1. 概要
尹晶水(윤정수ユン・ジョンス韓国語、1962年1月3日生)は、朝鮮民主主義人民共和国の元サッカー選手であり、現在はサッカー指導者である。選手時代は主にディフェンダーとして活躍し、「독사」(독사ドクサ韓国語、日本語で「毒蛇」の意)という愛称で知られ、激しいマンマークと並々ならぬ勝負魂で名を馳せた。指導者としては、2003年から2005年、2011年から2014年、そして2019年から2023年と、複数回にわたり北朝鮮代表チームの監督を務めた。特に2010年AFC U-19選手権での優勝や2012年AFCチャレンジカップでの優勝、2014年アジア競技大会でのU-23代表の銀メダル獲得など、北朝鮮のサッカーにおける主要な国際大会での成功に大きく貢献した。
2. 選手経歴
2.1. 初期経歴、プレースタイル、およびクラブ経歴
尹晶水は1962年1月3日に生まれた。選手時代の正確な経歴は詳細には知られていないものの、現役時には4.25体育団に所属していたとされている。彼は「독사」(독사ドクサ韓国語、日本語で「毒蛇」の意)という愛称で知られ、激しいマンマークと並々ならぬ勝負魂が特徴的なディフェンダーであった。
2.2. 代表選手経歴
尹晶水は北朝鮮代表チームの一員として、数々の国際試合に出場した。
1989年10月16日にシンガポールで開催された1990年FIFAワールドカップ・アジア地域予選最終ラウンドの韓国代表との第2戦では、先発メンバーとして出場した。この試合は黄善洪の決勝ゴールにより、韓国が1対0で勝利している。
翌1990年には1990年アジア競技大会に北朝鮮A代表チームの一員として参加し、銀メダル獲得に貢献した。同年10月11日には綾羅島5月1日競技場で韓国代表との南北統一サッカー大会が行われ、尹晶水はこの試合で同点ゴールを挙げ、1対1の引き分けに貢献した。この試合では金鋳城が先制ゴールを挙げたが、尹晶水の得点により追いついた。
1992年には1992年AFCアジアカップ本大会に出場したが、チームは1分け2敗という成績でグループリーグを突破できず、大会を早期に終えた。
2.2.1. 1992年AFCアジアカップ代表メンバー
尹晶水がキャプテンを務めた1992年AFCアジアカップにおける朝鮮民主主義人民共和国代表チームのメンバーは以下の通りである。
背番号 | 選手名 | 備考 |
---|---|---|
1 | 金昌郁 | |
2 | 金光民 | |
3 | 呉永南 | |
4 | 金京一 | |
5 | 林和英 | |
6 | 柳松根 | |
7 | 裴宗敏 | |
9 | 尹晶水 | キャプテン |
10 | 崔元男 | |
11 | 孔文哲 | |
12 | 卓永彬 | |
13 | 趙仁哲 | |
14 | 崔英善 | |
15 | 李英鱗 | |
16 | 金鍾成 | |
17 | 房光哲 | |
18 | 金永鎬 | |
20 | 禹洪哲 | |
監督 | 洪鉉哲 |
選手時代に記録した国際試合での得点は以下の通りである。
No. | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 1990年10月3日 | 北京, 中国 | タイ | 1-0 | 1-0 | 1990年アジア競技大会 |
3. 指導者経歴
尹晶水は選手引退後、サッカー指導者としてのキャリアをスタートさせ、複数の年代別代表チームや北朝鮮代表チームの監督を務めた。
3.1. 北朝鮮代表監督1期 (2003年-2005年)
2003年、尹晶水は初めて北朝鮮A代表チームの監督に就任した。2006年FIFAワールドカップ・アジア地域2次予選では、タイ、アラブ首長国連邦、イエメンを相手に3勝2分け1敗という好成績を収め、北朝鮮を12年ぶりにワールドカップ・アジア地域最終予選へと導いた。
しかし、最終予選では日本、イラン、バーレーンを相手に5連敗を喫し、予選敗退が決定した。日本との第5戦終了後、尹晶水は即座に解任され、バーレーンとの最終戦では金明成が暫定監督を務め、チームは3対2で勝利した。
3.2. U-20およびU-23代表監督 (2008年-2010年)
2008年から2010年にかけて、尹晶水は北朝鮮U-20代表チームとU-23代表チームの監督を兼任した。この期間中、彼は2010年AFC U-19選手権でチームを優勝に導き、2010年アジア競技大会ではU-23代表をベスト8に進出させるなどの成果を挙げた。
3.3. 北朝鮮代表監督2期および2014年アジア競技大会 (2011年-2014年)
2011年、尹晶水は再び北朝鮮A代表チームの監督として復帰した。翌2012年に開催された2012年AFCチャレンジカップでは、北朝鮮をAFC主催大会2連覇に導いた。
その後、2014年アジア競技大会では北朝鮮U-23代表チームの指揮を執り、チームを24年ぶりとなるアジア競技大会での銀メダル獲得という成果に導いた。
3.4. その後の指導者経歴および近年の活動 (2016年-2023年)
2016年には、2016年夏季オリンピック予選を兼ねた2016年AFC U-23選手権で北朝鮮を史上初のベスト8に導いた。しかし、準々決勝でホームのカタールに1対2で惜敗し、1976年以来40年ぶりのオリンピック本大会出場はならなかった。
その後、金永俊が2019年AFCアジアカップ本大会で最悪の成績を収め監督職を解任された後、尹晶水は再び北朝鮮A代表チーム監督として復帰した。
復帰後、2022年FIFAワールドカップ・アジア地域2次予選の5試合で2勝2分け1敗とチームを善戦させた。しかし、COVID-19パンデミックの影響により、AFCがH組の残り試合をすべて高陽総合運動場で開催する決定を下したため、北朝鮮は予選への参加を棄権した。これにより、これらの成績記録はすべて無効とされた。尹晶水は2023年まで北朝鮮代表監督を務めた。
4. 受賞と功績
4.1. 選手時代
- アジア競技大会:銀メダル (1990年アジア競技大会におけるサッカー競技)
4.2. 指導者時代
- AFC U-20アジアカップ:優勝 (2010年AFC U-19選手権)
- AFCチャレンジカップ:優勝 (2012年AFCチャレンジカップ)
- アジア競技大会:銀メダル (2014年アジア競技大会におけるサッカー競技)