1. 概要
ライアン・ジョンソン(Ryan Johnson英語、1984年11月26日生まれ)は、ジャマイカ出身の元サッカー選手で、主にフォワードとしてプレーしました。彼はアメリカのMLSやNASL、中国スーパーリーグ、韓国Kリーグ2など、北米、アジア、ヨーロッパの複数のプロリーグで活躍しました。引退後は、自身の名を冠したサッカー指導施設「RJサッカー・トレーニングセンター」を運営し、若手選手の育成に貢献しています。
2. 幼少期とアマチュアキャリア
ライアン・ジョンソンは、幼少期からサッカーに情熱を傾け、その基礎を築きました。
2.1. 出生と幼少期
ジョンソンは1984年11月26日にジャマイカのキングストンで生まれました。幼い頃に家族と共にボストン地域に移住し、アメリカで育ちました。
2.2. 学生時代とアマチュアキャリア
彼はマサチューセッツ州のメドローズ高校でサッカーとバスケットボールを両立させ、サッカーではミドルセックスリーグとイースタンマスリーグのオールスターに選ばれるなど、優れた才能を発揮しました。スポーツ奨学金を得てオレゴン州立大学に進学し、2002年から2005年まで大学サッカー選手としてプレーしました。大学在籍中には76試合に出場し、18得点30アシストを記録しました。また、USLプレミアデベロップメントリーグでも2シーズンプレーし、ケープコッド・クルセイダーズとボルダー・ラピッズ・リザーブに所属していました。
3. プロクラブキャリア
ジョンソンはプロサッカー選手として、MLSの複数のクラブやスウェーデン、中国、韓国のリーグで経験を積みました。
3.1. MLS初期の活動
2006年のMLSスーパードラフトで、レアル・ソルトレイクから3巡目全体26位で指名されプロキャリアをスタートさせました。しかし、ソルトレイクでの出場はわずか7試合にとどまり、2006年7月25日にジャック・スチュワートとのトレードでシカゴ・ファイアーに移籍しました。シカゴではシーズン残りの3試合に出場しましたが、シーズン終了後に新たな契約には至りませんでした。
2007年初頭には、スカンディナヴィアの複数のチームでトライアルを受け、スウェーデン2部リーグ(スーペルエッタン)に所属していたエステルスIFと2007年3月から7月までの短期契約を結びました。しかし、当時のエステルスにはセンターフォワードが過剰だったため、契約延長には至らず、代わりにアナトリ・ポノマリョフがレンタルで加入しました。同年、彼はFKボーデ/グリムトでもトライアルに参加し、レクネスFKとの試合で8-1の勝利に貢献する最後のゴールを決めました。短期間ニュージャージー・アイアンメンでインドアサッカーをプレーした後、2008年MLSシーズンにサンノゼ・アースクエイクスと契約しました。
3.2. サンノゼ・アースクエイクスとトロントFC
サンノゼ・アースクエイクスでは、2009年シーズン末にチームの得点王となり、クラブの年間最優秀選手に選出されました。2010年シーズンには、サンノゼ・アースクエイクスのMLSカップ準決勝進出に貢献しました。
2011年7月14日、ジョンソンはMLSのインターナショナルロスタースポットとアロケーションマネーと共に、ナナ・アタコラ、アラン・ゴードン、ジェイコブ・ピーターソンとのトレードでトロントFCに移籍しました。トロントFCでのデビューは2011年7月20日のFCダラス戦で、1-0で敗れました。その3日後のスポルティング・カンザスシティ戦で、彼はトロントFCでのシーズン初ゴールを決め、新加入のダニー・クーバーマンスのゴールをアシストしましたが、試合は4-2で敗れました。8月2日、CONCACAFチャンピオンズリーグ予備ラウンドのセカンドレグでは、37分に見事なボレーシュートを決め、47分にはレアル・エステリFCのゴールキーパーのミスパスから追加点を奪いました。この2ゴールにより、トロントFCは合計スコア4-2で2年連続のグループステージ進出を果たしました。
ジョンソンは2012年シーズンも好調を維持し、チャンピオンズリーグ準々決勝のロサンゼルス・ギャラクシー戦の両レグでゴールを決め、3月17日のシアトル・サウンダーズFC戦でも得点しました。サウンダーズ戦でのゴールは週間最優秀ゴールに選ばれました。彼は2012年カナディアン・チャンピオンシップの最優秀選手に贈られるジョージ・グロス・メモリアル・トロフィーを受賞し、チームの優勝に貢献しました。また、2011-12シーズンにはCONCACAFチャンピオンズリーグでチームの準決勝進出に貢献しました。
3.3. ポートランド・ティンバーズとアジアリーグでの活動
2012年12月12日、ジョンソンはミロシュ・コチッチと共にポートランド・ティンバーズにトレードされ、代わりにジョー・ベンディク、2013年MLSスーパードラフトの1巡目指名権、そしてアロケーションマネーがトロントFCに渡りました。
2014年2月27日、ジョンソンは中国スーパーリーグの昇格組である河南建業へ移籍しました。
2015年シーズンからは、韓国のKリーグ2に新設されたソウル・イーランドFCに創設メンバーとして加入しました。彼はかつてバンクーバー・ホワイトキャップスFCの監督だったマーティン・レニーとそのアシスタントであるウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンとセルティックFCの元選手であるダニエル・ハリスの指導の下でプレーしました。ソウル・イーランドFCでは32試合に出場し、2015年Kリーグ2の準プレーオフ進出に貢献しましたが、その32試合でわずか1ゴールに終わるなど、サンノゼやトロント時代に比べると目立った活躍はできませんでした。
