1. 概要
ライアン・アンソニー・ルア(Ryan Anthony Rua英語、1990年3月11日 - )は、アメリカ合衆国オハイオ州 アマースト出身の元プロ野球選手(外野手、一塁手)。右投右打。主にテキサス・レンジャーズでMLBの試合に出場し、現役引退後はフリーエージェントである。彼の愛称は「Rynoリノ英語」である。
この文書では、ライアン・ルーア選手の野球選手としてのキャリアと功績を客観的に記述しつつ、そのユーティリティ性やチームへの貢献、そして個人的な栄誉に焦点を当てて詳述する。
2. 初期生い立ちとアマチュア経歴
ライアン・アンソニー・ルアは1990年3月11日、アメリカ合衆国オハイオ州のロレイン郡アマーストで生まれた。彼は地元のマリオン・L・スティール高校(Marion L. Steele High School)で野球を始め、その才能を発揮した。高校卒業後、NCAAディビジョンIIに所属するレイク・エリー大学に進学。同大学の野球チームで活躍し、2011年のMLBドラフトで指名された際には、レイク・エリー大学史上初のドラフト指名選手として名を残した。彼の背番号2は、2015年にマリオン・L・スティール高校の永久欠番として認められ、同校で背番号が永久欠番となった最初の選手となった。
3. プロ経歴
ライアン・ルーアは、MLBドラフトでの指名後、テキサス・レンジャーズ傘下のマイナーリーグからプロとしてのキャリアをスタートさせた。彼はマイナーリーグで着実に実績を積み重ね、その後メジャーリーグの舞台へと昇格。ユーティリティプレイヤーとして様々なポジションを守りながら、チームに貢献した。
3.1. マイナーリーグ
ライアン・ルーアは、2011年のMLBドラフト17巡目(全体534位)でテキサス・レンジャーズから指名され、プロ入りを果たした。契約後、彼は傘下のルーキー級アリゾナリーグ・レンジャーズでプロデビューし、同年にはA-級スポケーン・インディアンスでもプレーした。この2球団での合計52試合で、打率.303、4本塁打、37打点、10盗塁を記録した。
2012年は引き続きA-級スポケーンでプレーし、74試合に出場して打率.293、7本塁打、43打点、4盗塁を記録した。マイナーリーグ時代、ルーアは主に三塁手や二塁手としてプレーしていた。
2013年シーズンはA級ヒッコリー・クロウダッズでスタート。6月末にはマイナーリーグ全体で本塁打数においてトップを記録する活躍を見せた。同年8月9日にはAA級フリスコ・ラフライダーズに昇格。この年、2球団合計で127試合に出場し、打率.247、32本塁打、91打点、14盗塁という成績を残した。オフシーズンにはアリゾナ・フォールリーグに参加し、サプライズ・サグアロスに所属した。
2014年シーズンはAA級フリスコで再びプレーし、その後AAA級ラウンドロック・エクスプレスに昇格。このマイナーリーグでの2球団合計で129試合に出場し、打率.306、18本塁打、74打点、6盗塁を記録した。
3.2. メジャーリーグ
ライアン・ルーアは、2014年8月29日にメジャー契約を結び、テキサス・レンジャーズのアクティブ・ロースター入りを果たした。同日行われたヒューストン・アストロズ戦で一塁手としてメジャーデビュー。この試合では内野安打でメジャー初安打を記録し、5打数1安打1得点というデビュー戦となった。同年9月21日には、ロサンゼルス・エンゼルスのクローザーであるハストン・ストリートからキャリア初のソロ本塁打を放ち、レンジャーズの2対1での勝利に貢献した。この年、メジャーリーグでは28試合に出場し、打率.295、2本塁打、14打点、1盗塁を記録した。
2015年シーズンは、レンジャーズの開幕ロースターに名を連ねたが、足首の負傷により長期離脱を余儀なくされた。この年の開幕戦では、チームで唯一の安打を記録している。同年7月30日には、ニューヨーク・ヤンキース戦でランニング本塁打を放ち、試合を5対5の同点に持ち込んだ(レンジャーズはその後、ジョシュ・ハミルトンのサヨナラ安打により7対6で勝利した)。この年は28試合に出場し、打率.193、4本塁打、7打点という成績に終わった。
