1. 概要
マルティン・ヴァルイェントは、1995年12月11日にスロバキアのドゥブニカ・ナド・ヴァフォームで生まれたプロサッカー選手である。若くしてイタリアのテルナーナ・カルチョに移籍し、その後スペインのRCDマジョルカで主力選手として活躍。チームのラ・リーガ昇格に大きく貢献した。スロバキアの年代別代表を経て、A代表でもプレーしているが、近年は代表招集が見送られることについてメディアで議論されている。
2. 生い立ちと背景
マルティン・ヴァルイェントは、1995年12月11日にスロバキアのトレンチーン県、ドゥブニカ・ナド・ヴァフォームで生まれた。17歳の時にイタリアのクラブへ移籍し、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた。
3. クラブ経歴
マルティン・ヴァルイェントのプロクラブキャリアはスロバキアの国内クラブで始まり、その後イタリア、そしてスペインへと活躍の場を広げた。
3.1. 初期キャリア
ヴァルイェントは2012年にMFKドゥブニカでプロデビューを果たした。2012-13シーズンにはリーグ戦14試合に出場した。
3.2. テルナーナ
2013年夏、17歳だったヴァルイェントはイタリアのセリエBに所属するテルナーナ・カルチョに移籍した。テルナーナでは主力選手として活躍し、2017年夏にはACキエーヴォ・ヴェローナへの移籍が決定したが、2017-18シーズンはテルナーナにローン移籍の形で残留した。テルナーナでの通算出場はローン移籍期間を含め137試合で5得点を記録している。
3.3. マジョルカ
2018年8月、ヴァルイェントはスペイン2部リーグのRCDマジョルカへローン移籍した。2018-19シーズンには29試合に出場し、昇格プレーオフでは4試合に出場。チームはプレーオフ決勝でデポルティーボ・ラ・コルーニャを破り、2012-13シーズン以来となるラ・リーガ復帰に貢献した。
この活躍を受け、RCDマジョルカは2019年6月26日、150.00 万 EURでヴァルイェントを完全移籍で獲得した。2019-20シーズンにはチームがラ・リーガから2部に降格したものの、彼の存在感は明らかだった。2020年10月3日のCDテネリフェ戦では移籍後初ゴールを記録し、2-0の勝利に貢献している。2021年2月には2025年までの契約延長を発表し、クラブへの忠誠心を示した。さらに2025年1月16日には、2029年までの4年間の契約延長が発表された。
4. 代表経歴
マルティン・ヴァルイェントは、スロバキアのユース代表からA代表へとステップアップし、国際舞台でも経験を積んだ。
4.1. ユース代表
ヴァルイェントは2014年からスロバキアのユース世代代表に招集され、U-19スロバキア代表として14試合に出場し2得点、U-21スロバキア代表として23試合に出場し2得点を挙げた。2017年にはポーランドで開催されたUEFA U-21欧州選手権2017にU-21代表として出場している。
4.2. A代表
2018年6月5日、オランダとモロッコとの親善試合に向けて、負傷した選手に代わりヤーン・コザーク監督によってスロバキアA代表に初招集された。モロッコ代表との試合では、ジュネーブで行われた試合の79分にトマーシュ・フボチャンと交代で出場し、A代表デビューを果たした。
2019年9月6日、UEFA EURO 2020予選のクロアチア戦で初めてスターティングメンバーとして出場。トルトナヴァで行われたこの試合では、本職であるセンターバックではなく右サイドバックとしてプレーし、チームは0-4で敗れた。この試合ではデヤン・ロヴレンを相手に難しい守備を強いられ、彼がセンターバックを本職としていることが改めて浮き彫りとなった。同年10月には、パラグアイとの親善試合で本職のポジションで代表に復帰し、RTVSの解説者マリアーン・ゼマンからも高い評価を受けた。この試合はマルティン・シュクルテル、トマーシュ・フボチャン、アダム・ネメツの3選手にとっての代表引退試合であり、テヘルネ・ポレに約10年ぶりに戻って行われたもので、試合は1-1の引き分けに終わった。
2020年8月26日には、UEFAネーションズリーグのチェコ共和国戦とイスラエル戦に臨むスロバキアA代表に招集された。
5. プレースタイルと特徴
マルティン・ヴァルイェントの主要なポジションはセンターバックであり、利き足は右足である。身長は187 cm、体重は70 kg。守備能力が高く、戦術理解度も優れているが、本職ではないサイドバックでのプレーには課題が残ることがある。
6. 統計
6.1. クラブ統計
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | その他 | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
MFKドゥブニカ | 2012-13 | 2.リーガ | 14 | 0 | - | - | 14 | 0 | ||
テルナーナ・カルチョ | 2013-14 | セリエB | 6 | 0 | 0 | 0 | - | 6 | 0 | |
2014-15 | セリエB | 35 | 0 | 2 | 0 | - | 37 | 0 | ||
2015-16 | セリエB | 25 | 2 | 2 | 0 | - | 27 | 2 | ||
2016-17 | セリエB | 33 | 0 | 2 | 0 | - | 35 | 0 | ||
合計 | 76 | 2 | 6 | 0 | 0 | 0 | 82 | 2 | ||
ACキエーヴォ・ヴェローナ | 2018-19 | セリエA | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | |
テルナーナ (loan) | 2017-18 | セリエB | 38 | 3 | 1 | 0 | - | 39 | 3 | |
RCDマジョルカ (loan) | 2018-19 | セグンダ・ディビシオン | 29 | 0 | 2 | 0 | 41 | 0 | 35 | 0 |
RCDマジョルカ | 2019-20 | ラ・リーガ | 36 | 0 | 1 | 0 | - | 37 | 0 | |
2020-21 | セグンダ・ディビシオン | 33 | 1 | 1 | 0 | - | 34 | 1 | ||
2021-22 | ラ・リーガ | 36 | 0 | 3 | 0 | - | 39 | 0 | ||
2022-23 | ラ・リーガ | 30 | 0 | 2 | 0 | - | 32 | 0 | ||
2023-24 | ラ・リーガ | 28 | 0 | 4 | 0 | - | 32 | 0 | ||
2024-25 | ラ・リーガ | 16 | 0 | 1 | 0 | 12 | 0 | 18 | 0 | |
合計 | 208 | 1 | 14 | 0 | 5 | 0 | 227 | 1 | ||
キャリア合計 | 336 | 6 | 20 | 0 | 5 | 0 | 361 | 6 |
- 1 セグンダ・ディビシオン昇格プレーオフ出場
- 2 スーペルコパ・デ・エスパーニャ出場
6.2. 代表統計
代表チーム | 年度 | 出場 | 得点 |
---|---|---|---|
スロバキア | 2018 | 1 | 0 |
2019 | 2 | 0 | |
2020 | 5 | 0 | |
2021 | 1 | 0 | |
2022 | 3 | 0 | |
合計 | 12 | 0 |
7. 評価と論争
マルティン・ヴァルイェントは、ラ・リーガでの一貫した高いパフォーマンスにもかかわらず、2022年以降もスロバキア代表に継続的に招集されないことについて、スロバキアのメディアがその理由を深く推測し、議論してきた。代表チームの監督であるフランチェスコ・カルツォーナは、招集見送りの詳細な理由を説明することを拒否しているものの、ヴァルイェントのプロフェッショナリズムと代表チームでの前向きな姿勢を高く評価している。