3.4. 選手生活の終焉
2016年3月、ジョンソンは北米サッカーリーグのラージョOKCと契約を結びました。しかし、同年5月26日にラージョOKCから放出され、14年間のプロ選手としてのキャリアに幕を下ろしました。
4. 国家代表チームキャリア
ライアン・ジョンソンはジャマイカの代表選手として国際舞台でも活躍しました。
4.1. ジャマイカ代表デビューと活動
ジョンソンは2006年4月12日、アメリカ合衆国代表との親善試合でジャマイカ国家代表チームデビューを果たし、最初の70分間プレーしました。2009年のMLSシーズンでの素晴らしい活躍が評価され、2010年1月にはカナダ代表との親善試合、2010年2月にはアルゼンチン代表との親善試合のためにジャマイカ代表に招集されました。2010年2月10日、マル・デル・プラタで行われたアルゼンチン戦(2-1で敗戦)で、彼は代表初ゴールを記録しました。2010年9月のコスタリカ代表戦では決勝ゴールを決め、代表チームでの好調なパフォーマンスを続けました。
4.2. 国際大会出場と主要得点
2010年のカリビアンカップに出場し、グアドループとのグループB第2戦で決勝ゴールを決め、チームのカリビアンカップ史上5度目の優勝とCONCACAFゴールドカップ本大会への11度目の進出に貢献しました。2011年のCONCACAFゴールドカップでも2ゴールを記録し、チームの準々決勝進出に貢献しました。
2012年6月8日、ホームのキングストンで行われたグアテマラとの2014 FIFAワールドカップ北中米カリブ海3次予選グループAの初戦で追加点を決め、最終予選進出にも貢献しました。2013年10月15日のホンジュラスとの2014 FIFAワールドカップ北中米カリブ海最終予選最終戦を最後に、Aマッチ36試合8ゴールという記録を残し、代表チームでの活動を終えました。
4.3. 代表戦得点記録
# | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2010年2月10日 | エスタディオ・ホセ・マリア・ミネージャ, マル・デル・プラタ, アルゼンチン | アルゼンチン | 0 - 1 | 2-1 | 親善試合 |
2 | 2010年9月5日 | インディペンデンス・パーク, キングストン, ジャマイカ | コスタリカ | 1 - 0 | 1-0 | 親善試合 |
3 | 2010年11月29日 | Stade En Camée, リヴィエール=ピロト, マルティニーク | グアドループ | 2 - 0 | 2-0 | 2010年カリビアンカップ |
4 | 2011年6月7日 | ホーム・デポ・センター, カーソン, アメリカ合衆国 | グレナダ | 2 - 0 | 4-0 | 2011年CONCACAFゴールドカップ |
5 | 2011年6月13日 | レッドブル・アリーナ, ハリソン, アメリカ合衆国 | ホンジュラス | 1 - 0 | 1-0 | 2011年CONCACAFゴールドカップ |
6 | 2011年9月2日 | キト, エクアドル | エクアドル | 2 - 4 | 2-5 | 親善試合 |
7 | 2012年2月24日 | モンテゴ・ベイ・スポーツ・コンプレックス, モンテゴ・ベイ, ジャマイカ | キューバ | 1 - 0 | 3-0 | 親善試合 |
8 | 2012年6月8日 | インディペンデンス・パーク, キングストン, ジャマイカ | グアテマラ | 2 - 0 | 2-1 | 2014 FIFAワールドカップ予選 |
5. 主要な功績と受賞
ライアン・ジョンソンは、プロキャリアを通じていくつかの重要な功績と個人賞を獲得しました。
5.1. クラブキャリアでの功績
- サンノゼ・アースクエイクス
- MLSカップ: 準決勝進出 (2010)
- トロントFC
- カナディアン・チャンピオンシップ: 優勝 (2012)
- CONCACAFチャンピオンズリーグ: 準決勝進出 (2011-12)
- ソウル・イーランド
- Kリーグ2: 4位 (2015)
5.2. 代表チームキャリアでの功績
- ジャマイカ
- カリビアンカップ: 優勝 (2010)
5.3. 個人タイトル
- ジョージ・グロス・メモリアル・トロフィー: 2012年
- サンノゼ・アースクエイクス チームMVP: 2009年
6. 引退後
選手引退後も、ライアン・ジョンソンはサッカー界に貢献し続けています。
6.1. シカゴ・ファイアーユースアカデミー
選手引退後、2017年にはシカゴ・ファイアーのユースチームであるフロリダ・ファイアー・ジュニアーズの技術委員として短期間活動しました。
6.2. RJサッカー・トレーニングセンター運営
2018年からは、オレゴン州のポートランドで、自身の名を冠したサッカー・トレーニングセンター「RJサッカー・トレーニングセンター」を運営しています。このセンターでは、若手選手の育成に力を入れ、未来のサッカー選手たちの指導にあたっています。
[https://www.rjsoccertraining.com/ RJサッカー・トレーニングセンター 公式ウェブサイト]