1. 概要
ユリア・アレクサンドロヴナ・ヴィソツカヤ (Юлия Александровна Высоцкаяユーリヤ・アレクサンドロヴナ・ヴィソツカヤロシア語; 1973年8月16日生まれ) は、ロシアの女優であり、テレビの司会者である。彼女は女優として高く評価されており、特に2016年のホロコーストドラマ『パラダイス』での演技は多くの批評家から称賛を受けた。また、ニカ賞の最優秀女優賞を2度(2017年、2022年)受賞している。テレビ界では、人気料理番組『お家で食べよう!』の司会者として広く知られ、この分野でもその才能を発揮している。
2. 生い立ちと教育
ユリア・ヴィソツカヤは、1973年8月16日にソビエト連邦ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(現在のロシア)ロストフ州ノヴォチェルカッスクで生まれた。1990年にアゼルバイジャンバクー市第9高等学校を卒業した。その後、1995年にベラルーシ国立芸術アカデミー演劇科を、1998年にはロンドン音楽演劇アカデミーを卒業している。
3. キャリア
ユリア・ヴィソツカヤのキャリアは、女優としての舞台や映画、テレビでの活動に加え、テレビ司会者、料理専門家、作家としての多岐にわたる分野で顕著な成果を収めている。
3.1. 演技活動
ユリア・ヴィソツカヤは、舞台、映画、テレビドラマにおいて、幅広い役柄でその演技力を発揮してきた。
3.1.1. 舞台活動
ヴィソツカヤは、ベラルーシのヤンカ・クパラ国立アカデミー劇場で舞台活動を開始し、数々の重要な役柄を演じた。特に、ルーマニアの劇作家による『名もなき星』や『禿の女歌手』では主役を務めている。また、同劇場ではジョン・オズボーン作『怒りを込めて振り返れ』のアリソン役(1995年)、アレクセイ・トルストイの作品に触発された『愛は黄金の本』(2002年)にも出演した。その後、彼女はモソヴェット劇場の公演にも参加し、2004年にはアントン・チェーホフ作『かもめ』でニーナ・ザレチナヤ役を演じた。2009年からは同作家の『ワーニャ伯父さん』でソーニャ役を演じ続けている。さらに、2005年と2009年にはマラヤ・ブロンナヤ・モスクワ演劇劇場でアウグスト・ストリンドベリ作『令嬢ジュリー』の主役を演じている。
3.1.2. 映画・テレビ活動
映画およびテレビの分野でも、ユリア・ヴィソツカヤは多岐にわたる作品に出演し、国際的な評価を得ている。特に、2016年のホロコーストドラマ『パラダイス』ではオルガ役を演じ、その演技は広く称賛された。その他の主要な出演作には、1992年のテレビ作品『行っても戻らない』、1994年の『魅せられて』や『想像のゲーム』、2002年の『ハウス・オブ・フールズ』、2002年の『マックス』、2003年の『冬のライオン』、2005年の『兵士たちのデカメロン』、2006年のミニシリーズ『女王の最初のルール』、2007年の『グロス』、2010年の『くるみ割り人形 3D』、2020年の『親愛なる同志たち!』でのリュドミラ・スヨミナ役などがある。
3.2. テレビ司会・料理活動
2003年以降、ユリア・ヴィソツカヤはNTVの夕方の番組『お家で食べよう!』や朝の番組『ユリア・ヴィソツカヤと朝食を』で司会を務めている。特に『お家で食べよう!』は、2007年に「TEFI賞」のエンターテイメント番組部門を受賞し、さらに「ブランド・オブ・ザ・イヤー」のエフィー賞も受賞している。2009年には健康的なライフスタイルを推進する活動が評価され、「ロシア生態学者認定」も受けている。
料理分野では、2008年にロンドンで開催された世界経済フォーラムのロシアの夕べで料理監督に招聘された。2009年にはモスクワのレストラン「ファミリーフロア」の料理ディレクターを務め、同年から料理雑誌『フリェプソリ』(KhlebSol)の編集長も務めている。また、2009年には料理ソーシャルネットワーク「www.edimdoma.ru」および初のオンライン料理チャンネル「www.edimdoma.tv」の設立にも貢献した。このオンラインチャンネルでは、彼女が料理を準備する様子を視聴でき、定期的に更新されるビデオブログも公開されている。
