くからその才能を発揮した。
- 2005年、FIVBバレーボール男子ユース世界選手権(U19)で金メダルを獲得。
- 2006年、ジュニアヨーロッパ選手権(U20)で金メダルを獲得。
- 2007年、FIVBバレーボール男子ジュニア世界選手権(U21)で銀メダルを獲得し、同大会のベストサーバー賞を受賞した。
4.2. シニア代表 (2008年-現在)
2008年、ミハイロフはわずか20歳でロシア代表に選出され、同年6月14日に水原市で行われた2008年ワールドリーグの韓国戦で代表デビューを果たした。
彼のシニア代表での主な実績は以下の通りである。
- オリンピック**:
- 2008年の北京オリンピックでは、若手ながら決勝リーグの大舞台でオポジットとして重要な役割を果たし、ロシアの銅メダル獲得に貢献した。
- 2012年のロンドンオリンピックでは、ロシアの金メダル獲得の原動力となり、自身もベストスコアラーとベストスパイカーの2冠に輝いた。
- 2016年のリオデジャネイロオリンピックにも出場。
- 2020年の東京オリンピックでは、ロシアオリンピック委員会(ROC)の選手として出場し、ソフィア・ヴェリカヤとともに旗手を務めた。この大会ではチームの銀メダル獲得に貢献し、自身もベストオポジットスパイカーに選出された。
- FIVBワールドカップ**:
- 2011年のFIVBワールドカップでは、ポーランドとの激戦を制し、ロシアの金メダル獲得に貢献した。
- ワールドリーグ**:
- 2008年と2009年のワールドリーグでは銅メダル。
- 2010年には銀メダルを獲得し、自身はベストスコアラーとベストスパイカーを受賞。
- 2011年のワールドリーグでは9年ぶりの優勝に貢献し、MVPとベストブロッカーを獲得した。
- 2013年にもワールドリーグで優勝を果たした。
- 欧州選手権**:
- 2011年の欧州選手権ではベストスコアラーとベストスパイカーを受賞。
- 2013年の欧州選手権では決勝でイタリアを破り、金メダルを獲得。
- 2017年の欧州選手権でも金メダルを獲得し、MVPに輝いた。
- FIVBワールドグランドチャンピオンズカップ**:
- 2013年のFIVBワールドグランドチャンピオンズカップでは銀メダルを獲得した。
- FIVBネーションズリーグ**:
- 2018年のFIVBネーションズリーグでは金メダルを獲得し、MVPに選出された。
キャリアの中で、ミハイロフは怪我による活動休止期間も経験している。2013年には肩の負傷でシーズン序盤を欠場し、2014年には両足首の負傷により手術を受け、シーズンほとんどを棒に振った。2014年にはドイツで膝の手術も受けている。しかし、これらの困難を乗り越え、彼は常にトップレベルでのパフォーマンスを維持し続けている。
2016年のミハイロフ 2017年CEVチャンピオンズリーグでのミハイロフ
5. 業績と受賞
マクシム・ミハイロフは、その長く輝かしいキャリアにおいて、所属クラブおよびロシア代表チームで数多くのチームタイトルと個人賞を獲得している。
5.1. クラブでの主な業績
ミハイロフが所属クラブで達成した主な成果を以下に示す。
年 | 大会名 | 成績 | 所属クラブ |
---|---|---|---|
2010 | ロシアスーパーカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2010 | ロシアカップ | 3位 | ゼニト・カザン |
2010-11 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2010-11 | CEVチャンピオンズリーグ | 準優勝 | ゼニト・カザン |
2011 | ロシアスーパーカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2011 | FIVBクラブ世界選手権 | 3位 | ゼニト・カザン |
2011-12 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2011-12 | CEVチャンピオンズリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2012 | ロシアスーパーカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2012 | ロシアカップ | 準優勝 | ゼニト・カザン |
2012-13 | ロシアスーパーリーグ | 3位 | ゼニト・カザン |
2012-13 | CEVチャンピオンズリーグ | 3位 | ゼニト・カザン |
2013 | ロシアカップ | 3位 | ゼニト・カザン |
2013-14 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2014 | ロシアカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2014-15 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2014-15 | CEVチャンピオンズリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2015 | ロシアスーパーカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2015 | ロシアカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2015 | FIVBクラブ世界選手権 | 準優勝 | ゼニト・カザン |