2016年シーズンも開幕ロースター入りを果たし、当初はベンチスタートだったものの、4月下旬にはジェフ・バニスター監督からの信頼を得て、徐々に日常的に出場する選手となっていった。5月13日にデリーノ・デシールズ・ジュニアがAAA級へ降格した際、イアン・デズモンドが中堅手に回ったことで、ルーアは左翼手のポジションを獲得した。同年5月10日には、シカゴ・ホワイトソックス戦で8回に3ラン本塁打を放ち、2012年以降のレンジャーズで最大となる13対11での逆転勝利に貢献した。しかし、5月末までにはノーマー・マザーラにポジションを奪われ、再び不調に陥った。この年は99試合に出場し、打率.258、8本塁打、22打点を記録。9盗塁を成功させ、スピードの才能を示した。守備では左翼手として60試合に出場し、1失策、守備率.987、守備防御点(DRS)+2というまずまずの成績を残した。また、一塁手として31試合に出場したが、こちらはDRS-2と平均を下回った。この他にも中堅手、右翼手、三塁手として守る機会があり、ユーティリティープレイヤーとしての役割も果たした。
2017年、2018年の2シーズンは、マイナーリーグとレンジャーズのロースターを行き来する期間となった。2018年7月23日には投手として1試合に登板し、無失点で1三振を奪うという珍しい記録も残した。この年、レンジャーズで61試合に出場し、打率.194、6本塁打、12打点を記録した。
2018年シーズン終了後の11月2日、ルーアは40人枠から外され、AAA級へ戦力外通告(アウトライト)された。同日、彼はフリーエージェント(FA)を選択し、レンジャーズを退団した。
4. 詳細情報
4.1. 年度別打撃成績
| 年 | 所属 | 試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁死 | 犠打 | 犠飛 | 四球 | 敬遠 | 死球 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2014 | TEX | 28 | 109 | 105 | 11 | 31 | 7 | 0 | 2 | 44 | 14 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 18 | 6 | .295 | .321 | .419 | .740 |
| 2015 | 28 | 86 | 83 | 10 | 16 | 5 | 0 | 4 | 33 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 32 | 2 | .193 | .221 | .398 | .619 | |
| 2016 | 99 | 269 | 240 | 40 | 62 | 8 | 1 | 8 | 96 | 22 | 9 | 0 | 0 | 2 | 21 | 2 | 6 | 76 | 8 | .258 | .331 | .400 | .731 | |
| 2017 | 63 | 144 | 129 | 17 | 28 | 6 | 0 | 3 | 43 | 12 | 2 | 2 | 1 | 0 | 14 | 0 | 0 | 52 | 3 | .217 | .294 | .333 | .627 | |
| 2018 | 61 | 147 | 139 | 17 | 27 | 3 | 1 | 6 | 50 | 12 | 3 | 1 | 2 | 1 | 5 | 0 | 0 | 53 | 2 | .194 | .221 | .360 | .580 | |
| MLB:5年 | 279 | 755 | 696 | 95 | 164 | 29 | 2 | 23 | 266 | 67 | 15 | 3 | 3 | 3 | 45 | 2 | 8 | 231 | 21 | .236 | .289 | .382 | .671 | |
- 2018年度シーズン終了時
4.2. 背番号
- 16(2014年 - 2018年)
5. 私生活
ライアン・ルーアの出身高校であるマリオン・L・スティール高校では、2015年に彼の背番号「2」が永久欠番として認められた。これは同校の歴史上、最初の栄誉ある出来事であった。プロ野球選手としての彼の愛称は「Rynoリノ英語」である。
6. 関連項目
- メジャーリーグベースベースボールの選手一覧 R