3.3. 執筆活動
ユリア・ヴィソツカヤは、数多くの料理ベストセラー本の著者としても知られている。彼女の著書はすでに150万部以上を売り上げている。
4. 私生活
ユリア・ヴィソツカヤは、1998年から映画監督のアンドレイ・コンチャロフスキーと結婚している。彼らには、娘のマリア(1999年生まれ)と息子のペトル(2003年生まれ)の2人の子供がいる。
5. 受賞と評価
ユリア・ヴィソツカヤは、その卓越した演技力とテレビでの活動に対し、数々の名誉ある賞を受賞している。
- ジョン・オズボーンの戯曲『怒りを込めて振り返れ』での演技により、最優秀女優賞を受賞。
- 映画祭「Vivat, kino Rossii」にて『ハウス・オブ・フールズ』での演技により、最優秀女優賞を受賞。
- 2007年、彼女の番組『お家で食べよう!』が「TEFI賞」のエンターテイメント番組・ライフスタイル部門を受賞。同時に「ブランド・オブ・ザ・イヤー」のエフィー賞も受賞。
- 2009年、番組『お家で食べよう!』が健康的なライフスタイルの推進活動が評価され、「ロシア生態学者認定」を受賞。
- 映画『パラダイス』での演技により、ゴールデンイーグル賞最優秀女優賞を受賞。
- 映画『パラダイス』での演技により、ニカ賞最優秀女優賞を受賞(2017年、2022年)。
- ミュンヘン国際映画祭にて『パラダイス』での演技により、最優秀女優賞を受賞。
6. 作品リスト
以下にユリア・ヴィソツカヤの主な作品リストを掲載する。
6.1. 舞台
ユリア・ヴィソツカヤが出演した主な舞台作品は以下の通り。
- 1993年: 『禿の女歌手』(ウジェーヌ・イヨネスコ作) - スミス夫人
- 1995年: 『怒りを込めて振り返れ』(ジョン・オズボーン作) - アリソン
- 1995年: 『名もなき星』(ミハイル・セバスチャン作) - モナ
- 2002年: 『愛は黄金の本』(アレクセイ・トルストイの作品に触発された戯曲)
- 2004年: 『かもめ』(アントン・チェーホフ作) - ニーナ・ザレチナヤ
- 2009年-現在: 『ワーニャ伯父さん』(アントン・チェーホフ作) - ソーニャ
- 2005年、2009年: 『令嬢ジュリー』(アウグスト・ストリンドベリ作) - 令嬢ジュリー
6.2. フィルモグラフィー
ユリア・ヴィソツカヤが出演した主な映画およびテレビ作品は以下の通り。
年 | タイトル | 役柄 | 備考 |
---|---|---|---|
1992 | 行っても戻らない | ゾーシャ | テレビ |
1994 | 魅せられて | 公開討論会の少女 | |
1994 | 想像のゲーム | ジェーニャ | |
2002 | ハウス・オブ・フールズ | ジャンナ・チモフェーエワ | |
2002 | マックス | ヘレン | |
2003 | 冬のライオン | アライス | |
2005 | 兵士たちのデカメロン | ヴェラ | |
2006 | 女王の最初のルール | インナ・セリベルストワ | ミニシリーズ |
2007 | グロス | ガーリャ | |
2010 | くるみ割り人形 3D | 母 / 雪の妖精 | |
2016 | パラダイス | オルガ | |
2020 | 親愛なる同志たち! | リュドミラ・スヨミナ(リューダ) |
6.3. 著書一覧
ユリア・ヴィソツカヤが執筆した主な料理本は以下の通り。
- 2006年 - 『お家で食べよう。ユリア・ヴィソツカヤのレシピ』
- 2007年 - 『お家で食べよう 年間を通じて』
- 2007年 - 『グロス』
- 2008年 - 『お家で毎日食べよう』
- 2008年 - 『美味しいノート』
- 2009年 - 『食べる、走る、生きる』
- 2010年 - 『あらゆる年齢の子供たちのための料理』
- 2010年 - 『新年レシピ』
- 2011年 - 『ワン、ツー、そして準備完了』