2015-16 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2015-16 | CEVチャンピオンズリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2016 | ロシアスーパーカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2016 | ロシアカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2016 | FIVBクラブ世界選手権 | 準優勝 | ゼニト・カザン |
2016-17 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2016-17 | CEVチャンピオンズリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2017 | ロシアスーパーカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2017 | ロシアカップ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2017 | FIVBクラブ世界選手権 | 優勝 | ゼニト・カザン |
2017-18 | ロシアスーパーリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2017-18 | CEVチャンピオンズリーグ | 優勝 | ゼニト・カザン |
2018-19 | CEVチャンピオンズリーグ | 準優勝 | ゼニト・カザン |
2018-19 | ロシアスーパーリーグ | 準優勝 | ゼニト・カザン |
2019 | FIVBクラブ世界選手権 | 3位 | ゼニト・カザン |
5.2. ロシア代表チームでの主な業績
ミハイロフがロシア代表チームで獲得したメダルを以下に示す。
年 | 大会名 | 成績 |
---|---|---|
2005 | FIVBユース世界選手権 (U19) | 金メダル |
2006 | ジュニアヨーロッパ選手権 (U20) | 金メダル |
2007 | FIVBジュニア世界選手権 (U21) | 銀メダル |
2008 | ワールドリーグ | 銅メダル |
2008 | 北京オリンピック | 銅メダル |
2009 | ワールドリーグ | 銅メダル |
2010 | ワールドリーグ | 銀メダル |
2011 | ワールドリーグ | 金メダル |
2011 | FIVBワールドカップ | 金メダル |
2012 | ロンドンオリンピック | 金メダル |
2013 | ワールドリーグ | 金メダル |
2013 | 欧州選手権 | 金メダル |
2013 | FIVBワールドグランドチャンピオンズカップ | 銀メダル |
2017 | 欧州選手権 | 金メダル |
2018 | FIVBネーションズリーグ | 金メダル |
2020 | 東京オリンピック | 銀メダル |
5.3. 個人受賞
ミハイロフがその競技能力に基づいて受賞した個人賞およびその他の主要な受賞を以下に示す。
- 2007年: FIVBジュニア世界選手権 - ベストサーバー賞
- 2010年: ワールドリーグ - ベストスコアラー賞
- 2010年: ワールドリーグ - ベストスパイカー賞
- 2010年: FIVB世界選手権 - ベストスパイカー賞
- 2011年: CEVチャンピオンズリーグ - ベストスコアラー賞
- 2011年: ワールドリーグ - ベストブロッカー賞
- 2011年: ワールドリーグ - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2011年: 欧州選手権 - ベストスコアラー賞
- 2011年: 欧州選手権 - ベストスパイカー賞
- 2011年: FIVBワールドカップ - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2011年: FIVBクラブ世界選手権 - ベストスコアラー賞
- 2012年: CEVチャンピオンズリーグ - ベストサーバー賞
- 2012年: CEVチャンピオンズリーグ - ベストスコアラー賞
- 2012年: ロンドンオリンピック - ベストスコアラー賞
- 2012年: ロンドンオリンピック - ベストスパイカー賞
- 2012年: 友好勲章
- 2014年: CEVチャンピオンズリーグ - ベストオポジットスパイカー賞
- 2015年: CEVチャンピオンズリーグ - ベストオポジットスパイカー賞
- 2015年: FIVBクラブ世界選手権 - ベストオポジットスパイカー賞
- 2016年: CEVチャンピオンズリーグ - ベストオポジットスパイカー賞
- 2016年: オリンピック欧州予選 - ベストオポジットスパイカー賞
- 2017年: CEVチャンピオンズリーグ - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2017年: ロシアリーグ - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2017年: メモリアル・ヒューバート・ワーグナー - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2017年: 欧州選手権 - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2017年: CEV年間男子バレーボール選手賞
- 2018年: CEVチャンピオンズリーグ - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2018年: FIVBネーションズリーグ - 最優秀選手賞 (MVP)
- 2021年: 東京オリンピック - ベストオポジットスパイカー賞